私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜(著)
,細居美恵子(イラスト)
/アルファポリス文庫
作品情報
高校二年生の由依は、幼い頃に両親が離婚し、父親と一緒に暮らしている。だけど家庭を顧みない父親はいつも自分勝手で、ある日突然再婚すると言い出した。そのお相手は、三十二歳のキャリアウーマン・琴子。うまくやっていけるか心配した由依だったけれど、琴子は良い人で、程よい距離感で過ごせそう――と思っていたら、なんと再婚三か月で父親が失踪! そうして由依と琴子、血の繋がらない二人の生活が始まって……。大人の事情に振り回されながらも、たくましく生きる由依。彼女が選ぶ新しい家族のかたちとは――?
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商品情報
- シリーズ
- 私と継母の極めて平凡な日常
- 出版社
- アルファポリス
- 掲載誌・レーベル
- アルファポリス文庫
- 書籍発売日
- 2024.04.08
- Reader Store発売日
- 2024.05.10
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- ページ数
- 312ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
-
実際の社会ではほぼあり得ない設定かもしれないけれど、もしこんな関係が現実にあったら良いなと感じるお話です。
親子とか親戚とか、家族の血の繋がりってどこまで大切なんだろうと考えさせられます。
大人の事情…に振り回されていた主人公が、本物の愛情を受けて年相応の女の子に戻っていく過程が切なかったです。
もっと責任を持て大人たち。
たくさん泣いて温かくなりました!続きを読む投稿日:2024.06.01
『誰にも頼れない警戒心の強い猫のような少女が、理不尽と嘘に傷つきながらも、それを上回るほどの人の絆や優しさに救われていく物語_________』
大袈裟に励まされるのでもなく、なんとなく文章を読み…進めていくだけで、元気になれてしまう、不思議な小説です。今回初めて読ませてもらいましたが、すっかり当麻月菜さんのファンになってしまいました。笑
何かと騒がしく落ち込みやすい、いわゆる「インフォデミック」な世の中を離れ、忘れ____フィクションだからこそ素直に受け入れられる優しさに包まれて、明日もなんとなく元気に、一緒に生きていきましょう♡
※以下、ネタバレ含みます。
いやぁ、由依ちゃんかわいいです。
琴子さんほほえまです。
大声で泣くということ。
私たちは、自然の一部でありながらも、人間の暮らしという、切り取られた、ある意味以上な生活をしている中で、知らず知らずのうちに、秩序や常識に組み込まれ、自分自身の___いうならば、わがままや身勝手な気持ちの素直さというものを、忘れてしまいがちです。
けれど、忘れてしまうのなら、思い出すだけでいいのでしょう。そういう、生きていくための気楽さを、色々な場面で教えてくれているように思いました。素晴らしいお話です。今回初めて読ませてもらいましたが、すっかり当麻月菜さんの文章に虜になっております。笑 個人的には、中村航さん(代表作:Bang_Dream!)に近しいものがあるかな?と思いました。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
以下、私の個人的雑記です。
興味のある方だけ、ご覧くださいませ。
総理大臣、国会議員の派閥———
何が変わっても、日々の暮らしは変わらない。
けれどその穏やかさは、ガラス細工のように繊細なもの。
確かに続いて欲しいと、祈り続けるもの。
川が流れるのは、貴賤を隔てるためではない。
そこに貴賎があるならば、
それは人が勝手にそう見出しただけのこと。
川はただそこにあり、水が流れているだけのこと。
人生楽ありゃ苦もあるさ(水戸光圀)
例え話にたびたびあがってくることといい、当麻月菜さんは、政治的な教養を持ちながら、それ以上に、日々の家事や勤めを大切にし、そして、人を助け、助けられる絆を育むことを尊ぶ心を持っていらっしゃるように思えました。
まさしく、人が切なく歌うのは、恋の想いや、生きる不条理の儚さを、誰かに聞いてもらいたいから。そこに政治的な教養や、道徳の利用価値は必要ないのです。
