おとうと(新潮文庫)
幸田文(著)
/新潮文庫
作品情報
高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- おとうと(新潮文庫)
- 著者
- 幸田文
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 1968.03.30
- Reader Store発売日
- 2022.03.04
- ファイルサイズ
- 1.4MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (72件のレビュー)
-
これは、幸田文さんご自身とご家族のことを小説化したと思われる。
生母が早く亡くなり、文豪の父親(幸田露伴がモデル)と継母とげん(文さんがモデル)と弟の碧朗の四人家族。父と継母の仲は上手くいっておら…ず、継母と子供たちも折り合いが悪い。継母は何とか母の役目を果たそうと努力はするが、げんと碧朗のことをどうしても好きになれないのを隠せない。その上リューマチで家事が出来ない継母に代わってげんが女学生の頃から家事を任されている。
碧朗は中学生になり、不良仲間に入れられ、どんどんグレていくのだが、げんはそれを一番近くで見て知っていても、父と継母には気を遣い相談することが出来ない。碧朗は万引きをして警察沙汰になり、退学して別の学校に転学後、どんどん遊び人になっていくのだが、父親はどうすることも出来ず、碧朗に言われるままに金を出してやる。幸田露伴は文さんには厳しく家事を仕込んだらしいが、息子には弱かったらしい。げんは碧朗が荒れていくのを悲しい思いで見つめながら、親が何も出来ないのを歯がゆい思いでみている。
そんな家庭だから碧朗の体調が悪くなっているのを家族たちは気づかず、医者に行ったときには、相当進行した結核だった。
不和な家庭の中で三つ違いの弟に母のような気持ちで寄り添い、それを疎ましがられながらも、最後には自分の縁談を諦めてまで結核の弟の看病をし続けた、げん。家事も弟の看病もげんに任せきりの父親。リューマチと二人の子供への心の距離から碧朗にもげんにも寄り添えない継母。げんはその真ん中に立って、娘として姉として実質主婦として必死で家族を支えていた。
幸田文さん、厳しい娘時代を送られていたのだなあ。不和な家庭の中での唯一人の姉と弟の絆。微妙な年頃で不良化し、姉から離れていく弟をときには取っ組み合いのケンカもしながら見守り、病気になられれば疎ましがられながら面倒を見、最後には甘えられて、信頼されて看取った。
どんなフィクションよりも文さんの実話を元にしたこの小説を文さんの素晴らしい筆致で書かれると、心にずっしりきた。
幸田文さんの文章はパリっと糊の効いた浴衣のように清潔感があり、美しく、凛として、そして江戸っ子気っ風のようなものを感じるが、それはお父様から譲り受けた文才だけではなく、この小説のなかの“げん”と同じ芯の強さと厳しかった家庭環境と、それでもやはり良家の人が持つ美意識から育てられた文才なのだなと思う。続きを読む投稿日:2022.04.29
某所読書会課題図書:碧郎を姉のげんが見守る物語だが、少しやんちゃな弟を病気で活動があまりできない母の代わりをしている感じだ.いろいろな事件が起こるが、男の子がよくやるかっぱらいを契機に不良仲間と付き合…う碧郎.げん自身が疑われた万引き事件での彼女の警官に対する態度は素晴らしいと感じた.碧郎がキリスト教系の学校を退学処分になり仏教系の学校に入り、大人らしくなりつつある弟を冷静に見つめるげん.ほどなく弟が結核にかかっていることが分かり、母に代わって看病をするげん.当時満足な治療方法が無かった病気だったので、医師も時間を引き延ばして、何とか生かしておくことしかできず、次第に衰弱していく碧郎.げんの看病で碧郎は満足して旅立ったと感じた.げんの強さが根底に流れるストーリーだと思う.続きを読む
投稿日:2024.06.14
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。