口訳 古事記
町田康(著)
/講談社
作品情報
アナーキーな神々と英雄たちが繰り広げる、〈世界の始まり〉の物語。
前代未聞のおもしろさ!!日本神話が画期的な口語訳で生まれ変わる!町田康の新たな代表作。
「汝(われ)、行って、玉取ってきたれや」「ほな、行ってきますわ」
イザナキとイザナミによる「国生み」と黄泉国行、日の神アマテラスの「天の岩屋」ひきこもりと追放された乱暴者スサノオのヤマタノオロチ退治、何度も殺されては甦ったオオクニヌシの国作り、父に疎まれた英雄ヤマトタケルの冒険と死、帝位をめぐる争い、女たちの決断、滅びゆく者たち――。
奔放なる愛と野望、裏切りと謀略にみちた日本最古のドラマが、破天荒な超絶文体で現代に降臨する!
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この作品のレビュー
平均 3.7 (51件のレビュー)
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【読もうと思った理由】
町田康氏の本は、一冊まるまるは読んだことなかったが、短編一本だけ読んだことがあった。それが「工夫の減さん」だ。その短編が載っているのが、伊坂幸太郎氏が編者として刊行した、アンソ…ロジーの「小説の惑星 ノーザンブルーベリー篇」だ。このアンソロジーは、伊坂氏が子供時代から現在に至るまでで、見栄や知ったかぶり、忖度一切なく、「とびきり良い」や「とてつもなく好き」と感じた小説だけを集めたという、珠玉の短編集だ。
このアンソロジーを読んだ方は、おおかた同意いただけると思うのだが、伊坂氏が実際書いた小説と、本人が読者として好きだという小説は、全くテイストが違うのだ。そう、伊坂氏が読者として読む本はミステリー以外は、ほぼ純文学ばかりだ。なおかつ、純文学の短編の中でも王道ではなく、結構ニッチな作品が多い。初読みの際の一冊全体を通しての感想は、「えっ、うそ、何が面白いの?」と感じてしまう作品がほとんどだ。
そんな中、「工夫の減さん」は、まだ少なくとも納得して読めた。ただ印象には残っていない。そう、そこまで面白いとは感じなかったのだ。そんな薄い印象しかなかった町田康氏の印象が変わった出来事があった。たまたまYouTubeで聴いた、町田康氏による「こぶとりじいさん」の創作現代語訳だ。元々TBSラジオか何かの収録を切り取ったものだが、これを聴いて町田康氏の印象が、ガラリと変わった。なにせ、めっさ面白い!決して大袈裟ではなく、町田氏が朗読しているとき、周りのスタッフの笑い声がかなり入っており、また僕も、思わず声を出して何度も笑ってしまったほどだ。
そこから氏のことが気になり、ブグログで検索すると、「くっすん大黒」や「告白」など、高評価の作品が多い。先日たまたま本屋の文芸の単行本コーナーに行くと、町田氏の新作があった。タイトルが「口訳 古事記」。帯には「われ、行って玉取ってきたれや!」「ほな行ってきますわ」関西弁どころか、えげつない河内弁の匂いがプンプンする。元来お笑い好きで歴史好きの自分としては、読む以外の選択肢なしと思った。
【町田康氏ってどんな人?】
1962(昭和37)年大阪府生れ。町田町蔵の名で歌手活動を始め、1981年パンクバンド「INU」の『メシ喰うな!』でレコードデビュー。俳優としても活躍する。1996(平成8)年、初の小説「くっすん大黒」を発表、同作は翌1997年Bunkamuraドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞した。以降、2000年「きれぎれ」で芥川賞、2001年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、2005年『告白』で谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『夫婦茶碗』『猫にかまけて』『ゴランノスポン』『湖畔の愛』『しらふで生きる 大酒飲みの決断』「スピンク」シリーズなど多数。
【あらすじ】
アナーキーな神々と英雄たちが繰り広げる、〈世界の始まり〉の物語。
