Reader Store
人文・思想・歴史

井上哲次郎と「国体」の光芒:官学の覇権と〈反官〉アカデミズム

¥3,564

(税込)

2023年07月07日配信

あらすじ

学者たちの戦争、そして帝国の崩壊

加藤弘之が創り上げ、井上哲次郎に継承された官学アカデミズムは、煩悶青年が社会問題化した日露戦後、生命主義に傾倒していく。
しかし、国体論に「無意識」を取り入れる試みは、東京帝大の心理学者、福来友吉の念写実験が巻き起こした社会的混乱によって絶たれ、官学アカデミズムは歴史へと回帰することになる。
他方、大正デモクラシーの潮流のなかで国体を語る裾野は広がっていく。
早稲田の漢学を中心とした私学勢は、南北朝正閏問題や宮中某重大事件、大東文化学院の運営をめぐって、官学アカデミズムが彫琢した国体論に揺さぶりをかける。
とりわけ、大東文化学院の覇権を争う戦いは熾烈をきわめた。漢学教育の再興を目指す早稲田と、それを封じようとする官学アカデミズムの争いは、「暴力専門家」も動員しながら、井上の不敬事件やテロをも誘発していく。
あとの時代から見ると、「国体」と聞くだけで、狂信的な雰囲気が漂うが、そこには「国体論的公共性」とも呼ばれる広範な討議空間もあった。暴力に覆われる前の思想空間を辿り直す稀有な試み。

新刊通知

この作品のレビュー

1件)
1
0
0
0
0

作品情報

著者
:
出版社
:
Reader Store発売日
:
2023.07.07
書誌発売日
:
2023.03.23
ページ数
:
324ページ
ファイルサイズ
:
2.4MB