青鬼 無終編
noprops(原作)
,黒田研二(著)
,鈴羅木かりん(挿画)
/PHP研究所
作品情報
累計50万部のフリーゲーム小説『青鬼』ノベル、第5巻にしてついに完結! 今作は、原作ゲーム4ver全てを総括しつつ、ノベル版『青鬼』の謎を明らかにさせた最終巻となります。果たして青鬼の正体とは? ひろしたちの選んだ結末とは? 【あらすじ】ジェイルハウスを脱出し、裏山にいたはずのひろしたちは、いつの間にか自分たちの通う中学校の校庭に横たわっていた。彼らが目を覚ましてあたりを見ると、一緒にいたはずのシュンがいない。あわてるひろしたちに、校舎の屋上から声がかけられる。それは、ゆがんだ笑顔を浮かべてシュンを羽交い絞めにしている直樹だった。彼は言う。「さぁ、ゲームを始めよう」と・・・・・・。始まりの監獄である中学校を舞台に、今、鬼ごっこの幕が上がる!! 終わりなき恐怖を駆け抜けろ!!
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
原作ゲームが好きでずっと読んできたシリーズ。
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とうとう完結です。
前巻のラストから続きが気になって気になって仕方がなかった!
舞台が中学校に変わりちょっと新鮮でした。
青鬼の真相はもちろんですが、個人的には直樹の心の変化が良かった。この作品で一番救われて欲しかったのか彼なので…。
密かにお気に入りだったカズヤ君も再登場してくれて嬉しい限り。しかもそこそこ重要な役を担ってくれています。
そして最後のカラーイラスト!
卓郎たちが青鬼化した辺りからハッピーエンドは無理そうと思っていたので、見開きイラストに感動しました。
…不穏な最後のページは見なかったことにします。
「無終」ってそういうことなんですね。投稿日:2016.04.19
このレビューはネタバレを含みます
直樹の怨嗟は加速度的に増していく。それは同じ中学校の教職員や無関係な生徒にまで及んでいた。全てを恨み尽くした直樹の心にはもはや誰の声も届かない。学校を第二の監獄へ作り替え、皆殺しにせんとする、直樹を果…たして止められるのだろうか?
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***
青鬼ノベライズの最終巻。『異形編』では多くが救われない絶望的なエンドを、そしてその流れのまま『怨霊編』に入り、一応無事に脱出できたが何一つ解決しないまま終わってしまっていた。今までは、その巻だけで丸く収まっていたので、この展開には驚いていた。
しかし、この最終巻に至るための必要なものだったのだと納得した。今回の巻では様々な登場人物がそれぞれの特性を生かして、脱出と救出を目指して奔走しており、まさに最終巻という感じ。自分たちのできることを懸命に考え、導き出し互いに協力していた。前の巻がそういったシーンが控えめだったのでより楽しめた。 この巻では、裏で暗躍していた直樹が前面に出てきており、またその事によって直樹がどんなことを考え、どんな思いを抱いているのかというのがやっとわかった。今まではただ怨念を抱き復讐にとらわれる人物で、常軌を逸している風だったので、なかなか直樹に同調できず、邪魔ばっかりをしてくるので、正直うっとおしいと感じていた。だが、『無終編』で直樹が生前抱えていた鬱積している苦しみや悲しみ、絶望が感じられ、生身の人間としてみることができた。聞けば聞くほど、直樹が抱えていたものは深く重くひたすらに辛い。自分をいじめているのは町の権力者の息子であるばかりに、教師には見放され、いじめを見て見ぬふりをするクラスメイトからは距離を置かれ……。自分がその立場に置かれたら発狂してしまうかもしれない。
教師云々の方はともかくとして、クラスメイトから距離を置かれた理由は単なるボタンの掛け違えのような、すれ違いだったのだがそれがより一層事態を悪化されているのも悲しかった。何とかしたいと思えば思うほど空回りすることってあるよなぁ。 直樹が自分の知らないところで起っていたこと、ほかの人がどう思っていたかということを、会話によって得ることにより、復讐にとらわれていた心が徐々に解放されていくさまもよかった。このまま、直樹の暗く沈んだ心も救われ、犠牲を払ったもののどうにか犠牲が少ないまま終わるかと思っていたが、やっぱりそうはいかなかった。真の黒幕が姿を現し、直樹が完遂できなかった復讐劇を遂げようとする。そこからはひたすら悲劇を突き進み、無関係な犠牲も増え続け、世界に絶望の種がふりまかれる、という所まで行ってしまい読んでいて気が気じゃなかった。最後は直樹がギリギリのところで残した助言によって事なきを得た形になったが心臓に悪すぎる……。 解決策がなかなかに強引で、面食らったが、すべてが解決し円満に終了したラストを見たら、みんなが幸せになれたんだからいいんだ!と思えた。
再びすべてがなかったことになった所為で記憶がなくなってしまっていたが、今まで得たものは消えていない様子で嬉しかった。惨劇を乗り越え、多くを得た彼ら自身は同じ未来を歩まないだろうと思う。ただ、それは彼らが自分たちの手によって作り出してしまった惨劇の未来というだけであって、他からの干渉があった場合は果たして……?という含みのあるラストだった。
最終巻ということもあり、謎多き青鬼がどの様にして生まれたかがやっとわかった。根本的な部分は明かされていないので、すべてが判明したわけではないのだけれど。 青鬼の根底にあるものは何なのか、それは読み手次第で感じ方が変わると思う。私は読んでいて異端の神の話が出てきたり、気味の悪い生物が出てきたりしていたので、一番にクトゥルフのような邪神を思い浮かべた。(旧支配者たちが人間に恨みを持って復讐を企てるかどうかは別としてであるが)
ノベライズ版青鬼はオリジナル要素が結構入っているので、元祖青鬼かと言われればやや違う感じもする。ゲームはあくまで脱出するまでが目的であるから、物語にしようとするとそうなるのだろう。 しかし、そんなことが問題にならないほど非常に面白い作品だった。一気に最終巻まで読み切ってしまうほどだった。この作品は今月第一巻の文庫版が出たとのこと。今現在『断章編』が中古でしか手に入らない(店舗によっては残っていることもあるかも)ので、『断章編』まで文庫化されるなら、文庫で揃えなおそうかしら。続きを読む投稿日:2021.03.13
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