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安政四年の正月から三月にかけて不可思議な噂が江戸に広まる。
毎日、暮れ六ツ、いわゆる「逢魔が時」の頃に、ひとりのお婆さんがどこからか出てきて、甘酒を売り歩いていた。
ただ、このお婆さんに近づくと、病気にかかり、蛇がのたくるように蒲団の上を這いまわり、ひどいときには死んでしまう、との噂が立つ。
その噂が徐々にひどくなり、半七たちも無視できずに調べ始める。
そして、半七は、そのお婆さんが、河内屋という質屋をのぞいていたとの情報を得る・・・・・・。
早速、その河内屋を訪れた半七だったが・・・・・・。 -
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弘化二年正月二十四日、青山の権田原から麻布、六本木、芝の三田から高輪までを焼き尽くす大火事があった。半七は子分の松吉とともに高輪に住む仲間を助けるべく火事の中、進むが、道中、熊に出くわす。その熊の前に若い女が飛び出てくるが、どこからか男が現れ、熊に飛びついている間に若い女は難を逃れる。
この若い女は、田町の備前屋のひとり娘・お絹という娘であったが、大火事も納まり、半七もすっかりこの若い女のことを忘ていた頃、このお絹が殺されたと、聞かされる・・・・・・。
【目次】熊の死骸 -
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文久2年大雪に見舞われた正月の雪が溶け出した十七日、六、七尺もあろうかという大きな雪達磨の中から、座禅を組んだような形の男の死体が出てくる。
男の身体には、致命傷もなく、刃物や絞殺した痕も認められない。半七は、男の身元を割り出しに馬喰町へ行き、男の宿から出てきた大量の南京玉に目をつける・・・・・・。 -
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文久元年も押し迫った十一月二十四日、豪商河内屋へ「狩野探幽斎が描いた鬼の図の軸を五百両で売りたい」と本郷森川宿の旗本稲川伯耆の用人が話を持ってきた。河内屋の番頭である忠三郎が稲川の屋敷へ赴くと、半金の二百五十両で探幽の軸を手に入れることができた。だがその帰り道、森川宿で名高い松円寺の化け銀杏の下で何者かに投げ飛ばされ気絶。気が付くと予備の百両ともども軸が消えていた。半七は探索をするが、化け銀杏そして女幽霊まで出るという噂が。すると二十日ほど経ったある日、芝の豪商である三島屋が探幽斎の鬼の軸を手に入れたという情報が入ったのだが‥‥。
目次
化け銀杏 -
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文久元年九月、半七は茅場町にいる女行者についての調査を命じられる。
調査を命じられた女行者は、祈祷を業としている、十七、十八の美しい娘だったが、信者よりかなり多額の寄進を受けていたため、祈祷とは表向きで、実は、浪士の運動費調達ではないかとの専らの噂であった。
その信者のひとり、久次郎が、ここひと月あまりの間に彼女の下へ二、三百両を運び込んだらしいのだが、その後、久次郎は姿を消してしまう・・・・・・。
手がかりを得るため、半七は・・・・・・。 -
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嘉永二年、谷中にある時光寺の住職・英善がいつの間にか狐になったという不可思議な噂が立った。仏事を終えた英善は、その帰途「ほかへ廻る」と小坊主の英俊だけを先に帰し、そのまま寺に戻らなかったというのである。そして翌朝、近くの寺の門前の溝で、英善の法衣や袈裟をつけた狐が死んでいたのだ。狐が住職になり澄ましていたのか? 半七は、英俊から話を聞くが・・・・・・。
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『御仕置例書』とは、江戸の奉行所に各地の代官所から判断が難しい裁きについて、問い合わせてきたものをまとめた帳面をいう。半七は、そこから下総国新石下村で寛延元年に起きた「小女郎狐」と呼ばれる事件を話し出す。
あるとき、猪番小屋で、酔い潰れた七人の若者が煙でいぶされ、うち五人が死亡するという事件が発生。村人たちは、この若者たちが少し前に小狐を殺していたことから、「小女郎」と呼ばれる狐の敵討ちに遭ったに違いないと噂する。
しかし、ひとり岡っ引の常陸屋長次郎は、事件のカギを別のところに見出す・・・・・・。 -
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文久元年七月、半七の家に馬道の庄太が駈け込んでくる。
前日、台所で行水をつかっていた隣家の娘お作が、何者かに殺されたという。実は半月ほど前から、馬道近辺に白地の手拭、白地の浴衣の若い女が出没し、二人の女が相次いで殺されていた。
鬼婆で名高い浅茅ヶ原に近く、鬼婆ならぬ鬼娘が生贄を求めているのか?
半七は、意外なところで事件の糸口をつかむ。
【目次】
鬼娘 -
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慶応三年八月、下谷広徳寺前の筆屋『東山堂』の姉娘おまんが急死した。
筆屋『東山堂』は姉のおまんと、妹のお年が、筆の穂先を舐めて毛を揃えてくれることから『舐め筆』の店として賑わっていたのだが、姉のおまんが毒を飲み、悶死したという。
近くの徳法寺の僧侶・善周も急死したことから、心中とも思われたが・・・・・・。半七は、妹・お粂の助力もあり、手がかりをつかむ。
【目次】
筆屋の娘 -
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かの吉良上野介の屋敷のあった、本所松坂町に住んでいた善昌という尼は、その自宅に弁天像を祭り、信者を集めていた。
万延元年六月に、近くの竪川で幾万という蝶が群がって乱れ飛んだときも、かつて善昌が予言していた凶事の前兆だと、信者は、囁いた。
それから半月の間、すなわち十五日間の大護摩焚きを行うことになったのだが、その最中、善昌は「お告げがあった」と祀ってあった弁天像を隠してしまう。
そして、護摩焚き終了の翌日、善昌がいなくなってしまった・・・・・・。
集まった信者たちが家捜しをすると・・・・・・。
【目次】
蝶合戦 -
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慶応二年の梅雨の頃、生薬屋の主人である平兵衛が半七のところへ相談に来る。
同店で働く女中のお徳の妹お通が、向島にある大家の寮に奉公したが、奉公先が気味が悪く、すぐにでも辞めたいという。
お通は大蛇を祭っているといわれる真っ暗な土蔵に毎度食事を持っていく役目を担っているのだが、ある日二階から降りてきた若い娘がお通に声をかけてきた。
この若い娘の正体はいったい? 果たして土蔵に祭られているという大蛇はいるのか? 半七が捜査に乗り出す・・・・・・。 -
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慶応元年五月の午後、半七のところに柳橋で芸妓をしているお浪が駈け込んできた。その日の朝早く、何者かが芸妓屋を営む新兵衛の家に押し入り、新兵衛が殺されたという。
唯一、犯人とおぼしき者を見かけた女中のお滝は寝ぼけていたのと、狼狽していたので、「背の低い小児のような怪物で、体一面黒かった。」と証言するが、役人は信じず、お滝はそのまま番屋に止められてしまう。
新兵衛は、最近、柳橋を引き払って遠いところへ引っ越したいといっており、役人は、それを嫌がっていた姉のお照の仕業ではないかと見る。柳橋の新兵衛の家を訪れた半七は、丹念に調べ始める……。 -
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