働く君に伝えたい 「考える」の始め方
出口治明(著)
/ポプラ社
作品情報
SNSの意見が「自分の考え」になっていませんか。考える力を身につけたら、情報に振り回されず、「自分の考え」を持つことができます。そして、無駄に悩むことなく、ポジティブに生きられます。でも、これまで学校や家庭で「考え方」を学ぶ機会はあまりなかったのではないでしょうか。本書では、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長が、これからの社会で役立つ「考え方」を、具体例を交えながら、わかりやすく解説します。
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商品情報
- シリーズ
- 働く君に伝えたい 「考える」の始め方
- 著者
- 出口治明
- 出版社
- ポプラ社
- 書籍発売日
- 2023.10.04
- Reader Store発売日
- 2023.10.04
- ファイルサイズ
- 3.5MB
- ページ数
- 191ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (16件のレビュー)
-
良書でした。
考えない人は、存在しないも同然だ。
そういう通り、知り、学ぶ。問い、考える。
人、本、旅から勉強し学ぶ。
そして行動を起こして人生を豊かにする。
自分と違うことを否定しない。
安心…とか安定で毎日を過ごすばかりじゃなくて、色々なことに興味や挑戦を続けていこうと思います。続きを読む投稿日:2023.11.15
1386
白票でも出せば投票率になるらしい。
BLM運動ってほんとにそうなのかな。そういう色眼鏡をかけて世界を見る事で認知バイアスがかかってしまって、男は性犯罪者予備軍だと決めつけているフェミによ…る冤罪事件みたいなのが起きなければいいけどね。酷い認知の歪み方してる人居るしさ。
つまり、これからの社会の中心となるみなさんに求められるのは、長時間労働に耐えられる身体や「はい!」と答える協調性ではなく、考える力であり、アイデアなのです。
ネズミ講って自分たちしか知らない儲け話として回ってくるものだけど、陰謀論も基本そうだよね。それで自分しか知らないんだという事で悦に浸るっていう心理なんでしょ。そういうことでしか自分のプライドを保てないって情けない人だなと思うけど、陰謀論にハマる人の知能、だいたいネズミ講に引っかかる人ぐらいってことだね。
結局親の偏見によって自分が形成されるからその偏見によって、育てられたことは感謝してるけど、大人になってまで親の意見と同じとか親の言うことを聞くというのは無いと思う。全部ではないけど、ほんとにお父さんもお母さんの言う事ほんとダメだなとかお父さんとお母さんの言うことなんて鵜呑みにしてたら、成長できないなと感じることがある。そういうことに関しては無視していきたいと思ってる。私は生まれによって自分の限界を決められるのは嫌だから。
チャーチルに言わせたら、そもそも政治家が信用できないなんて普通のことらしい。信用できない中でマシなのを選ぶのが選挙で忍耐的なものなんだって言ってる。このスタンス知らない人が多いから投票率低いんだろうね。
出口治明(でぐちはるあき)
一九四八年三重県生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。京都大学法学部卒。一九七二年、日本生命に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て二〇〇六年に退社。同年、ネットライフ企画を設立、代表取締役社長に就任。二〇〇八年に免許を得てライフネット生命と社名を変更、二〇一二年上場。社長・会長を一〇年務めたのち、二〇一八年より現職。『人生を面白くする 本物の教養』『自分の頭で考える日本の論点』(ともに幻冬舎新書)、『人類5000年史(I~V)』(ちくま新書)、『復活への底力』(講談社現代新書)、『一気読み世界史』(日経BP)、『0から学ぶ「日本史」講義(古代篇、中世篇、戦国・江戸篇)』(文春文庫)など著書多数。
考える力が身につくと、たくさんの「いいこと」があります。 まず、ガイダンスでも触れましたが、ポジティブに生きられるようになります。まことしやかな情報に振り回されなくなるからです。 考える力がつくということは、ものごとの本質を見られるようになるということです。困難な問題に直面しても、問題の構造を捉え、シンプルに考えることができる。視界がクリアなので、仕事でもプライベートでも無駄に悩むことがありません。一方で、思考力のない人は「考える」と「悩む」を混同しがちです。
