誰かがジョーカーをひく
宇佐美まこと(著)
/徳間書店
作品情報
胸のすくノンストップアクション。平凡な主婦が巻き込まれる誘拐事件! わくわくドキドキ冒険の日々。
女性たちの爽快な行動力が一気読みさせる書き下ろし長編!
地方都市にすむ本作な平凡な主婦・沙代子はおんぼろ軽四・ピンクのラパンで走行中、飛び出してきたキャバラ嬢・紫苑と接触事故で遭遇。
現金3千万円入りのボストンバッグを受け取る羽目に。
入れあげていたホストの俊に依頼された紫苑は、沙代子と折半にしようと、金の持ち逃げを提案。
この金があれば実家の倒産はまぬがれる。しかし、その金は誘拐事件の身代金だった。
紫苑と沙代子はやばい組織からも追いかけられる。そして、人質の女子高生・船場陽向(ひなた)は、より、したたかだった。
隙を見て、ホストの俊の部屋に逃げ込んできた。俊を巡る紫苑と陽向の争いに、陽向のいとこ・夏凜(かりん)という娘もからんできて、
追われるなか、船場陽向の父親の会社の権力抗争も背後に見え、事件は四つ巴、5つ巴の様相を呈してきた。
巻き込まれる過程で、変化してくる沙代子の意識…。
陽向の家の入船家は、光洋物産の社長の座にいる父・史郎と、双子の弟孝和が権力争いをしている様子。孝和はライバル社と密かに通じて、二社の合併を画策している。光洋物産内の重要な情報を流し、合併後は兄を失脚させ、自分が重役の座につく胸算用をしている。史郎には陽向、孝和には夏凜という同い年の娘が一人ずついる。弾けて遊び回る陽向と違い、夏凜は成績も優秀で、将来性のある娘。親からも期待をかけられている。
陽向が見せてくれたいとこの夏凜の写真は、黒髪眼鏡で生真面目そうな正反対の少女だった。主婦とキャバ嬢、ホストと誘拐されたJKという4名の隠れ家生活の中で、陽向は家には帰らず、誘拐の依頼人あぶり出しを画策し、紫苑もなにか隠している。
誘拐を実行した犯罪集団も黙ってはいない。犯罪集団にこの誘拐を持ちかけ、裏で糸を引いているらしき人物も見え隠れしてきた。目まぐるしく状況が変化して全貌が見えない中、とうとう史郎が警察に通報したようで、身代金の受け渡し現場に現れた垢抜けない中年女の画像がニュースで流れる。仰天する沙代子。知り合いが見れば、沙代子だとわかるのではないか? 特に夫が見れば。青くなっているのでは?
沙代子はおんぼろ軽四・ピンクのラパンで、夜の街を疾走する。胸のすくコンゲーム・ハードボイルド!
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商品情報
- シリーズ
- 誰かがジョーカーをひく
- 著者
- 宇佐美まこと
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 徳間書店
- 書籍発売日
- 2023.11.29
- Reader Store発売日
- 2023.11.29
- ファイルサイズ
- 1.5MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (15件のレビュー)
-
爽快なエンタメ作品でした!
家庭に居場所がなく、我慢して毎日を送ってきた主婦の沙代子。もう我慢できない!と家を飛び出し、あてもなく車を走らせていたら、突然飛び出してきたキャバ嬢の紫苑に接触してしまい、…そこからは紫苑のペースに巻き込まれてゆく…
誘拐、身代金、逃亡…と続いていくのですが、先日読んだ「存在のすべてを」とは全く違うテイスト。
そこに、ホストや金髪の女子高生も絡んできて四人は奇妙な共同生活を送るようになる。
ドン臭くて冴えない沙代子は料理をさせたら天下一品。材料がなくてもその辺に生えている野草を摘んできてチャチャッと拵えてしまう。この野草に対する知識がこの物語のキーとなってゆく…
図太く、( 必要以上に)前向きに生きている人たちにご飯を作っていくうちにだんだん変わってくる沙代子。
楽しく爽快なドラマを見ているようなそんな読書時間でした。
続きを読む投稿日:2024.01.18
ふとした弾みで事件に巻き込まれ逃避行を余儀なくされた、地味で平凡な主婦の自立と覚醒を描いたヒューマンサスペンス。
◇
川田沙代子は1人、おんぼろのラパンを闇雲に走らせて…いる。以前から続いていた夫の暴言に耐えきれなくなり、思わず家を飛び出してきたため行く宛はない。
気づけば見知らぬ場所に来ていた。どうやら歓楽街らしい。沙代子は街の片隅にある小さな公園沿いに車を寄せて停止した。
