ライトノベル
清少納言 梛子
シリーズ内の平均評価:
(18)
月を愛で、漢詩を諳んじる、若き女房・梛子――その呼称を、清少納言。彼女には幼い頃より、「遠い記憶を視る能力」があった。ある日、梛子は帝の御前で上質の料紙を賜った上、中宮定子からまるで揶揄われるように「枕ごと」を綴ることを勧められた。しかし華やかさの欠片もない自分の恋愛遍歴など描きようもない。何を書くべきか迷った挙げ句、梛子は最初の五文字を綴った。「このそうし(草紙)」と。
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むかし、歌詠みの家に生まれた、歌の不得手な女がいた。その女の名乗る名は、梛子。清少納言の侯名を賜る彼女は、中宮定子の住まう登華殿に侯い、日々を暮らしている。そこでは、華やかなこと、苦々しいことが次々と起こる。だからこそ梛子は、其処こそが自らを活かし生かす場所なのだと、信じている。――暦は、如月。定子をはじめとする中関白家の隆盛は、華々しいものに見えたが・・・・・・。
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後に一条帝と呼ばれる年少き帝がおわす頃。それは雅やかな反面、度重なる天災と疫病が京人を苦しめていた時代。歌詠みの家に生まれた歌の不得手な女性がいた。名は梛子。女房として登華殿に出仕する折の呼称を清少納言。「ますらお」の如しと噂される彼女にも以前誓いを立てた夫がいた。橘則光――齢二十六。この前夫が梛子の局を訪れる時、なぜか厄災を伴ってくることが多かった。
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月を愛で、漢詩を諳んじる、若き女房・梛子――その呼称を、清少納言。彼女には幼い頃より、「遠い記憶を視る能力」があった。ある日、梛子は帝の御前で上質の料紙を賜った上、中宮定子からまるで揶揄われるように「枕ごと」を綴ることを勧められた。しかし華やかさの欠片もない自分の恋愛遍歴など描きようもない。何を書くべきか迷った挙げ句、梛子は最初の五文字を綴った。「このそうし(草紙)」と。
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