夢ノ町本通り―ブック・エッセイ―
沢木耕太郎(著)
/新潮社
作品情報
三島由紀夫、モハメッド・アリ、向田邦子、山本周五郎・・・・・・。未知の人物との遭遇が、心躍らせる物語への熱中が、いつだって私を豊かにしてくれた。幼少期から現在に至るまで、無数の本との出会いを綴る豊潤な36編。『深夜特急』の直前、26歳の時に書いた単行本未収録のエッセイ「書店という街よ、どこへ?」も初収録!
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平均 4.0 (6件のレビュー)
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三島由紀夫、モハメッド・アリ、向田邦子、山本周五郎……。未知の人物との遭遇が、心躍らせる物語への熱中が、いつだって私を豊かにしてくれた。幼少期から現在に至るまで、無数の本との出会いを綴る豊潤な36編。…『深夜特急』の直前、26歳の時に書いた単行本未収録のエッセイ「書店という街よ、どこへ?」も初収録!
巻頭で著者が言及していた書店は、以前の勤務先に近く、私もしばしば訪れていた。業種が変わってしまった時はがっかりした。街から書店がなくなるのは、悲しい。一方で40年前の梅田の大型書店のルポには驚かされた。ここまで混雑していたとは。
山本周五郎を今度、読んでみたい。続きを読む投稿日:2023.10.18
本書は著者が30年余りの文筆活動の中で各紙(誌)
に掲載された〈本を巡るエッセイ〉を一冊に集めたもの。
これまでも著者の本に関するエッセイは何冊か読んできた。書店でたまたま見つけた際、はたして今回は……と目次に目をやれば〈秋に買う〉とタイトルに惹かれ、 しばし立ち読み。
話の舞台は2019年晩秋の大阪。これまでの来阪目的は仕事であったが、今回は旅は司馬遼太郎記念館での講演はあるものの、メインは天神橋商店街にある古書店巡り。
即、大阪滞在記に入るかと思ったら肩透かしを食らう。先ずなぜこの旅に至ったのか7,8年前のエピソードを開陳。冒頭より鶴瓶さん登場。続いて、南光さん・文珍さんと来て天満天神繁盛亭に至り、関西人にとっては馴染み深い固有名詞が次々登場、極め付きは、おはようパーソナリティ道上洋三です…。
前説を経て、ようやく天神橋商店街に繰り出す沢木さん。古書店で見つけた本の話しは脇役。執拗かつ克明に記載するのは、美味いものにありつけなかったトホホな飯事情、投宿先ホテルの所感。
沢木耕太郎って、こんなに飯にこだわる人なのねと新発見。まぁ気ままなひとり旅となれば、楽しみと言えば地の美味いものにありつくことだしな…と、ひとり納得。この大阪滞在記、まだまだ続きそうなのでレジへ。そして喫茶店へと向かう。
このエッセイ、二枚腰よろしく大阪の旅の後日談に再び南光さんが登場。南光さんたっての頼みに応じて、再度大阪に足を運ぶことに。それも『こちらからそちらに向かいます!』という快諾とともに。
この〈秋に買う〉は約40ページ費され、本書の中では一番の長編であり、シンプルなタイトルとは真逆の巨編の体を成し、書評集に無理矢理収めた感のある異彩を放つ旅エッセイ。
書評については、今回も山本周五郎について多くのページを割く。今回は秀作の短編。歴史小説ではなく時代小説という舞台で、市井に生きる庶民や流れ者に含蓄のある言葉を吐かせたり、庶民の哀歓描写に本領を発揮した山本周五郎。
僕は山本周五郎の小説は10冊程度しか読んでおらず浅学を承知で言えば、落語と山本周五郎の世界は相通ずるものがある。南光さんとの長い付き合いも、南光さんが長年沢木作品の愛読書であり、無類の読書家ということもあるにせよ、その仲立ちをしているのは山本周五郎ではないのかな。
今回の感想は、ひとつのエッセイに絞り書いた。たまたま立ち読みした本の一編に誘われ、そのまま喫茶店にまで導かれるという展開になり、愉しくも豊かな読書タイムとなった。続きを読む投稿日:2024.01.10
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