逆まわりの世界〔改訳版〕
フィリップ K ディック(著)
,小尾 芙佐(訳)
/ハヤカワ文庫SF
作品情報
生者は若返り、死者は墓から蘇る時間逆流現象“ホバート位相”が発生した世界で起こる奇妙で不条理な現実を描くディック幻の傑作
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商品情報
- シリーズ
- 逆まわりの世界〔改訳版〕
- 著者
- フィリップ K ディック, 小尾 芙佐
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫SF
- 書籍発売日
- 2020.07.15
- Reader Store発売日
- 2020.07.15
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (8件のレビュー)
-
死者の生き返り。そして退化、成長を遡っていく。
何故こんなことが起こったのか?原因は明らかにされていない。この小説のメインファクターが大きく活かされているのはピーク教祖だけ。それ以外は逆回りをほとんど…意識させない。続きを読む投稿日:2021.12.26
このレビューはネタバレを含みます
初見でUBIKと似たタイプかと思ったが、予想を裏切って、男女関係や利潤追求など生々しい欲望が主体となった群像劇になっている。そのような人間ドラマのみなら他愛無いが、それぞれの異なる思惑が逆行時間、新興…宗教の教祖復活、情報統制/市民弾圧組織めいた図書館という著者特有の奇妙な軸に絡むことで物語はより迷宮的になり、どう転がるのか予想のつかない回転体をずっと注視してしまうような感覚がある。
レビューの続きを読む
前半部はコメディ調で重苦しくもなく文句なしに抜群の面白さなのだが、群像劇スタイルが去り、焦点がセバスチャン1人に絞られる後半になると失速感が否めなかった。というのもこのセバスチャンというキャラ、個人的に身内で雑な仕事を回して利益を掠める土着業者の社長か、不都合な事実を都合よく書き換える政治家のようにみえてしまい、どうしても拒否感を拭い去ることができなかった。この1点だけは最後まで納得できなかったが、やはりそこも確信犯的に描いた核心部分だろう。
事後的にみれば物語はかなり早い段階で片はついて終わっている。図書館や消去局はほぼ無傷で残り、悪い予感だけ的中し、重要人物は殺される。奇蹟が起きることもなく運命は変えられない。
奇抜な設定であるにも関わらず、現実なんて所詮こんなもんだという現実の厳しさを突きつけられ後味は良くはない。
それでも自分の使命を続けるしかないという苦いラストは作者の自己投影なのか、は分かりかねるが、個人的な人生観や経験則が他作品より色濃く出ている内容であると思われる。
翻訳がいつもの朝倉氏ではなく、かなり細かい部分に配慮して訳している感じで、キャラも粗野さが薄めで若干紳士的になっている感じだ。しかしその丁寧さのせいで反転した時などの打算的で浅ましい人間性がむしろ際立っていて、プライベートなアプローチが強い作品には適切だろうと思う。
相変わらずソウガム(大麻的なものか?)とか図書館への脅迫的恐怖(これはかなり分かるが)意味不明な要素もあるが、死者が蘇るという単純な設定をここまで面白く仕立て上げられる者が他にいるのだろうか?
演劇調というか、会話だけで進行する部分もあり、とにかく底の知れない会話劇が面白く、その会話が混迷の度合いを深め本当に先の読めない話になっている。
図書館に行くくだりなどどうしたらこんなセリフ展開を思いつくのかと思うほど天才的なのだが、才能というよりもなにか創作への執念が達成させている感じだ。
前のめりな動的な面白さはないが、静的な味わい深さのあるの作品だ。やはり最初の部分をよく読みこむことが肝要だろう。
正直、設定はかなり雑で粗があり、最も致命的なのは人類滅亡を示唆していることであるが、そんなことは気付くだろうと思われるし、むしろそれがどうしたという科学考証や論理的整合性重視の設定先行・至上主義作品に対するアンチテーゼを感じないこともない。
この不可思議な世界観については、なんとか納得しうる答えを導き出そうと巻末で神林氏が苦心して解説しているが、それよりも終盤の展開の解釈について説明がほしかった。普段は余計なのだが、これは本当に理解できなかったのでプロの回答例が欲しいところだ。
しかしはたしてこの小説のプロットは破綻しているのだろうか?完全な完成を目指せば明らかに破綻しているが、それは完成をどこにおくか?という話で、例えば書きかけの絵が一番素晴らしいみたいな、未完成の瞬間の美みたいな形態を発見することも時にはある。その現象をとにかく書き上げてしまえば発現してみせ固定化させてしまうことが著者の真骨頂であり特異性であり真似できないところだと思う。
例えば完璧に綺麗で素晴らしいラッセンの絵なんかは芸術的価値は低いと見做されているし、論理的整合性を命題とし、それを創作の目的にしたはずのミステリー作家の多くが、不完全なSFを書いたりするのはなぜか考えれば、創作において設定主義は二次的な動機であり、そのような後続の動きがこの小説の価値を担保しているだろう。続きを読む投稿日:2024.04.07
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