けれど、違います。世の中の流れだから、仕方なく従っているわけではないのです。 彼らが多様性を大切にするのは、ダイレクトに組織の「強さ」につながるからです。 さまざまな人が等しく参加し、新しい視点が加わることで、アイデアのコラボレーションが起こる→多角的にものごとを捉えられる→クリエイティビティが発揮される→生産性が上がる→利益が生まれる→会社が成長する。要は、具体的なメリットがあるんですね。
真の多様性とは、「ひとりひとり違う」ということだからです。 遠いアフリカの地に住んでいる人だけでなく、隣に住んでいる人や同僚、友人とも、僕たちはみんな「違う」のです。 もちろん、人種や文化、年齢が違えば、わかりあえないことは増えます。摩擦も多いでしょう。そういう人たちと同じコミュニティで過ごすには、違いを受け入れようとより強く意識することや、お互いの努力も必要となります。 けれど本質的には、多様性を大切にすることは「人種や国籍、文化、性別、性的指向、年齢、障がいの有無、価値観の違いを受け入れること」ではない、ということは頭に留めておいてください。 人間は、みな違います。国籍や出身地が同じでも、ひとつ屋根の下で暮らす家族であっても違います。人種や文化、年齢などの「大きな違い」は、多様性理解の入り口に過ぎないのです。
APUに入学した多くの学生は1年目は寮(APハウス)に入居します。ふたり部屋では、必ず日本の学生と海外の学生が同じ部屋になります。つまり、言葉も文化も常識も共有していない人と、寝食を共にしなければなりません。「英語」という共通言語があったとしても、想像するだけで大変そうだと思いませんか? このルームシェア生活について、はじめは少なくない学生が「(言葉ではなく)常識が通じなさすぎてつらい」と嘆きます。それはそうですよね。それまで、似たような「常識」や「ルール」を持つ人たちとばかり接してきたのですから。生活音の立て方から時間の守り方、プライバシーへの踏み込み方まで、個人差に加えて文化の違いも影響してくるわけで、混乱は大きいでしょう。
「自分とは違う人」とコミュニケーションを取るためには、コツがあります。・数字・ファクト(事実)・ロジック(論理) この3つを使うことです。そして場面に応じては、図でやりとりします。 数字、ファクト、ロジック、図。これらは、「どんな価値観の人でも同じ意味を共有できる」ものです。 まず、数字。よく、数学は世界共通語だと言われます。どんな国でも「1+1=」の数式が「2」以外になることはないわけですね。
一方、ふつうの「言語」は違います。「親を大切にする」という一文があったときに、東京の核家族と、農家の長男と、カトリックの人、プロテスタントの人では受け取り方が違うでしょう。もちろん東京の核家族の中でもグラデーションはあります。要は、「大切」という言葉の解釈も、そのレベル感も、人によってまったく違うのです。 だから、人とズレなくコミュニケーションを取るためには数字が役立つのです。たとえば「親孝行について98パーセントの人がこう考えている」というデータがあれば、その数字を通して同じように物事を見つめたり議論したりすることができるはずです。
「自分たちしか知らない真実」は、たいてい偽物です。ここを理解していないと、簡単に陰謀論にハマってしまいます。「隠された真実」に高揚し、自分で情報を集めたり考えたりすることを放棄し、怒りやヘイトを溜めるだけになってしまいます。 公的な調査結果や統計はいまやネットにも掲載されていますし、図書館に行けば専門書や論文など、ファクトが並んだ情報を手に入れることができます。
僕は人生の中で、幾度となくこの言葉を実感してきました。たくさんの、そして深い知を持つ人ほど力強く、楽しそうに生きているのです。論理的かつ合理的に考えることができるし、何歳になっても目をキラキラと輝かせて自由に生きている。
しかし、「知ろうとしない人」はその逆です。ぱっと思いつくだけでも、次のとおり。
・ものごとの本質や原理原則を捉えられないから、周りに流される
・問題を適切に把握できないから解決できず、愚痴を吐いたり他人を攻撃したりすることで溜飲を下げる
・世の中のことがよくわかっていないから、選挙などで社会参加が正しくできない
……ひどい言いようになってしまいましたが、自分の人生を切り拓くこともできないし、仕事で活躍することも、社会をよくすることもできないのです。
余談ですが、ビッグブラザーは「異端」、つまりまっとうな思想を排除するため、語彙を絞り込み、意味をすり替えたあたらしい人工言語(ニュースピーク)を推奨しています。「豊かな語彙、正しい言葉こそが人間の思考につながる」といった考えをもとにしていることがわかりますね。 これもまた、そのとおりだと思います。ビッグブラザーの思惑に反して賢い市民であろうと思ったら、多くの語彙と表現を手に入れる必要がある──つまり、たくさんの本を読む必要があるのです。
