リバー
奥田英朗(著)
/集英社文芸単行本
作品情報
《「本の雑誌」が選ぶ2022年度ベスト10 第一位!》
同一犯か? 模倣犯か?
群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!
十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。
かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。
娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。
若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。
十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか――
人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
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商品情報
- シリーズ
- リバー
- 著者
- 奥田英朗
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文芸単行本
- 書籍発売日
- 2022.09.26
- Reader Store発売日
- 2022.09.26
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 656ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (272件のレビュー)
-
600ページを超える長編小説であったが、事件解決に向かう物語の展開と登場人物の個性が細かく伝わってきて、あっという間に読み終えた。最後のシーンでは、読み終えた安心感と日常のありがたみが感じられ、胸が熱…くなった。
作品タイトルの「リバー」とは渡良瀬川のことであった。その河川敷で通行人が死体を発見することから物語がはじまる。河川敷での死体遺棄は連続して起こる。5月8日群馬県桐生市、5月13日栃木県足利市、この2人の死体が、未解決である10年前の渡良瀬川連続殺人事件とつながっていく。警察、マスコミ、地元住民などに一挙に恐怖、不安、憤り、怒りといった感情が充満していく。被害者の特徴、場所、手口が10年前の事件と類似であることが、関係者に重くのしかかる。同一犯なのか、模倣犯なのか、それすらも混沌としてはっきりしてこない。警察の焦り、遺族のやるせなさや怒りが伝わってくる。
警察の専門用語が臨場感を掻き立てる。帳場にいるかのような焦燥感と緊張感、高揚感が繰り返される。私にとっては未知の世界であり想像の世界ではあるが、物語の推移とともに、警察官の気持ちの浮き沈みを味わっていた。県を跨いだ連続殺人だという想定に合わせて、それぞれの県警や所轄の刑事のやりとりの難しさや一体感が丁寧に描かれていた。それに加えて、被害者家族、容疑者家族、10年前の未解決事件に関わった警察OB、スナックの従業員、容疑者の地元の知り合いが個性的で、3人の容疑者の素性を明らかにしていく。その容疑者の中から、犯人が次第に狭まっていく。
話の展開は事件解決に向かっていると感じながらも、確固たる決め手がなく、一進一退のキリキリとするような展開が続き、胸がザワザワしている感じが続いた。少しずつ明らかになっていく事件の顛末から推察して、私なりに犯人と思われる人物を疑いながら、その人物の背景やつながりを想像したが、なかなか明確な推察とまではならなかった。その展開の妙が、余計に作品に引き寄せられたのだろうかな。
事件は残酷だったため、被害者家族や警察の無念と解決に向けた執念はどれほどなのだろうと想像していた。被害者家族や関係者、被疑者や関係者、警察とそれぞれのやりとりも私にとっては新鮮で、それゆえにずっと緊張感が続いた。犯人は絞り込まれていくが、犯人逮捕は簡単にはいかない。
こうした中、粘り強い捜査によって新たな事実が判明し、各殺人事件と3人の被疑者との関係が徐々に明らかになっていく。ページを捲る手が速くなる。明らかになっていく事件の背景だが、それで浮かばれる思いにはならないな。ただ、ラストに向かって不安な日常が安心へと変わり、穏やかな日々へと状況が変わり、あたりまえの日常の尊さを感じた。
初めての奥田英朗さんの作品を読了した。ブクログでのみなさんのレビューを参考にしながら、他の奥田英朗さんの作品を読んでみたくなる作品であった。続きを読む投稿日:2023.08.26
【概要】
群馬県と栃木県を流れる川沿いの河川敷で、女性の全裸遺体が相次いで発見された2つの事件。被害者女性は、いずれも援助交際をしていた若い女性だ。
10年前にも同様の事件が2件発生したが、その時の重…要参考人である池田は、10年前の2件目でアリバイがあったため起訴されることはなかった。池田がホンボシだと信じて追っていた刑事の滝本は定年退職し、刑事の身分を失ってからも私人として独自捜査をする。
10年前の事件で娘を殺害された写真屋主人の「栃木県を流れる川沿いの河川敷で、女性の全裸遺体が相次いで発見された2つの事件。被害者女性は、いずれも援助交際をしていた若い女性だ。
10年前にも同様の事件が2件発生したが、その時の重要参考人である池田は、10年前の2件目でアリバイがあったため起訴されることはなかった。池田がホンボシだと信じて追っていた刑事の滝本は定年退職し、刑事の身分を失ってからも私人として独自捜査をする。
10年前の事件で娘を殺害された写真屋主人の松岡も、事件現場となった河川敷を毎日撮影するなど、独自捜査をする。
この事件の担当とされた新米新聞記者の千野今日子は、精神科医篠田の協力を得て、事件を取材する。刈野の恋人であるスナックのママとも親しくなり、滝本とも会話をするなど、多方面からの取材を行う。すごい調整役。
群馬県警刑事の斎藤一馬も、群像劇の一人だ。他県警や警察庁との合同事件となり、捜査はどんどん難しくなる。
事件の重要参考にとして浮上するのは、池田清の他に、県議会議員の息子で引きこもりの平塚健太郎、群馬県の工場で期間工として働く刈野。
犯人は誰なのか、警察は犯人を逮捕することができるのか。
【感想とネタバレ】
健太郎が多重人格っていうのはにわかに信じられなかったけど、最後のマコトの独白を読むと、まあそういうこともあるのか・・・と納得した。
そうだとすると、毎夜BMWに乗っていたのはマコトなのか。健太郎は、おとなしくて引きこもってゲームしているだけの人ってこと?
この本は「犯人逮捕」のあたりで終了しているけど、実際にはこのあとの裁判のほうがずっと時間がかかるのだ。犯人が黙秘していたらなおさら。現実の世界でも、事件から数年公判が開かれないというのもある。きっとこの事件もそうなるだろう。世間は、報道がやむと事件のことを忘れてしまうけど、逮捕起訴されたあと、公判が開始する前の間も裁判のための証拠集めや主張整理など、ずっと仕事を続けている人がいる。
健太郎の証言は、どうなるんだろう。公判開始が長引けば、マコトがでてこなくなったり、そういうことも有り得そうで、こわいわ。まさに綱渡り。
結局、何が目的なのか、どうやってターゲットを絞っていたのか、謎のままであることがリアリティあってこわいよね。
娘は援助交際はしていない、娘の名誉を回復したいと願う被害者の親。でも、その願いはきっと裁判を経ても叶えられないだろう。
印象的だったのは、何人も殺している犯人を逮捕したあとの取り調べでは、犯人に死刑を受け入れさせなければならない、という刑事の発言。
生きて償うということはできない。どんな理由があっても死刑だから。
捜査段階、逮捕前でも、死刑事案であることを念頭に捜査しているんだなぁ。
犯人がなぜこんな事件を起こしたのかということについては、「殺人鬼だから」というマコトの説明しかなくて、うーん・・・。母親を恨むなら、通常、母親にその矛先が向きそうなものだけど、そうでないところが、やはり普通では説明ができない論理の飛躍、殺人への快楽があるのだろうか。
仕事をして社会生活を営み、妹にとって優しい兄であり、スナックのママにも好意を持たれ、普段はおとなしい性格。
それなのに、複数の女性への殺人。最後は交際女性のことも締め殺そうとする。
逮捕されるとわかり、最後に殺しの快感を味わっておきたかった、ということなんだろうか。逮捕されたら、もう二度と味わえないもんね。やはり、快楽殺人だったのか?
健太郎よりもずっと多重人格なのではないかと、私には思えてしまった。続きを読む投稿日:2024.05.29
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