聖エセルドレダ女学院の殺人
ジュリー・ベリー(著)
,神林美和(訳)
/東京創元社
作品情報
聖エセルドレダ女学院は、12歳以上の少女7人が在籍し、淑女にふさわしい教養を学ぶ小規模な寄宿学校。ところが、ある日夕食の席で校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。それぞれの事情から家族のもとへ帰されるのを恐れた生徒たちは、死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。翌日、科学の得意なルイーズの分析で、ふたりは毒殺されたと判明。なぜ、誰に殺されたのか? 気転、演技力、社交性、推理力。生徒たちは得意分野を活かして大人をあざむきながら犯人を探り始めるが・・・・・・。個性豊かな少女たちが一致団結して謎に挑む!/解説=大矢博子
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商品情報
- シリーズ
- 聖エセルドレダ女学院の殺人
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 書籍発売日
- 2017.01.13
- Reader Store発売日
- 2017.01.12
- ファイルサイズ
- 1.2MB
- ページ数
- 392ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (9件のレビュー)
-
アメリカの作家「ジュリー・ベリー」の長篇ミステリ作品『聖エセルドレダ女学院の殺人(原題:The Scandalous Sisterhood of Prickwillow Place)』を読みました。
…ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
-----story-------------
女子寄宿学校に死体はいらない!
謎に立ち向かう7人の少女
十代の少女7人が在籍する小規模な寄宿学校で、ある日の夕食中、校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。
それぞれの事情から家族の元へ帰されたくない生徒たちは、敷地内に死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。
翌日、科学の得意な「ルイーズ」の分析により、ふたりは毒殺されたと判明。
生徒たちは得意分野を活かして大人の目をあざむきつつ犯人を探り始めるが……。
解説=「大矢博子」
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解説によると… 2014年(平成26年)にアメリカをはじめドイツ、イギリス、ブラジルで出版され、同年のウォール・ストリート・ジャーナルによる最優秀児童図書に選ばれたほか、2015年(平成27年)にはアメリカ図書館協会が最も優れた児童向けのオーディオブックに授与するオデッセイ賞のオナー賞(次席)を受賞するなど、高い評価を受けた作品らしいです。
ヴィクトリア朝終盤の1890年、イングランドのケンブリッジシャー州イーリーにある小規模な女子寄宿学校・聖エセルドレダ女学院では、12歳以上の少女7人が在籍し、淑女にふさわしい教養を学んでいた… ところが、ある日夕食の席で「プラケット女校長」とその弟「ゴッディング」が突然息絶えてしまう、、、
それぞれの事情から家族のもとへ帰されるのを恐れた生徒たちは、死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする… 翌日、科学の得意な「ルイーズ」の分析で、ふたりは毒殺されたと判明。
なぜ、誰に殺されたのか? 決断力と行動力に富むリーダー格の「気転のキティ」、恋愛ハンターの「奔放すぎるメリー・ジェーン」、優しくて親切で、同情心に溢れた「愛すべきロバータ」、気が弱くて騙されやすいが、時に周囲をびっくりさせるような衝動的行動に出る「ぼんやりマーサ」、体型が似ているからと「プラケット校長」の影武者を押し付けられるも、驚くべき演技力を見せる「たくましいアリス」、7人の中で探偵役を担うことになる、科学知識豊かな「あばたのルイーズ」、死や死体に魅せられるというオカルティックなところがある一方で、「アリス」を「プラケット校長」に似せるためのメーキャップに意外な腕を発揮する「陰気なエリナ」、、、
生徒たちは得意分野を活かして大人をあざむきながら犯人を探り始めるが… 個性豊かな少女たちが一致団結して謎に挑む!
