本能寺の変
津本陽(著)
/講談社文庫
この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
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商品説明
『下天は夢か』で織田信長の生涯を描ききった著者が、想も新たに『本能寺の変』に取り組む。資料の渉猟ぶりには定評ある作家だが、今回執筆のきっかけとなったのは、本能寺に煙硝蔵が整備されていた事…実を知ったことだという。本能寺は信長と堺町衆との鉄砲取引を仲介しており、本堂の地下には弾薬が蓄えられていた。死に臨んだ信長が蔵に火を放ったため寺は吹き飛び、遺体は跡形も残らなかったのだ。こうした史実ひとつひとつを揺るがせにせず、緻密にその時代を再現しようとする姿勢こそ著者の真骨頂といえる。
本書は、決起を目前にした明智光秀の回想で幕を開け、一貫してその視点で物語を進める。信長の幕下に加わってからの15年が振り返られ、天下統一を目前にして次第に常軌を逸してゆく主と、武将としての頂点を過ぎ、使い捨てにされるのではと恐れをつのらせる一家臣との対比があざやかに描き出されていく。著者は「武将の器ではない」など、光秀の能力に対してはなかなか手厳しいが、リストラの脅威にさらされたサラリーマンとも重ね合わせているらしく、その立場には終始同情的な目をそそいでいる。
本能寺の変は戦国史のクライマックスであるため、これまで数えきれないほどの小説や舞台、映像に取り上げられてきた。言い換えれば、決して盛り上げるのが難しい素材ではないのだ。一方、本書は徹底して史実重視の手法を取っているため、いわゆる小説的興趣に富んでいるわけではない。最初は読みづらいと感じる向きがあるかもしれないが、いつしか事実そのものの重みに圧倒されるはずだ。大げさな脚色など施されずとも、吟味され、選び抜かれた史実の積み重ねが、歴史を生きた者たちの真実を浮かび上がらせる。まさに熟達の筆致といっていいだろう。(大滝浩太郎) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
内容紹介
信長の天下統一に向けての戦いのなか戦場での武功は目覚ましいものではなかったが、行政処理の敏腕を買われ信長に重用された明智光秀。39歳のときから信長に仕えて15年、なぜ光秀は信長を討とうと決意したのか? 歴史上もっとも有名な謀叛の真実と本能寺の謎を、画期的な視点から解き明かす傑作歴史長編。
内容(「BOOK」データベースより)
信長の天下統一に向けての戦いのなか戦場での武功は目覚ましいものではなかったが、行政処理の敏腕を買われ信長に重用された明智光秀。39歳のときから信長に仕えて15年、なぜ光秀は信長を討とうと決意したのか?歴史上もっとも有名な謀叛の真実と本能寺の謎を、画期的な視点から解き明かす傑作歴史長編。 内容(「MARC」データベースより) 時はいま、か? 疾風のように本能寺はいかなる状況下にあったか? 叛乱の思いと恐怖につかれた光秀、一軍人の破滅への刻々! 全く新しい視点から信長と光秀の闘いを描く。『小説現代』連載をまとめる。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者について
津本陽(つもとよう) 1929年、和歌山市に生まれる。東北大学法学部卒。『深重(しんじゅう)の海』により直木賞受賞。1995年、『夢のまた夢』にて、吉川英治文学賞を受賞した。現在、直木賞選考委員。主要長篇は、『下天は夢か』『柳生兵庫助』『武田信玄』『前田利家』『乾坤の夢』等。全1巻の『津本陽自選短篇20』もある。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
津本陽 1929年、和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。1978年、『深重の海』で直木賞、1995年に『夢のまた夢』で吉川英治文学賞を受賞。2003年、旭日小綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
本の感想です。
http://books-officehiguchi.com/archives/4705862.html
この本は明智光秀と織田信長の接点から話を起こしている。当時の明智光秀は坂本城城主である。
本能寺の変で、読者が最も気になるのは動機であると思われる。この本では、明智光秀の坂本・丹波の領地を取り上げられたうえで、毛利の領土因幡・出雲に移されたということを本能寺の変の直接の動機としている。
読者の中には従来の説を動機としているため、新しい発見がないので面白くないと感じるかもしれない。
この本の最終章『小栗栖』で明智光秀以外の家臣のことが述べられている。光秀以外では春日局の父である斎藤利三が斬首されたことが取り上げられていた。続きを読む投稿日:2016.11.27
信長の天下統一に向けての戦いのなか戦場での武功は目覚ましいものではなかったが、行政処理の敏腕を買われ信長に重用された明智光秀。39歳のときから信長に仕えて15年、なぜ光秀は信長を討とうと決意したのか?…歴史上もっとも有名な謀叛の真実と本能寺の謎を、画期的な視点から解き明かす傑作歴史長編。
後記の中年のリストラと重ねた所がうまい!!
続きを読む投稿日:2007.04.15
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