「考える」とは、まず問いを持つことからはじまります。「ほんとうにそうだろうか?」と疑い、答えを求めていくのです。次の3つのステップはあらゆる場面で使えます。
1 目の前にある違和感を見逃さない
2 疑ったルールや事象に対して、「なぜ」「どうすればいいか」を考える
3 おかしいと思ったら声を挙げ、説明する
ではこれらの産業は、これからどうすればより成長できるでしょうか。 といっても、ピンと来ませんよね。質問を変えましょう。 みなさんが好きなアプリの会社で働くことになったとして、どうすればいい仕事ができると思いますか? ユーザーや課金する人を増やすことができると思いますか? 上司の言うことを聞く? 違います。「いいアイデアを出す」。これしかありません。 たとえ短時間労働であっても、いままでにない画期的なアイデアを出す。これが、「いい仕事」なのです。 フェイスブックも、グーグルも、メルカリも、創業者や社員が生み出したアイデアによって大きくなったサービスだと言えるでしょう。 つまり、これからの社会の中心となるみなさんに求められるのは、長時間労働に耐えられる身体や「はい!」と答える協調性ではなく、考える力であり、アイデアなのです。
しかし学問は、知識だけでなく「考え方」の宝庫です。たとえば数学はわかりやすく、論理力のトレーニングができる学問ですね。
そのほかにも、考え方を学ぶことができる学問はたくさんありますが、僕のいちおしのひとつが「地政学」です。「地政学」は世界史や地理などと違って学校の授業で取り上げられませんから、あまり馴染みがないという方も多いかもしれません。でも、最近は地政学の本もたくさん出版されています。社会に出た大人にも、大注目の学問なのです。 そんな地政学は、どんな「考え方」を教えてくれるのか。「与えられた前提をもとに、状況を正しく把握して考える力」です。 僕は地政学とはなにかと聞かれたら、シンプルに「地理+歴史」の学問、地理と歴史を結びつけて考える学問だと答えています。 地理とは、A国はどんなかたちで、どこにあって、どんな資源が採れるといった、いわば地球から与えられた「前提」のことです。歴史は、(説明するまでもありませんが)その地域や国で何が起こり、また他国とどのような関係を築いてきたかという「データ」です。地政学のはじまりは19~20世紀にかけて。天文学や哲学に比べると、かなり新しい学問です。地理学者でもあり政治学者でもあるハルフォード・マッキンダーがその祖で、彼が「地理的条件が政治に与える影響は大きい」と提唱したことが地政学のはじまりでした。戦争における戦略づくりに活かされてきた学問でもあります。
フランスの女性は、妊娠したからといってイコール結婚とは考えません。G7のほかの先進国も同様です。この子の父親であるボーイフレンドが自分の生涯のパートナーにふさわしい男性か、赤ちゃんの親としてふさわしい人間かどうかをまず見極める。 そして、「この人なら大丈夫やな」と判断したら、ようやく結婚するわけです(しかも、「この人なら」と思っても結婚しないカップルも増えています)。 これには、1999年にフランスで制定された「PACS(パックス)」も関係しています。「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」で、簡単に言ってしまうと同棲以上、結婚未満のパートナーシップ制度です。出産や子どもに関する家族手当は、結婚と同様に受給できます。 2018年の数字を見ると、法律婚が23万4735組に対し、PACS締結数は20万8871組です。
では、なぜフランスをはじめヨーロッパの国々は多くの貴重な税金を使ってまで、妊娠出産にまつわる制度を手厚くするのでしょうか? ……歴史(タテ)を見れば、人口こそが国力であることは自明だからです。人口を増やせば国が栄える。だから、政府がお金と手間を投じる。とてもシンプルですね。
もっとも人間の命を奪っている「殺し屋」は……そう、蚊です。あの小さな、どこにでもいる虫が、なんと年間72万人もの人間を殺している。 そして次は、人間です。戦争などの武力行使を除いても、人によって命を奪われる事件は年間で47万件も起こっています。では、ライオンはどうでしょうか。40万件も死亡事件を起こしているでしょうか? とんでもありません。ライオンの殺人数は年間100人。サメにいたっては、たったの10人です。 このように、算数で見るのと国語で考えるのとでは、結果はずいぶん違うことがわかります。国語で議論すると「おれはライオンが怖い」「いや、私はサメだと思う」と平行線ですが、算数で議論すれば「蚊」と一瞬でわかるわけです。
頭のよさについて「地頭がいい・悪い」などと言われることもありますが、生まれつきの問題ではありません。 誠実に、手間をかける姿勢こそが、考える力を育てるための鍵。 考える力は、伸ばすことができる──これは、朗報ではないでしょうか?
