ミーツ・ザ・ワールド
金原ひとみ(著)
/集英社文芸単行本
作品情報
【死にたいキャバ嬢×推したい腐女子】 焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く――。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は・・・・・・。金原ひとみが描く恋愛の新境地。
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商品情報
- シリーズ
- ミーツ・ザ・ワールド
- 著者
- 金原ひとみ
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文芸単行本
- 書籍発売日
- 2022.01.05
- Reader Store発売日
- 2022.01.05
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (88件のレビュー)
-
自分に向き合おうと、これまで多くの自己啓発本を読んできたけれど、わたしがやってきたのはただの向き合うふり、だったように思う。
読みながら、自分がどんな人間か、評価を加えず、矛盾に感じる部分も含めて書き…出してみることにした。
これまで手をつけられなかった自分の痛いところに触れてしまったような感じもあるけれど、不思議と苦痛を感じずに書き出すことができた。
この作品は、いつもの金原さんの、強烈で鋭い痛みを伴う物語とは少し違った、壮大な自分探しの物語だ。さらに、主人公がリスカやODや浮気をしないというところも、これまでの金原さんの作品とはちょっと違うところかもしれない(お酒は飲んでる)。
死にたいキャバ嬢と推したい腐女子の物語ってどんなだよ!
と、思っていたのだけれど、ホストやオカマも主要キャラクターにいるもんだから、なかなかカオス!
それぞれのキャラクターの個性は強く、アンバランスではあるけれど、物語の中での関係性としては、バランスが取れている。
人生のある瞬間、とても濃密な人間関係を味わう時がある。職場でも、学生時代の友人でもない、趣味の繋がりともちょっと違う、一見、共通点がなさそうに見える関係。今はもう、連絡すら取っていない、どこで何をしているのかも分からない、過ぎ去った人間関係。でも当時は、それが全てだった。長い人生の中の、ほんの一瞬。その一瞬を、とても鮮やかな筆致で描き出している。
作中では、主人公の腐女子(由嘉里)が、「マトモな考え方」、いわゆる「一般的な考え方」を持った人物として描かれている。だから、彼女の偏見は今多くの人が持っているであろう偏見だし、読みながら自分にも偏見が多々あることに気づかされる。
死にたい、という気持ちは分かるけど、死にたいキャバ嬢(ライ)が言う死にたみの意味はよくわからなかった。
隣人が、死を思わせる言葉を発したら、どうにか助けたいと思う。そういう感覚で、由嘉里はライを救いたいと思っている。ライに生きていて欲しいと思っている。ストレートにそれを伝える。たぶん、一般的な感覚だと思う。
しかし歌舞伎町の住人たちは皆、そんなライの死にたみは知っているけど、由嘉里のようにまっすぐに止めようとしたり、生き続けることを押し付けない。でも、ライを心配して奮闘する由嘉里のことも決して放置せず、話を聴いて、そばにいてくれる歌舞伎町の住人たち。
この作品に出てくる歌舞伎町の住人たちは、ライの死にたみに強く踏み込むことをしていなくて、その気持ちを受け止める、というところに留めている。その根っこにあるものはなんだろうと考えさせられる。ライのことを深く知っていてそうしているのか。深くは知らないけれど、歌舞伎町の住人たちが皆それぞれ、ライが抱える死にたみに近いものを抱えているのか。ライに死んでほしくないけど、ライが死を選ぶなら仕方がないのか。
そこに踏み込まないことは、優しさなのか、共感なのか、諦観なのか。
ライの死にたみを理解しよう、助けようともがく由嘉里。
その中で、これまで想像もしてこなかった、さまざまな価値観に触れる。
由嘉里が歌舞伎町の住人たちと交流することは、自分が縛り付けられていた価値観から解放され、自分の生き方に向き合うことでもあったのだ。
自分がされたら嫌だけど、それを相手にしてしまうことって、ある。
相手にかける優しい言葉を、自分にはかけてあげられなかったり。
わかってはいるけど、うまくできないことって、たくさんあるんだよな。
わかってないのに、わかったふりをしてしまうことも。
多くの複雑な人間関係を経験してきたからこそ、味わえる作品だったりするのかな。
そんな金原さんは、文學界新人賞の選考委員をつとめているわけだけど、一言「何でもいいよ! 小説書けたら送ってみて!」と短くもシンプルで包容力のあるコメントをされていて、選考委員であるにも関わらず、そこに全く評価を感じさせない言葉に、愛を感じる。この作品に出てくる人たちとも重なる、目の前にいる人を救済しようとする愛を、金原さん自身からも、ひしひしと伝わってくる。続きを読む投稿日:2023.12.17
肺呼吸とエラ呼吸の生物が一緒に生活ができないように、由嘉里はライと共に生きていくことはできない。そのままならなさの中でそれでも図太く生きていくしかない。ライと出会ったことで、由嘉里がどのように変わって…いくのかが見どころだと思います。続きを読む
投稿日:2024.06.11
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