青鬼 怨霊編
noprops(原作)
,黒田研二(著)
,鈴羅木かりん(挿画)
/PHP研究所
作品情報
累計40万部突破の『青鬼』公式ノベル第4弾! 青鬼との鬼ごっこが、4度、繰り広げられます。今作のベースは原作ゲーム全ての始まりであるver1.1。物語は原点に返りつつ、さらに謎を深めながら進みます。 【あらすじ】前回の惨劇から3日後。シュンは3週間ぶりに学校へ登校していた。これまでともにジェイルハウスの謎に挑んだ、卓郎、美香、たけし、ひろし、そして杏奈たちは、学校を休んでいるようだ。これもジェイルハウスの怪物のしわざと、今までなら大騒ぎになると予測していたシュンだったが、クラスは落ち着き払っていて、ジェイルハウスを話題に口にするものは誰もいない。強い違和感を覚えたシュンが調べ始めると、一通のメールの存在が浮かび上がってきて・・・・・・。
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この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
絶望的な結末を迎えたあの日から2日後。シュンは3週間ぶりに登校した。以前と変わらぬ教室だが、そこには卓郎達の姿はなかった。あの出来事は現実だったのだと苦悶するシュン。そんな彼に追い討ちをかけるように、直樹の復讐劇が再び始まった。
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***
今までで一番絶望的な結末から2日後。明らかに様子がおかしい委員長を監視する名目で学校にやってきたシュンであったが、そこに委員長の姿はなかった。そして、惨劇の犠牲になった卓郎、美香、たけしの3人の姿も。胸に暗澹たる思いを抱え、苦悶しているとシュンは誰もあの事件について語っていない不自然さに気が付いた。自分を気遣って話しかけてくれたクラスメイトにそれとなく探りを入れようとすると、明らかに拒絶の姿勢をとられてしまった。いつもなら、ジェイルハウスの怪談がそこかしこでささやかれているはずで、ジェイルハウスで事件が起きたのだから、クラス内はこの話題で持ちきりになっているはずだというのに……。自分が休んでいる間、また別の場所で何かが起こったらしいと感づくが今のシュンには、それを知る術はなかった。同日、ウサギ小屋ではウサギが殺される騒ぎが起こり、校長が杏奈をわざわざ探しに来るという事件が起こってしまう。その様子から杏奈が何かをしでかしたに違いないという結論を導き出したシュンは、ひろしの力を借りようといつもの場所で落ち合うことにした。そこで、ひろしから今なぜクラスがあのような状態になっているのかという原因を知らされた。 本来の青鬼とは展開が違ってきた。この巻から大きく方向転換した印象。
ゲームでは不気味で恐ろしい青鬼という怪物から逃げ、拾い上げた情報から脱出を図ることがテーマで、第1巻から第3巻まではそのテーマに沿っていた。ゲームを知っているとニヤリとする展開もあったし、ひろしが一人で淡々とクリアしていくゲームの展開より、一緒に惨劇を乗り越え続けた仲間たちが協力し、互いに助け合い、励ましあって問題を解決していく展開に胸も熱くなった。前作の終盤でついに取り返しがつかないほどの犠牲が出てしまい、またその犠牲も戻らないという絶望の終焉を迎え、さらに不審な行動をとる杏奈と、その裏で糸を引いている様子の直樹。
彼らがこれからさてどうなるのかと思い読んでいたが、直樹の怨念が強すぎるせいなのか、直樹が始終出てきて青鬼がややかすんでしまっているのは些か残念だった。今までの一連の話は直樹の復讐も絡んでいたが、ここまではっきり主張してきたのは初めてだったので驚いたのもあるかも。しかし、改心したとはいえ卓郎も美香もたけしも直樹に酷いことをし続けていたし、ひろしはいじめに加担してなかったにせよ、まるで無関心だったのだから今更どうにか丸く収めようとするのは虫のいい話なのかもしれない。
確かに卓郎は最悪だったし、その卓郎をおそれ窘めなかったたけしも、近くで見ていた美香もどう考えても最悪なのだが、困難の中人間的にも精神的にも成長した彼らに情が移ってしまっているようで、直樹の方を若干恨めしく思ってしまった自分がいた。今回も無事脱出し、一息つけたが直樹の恨みは依然深く、企みをことごとく邪魔されたことでより一層増幅されていく。次の巻で一連の事件は幕を閉じることとなるようだが、最終巻ではどのような展開になるのだろうか。
今作でやっと青鬼の謎がある程度わかり、そのあたりはバイオホラーチックだ。ひろしがこのシリーズで時々口にしていた仮説は当たらずとも遠からずであった。自分の中で青鬼は得体のしれないモンスターという枠組みだったので、新鮮だったが、これってゲーム内であった設定だったりするのだろうか?投稿日:2021.03.13
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