こうした無意識の偏見は、思わぬところに潜んでいます。僕の友人に鹿児島出身の女性がいるのですが、彼女がこんなことを言っていました。「鹿児島出身って言うと、すぐお酒が強いでしょって言われるんです。あと、男尊女卑の県だから大変でしょうって。鹿児島の人間が全員お酒に強いはずないし、東京にも差別的な男性なんて山ほどいますよって言ってやるんですけど」 県民性もわかりやすいバイアスのひとつかもしれませんね。「秋田の人は寡黙や」とか「京都の人はいけずや」とか、自己紹介を聞いたときになんとなくイメージしてしまう人間性。
また、デモは極左のやることだ、といった思想もバイアスそのものでしょう。同様に、政治や社会問題に口を出す人は怖い、気性が激しい人だというイメージも、社会が我々に与えてきたバイアスです。
以前、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが政治問題についてツイートしたところ、大坂なおみさんと同じように、アンコンシャス・バイアスに囚われた人から揶揄や攻撃が殺到したのです。中には、「無知な若い女ががんばって口を出してみたんだね」と嘲笑を隠しもしないもの、「歌手は歌手らしく歌っておけばいいんだ」と暴論を吐くものなど、考えた痕跡のない、見るに堪えないコメントが集まりました。 もし彼女が男性で、30代以降で、知的な雰囲気の──たとえば東京大学卒の俳優だったら──こうしたコメントは決して集まらなかったでしょう。
大切なのは、だれもがバイアスを持っていることを意識すること。それが考える行為を阻害していることを自覚することです。 たとえば自分が反射的にあるイメージを抱いたら、「なぜそう考えたのか」を分解し、「ほんとうにそうなのか」を考えるくせをつける。
また、多様な人たちと出会うことで、バイアスから解き放たれることもあるでしょう。「時間をきっちり守るインド人の友だち」や「お酒の弱い鹿児島の友だち」がひとりいるだけで、違う世界が見えてくるはずです。
なぜ僕たちはバイアスにまみれた存在になってしまうのか。まっとうに考えることができないのか。もう少し突っ込んでお話ししたいと思います。 キーワードは、「構造主義」です。
「ふつう」「当たり前」「伝統」「らしい(男らしい・女らしい)」といった言葉。 社会に蔓延する「そんなもん」。メディアによってつくられた思想。 これらを耳にしたら立ち止まり、「ほんとうにそうだろうか?」と問うてみてください。そこにはきっと考えるヒント、そしてよりよく生きるヒントが隠されていますから。
転機が訪れたのは明治維新でした。欧米にならって国民国家をつくろうというときに、その国家のコアに「天皇制」とセットで「家制度」、つまり家父長制(家族の統率権が男性に集中している形態)を据えたことです。 そして同時に、国民は天皇の子どもであると定めた。つまり、天皇が日本全体の「家長」となったわけです。 家では旦那という家長が存在し、国には天皇という家長が存在する。その家長たる存在に、家族や国民は従わなければならない。……そんな思想がつくられたこのタイミングで、婚姻制度も夫婦同姓に改められました。 しかも、こうした思想を社会的な制度として成立させるため、明治政府は朱子学の論理を借りてきます。朱子学とは、男尊女卑を絵に描いたような学問です。男性が偉くて上、女性は下。「子どもは親に従い、嫁いだら夫に従い、老いては子に従う」という言葉に象徴されるような、「女は従え」という思想。 これらが明治時代にじわじわと浸透していき、現代につながる男尊女卑の文化が根付いていったわけです。この段階で、いまの社会が抱える男女差別の50パーセントは作られたといっていいでしょう。
勉強とは、「人・本・旅」の3点セットです。 僕はさまざまなところで、人間は「人・本・旅」を通してしか学べない、と主張しています。それは、自分の狭い頭の中、あるいは自分の半径数メートルに限られた常識から飛び出て、さまざまな知を得ることができるから。広く深い、本質的な世界を見ることができるからです。 つまり、「人・本・旅」で学べば学ぶほど、思い込みも、決めつけも、消えていく。アンコンシャス・バイアスが消えていくのです。 さらに、「人・本・旅」で得た「知」は、自分の頭で考えるための材料にもなります。バイアスを取り払った状態で、正しい知識をもとに考えることができる、理想的な状態と言えるでしょう。
