この作品のレビュー
平均 3.1 (18件のレビュー)
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小説家五人が正体不明の覆面作家 天城菖蒲に招待され辿り着いたある孤島「条島」。島という隔離された舞台といい、離のアトリエの存在と言い、異文化の薄気味悪さと言い、ゴテゴテの「何かが起きそう」な雰囲気がプ…ンプンする。
そして、白井智之らしからぬ作品説明のまともさ。王道のクローズドサークルとしか思えない説明だ。帯にも【絶海の孤島×五人の推理作家×奇怪な連続殺人】とある。
更に言えば、タイトルもクリスティのアレのオマージュ匂わせる如何にも推理小説な命名ときた。
これがどれくらいまともなのか著者を知らない方の為にわかりやすく説明すると、
「人間の顔は食べずらい」
「お前の彼女は二階で茹で死に」
「少女を殺す100の方法」
「死体の汁を啜れ」
これが今までのパワーワードが過ぎる著者の作品タイトルである。暗黒書物愛好仲間(一方的)の奏悟さんやヒボさんがヨダレを垂らしてくれそうなネーミングセンスだ。
比べて本書、「そして誰も死ななかった」
......ほら、まともであろう。なんなら直接解釈すると誰も死なない事に安心感すら感じてしまうぞ。
だが、ページを開けば出るわ出るわの白井節。
個人的には少数民族 奔拇族の文化と、主人公 大亦牛汁のデビュー作(?)「奔拇島の惨劇」が非常に興味深かった。悪魔の仮面「ザビマスク」、邪霊の贄となる「ザビ人形」。理解し難い独特な異文化に自身の鼻息が荒くなるのを感じた。
そして、牛汁の奔拇島の惨劇の内容は、後に現実に起きた奔拇族の集団失踪と酷似していた。彼は未来を予知していたのだろうか。
....だが読者は知っている。彼にそんな力は無い、ただのスネ夫だと。
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話は孤島の五人の小説家に戻るが、勿論 大亦牛汁もその中の一人だ。
「何かが起きそう」なピッタリの雰囲気を裏切ること無く、一夜にしてしっかり「何かは起こる」
お待ちかねのジェイソンタイムである。
襲われた牛汁が最後に見た禍々しい犯人の容貌。あの無数の目を持った姿は....ザビマスクだった。そして被害者の傍で同じ要領で「殺されている」のはザビ人形である。
こうして、一夜にして小説家五人は皆、命を落とした。
そして誰もいなくなった時に本当の「事件」が始まるーーーーー。
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結論から言うととても面白かった。
慣れとは恐ろしい物で、ぶっ飛んだプロットを当たり前の様に受け入れている自分が他人事程度に心配にはなったが、展開のテンポの良さが心地好いので細かい事は脇道に置いておける有り難仕様。
「誰もいなくなった」はずの犯人探しにて様々な推理が展開されるが、どの推理もあからさまに矛盾を織り交ぜてくるので読者として大変楽しむことが出来た。
如何せん、ベースが狂っているので真っ当な推理はするだけ脳内が暴発する原因となるのでオススメはしないが、この決して居心地の良くない世界観に身を委ねても後悔はしないはず。一種の疑似体験として現実との乖離を楽しんで貰いたい。
今回は五人と繋がる晴夏の存在や奔拇族のその後、「水をくれ」の真意等、回収しきれていない事柄が多く感じるので燃焼効率は悪かったが世界観は十分に堪能できた。
私に学は無いが、著者の作品は文学というよりアート的な感覚が強い。素人発言丸出しだが、グロテスクを美として表現するのに「絵」はよく使われているように感じている。
著者の作品を読んでいると稀に、場面場面で切り取られた静止画が脳内で浮かぶ事がある。ドス黒い赤色中心の決して気持ちの良い絵ではないはずなのだが、そこにどこか美しさを感じてしまうのはやはり私が俗悪マンだからなのだろうか...。
兎に角、人に胸を張ってお勧めする事ができない四天王作家のうちの一人である事は揺るがない事実だろう。(褒めています)続きを読む投稿日:2022.06.28
このレビューはネタバレを含みます
「そして誰もいなくなった」のオマージュ的作品。
レビューの続きを読む
土台に有名ミステリがあるからこそ、ありえないほど二転三転していく展開に惹きつけられる。
最後の方の考察が交差し合う場面は、あいり達は喋っていて混乱しない…のかと文を追っているだけでハラハラした。
犯人の動機の薄さ、晴夏の行為の突飛さ等気になるところはあるけど、ぶっ飛んだ設定がミステリーパズルのみを楽しませてくれる。
全ての登場人物の関係性に特に進展がなくドラマティックでないのもまた良い。
あの寄生虫、もう色んな所に寄生してて日本終わってそうだけどどうなんだろう…
続きを読む投稿日:2024.05.27
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