私が好きな著書、本居宣長『もののあはれ』と『日本』の発見/先崎彰容 の内容にしばしば現れ、ひとり想うだけでは抑えきれない儚さが、「ぁぁ」となって、溢れ出る。小説のモノローグとして、由依さんの心の声が、歌うように溢れ出る様子は、なんともまさしく「もののあはれ」のようで、美しいです。
琴子さんの弟とはいえ、ただの他人に過ぎないはずの和樹さんが、家族として惜しみなく助けてくれる絆に涙したり、真くんを慕う友情は、恋の愛情にとてもよく似ている様子もまた、儚く、もののあはれです。
また、『幸せ恐怖症』と、真くんが呼ぶ、母親の強迫観念の内容も———わかりやすい呼び方にしてくれていますが、これも実在の病と言えます。
学術的には「分裂病」か「統合失調症」と呼ばれます。右脳過剰だと分裂病、左脳過剰だと統合失調症になります。
記憶の保有がうまく出来ないという点を鑑みると、分裂病の兆候ですが、他人の機微を見分けられないのは、統合失調症の典型的症状です。
常に先の見えない恐怖に怯えてしまうのは、左脳過剰なので、どちらかというと統合失調症よりなのかもしれません。令和現在も、多くの人が罹患しているであろう、この心の病。
処方箋として、 分裂病と人類/中井久夫 を参照して頂けたら幸いです。私自身、人が何故、こんなにも「まだ起きてすらいない何かに怯える」のか、不思議でしたが、この本を読んであっさり解決しました。
学術的で長いので、簡単にまとめますと、私たちの先祖は縄文時代において、森の中で暮らしていたため、狩るよりも狩られる経験の方が多かったのです。その経験から、もう二度と狩られないよう、先んじて、草葉の揺れる音や獣のわずかな匂いを風から嗅ぎ分けたり、まだ現れていない何かへの恐怖を、生きる本能に結びつけて、発達、進化し、生き延びてきました。
その、理屈ではない、本能に刻まれたものが、恐怖すれば生き残れるという遺伝情報を覚えてしまったのです。それが現代の私たちにも引き継がれ、それゆえに、電車の中や、通り道で聞こえる誰かの笑い声や視線が、「自分を貶める者ではないか!?」と怯えてしまう気持ちになったりするのです。
そういうものだから、本能だから仕方ない、と割りきるだけでも、心はかなり楽になると思います。そうやって慣れていけば、少しずつ気にならなくなります。作中で由依ちゃんが奥様たちにくすくすと笑われてしまう場面も、悪意がないと分かっていても彼女は恥じらっていましたが、同時に「仕方ないじゃん」と開き直る前向きさも見ていました。
開き直ることと自信を持つことは、実際の効能としては、同じものです。心の仕組みを知って、開き直って、楽にいきましょう。笑笑
以下、個人的脳内劇場、出演者一覧です。
由依:黒沢ともよ or 種崎敦美
琴子:篠原恵美 or すずきけいこ
和樹:細谷佳正
真:松岡禎丞 or 小野大輔
他のみんなも思い思いに声を浮かべながら読んでおりましたが、はっきり意図できたのはこの四人でした。
由依ちゃんは表紙を見た印象と話し方から、どう考えても奥沢美咲さん(Bang_Dream!)を連想できたので、ともよさんをお招きしました。笑 琴子さんを篠原恵美さんに担当してもらいたかったのも、同じ理由で、戸山香織さん役だからです。
もう一つの可能性として、種崎さんとすずきけいこさんのお二人を連想しているのは、気付く人はピンとくる、そう、あなたはギャルゲーマーですね!ご存知、「ノラと皇女と野良猫ハート」からお招きしました。明日原ユウキちゃんと反田幸子さんから連想しています。結構こっちもしっくりきます。
和樹役に至っては、もう、ほそやんさんを知っている人には説明不要かと。笑 男気、屈託のない笑顔、不器用にずれれている情の厚さ。こういう役が似合いすぎるんですよ。笑 私としては、対魔導35試験正体・草薙タケル役が印象的です。
真くんは、松岡さんと小野Dさんとでずいぶん印象は変わりますが、なぜこのお二人なのかと申しますと、メディアミックスの方法次第だろうなぁと感じた次第です。仮にギャルゲーのような媒体であるなら、Planetarianですずきけいこさんと共演済みの小野Dさんはよく似合いそうだと思いました。逆にアニメ媒体であるなら、主役の出演百戦錬磨の松岡さんがしっくりきそうだと連想しました。(単純かよ!)(さーせん)続きを読む投稿日:2024.06.26
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