その中できっと、自分で思ってもいなかったアンコンシャス・バイアスにも気づくでしょう。反省することも、膝を打つこともあるでしょう。そうした経験があなたを、より知的でより豊かな人間にしていくはずです。
たとえば幼稚園から高校・大学までつづく私立の一貫校に通っていた人は、似たような家庭環境(家族関係、経済状況など)で育った友だちが多いはずです。知らず知らずのうちに考えが凝りかたまっていた、はじめて自分と家庭環境がまったく違う人と出会ったときはおどろいた、という経験がある方もいることでしょう。
だからこそバイアスを外し、考える力をつけるためには、意識して「いつもと違う人」と会う必要があるのです。学校や会社を飛び出し、「自分と違う『当たり前』を持っている人」とコミュニケーションを取る努力をする、その姿勢が大切です。 同質集団で生きてきた人は、こうしたコミュニケーションをはじめは面倒に感じるかもしれません。阿吽の呼吸、同調、共感が生まれにくいため、友だちになれないと感じることもあるかもしれません。でも、その「違い」こそが、学びなのです。 それに、生まれ育った環境がまったく違う人、自分が触れたことのない分野にやたら詳しい人、自分とは正反対の価値観の人──自分の知らなかったことを教えてくれる人と話すのは、シンプルに楽しいことですよ。
僕がこれまでの75年間で学んだことの総量を100とすると、50は本から得てきたと自負しています(残りは「人」「旅」で25ずつです)。物心ついてから本を開かなかった日は一日たりともありませんし(病気になる前の話ですが)、いままで1万冊以上の本に親しんできました。
だって、本を開けば、たとえば古代ギリシアの考え方に触れ、中世の宗教観を学び、遠い異国の歴史や制度を知り、異なる文化で暮らす人の機微に触れることができるわけでしょう。第3講で紹介したマクロン大統領の「考え方」だって、僕が本を通じて学んだものです。
③ 最初の10ページで読み進めるかどうか決める
手に取った本を読むかどうかは、「はじめに」を除いた第1章の冒頭10ページで決めます。読んでみておもしろくなければそのまま閉じてしまいますし、ここでおもしろいと思ったら、それ以降は一文字も読み飛ばしません。 これは、僕の著者としての経験から得たノウハウでもあります。「はじめに」は本文をすべて書き終わったあとに着手することが多く、精も根も尽き果て疲れていることが多い。一方で、第1章の冒頭は「ぜひこの本を読んでほしい!」「おもしろい本にしてやろう!」と熱い思いを持って書いていることがほとんどです。そこがつまらないとなると、残念ながらその本とは相性が悪い可能性が高いと言えるでしょう。 楽しくない読書には、意味がありません。「教養だから」と、無理して読む必要などないのです。 最初の10ページで、しっかり相性をチェックしましょう。
「旅」と聞くと、まず修学旅行や家族旅行といったレジャーを思い浮かべるかもしれません。しかし僕が考える「旅」は、「自分の足で現場に行くこと」全般を意味します。 自分の足で移動して、自分の目でものごとを見て、経験する──これが、旅の本質です。
いまはインターネットで、世界中の情報をいくらでも仕入れることができます。「YouTubeでリアルな映像を見ることができるから、海外に行く必要はない」と考える人も少なくないと聞きました。 しかし、その意見に僕は反対です。教科書に掲載されているピカソの作品を眺めるのと、実際にスペインで「ゲルニカ」を見るのでは、作品から受け取るメッセージはまったく違います。万里の長城をテレビで見るのと実際にその上に立つのでは、得られる情報量は段違いです。 自分を揺るがし、成長させる刺激は、現場でしか体験できないのです。
「お金が貯まったら旅に出よう」などと考えず、「あそこに行ってみたい」と思い立ったらいますぐ出歩きましょう。家を飛び出しましょう。徒歩でも、自転車でも、電車でも、とにかく足を運ぶのです。 5年後、10年後より、何倍も大きな刺激を受けることができるはずですよ。
もし、僕が本をまったく読んでいなかったら、悔しくてどうかなっていたかもしれません。多くの怒りや絶望は、勉強不足から来ています。知識と考えが足りないと、不幸せになってしまうのです。 みなさんもこれからの人生、理不尽な目に遭うことがあるでしょう。しかしその理不尽はだいたいもっと、さらにひどいかたちで、歴史上に存在しています。それを知っているだけで、「なぜ自分ばかりこんなつらい目に」と頭を抱えることはなくなるでしょう。ときには、そのトラブルへの対処法も学ぶことができるはずです。 ただ賢くなるだけでなく、精神の安定にも作用してくれる。勉強ってすごいでしょう? ぜひみなさんには、アンコンシャス・バイアスを壊し、考える力をつけるための「勉強」、すなわち「人・本・旅」を実践していただけたらと思います。
