社会の抜け道
古市憲寿(著)
,國分功一郎(著)
/小学館
作品情報
私たちの日常の中にある「抜け道」を探して。
“怒る”哲学者・國分功一郎と“煽る”社会学者・古市憲寿が、ショッピングモール、自給自足のコミューン、保育園など「社会の現場」に行って、考えて、とことん語り合う! 1年以上に及ぶ、ふたりの思考の軌跡。
◎IKEAやコストコなどショッピングモールになぜ人は引きつけられるのか
◎自分の心の悩みや不満を醸成する装置としてのネトウヨ的デモ
◎選挙に行っても選択肢がないと感じるのはなぜか
◎自給自足生活のコミューンに「リアル」はあるのか
◎シングルファザーとしての経験から「保育園」を語る
◎これからのブームは、リタイア組の「自分探し」
◎ガラッと変わる世の中はいびつ。半径1メートルの革命でいい
ダウンシフターズ(減速生活者)、消費社会、新自由主義、デモ、ネトウヨ、脱原発、専業主婦志望、ワークライフバランス、イクメンと保育園、少子化、水戦争、食欲と性欲、インターネットとソーシャルメディア、住民投票――
こんなにも豊かなのに、閉塞感がたちこめるこの現代を私たちはどう生きていくのか、生きるって何が楽しいのか、楽しむためには何が必要なのか。様々なキーワードから、私たちの日常の中にある「抜け道」をふたりの論客が探る。
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この作品のレビュー
平均 3.7 (41件のレビュー)
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國分さんの著書を探していたら古市さんとの対談をまとめたこちらの本を見つけたので図書館から取り寄せました
現場を見ながら話をしている様子は臨場感があって読みごたえがあった。
IKEAもショッピングモール…も好き 消費になんの疑問も持っていなかった。
IKEAは消費者の能力が試される仕組みとは、納得。こちらが何を買うか目的意識がないと、要らないものをいつの間にか買わされてしまう場所、不満足や退屈感を持つことも指摘(國分)確かにそういう体験は度々あり、今は行かなくなった。
沖縄の経済は大変ですけど、金持ちになりたいという気持ちはなくなりますという沖縄の人のコメントの紹介には吹き出してしまった。パリの劇場で三か月の娘さんを連れて行った國分さんが劇場の人の親切にされた話は日本での子育ての大変さを実感。水戦争については意外で勉強になった。自分で思うように身体を動かせるようになることが、体育の授業の目的と教えてくれた先生は素晴らしいと思う。身体感覚はいくつになっても大事。自分探しとは自分に対する周囲からの評価を変えたいということ、リセットしたいということというのは、核心をつかれて心当たりがあり、昔の自分を思い出して恥ずかしくなった。
覚書
第一章 IKEAとコストコに行ってみた
目的は物を買うためだが、経験という感覚も納得。新しい使い方を作り出しているという(古市)。消費社会は人を浪費家ならぬ消費者に仕立て上げ、退屈と消費の悪循環をつくり上げることで大量にものを売ってきたという國分氏の見立て。でもやっぱりショッピングモールに行ってしまうなあ。意図的に「余白」をつくるような建築やサービスが増えているらしい。不況が続くと記号的なものより実用的なものが価値をもつ(古市)
北欧は消費社会が提供してくれるような、お金さえ払えば楽しめるエンターテイメントがほとんどない。自然が大好きな人が多い(古市)
「子どものままでもいいんだよ」という日本のオタク文化のメッセージが強烈な解放感を得る(國分)
日本は物があふれているように見えて、実は選択肢がない(國分)
第二章 暮らしの実験室の幸福論
モール、IKEAも使い方次第、社会インフラとしての利用としてはいい(國分)
共同性と目的性は一致している暮らしの実験室について
現代の消費社会で育ってきた人間にとっては、不便さに耐えるというのは一番慣れていないことの一つ(古市)。
第三章 デモと遊びと民主主義のアップデートされた関係性
フランスではデモではみんなただ歩いているだけ マニフェスタシオン 現れるという意味 ある争点を巡って群衆が大挙して現れる それ自体がメッセージ(國分)
参加者はかつてのような強いられた深刻さはない 真剣と深刻は違う(國分)
うまく遊べないときに人は退屈する(國分)
ヘイトスピーチを声高にいいたくなる人は間違いなく心に問題を抱えている、心の闇に届く言葉がないとダメ 心の危機のギリギリのところにいる(國分)
第四章 人類史的重要プロジェクト 保育園の話
競争原理の導入は人件費値下げ合戦しか起こらない(國分)
保育には教育とケアワーク 社会化
幼稚園の方が先 西洋から輸入 保育園は民衆の手ではじめられた 地域共同体みたいな場所で相互扶助としてはじまった(國分)
戦後の専業主婦は過大なタスクを課された 家族モデルの問題点(國分)続きを読む投稿日:2022.04.16
ドカンと変わる革命より、細々と反革命で、徐々に好転していく社会であってほしい。
10年以上前の本だが、日本者がは未だに革命を起こそうとしている。投稿日:2024.02.06
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