個性豊かな十代の少女7人が、それぞれの得意技を遺憾なく発揮して事件を解決に導く展開が愉しかったですねー その行動も、純粋に事件を解決したいという正義感からではなく、家に帰りたくなく7人で姉妹のように暮らし続けたいだけという子どもっぽい発想なんですよね、、、
そのために場当たり的にごまかしを続けていくというコミカルな展開に… 死体を埋めて隠そうとするシーンはブラックユーモアたっぷりで、「アルフレッド・ヒッチコック監督」作品の『ハリーの災難』を彷彿させましたね。
学校周辺に現れる男性が気になったり、憧れの男性に会うことを愉しみにしたり、亡くなった「プラケット校長」に扮装させられて嘆いたり(殺されかけたり)、子犬をもらってきたり… と、ごく普通の少女らしい行動を織り込みつつ、犯人は7人の中にいるのか、それとも他にいるのかというスリルも潜ませながら、事件は思わぬ方向に、、、
現実感はなく、ツッコミを入れたくなるような展開でしたが、最後には全て回収され、未来も明るそうな結末、そして爽やかな読後感でした… 舞台とか映像作品でも愉しめそうですね。続きを読む投稿日:2024.01.04
このレビューはネタバレを含みます
好きにならないわけがない!
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最初にまず何故この七人の女の子たちがこのエセルドレダ女学院に入れられて、そして帰りたくないかが明かされる。ワクワクドキドキしたまま、晩餐の席でいきなり院長とその弟がぱった…り死んでしまう…
彼女たちは意外に冷静で、冷酷だった。死んだ二人にはちっとも愛を持っていなかった。
気転のキティがささやく。この二人ひそかに埋めてしまって、私たち七人だけで生きていかない?だって私たち、初めてできた姉妹なんだもの…。
「私たちは自分らしくいたいだけ」
他の六人は、新しい希望に胸を高鳴らせ、出来もしないはずのおかしなおかしな計画に、乗っかってしまう。
するとどういうわけか、来客の少ないはずの女学院に、わらわらと人が集まり出す。
彼女たちは意外な特技を発揮しながらそれぞれの窮地を切り抜けていく。
好きにならないわけがない。
二人を殺したのも謎を解くのも、彼女たちに救いを差し出すのも、警官や医者に張り合うほどの知識を見せるのも、「誰でもない彼女たち」だから。
彼女たちは皮肉にも、あまり好いていなかった周りの大人たちのもう一つの面に気づかされる。大嫌いだった院長姉弟を愛する人がいた。その人たちの素顔に触れる。不運か幸運か、院長先生の甥と義理の妹?(このへんよくわかんなかった)もこの女学院を訪ねてきてしまう。
そして、気転のキティは彼女が心から愛して想ってはいたが、「いないもの」として扱っていた下働きのメイドに、自分たちのふるまいによって何か違った道はなかったのか、とひとり述解する。ここが好き。ふとした傲慢さに気づくこと、勝手に自分たちの都合で解雇する彼女を哀れに思うことを知る。
そして男なんてまっぴらのルイーズ以外は想う男性も見つけてしまったり。たくさんの思惑が交錯する。
彼女たちは決して一枚岩でなく、お互い疑ったり邪険にしたりもする。この中に院長先生を殺した子がいるの?と。何もかも三人目の犠牲者が出てから急展開に。
がんばる女の子大好きなので本当に楽しかったです。ルイーズが好きで感情移入して読んだのでだいぶメリー・ジェーンにいらついたり。次にお気に入りはエリナ。
わんわんの方のアルドスの描写に力が入っていたので、作者さん犬好きですね?とニヤニヤしていたらいきなり毒盛られてて泣くかと思った。生きてて良かった!
結局まんまと大団円!最高の結末でした。警官をゆするミセスゴッディングの強さときたら。
ミステリーとしても納得というか、気になる伏線全部回収されてて驚きました。
しつけ学校というものの存在にクラクラしたり、当時の知識技術空気風俗化粧品流行歌…すべて完璧すぎて、ひれ伏すしかない。
楽しかったです。次作があるなら楽しみ!
ちょいと読み返してバーンズの翌朝のセリフ見たらまあ怪しいというかなるほどなみたいな。キティは気づいてないけど。
「オールドミス」という侮蔑語に引っかかったことも付け加えておきます。あの頃の事情としても。続きを読む投稿日:2018.04.29
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