この作品のレビュー
平均 4.3 (433件のレビュー)
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一体何が起こっているのだろう。この先の展開はどうなっていくのだろう。ページを早く捲りたい気持ちと次の展開への不安や怖さを感じ続けていた。期待と不安を抱えて、どんどん読み進めていった。久しぶりの伊坂幸太…郎さんの作品。伊坂さんの独特の作品世界を思う存分味わって読了した。
物語の舞台はウィンストンパレスホテル。登場人物は業者と呼ばれる暗殺者たち。個性的な登場人物が次々に、ウィンストンホテルに集まってくる。その業者たちには、それぞれに依頼人がいて、その目的を遂行するために行動していた。場面展開が次々に起こり、その展開についていくこと自体が楽しくも感じていた。次は、どの業者のページなのだろうと気になりながら、どんどん読み進めた。
登場人物の一人が紙野結花。業者ではない重要な登場人物。紙野には特殊な能力があった。それは、記憶力。一度、目にしたり耳にしたりするだけで記憶してしまう。意識的ではないところに特殊性が高くなる。それゆえに、忘れたいことも忘れられない辛さも抱えていた。
紙野を過去に2年間雇っていたのは乾という業者。この乾の背景が、クライマックスに向かって明らかになっていく。そのことが、この物語の展開に大きく影響していく。乾には、悍ましい殺害の仕方をするという噂があった。一見かっこいい外見とコミュニケーション力で、そのような殺害をすることとのギャップを感じる。このことが、乾の個性を際立たせ、怖さも引き立てる。だが、この噂や外見がこの物語の伏線となり、驚きの展開へとつながっていく。この伏線の構成は、伊坂さんの作品の魅力でもあるのだろうな。
マクラとモウフの女性二人組の業者。絶妙のコンビネーションでシーツを使って人を殺める。二人の会話は軽快で、その殺し方と相反しているところが、不思議な感じがする。
50代半ば、政治家から情報局に転身した蓬実篤。妻子を交通事故で失い、15年前の40歳のとき、列車内殺傷事件に居合わせ、犯人を取り押さえていた。この2つの事故と事件は後の伏線となっていく。また、その背景には驚かされることになる。このような展開が伊坂さんの作品の魅力と感じる。この時には、ハッとなるような思わぬ展開がラストに待っているとは想像していなかった。
天道虫と言われている業者、七尾。真莉亜という登場人物からの依頼で配達の仕事をするが、そこで出会った客室の人物と揉み合い、その人物が結果的に亡くなってしまう。この人物の素性も後に明らかになっていく。真莉亜と七尾の会話は軽快で、ことの重大性が霞んでいくような気がする。
乾から紙野を無傷で連れてきて欲しいと依頼された6人組の吹き矢で殺害する集団の業者。23歳の富裕層家庭で育った女性のアスカとナラ、26歳の男性のカマクラと28歳の男性のヘイアン、30歳の男性のセンゴク、35歳の男性のエド、グループの仕切り役。噂で出てくる業者殺しの話も、随所に出てきて、物語展開に不穏な空気をもたらしていた。
このような中、七尾は、真莉亜が狙われているという情報を聞く。このことも、物語の展開を複雑にしていく。
60代だと思われるココはデジタルデータを侵入、書き換え等ができる業者。紙野はココを雇って、自分の身を守ろうとしていた、その中で、ココは、乾が業者を雇い、紙野を捕まえて、その記憶を取り出そうとしているという情報を得ていた。紙野は、この情報をココから得て、捕まえられるという見えない者の恐怖から逃げていた。
そして、ココがさらに紙野のボディガードとして依頼したのが、爆発物の取り扱いが得意な高良と奏田という業者だった。事態は更に複雑になり、その展開にどきどきが増していく。
乾は、モウフとマクラに紙野を探して欲しいと依頼していた。この辺りの展開から、乾が複数の業者に依頼している不穏な状況に。先を読みたい、早く真相が知りたいという気持ちが膨らんでいった。
紙野とココは、6人組に追い詰められていき、ココが紙野に、ホテルの映像に映っていた七尾を頼るように言われる。それぞれの思惑や行動がつながっていく。そして、真相を知りたいという気持ちがどんどん膨らんでいく。紙野はココから聞いていた情報をもとに、ホテル内で七尾に助けを求める。そのような中で、ココと遭遇したのはマクラとモウフ。次から次へと事態が移っていく。展開の面白さを感じるが、絡み合いは複雑になっていく。最後まで展開が気になり続けていき、ページを捲るスピードは速くなっていく。
この後、マクラとモウフに真莉亜も絡んでくる。一堂に会する状況が迫っていることを感じ、緊張もしてくる。
ラストに向かって、蓬と乾の関係も明らかになっていく。そして、それぞれの思惑や背景も。さらには、乾の目的とつながるデータのパスワードの解除とタイトルの意味と紙野の存在、蓬と乾の狙いが焦点化されていく。また、乾の父とのことともつながっていく。また、15年前の快速列車内殺傷事件とつながり、やるせなさも感じる。
パスワードを解明し、ファイルを開ける。そこからも驚愕の展開が起こる。怒涛の展開でラストに向かうほどページを捲るスピードがさらに速くなった。
ラストは、一年後の食事の様子。惨劇の展開から和らぎ、ホッとするような場面となった。
ふーっと息を吐いて、読み終わった。久しぶりの伊坂さんの作品世界をたっぷりと味わった。次に手にする伊坂さんの作品がますます楽しみになる作品だった。続きを読む投稿日:2024.04.06
久々の伊坂さん!
図書館で借りてきた、その日に読み切ってしまう面白さでした〜!
色んな人が殺されるのに、ドタバタコメディみたいな雰囲気が出せるのがさすが伊坂さんですよね。
それにしてもウィントンパ…レス、恐ろしいホテル…!
最初は出てくる人と場面が多くて「覚えられるかな…」と思ったけれど、覚えやすいネーミングと、だんだん繋がっていく感じが面白くて、一気読み。
チーズケーキに柚子胡椒な後味もよいです☆続きを読む投稿日:2024.06.22
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