ファン・ホーム ある家族の悲喜劇〈新装版〉
アリソン・ベクダル(著)
,椎名ゆかり(著)
/小学館集英社プロダクション
作品情報
『ニューヨークタイムズ』『タイム』など数々のメディアがその年のベストブックと絶賛! セクシャルマイノリティとして、文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。互いをつなぐ微かな糸を、繊細にして静謐な筆致でたどる、ある家族の喪失と再生の物語。ペンシルベニア州の片田舎で葬儀屋を営む家庭の長女として育てられたアリソン。英語教師として働きながら自らの耽美的な世界にひきこもる父親とは、互いに関心を持たないまま冷淡な関係が続いていた。やがて大学生になり、自分がレズビアンであることを自覚しカミングアウトしたアリソンは、父もまた自分と同じ同性愛者であることを知る。その事実を知って数週間後、自殺とも言えるような事故によって父親が死んだ。 いったい私は、父の何を知っていたと言えるのだろう――?
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
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アリソン・ベクダルの自伝的グラフィックノベル。父と娘、父と家族、自分自身、何かがしっくり来ない日々を振り返る物語。ぐるぐると行ったり来たり、死や文学に言及しつつ、性的指向についてのもやもやしたものが家…族関係に何を及ぼしたのかが探られる。
「自らの性について真実を隠して生きるのは、否定的な影響を蓄積していくことだ」という一文。隠さざるをえないことも、隠されていたということも、苦しいことだ。
続きを読む投稿日:2023.03.29
このレビューはネタバレを含みます
2018/05/14読了
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アリソン・ベクダル著のグラフィックノベル。椎名ゆかり訳。2011年刊行(原著は06年)、小学館プロ。
レズを題材にしたコミックストリップ「レズに気をつけろ」を83年から描い…ている著者による自伝的な長編作品(翻訳もこの一作だけみたい)。7年かけたというだけあって読み応えがあり、頁を繰るごとに画がうまくなっていく。批評も絶賛で舞台化もされた。
著者は60年ペンシルヴァニア生まれ。ネットで写真をみると、短く刈り込んだ髪にジャケットを着た姿は男性と見紛う容姿である。自伝的、というその内容の大きな柱をなしている要素がふたつある。①10代なかばでカムアウト、②20歳のとき父を交通事故で失う。そのふたつの出来事を軸に前後の田舎での生活と読書の日々、同性愛者としての父と自分との関係について何度も絵具を塗り重ねるようにつらつらと書き連ねている。読後プロットを一直線に思い返すのが難しく、おぼろげな記憶の断片とフィクションが混交していくのを著者が楽しんでいるのが伝わってくる。ファンホーム(楽しいおうち)とは葬儀を営む家業につかわれた慰安室での陰気な仕事部屋を指しているのだろうか。
本人いうところのエピファニーを得てからは、「おばけ桃の冒険」でさえ読み替えられてしまう読解力を獲得する。そうでなくても同性愛についての書物を、文字通りむさぼるように読みあさって、思い出したようにプルーストやフォークナーらのつくる血の濃い地図のなかに両親の居心地の悪さを見出しながら、ジョイスを通じてギリシア神話の神々になって記憶のなかの自分や父を求めて渉猟を始める。ゴシックな父の趣味とは裏腹に、著者はモダンを自認する男っぽい簡素な身なりを好み、昼は母の舞台にそなえたセリフ読み合わせに付き合ってオスカーワイルドを読み、学校で父に教わる年齢になるとオースティン、サリンジャー(かなり露骨な問答)、NYの大学に入るとウルフやジョイスに手を出す。不安神経症から日記をつけるように諭され(時代的にスポック博士の教えか?)以降虚実まじりの日記(「と思う」の記号!)をつけ始めているせいで、随分細部まで記憶していて楽しい。
父は兵役で欧州に駐留していた。14歳で農夫の男を知り、子供のころから女性になりたかったという。実際女装の写真も遺品のなかから出てくる。母とはストーンウォールのあるシカゴで知り合い、ふたりとも演劇を志していた。欧州から戻るとアパラチア山脈の山奥にある古い屋敷を買い取り、装飾品や庭づくりに没入する。英語の教師でもあったがそれはアルバイト程度で、親類の家業である葬儀が本業。ある時知り合いの未成年男性をドライブに誘い酒を飲ませたとして起訴され精神病院の通院を義務付けられる。母曰くほかにも庭師として雇った男性やらと関係をもっていた。それが著者のカムアウトと前後して明らかにされる。続きを読む投稿日:2020.05.07
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