オープン・ウォーター
ケイレブ・アズマー・ネルソン(著)
,下田明子(著)
/左右社*
作品情報
「きみ」は写真家で、「彼女」はダンサー。2017年冬のサウスイースト・ロンドンで出逢ったふたりは、アフリカ系イギリス人のコミュニティやカルチャーのなかですぐに「一番の親友」になり、やがて恋人になる。季節の移ろいとともに関係はさまざまに揺れ動き、トラウマや悲しみ、人種差別が、時に大波を起こして「きみ」と「彼女」をさらっていく。それでも二人は、心の中の大海原で途方にくれて溺れている相手に手を差し伸べ、愛することを諦めない。2021年英国コスタ新人賞、2022年ブリティッシュ・ブック・アワード新人賞を受賞した注目の書き手が優しく詩的に描く、デビュー長篇小説。
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商品情報
- シリーズ
- オープン・ウォーター
- 著者
- ケイレブ・アズマー・ネルソン, 下田明子
- 出版社
- 左右社*
- 書籍発売日
- 2023.04.15
- Reader Store発売日
- 2023.04.24
- ファイルサイズ
- 1.2MB
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この作品のレビュー
平均 3.0 (6件のレビュー)
-
二人称視点で“きみ”と“彼女”を描くこの小説は、その柔らかく語りかけてくるスタイルと、“きみ”の大好きな小説、映画、アートそして音楽が作中に散りばめられているのも相まって、読み手を親密でプライベートな…空気で包んでくれる。
「YOU」を“きみ”と訳したところも素敵だ。
ロンドンに住む若き黒人アーティストの心情に同化して寄り添うのが難しい僕にとって、「あなたは」と語られるよりも、少しだけ距離があって軽やかな“きみ”が心地よい。
だが、同じ境遇で痛みを共有している人々にとっては「YOU」はもっと強く心に響くのだろう。これは俺達の物語だと。
「ハッピーエンドはすべての人に訪れるわけじゃない。いつだって誰かが取り残される。そして私のいるこのロンドンという街では、今のところ、その誰かというのは若い黒人男性であることが多いの」とは、きみが愛読するゼイディー・スミスの作品を借りて語られる言葉だ。
夜道を歩くと警官に職務質問をかけられて身体検査をされ、店に入ると警備員が後をついてくる日常に、うんざりしながら、不安と怯えで心がすり潰されていく。
“自由って、誰もがいつでも感じられるものなのか。それとも、きみたちは時おり訪れる短い瞬間にしか感じられないさだめなのか。”という諦めと憤りの混じった呟き。
ロンドンの街中で、“死”が満ちている。
この気持ちをどうすればいい?
恐怖と怒りの中で、いつしか自分が醜く愛されるに値しないと、この身に起こることは自分の責任だと思うようになる。自分がただ黒人の肉体をした空っぽの入れ物にように感じるこの気持ちを?
見られているけど、見てもらえない気持ちを?
彼女はきみの恐れを、刻みつけられた痛みを受け止めたいと願うのに、きみは剥き出しの心を差し出せない。それは弱さではないのに。恥じることなど、何もないのに。
本書には、愛を信じたいという願いと、己をさらけだすことの恐れとの間で葛藤する気持ちを伝える、繊細で美しいフレーズが溢れている。
“誰かを知るってどういうことだろう、完全に知ることなんてできるのかな。そうは思えない。でもきっと、知ることの原点は知らないことで、知ることは理屈じゃない信頼から生まれるんだ。”
“愛することは泳ぎながら溺れること。愛することはすべてであること、一部であること。血を流し、癒すこと。”
“大海原-オープンウォーター-で口を開けば溺れてしまうけれど、口を開けなければ窒息してしまう。だからきみはこうして溺れてる。”
そう、きみは泳ぎ出すことを、溺れることをもはや恐れない。彼女をちゃんとみて、彼女の瞳に映る自分をみることがきっとできるだろう続きを読む投稿日:2023.09.20
ロンドンで暮らす「君」の「彼女」との出会い、黒人として暮らすことの苦しさを描いた小説。
社会背景や文脈を理解していない私には入り込みづらかった。
主人公を「君」と呼び、俯瞰して語るような文体のとおり、…主人公と社会背景を共有している人が自分や周りの人と重ね合わせて読むというのが想定された読み方なのかも。
続きを読む投稿日:2024.02.10
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