ため息をつきふと助手席に置いたバッグに目をやる。発作的な家出ということもあり、持って出たのはこの普段使いのショルダーバッグのみ。バッグの中にあるのは大して入っていない財布と運転免許証、ハンカチにティッシュぐらいで、スマホはテーブルに置いたまま忘れてきてしまった。
自分の迂闊さに舌打ちしながら、ともかくこの猥雑な嫌らしい街を抜けようと車をゆっくり発進させたときだった。
いきなり車の前に飛び出す人影。急いでブレーキをかけたものの、軽い衝撃が伝わってきた。
慌てて飛び出した沙代子が見たのは、路上で尻餅をついたまま自分を睨みつける若くてケバい女だった。 ( 第1話 ) 全11話とプロローグおよびエピローグからなる。
* * * * *
生育環境の大切さがベースになっているサスペンスです。
主人公の沙代子の弱みと強み。それはどちらも彼女の生育環境からもたらされたものでした。
弱み。それは自己主張が苦手で、たとえ嫌な目にあっても我慢してしまう消極的な性格です。
もともと病弱で気分の浮き沈みが激しく精神的に不安定な母親と、小さな印刷工場の遣り繰りに苦労しどおしで妻子を気遣う余裕がない父親のもとで育った沙代子。
親に対して甘えたりわがままを言ったりしてみたいという子どもらしい欲求を封印し、感情を押し殺して成長したことで、人に抗議や苦情を申し立てることはおろか拒否すらできない性格になりました。
結果、後妻に入った婚家でも暗いとか愚鈍だとか言われて侮られ、女中のような扱いを受けているのです。
でも強みもあります。それは食に対する広い知識と柔軟で適切な調理能力です。
母親の精神状態が著しく悪化した時期、10 歳の沙代子は四国にある父親の実家に預けられます。
祖母と伯父夫婦、伯父の子どもたちから厄介者として扱われ肩身の狭い思いをする沙代子ですが、自分を虐げない山国の自然は魅力的でした。小学校にいく必要のない沙代子は、いつも1人で山野を散策するようになりました。
ある日、散策中に怪我をした沙代子は1人の中年女性に助けられます。白井雪代と名乗ったその女性は、山中の小屋で父親の昭二と暮らす「山の民」の末裔でした。
沙代子はこの父娘に懐き、毎日のように小屋を訪れては、彼らの作業を興味深そうに手伝うようになります。白井父娘も目を輝かせて自分たちを手伝う沙代子を可愛がり、これまで身につけた自然の恵みを最大限に活かす術を教え込んでいくのでした。
沙代子はこうして、野草や木の実、鳥獣魚などの食材の調理法を学び、薬草についての知識も余す所なく習得したのです。
その後、東京に帰ってからはもとの忍従生活に戻り、さらに父親の勧めで大手食品会社の総務部長の後妻になりますが、やはり耐え忍ぶだけのつらい日々を過ごしてきました。
そんな沙代子に転機が訪れます。それは思いがけず巻き込まれた身代金誘拐事件でした。
成り行きに翻弄されつつ変わっていく沙代子の姿。これが作品の見どころです。
沙代子に根本的な影響を与えたのはアラサーキャバ嬢の紫苑でした。
目先の欲とその時の気分1つで奔放に生きている(ように見える)紫苑に、沙代子は呆れつつも羨ましさを感じてしまいます。
また、なぜか行動をともにすることになる、誘拐されたはずの陽向という女子高生も沙代子に影響を与えた1人です。
社長令嬢で育ちがいいはずなのに、紫苑と丁丁発止のやり取りをする気の強さとしたたかさ。そんな陽向に沙代子は驚くとともに頼もしさも感じずにはいられません。
しかも紫苑と陽向は、いがみ合ったかと思うと相談して協力し合ったりと、自分たちの先にある希望に向かう舵取りを決して怠らず、捨て鉢になったりしません。
たとえジョーカーを引いてしまっても、それを別の誰かに引かせようとする2人。自分が我慢すればよいとばかりにジョーカーを持ち続ける沙代子とは大違いです。
この2人のしぶとさを見ているうちに、沙代子の心に少しずつ勇気が生まれてくるのですが……。
一見ハチャメチャに見えるストーリーなのですが、沙代子が自己を解放していき、自らの強みを活かして生きる決心を固めていくまでの過程がきちんと描かれているので、読み応えがありました。
しかも暗くじめじめした展開ではなく、沙代子が謎解きをするミステリー要素も盛り込んであるので、とても楽しめる作品になっています。誰にジョーカーを引かせるのかも興味深いですよ。
宇佐美さんの作品を読むのはこれが2作目ですが、読みやすくハッピーエンドの作風は好もしくてよかったです。続きを読む投稿日:2024.04.16
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