U
皆川博子(著)
/文春文庫
作品情報
第一次世界大戦中の独軍と一七世紀初頭のオスマン帝国。戦争に翻弄される三人の少年、ヤーノシュ、シュテファン、ミハイは、時空を超えて巡り合います。オスマン朝の風俗やUボート艦内の緊迫した雰囲気など、「幻想小説の女王」の目眩く世界をご堪能ください。
※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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商品情報
- シリーズ
- U
- 著者
- 皆川博子
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2020.11.10
- Reader Store発売日
- 2020.11.10
- ファイルサイズ
- 1.8MB
- ページ数
- 464ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (7件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
「U」と書いて「ウー」と読ませるが、萩尾望都「ポーの一族」からの遠いこだまとも見做せる。
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1915年「U-Boot」(ウーボート)の章は、三人称。視点が寄り添う人物は、ティルピッツと、ミヒャエル。
1613年「Untergrund」(ウンターグルンド)の章は、初めは三人称と見せておいて、すぐに手記という形式……一人称が潜んでいると判明する。
また、手記は実は二人の合作であること、二つの時代の関係、書き手の熱意の不均衡、が比較的序盤で仄見えてくるが、この不均衡が中盤終盤でさらに揺らぐ。
この「語りの形式」そのものがドラマチックだから、やはり皆川博子は信用できる。
ある瞬間には「同じ獣の半身になった」と思える相手が、いったん離れるや全然別の生を……という諦念と切望と。
歴史の暴流の中で、動かず書く者と、動く者と。
現在時点と、過去と、大過去と。
歴史は歴史書の中ではちっともドラマチックではないが、その記述にドラマを幻視する作家がいる。
そしてこの作家が偶然、書き残すという人の欲望に自覚的で、現在時点、誰がどういう想いで書いているのかを曖昧にしたくない、という人なのだ。
いつどこでだれが何のために書いているのか、を明らかにしている手記は、信用できる。
信頼できない語り手であるにしても、作家のまなざしとして、信用できる。
300年をつなぐのに、岩塩鉱を置く。
「塩漬けの首級」という印象的な画や、「塩の内側に潜る」(地底、海底)→搾取された生と死が充満する棺、という、時代をゆうに超えた舞台を用意するのだから、信用できる。
というか、遠くへ、遠くへと連れて行ってくれる作者のその手腕に、ずっとこの身を任せていたい。
こんな壮大さの中に、抒情や耽美や切なさがばしばし籠められているのだから、美味しくないわけがない。
萩尾望都だけでない、SFにはまた「長命人」と「人」のギャップによる抒情があったはず。
歴史浪漫かつSFとしての皆川博子……次はこの路線で読み返してみたい。
大満足の溜め息。
本書とは全然関係ないが、つい先日「宮崎駿の雑想ノート」でQシップのことを知ったので、いろいろ関連するものだなあ、と。投稿日:2020.12.08
このレビューはネタバレを含みます
第一次大戦中、イギリスに軍に拿捕されたUボートを他のUボートが救出に向かったが失敗した…このエピソードと、オスマン帝国を繋げる世界観に圧倒されました。
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デウシルメ、薄っすらとしか覚えてなかったですが、…そうかそれで「これは私の戦争じゃない」。3人組でひとりだけ王宮に送り込まれたヤーノシュが、力を持てばシュテファンとミハイを護れるとメキメキと頭角表すのが哀しいです。
塩鉱…そんなことって。。同じ境遇になったヤーノシュとシュテファンだけれど、ふたりの生き方は決定的に分かたれたまま何百年も、というのも哀しかったです。ひとりは図書館に閉じこもり、もうひとりは外界に出て他人の戸籍を買いながら愛する人の子孫を護り続ける。
最期にうっ…となっていたけれど、皆川さんからはその後も容赦ないものをぶつけてこられるので心が散り散りになって終わりました。435頁の末文から436頁いっぱいまで冷静にドイツのその後が描かれます。描写が簡潔な分、かえって悲惨さが立ち昇ってくるようでした。
過不足ない…とつくづく毎回思います。皆川博子さんの頭の中どうなっているんだろう。往復書簡、お三方とも好きな作家さんだったので楽しく読みました。皆さん、皆川さんファンだけど作家さんの視点もちゃんと持たれてて。『アンダーグラウンド』も、フリオ・リャマサーレス「黄色い雨」も面白かった…「u」より前にどちらも接していたのでなんとなく嬉しい。皆川さんは本も読まれるし映画も観られるしでパワフルだなぁ…90歳超えでミステリもバリバリお書きになる。無理しないでいただきたいけど作品は読みたいので健康でいてほしいです。。続きを読む投稿日:2022.07.14
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