Fの記憶 ―中谷君と私―
吉永南央(著者)
/角川文庫
作品情報
誰も本当の名前を思い出せない、不思議な表情をしたただFと呼ばれるとらえどころのない少年。あるシューズメーカーのお客様係に勤める35歳の容子は、不良品のクレームを会社が隠ぺいしようとしていることに気がつく。自分はどうすべきか迷い、小学生の頃自分をかばってくれたFだったらどうするだろうと自問する。高校で一番の悪だった悦史は、荒っぽい解体業を営む43歳の今も、昔リンチに遭わせたFの事を時々思い出す。老舗の茶商で社長を務める41歳の有輔は、25年前淫蕩な母をナイフで刺し家出しようとしていた自分をそっと押しとどめたFの一言を思い出していた・・・・・・。目撃談のように語られるそれぞれの人生に立ち会ったFの記憶、それは今も深く心の奥底に生きている。そして最終章で描かれるFの真の姿とは・・・? ミステリアスな構成から紡ぎだされる陰から光に、喪失から再生へ踏み出していく人の背中を押してくれる、美しい物語。
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商品情報
- シリーズ
- Fの記憶 ―中谷君と私―
- 著者
- 吉永南央
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川文庫
- 書籍発売日
- 2018.01.25
- Reader Store発売日
- 2018.01.25
- ファイルサイズ
- 1.4MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
若さゆえといえるだろうか、悩み自分をもて余すような時期がある。そんな時期に目立たないはずなのに巣くったように今もときどきよみがえるFという同級生あるいは近所の青年。転機をつくってくれた彼のことを、いい…トシになっても苦悩したり思うようにならなかったり不甲斐なさを感じるときに思い出す……そんな3人の物語と、最後にF自身の今が描かれる。
孤高のF。あざやかに規範を破ってみせるF。3人の物語からそんなF像を描いていたんだけど、最後のF自身の今の物語からは孤高が破られそうな感じが漂ってきた。「ブルータスよ、おまえもか」という感じ。
さながら、「人は一人では生きられない、誰かとともに生きているんだ」的な陳腐な使い古されたムードに、ハッピーエンドでよしと思う部分もありながら、それじゃ、過去のFの言動を転機にした人たちにとって、それって何だったのって思ってしまう。
男だ、女だってくくるのはよくないけど、著者が女性だからこういう話で終わるのかしらと思ったり。男性だと孤高を孤高のまま美しく終わらせる気もする。でも、それもまたありきたりな運びともいえ、そういう意味ではこういう結末だからこそ、考えさせるものがある……ともいえる。
単行本から9年もたっての文庫化ってどうして? 副題についた「中谷君と私」の私って誰? 著者の思い出のなかにF君的な存在がいるのかな……。続きを読む投稿日:2018.05.09
このレビューはネタバレを含みます
*誰も本当の名前を思い出せない、ただFと呼ばれる彼。会社の不正を知った43歳の容子は、Fだったら、と自問する。解体業を営む43歳の悦史は、高校でリンチに遭わせたFの言葉に今も囚われている。41歳の有輔…は25年前、淫蕩な母をナイフで刺し殺そうとしていた自分を止めたFの一言を反芻していた。目撃談のように語られるそれぞれのFの記憶。人生において喪失は再生の始まりであることを描いた一筋の光のような美しい物語*
レビューの続きを読む
最近お草さんシリーズが重過ぎる私には、丁度いいくらいの重量感でした。翳り、やるせなさ、諦め、もどかしさ、などの入り混じった人間模様の描写はさすが。一筋の光…とまでは感じなかったものの、救いの残るラストもいい。なんだか不思議な読後感が残る1冊。続きを読む投稿日:2018.08.23
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