前代未聞のおもしろさ!!日本神話が画期的な口語訳で生まれ変わる!町田康の新たな代表作。イザナキとイザナミによる「国生み」と黄泉国行、日の神アマテラスの「天の岩屋」ひきこもりと追放された乱暴者スサノオのヤマタノオロチ退治、何度も殺されては甦ったオオクニヌシの国作り、父に疎まれた英雄ヤマトタケルの冒険と死、帝位をめぐる争い、女たちの決断、滅びゆく者たち――。
奔放なる愛と野望、裏切りと謀略にみちた日本最古のドラマが、破天荒な超絶文体で現代に降臨する。
【著者が古事記を口訳で書こうと思った理由】
二十年くらい前に三浦佑之という学者が、『口語訳 古事記』という本を出して話題になった事があり、著者はこれを読んでよほど感銘を受けたんだそう。ただ、その語り口に若干の違和感が残ったんだそうだ。それから20年経ち、内容は少々雑でもよいから、自分が子供の頃に読んだような練達の小説家が、それぞれの文章で通史を書くようなものが、全十巻くらいであったらなぁと。そしたら自分のような不幸な半生を辿る者が、わずかでも減るのではないかと考え、それを編集者に相談するも、案は却下されてしまったんだとか。であればと「古事記」を口訳で出版する運びとなったとのこと。
【感想】
最高だ!多分この本読んだ方は、古事記に対する見方が変わると思う。こんなに笑った小説は初めてだ。上記に書いた「こぶとりじいさん」のときより、面白さが何倍もパワーアップしている。純文学?いやいや、とんでもない、完全なる超弩級エンタメ作品だ。こんなにスラスラ読める古事記は、おそらく日本初だろう。ゆっくり読もうと意識しなければ470ページある本作も、おそらく6時間ほどで読めてしまうほどに、のめりこめんしまう。それは僕がもともと歴史好きとかまったく関係なく、町田氏の言葉選びが尋常じゃなく、卓越しているからだろう。ただそんな技巧派であることを感じさせない、随所にウィットに富んだ笑いを全面に推し出してきて、文章の巧さを隠してくるところは、さすがだなぁと感心させられる。当然だが、ただ笑える小説ではなく、かなり忠実に古事記に準じてストーリーを展開してくれるので、古事記初読みの方には、古事記を知るよいきっかけにもなると思います。今回は古事記に準じた内容なので、あえて内容は書かないでおきます。
町田康氏の小説が好きな方はもちろん、歴史好きの方、お笑い好きの方にも、ぜひにも読んでいただきたい作品です!
ひとつ悲しいなと思ったことがある。これだけ面白い作品なのに、まだ新刊で出たばかりなのだが、大型書店では、既に平積みコーナーから外されており、小さな書店では一冊も置かれていなかったりする。こういうときに出版不況をまざまざと感じる。せめて本当に面白く価値のある本書などは、本気で売れて欲しいし、一人でも多くの方に読んで欲しいと切実に思う。
【雑感】
次は「最強のニーチェ入門」(著者:飲茶氏)を読んでから、本番の「ツァラトゥストラ」(ニーチェ著)を読もうと思います。落合陽一氏の「忘れる読書」(PHP新書)のまえがきで、こう書いていた。中学生のときに父親(落合信彦氏)から、「ニーチェを読んでいない奴とはしゃべれない」と言われたんだそう。ニーチェの「ツァラトゥストラ」は20歳前後で読んだが、面白さが何も分からなかった。哲学書の中でニーチェは、まだとっつきやすいイメージがあったので、何とかニーチェから、色々学び取りたいと思います。続きを読む投稿日:2023.05.15
誰もが知っているが実際に読んだことがある人は極めて少ないであろう「古事記」を町田康が口語訳で現代に甦らせる。
町田康の文体と「古事記」のぶっ飛んだ世界観の相性が最高によく、こんなに「古事記」とは面白…い物語だったのか!?、という驚愕と共に読めてしまう。
あまりにも破天荒すぎる神々たちの戯れをこんなにも面白く、かつ読みやすく描き出す著者の作家としての力量を実感した。
ぜひ文科省は本書を中学生くらいの必修図書として全国のジュブナイルに読ませてほしい。それで、日本が変わると思うな。続きを読む投稿日:2024.05.04
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