② 寄付
国のお金の使い方が気に食わない。信用できない。そんな人は、活動理念に共感できる団体などに寄付を行うといいでしょう。寄付することで、自分で稼いだお金の使い道を、国や自治体任せにせず自分で決めることができます。寄付をした場合、所得税・住民税・相続税が優遇されます
⑤ 逃げる
「もう、ここはアカン、どうしようもない」と見切りをつけたら、逃げ出すのもひとつの手です。働きたくない会社や暮らしたくない国から出ていくことも、民主主義につながります。
では、民主主義にはどのような欠点があるのでしょうか。 まずひとつ、「短期的に大勢の人をだますことができる」ことが挙げられます。まさにヒトラーが実現した政治です。 民主主義と独裁主義というと正反対の政治体制に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、民主主義のパワーを生かせばよりパワフルな独裁が可能になります。
僕たちは、自分たちにとって好ましいと感じる政治をする人たちに、権力を託すことができます。一方で、「やっぱりおかしいぞ」と感じたときには、その政治家はすでに強大な権力を手にしていることもあるわけです。
時間が経てば経つほど、おかしな政治には「おかしい」と多くの人が気づく。それが民主主義が持つ希望であり、力でもあるわけです。 ヒトラーも例外ではありませんでした。政権を取ってから10年経たないうちに、「やっぱりコイツの言ってることはおかしいで」と世界中のみんなが気づいたでしょう? いまや、ヒトラーの政治をすばらしいと評する人はいないはずです。
また、チャーチルは選挙の候補者について、「選挙に出たいやつなんて、ろくでなしに決まっている。モテたいやつか金儲けしたいやつ、もしくは目立ちたがりのやつばかり。まっとうなやつは、選挙なんて出ない」とも言っています。政治家は立派な人間であるべきだと期待するから、「ろくな候補者がいない」と嘆きたくなる。それはそもそもの前提が間違っているのだ、と。 たとえば思い返してみると、高校の生徒会もほんとうに「学校を変えたい」と純粋で強い情熱を持って立候補するひとはひと握りではないでしょうか。大学への推薦がほしい、暇だしちょっとやってみよう、目立ちたいといった自分本位な動機で手を挙げる人も、少なくないはずです(そんなことはない、という志の高い方ももちろんいらっしゃると思います)。 そもそもろくな人間はいないのだから、少しでもマシな人間を選ぼうと努力する。 残念ですが、少しでもいい社会をつくろうと思ったら、これしか方法はないのです。
ウィンストン=チャーチル・・・第一次世界大戦中から第二次世界大戦、戦後の冷戦時代にかけてのもっとも著名なイギリスの政治家の一人。先祖は名誉革命時代に活躍した貴族のマールバラ卿。彼自身もハロー校から陸軍士官学校のエリートコースを歩む。インドや南アフリカで軍人生活を送り、1899年には南アフリカ戦争に新聞記者として従軍している。1900年に保守党から立候補して下院議員となり、政治活動を開始した。次第に自由貿易主義をとるようになり自由党に転じる。
どうか、自分の一票を捨てないでください。たとえ投票した人が当選しなくても、せっかく当選したのに思ったような政治が行われず歯がゆく思っても、投票率を上げられただけでヨシとする。選挙とは、忍耐なのですから。
世界を見てみると、北欧の若者(18~29歳)の投票率は80パーセントを超えています。80パーセントあれば、前項でお話ししたようにバックに大政党がついていないチャレンジャーが当選する可能性もぐんと高まりますね。
もし、その流れに賛成だったら、とるべき手段の選択肢は3つあります。
① 選挙に行ってその人の名前を書く
② 白票を出す(白票は無効ですが、投票率には反映されます)
③ 棄権する(ただし、これはなるべく選択してほしくありません。投票率を上げましょう)続きを読む投稿日:2024.06.14
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