君を忘れる朝がくる。五人の宿泊客と無愛想な支配人
山口幸三郎(著)
,鈴木康士(イラストレーター)
/集英社オレンジ文庫
作品情報
それは半ば都市伝説のようなものだった。避暑地の林を抜けた先、花々が咲みだれる湖のほとりにひっそり佇む瀟洒なペンション「レテ」。そこには不思議な部屋があり、一晩眠ると消し去りたいと願う記憶があとかたもなく消えるという。その部屋の噂をどこかで聞いた人々が「レテ」を目指して集まって・・・。なくしたい思い出をかかえた人々に送る、切なく優しいメメント・イストワール。
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
忘れたい記憶を本当に手放せる、そんな奇跡があるのなら、すがりたくなる人は少なからずいるだろう。
レビューの続きを読む
ここを訪れる人たちの中には、都市伝説として語られるその奇跡を頼ってきた人が確かにいた。
ある人は門前払いを食らい、ある人は実際に記憶を手放した。
その先に何が待っているかを、予測することなく。
手放したい人の記憶の内容もその理由も様々だ。
心が壊れてしまった人を救いたい。
失われた命に関わる後悔を涙を消し去りたい。
読み手側の同情を誘うには十分な理由。
ただ記憶を失った場合の代償は後から分かる。
その記憶を失えば救われるかと言えば、そうとは限らない。
その記憶の消去と辻褄を合わせるため、人間の脳は更なる補正を重ねる。
そうやって、ある少女の記憶からは実の父親の記憶が消え去ってしまった。
ある命を通して培った友情も消えてしまった。
影響は時には広範囲に及ぶ。
中には多少救いのあるパターンもある。
病んだ期間を消し去った結果、初恋の淡い想いが残ったパターンが一例。
これならやり直しはできそうだ。
ただ、それも難しいパターンもある。
オーナーの奥さんに関わる件はそうだろう。
タイトルの意味にも関わる話になるが、ここは記憶を手放す場所でもあるが、反対もできる場所である。
そのせいで、一人の女性が人格崩壊に近い形にまで陥る羽目になる。
この後半の展開とオーナーの態度の変わりっぷりには大いに驚かされた。
特にオーナーの彼女への寄り添いっぷりは唐突な感じがして戸惑った。
彼女越しに愛しの人が見えたからだろう。
人は二度死ぬと言う。
一度は肉体が活動をやめた時。
そして、もう一度は忘れ去られた時。
オーナーの奥さんは、まさしくこれを体現することになる。
正直、これに付き合わされた彼女は災難だったと思う。
全くの他人を家族の、しかも夫婦の事情に付き合わすものではないと正直思った。
彼女はオーナーに惹かれつつも、その想いが自分のものだと確固たる自信で言うことができない。
オーナーは変わらず奥さんのことを見ている。
例え受け継がれたものを手放したところで、オーナーはこの先も彼女越しに奥さんを見続けるだろう。
オーナーから仮に想いを寄せられたとして、それは本当に彼女に向けられたものになるだろうか。
ラスト、二人は再び関係性を構築しようとする展開ではあったが、個人的には正直この二人が上手くいく気はしない。
少なくとも、彼が奥さんの記憶を手放さない限りは、きっと。
普通に読めば未来につながるいいエンドな気はするが、捻くている自覚を十分持った上で思う。
自分は決して幸せなラストには見えなかった。
救いは、実の父親を認識できなかった娘とのやり直し自体は上手くいきそうな点か。
フィクションの世界でも一事が万事全て上手くいくとは限らない。
父と娘が上手くいきそうなだけでもよしとしたい。投稿日:2021.02.07
月日を重ねた大切な人やペットとの大切な記憶。
そして、辛い記憶……。
どんなに辛い記憶でも私は消したくないなと思いました!
私もこの先心の底から愛する人ができた時に、辛い記憶も楽しい記憶も死ぬまで残し…たいなと思いました!
素敵な作品です!続きを読む投稿日:2021.11.30
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。