我が手の太陽
石田夏穂(著)
/講談社
作品情報
第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
“「人の上に立つ」ことにまるで関心がった。
自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
”お前が一番、火を舐めてるんだよ”
”お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。
お前自身が、誰より馬鹿にしているというのに”
腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.2 (28件のレビュー)
-
話の筋はいわゆる転落系。に加え、石田さん得意のニッチな設定をかけあわせたもの。衝撃のラストは比喩表現、か。
なかなか頭に入りづらいマニアックな用語など、細かな説明がとにかく多く、そのためリアリティはと…てもあるが、一方、物語というより、説明書を読んでいるかのようであった。ニッチな業界故にそれらはもちろん必要であろうが、それがマイナスに働いたところが多く、また、ユーモアさ欠いた本作は、石田さんらしさも半減したように感じる。
同じような作品を産み続ける作家さんがいる中で、チャレンジする姿勢は素晴らしいが、評価としては、過去作を超えているものではないかな、と。続きを読む投稿日:2024.02.04
このレビューはネタバレを含みます
⚫︎感想(※ネタバレ)
レビューの続きを読む
何度か出てくるこの表現に注目した。
「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ。それは自分の力量で、自分の職能で、自分の価値のことだ。」
ベテラン溶接工、伊東。4…0歳。仕事に対するプライド、スランプ。その原因は何なのか。年齢か、職業病か、奢りか、見て見ぬふりをしている不安か。「検査員」がやってきて、伊東の不手際を忠告しにくる。「検査員」は無意識の自分自身であり、また同時に自分であるということは、上記の記述から、自分が仕事で相手にするものである鉄鋼をも意味しているのではないか。
師匠である牧野の手は「思いのほか冷たく、ショックを受けた」のは、牧野が太陽を手放したのだと感じたからではないか。
「検査員」の手は熱く、硬かった。
最後に冷たく柔らかい自分の手が残った。「検査員」であり、自分の仕事相手である鋼鉄が持っていってしまったものは、かつては熱さを扱えた、我が手の太陽だったのか。しかも硬くなく、柔らかいのだ。弱いのだ。
誰しも第一線での活躍が死ぬまで続くわけはない。いつかはそれぞれが、誇りを持つ何かを手放していかなくてはならない。現実を受け入れるとは、そういうことなのだ。
石田夏穂さんの作品、3冊目となった。共通して最後まで読ませる推進力につきる。こちらはユーモアはなく、「我が友、スミス」「黄金比に縁」にくらべて純文学色が濃く感じた。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
“「人の上に立つ」ことにまるで関心がなかった。
自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
”お前が一番、火を舐めてるんだよ”
”お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。
お前自身が、誰より馬鹿にしているというのに”
腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。続きを読む投稿日:2024.03.23
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。