上海灯蛾
上田早夕里(著)
/双葉社
作品情報
1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇ったこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。彼の許を謎めいた日本人女性が訪ねる。ユキヱと名乗るその女が持ちこんだのは、熱河省産の極上の阿片と芥子の種。次郎は阿片の売買を通じて上海の裏社会を支配する青幇の知己を得て、上海の裏社会に深く踏み入っていく。栄光か。破滅か。夜に生きる男たちを描いた、上海ピカレスク。
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この作品のレビュー
平均 4.2 (21件のレビュー)
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鬼★5 人間の欲はどこまでも果てしない… 戦時中の上海を舞台に血で血を洗う歴史ノワール #上海灯蛾
ついに来た…これだわ、今年の国内ミステリーのトップクラス。
文学賞候補やランキング上位は間違いない…レベルの作品、圧倒的に★5です。
舞台は上海、時代は戦前から戦時中。阿片取引を巡って、地下組織で暗躍する男たちを描いた犯罪小説、ノワールです。
■きっと読みたくなるレビュー
貧しい生活から抜け出すため日本から上海に出てきた青年が、高品質な阿片取引に関わることでチャンスをつかむ。上海の秘密組織「青幇」に従属し、彼は兄貴分と協力しながら裏社会で暗中飛躍していく。
一方、満州を統制していた関東軍は、さらなる軍事拡大のため資金源を必要としていた…
熱い!熱すぎる!この話の概略だけで、もう面白そうでしょ。
安心してください、実際読んでみても超絶に面白いです。
犯罪小説でありながらも、阿片や戦争といった事実ベースの歴史や社会性をテーマにしつつ、エンタメ性も抜群。なぜ阿片が持ち込まれたか?事件の真相は?といった謎解きもある。もう優勝です。
〇欲の汚さ
人間の欲というのは、どこまでも果てしない。
高品質な阿片を巡って、様々な悪党たちが血で血を洗って奪い合う。貧しい者は、わずかな食べ物を奪い合う。そこには自分の理屈しかなく、まさに光に集まってくる蛾のごとく、ただの生き物でしかない。
読めば読むほど虚しい感情が広がり、胸が張り裂けそうになります。
〇罪の重み
もともと出世をしたかっただけなのに、多くの人を不幸にしなければ裏社会では生きていけない。どんな悪党であっても良心の呵責、罪の意識は存在する。ただどんなに痛みを感じても最果てまでやり切らないと、痛みは解消されない。
何を引き換えに人は富みを得るのか。
健やかに、感受性豊かに、小さな幸せを感じて生きることができなくなる恐ろしさが強烈でした。
〇上海と秘密組織「青幇」
この時代、上海はどんな街であったか、裏社会やフィクサーの存在。全く勉強不足でした。作者の取材力と圧倒的な筆力に感謝、読書を楽しみつつも歴史を学ばせていただきました。
〇戦争
我々は中学高校で歴史を授業で学びますが、正直この本を読むほうが圧倒的に勉強になる。戦時中、政治の中枢はどんな拙劣な考えを持っていたか。そして反対勢力を抑圧する現実とは。
今も世界のどこかで行われている戦争…悲劇が繰り返すだけなのに、人間の愚かさが悔しいです。
〇若者たちの未来
運命とはなんなのか…時代に巻き込まれた優秀な若者たち。
彼らが現代に生きていたら、もっと人を笑顔にできる成果が上げられたのではと悔しくてなりません。
弱き人のために多くの制度を考えて、たくさんの人を幸せにができたでしょう。
手を取り合って、日本の経済を支えるようなサービスや製品が生み出せたでしょう。
難しい交渉を経て、100年後の日本の未来を支える取引ができたでしょう。
■ぜっさん推しポイント
引用:平家物語 冒頭
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
読み終わったら、ぜひもう一度、序章を読み直してほしい。
人間も蛾も、所詮はただの生き物でしかない。我々はなんのために生きるのでしょうか。続きを読む投稿日:2023.05.07
このレビューはネタバレを含みます
阿片ビジネスを巡り、男たちの友情と裏切りを描いた物語。
レビューの続きを読む
心理描写が巧みなので、次郎と楊直(ヤン・ジー)のそれぞれ相手に対する心の移り変わりがわかりやすい。
だからこそ、2人通じ合ったような終盤の展開は…熱い!
ただ、阿片の密売を中心に物語が進むので、全体的に暴力的なシーン多め。
とくに中盤、楊直の家族に対して極めて残酷なシーンが描写されています。
私みたいに登場人物に感情移入しやすいタイプの方は、今作の「上海灯蛾」のような作品は精神的に余裕があるときに読むことをオススメします。
私はそのシーンを読んで、ひどくメンタル沈んで落ち込んだので、心落ち着くまで4〜5日ほど本書から離れなければいけませんでした。
血なまぐさい過激な描写が苦手な方は要注意です。続きを読む投稿日:2024.02.15
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