猿と猿回し
畠山健二(著)
,山口恵以子(著)
/内外出版社
作品情報
【内容】
『本所おけら長屋』シリーズの畠山健二と『食堂のおばちゃんシリーズ』の山口恵以子
ふたりの人気小説家がタッグを組んだ類稀なるエッセイ集の誕生です!
畠山健二と山口恵以子。
今をときめく人気小説家が〝なぜか〟連むようになって早数年…。
全国各地の書店を訪問し、細々とトークイベントを展開。
作風は異なれど、話芸も違えど、ふたりはおもしろい、いえ、おかしい。
そんな両氏は、
いかにベストセラー小説家になったのか?
いかに〝人の心〟をつかむのか?
いかに書店さんへ足を運ぶのか?
そうした理由が解き明かされる「至極のエッセイ集」が本書『猿と猿回し』なのです。
【著者】
小説家
畠山健二
1957年東京生まれ。大学卒業後、家業の鉄工所に勤めるかたわら笑芸作家として数々の演芸の台本執筆や演出を手がける。
2012年『スプラッシュマンション』(PHP 研究所)で小説家デビュー。
翌年から『本所おけら長屋』(PHP 文芸文庫)がスタート。
2022年3月に最新刊である十八巻を刊行し累計150万部を突破。
月刊『旅行読売』でエッセイを連載中。
小説家
山口恵以子
1958年東京生まれ。早稲田大学卒業後、会社勤めをしながら、脚本家を養成するスクールに通いプロット作成を手がけるように。
2007年『邪剣始末』(廣済堂出版*現・文春文庫)で小説家デビュー。
2013年『月下上海』(文藝春秋)で松本清張賞を受賞。
当時、社員食堂に勤めながら執筆活動をしていたことが話題となる。
2015年~『食堂のおばちゃん』シリーズ(角川春樹事務所)、2018年~『婚活食堂』シリーズ(PHP文芸文庫)、2021年『ゆうれい居酒屋』(文春文庫)ほか著書多数。
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.3 (6件のレビュー)
-
本庄おけら長屋の畠山健二氏と
松本清張賞作家の山口恵以子氏。
丸善でのブックフェアで出会ったお二人が、畠山氏がMCを務めているJ:COMのトーク番組に山口氏を呼んだのをきっかけに、トークショーの相手…役や、書店回りのパートナーとして、お二人で全国の書店を回っておられるとのこと。
畠山氏のおけら長屋は、大ファンで、ずっと読んでいるが、
山口氏の作品は、読んだことがない。
食堂のおばさんシリーズは、現在15シリーズまで続いているとのこと。
機会があれば読んでみたい。続きを読む投稿日:2024.01.11
『本所おけら長屋』シリーズの作者である畠山健二さんと、『食堂のおばちゃん』、『婚活食堂』、『ゆうれい居酒屋』各シリーズの作者であり、私も大好きな山口恵衣子さんがタッグを組んで書かれたエッセイ集です。
…22のテーマ(お二人に共通)と3つのコラムで構成されています。
帯に「小説よりもオモシロイ!?」と書かれていますが、その謳い文句に負けないほど抜群に面白く、あっという間に読み終えてしまいました。
全てのエッセイが読んでいて楽しく(22のテーマがまた良いですね)、お二人のユーモラスな人柄や、人気作家になるまでのご苦労、人生観もうかがうことが出来ます。
今までに読んできたエッセイの中で、間違いなくTOPに位置すると思います。
先ず、「同じテーマについてお二人が書いている」という趣向が、本書を面白くしている大きな要因ですね。
とりわけ、一つ目のテーマである「なれそめ」は、その趣向にピッタリの大傑作ですので、少し長くなりますが抜粋します。
・なれそめ(山口恵衣子)
あれは確か三年前の十一月、雨のそぼ降る月曜日の夕方だった。
その日、日本橋の丸善ではブックフェアが催されていた。私は『食堂のおばちゃん』シリーズでお世話になっている角川春樹事務所の要請で、担当編集者Hさんとブースに座ってお客さんを眺めていた。
そう、眺めていた。・・・
・・・
・・・靴磨きを頼む人はいても、本を買う人はいなかった。
このまま二時間、通り過ぎる人々を眺めて終わるのかと思っていたら、十五分遅れで真向いのブースにやってきた半纏姿のおじさんが、やる気満々で指を鳴らした。
それからのおじさんの活躍は目を見張るものがあった。
実演販売よろしく、自らちょっとしたきっかけをつくってお客さんの目を惹き、足を止めさせ、自分の本を売り込んで買わせてしまう。香具師も顔負けの腕前だった。
すごい!私もやってみたい。
するとおじさんは、何を思ったのかお客さんを私の前に引っ張ってきて「この本もおもしろいですよ。読んだことないけど」と、わけのわからないことを言って買わせてくれた。なんていい人だろう。
「一緒にやらない?」
おじさんの言葉に一も二もなく頷いた。
それからはふたりで通せんぼしたり、拍手で出迎えたり、ありとあらゆる手を使ってお客さんの足を止めさせ、本を売りつけた。
・・・
・なれそめ(畠山健二)
その日、山口恵衣子の前に神が降臨した。
日本橋にある老舗書店、丸善ではブックフェアが開催されていた。多くの出版社がブースを設け、自社の書籍をアピールする。ブースに著者を招く出版社もあった。
山口恵衣子もそんなひとりで、角川春樹事務所のブースに陣取った。・・・
・・・
だが、ブースの前を通る人はまばらだ。・・・山口恵衣子は担当編集者と、足早に通り過ぎていく人を眺めているだけだった。
しばらくすると、通りを挟んだ正面のブースに何人かの男たちがやってきた。半纏の襟元に書かれた文字から推察すると、それはPHP研究所という出版社の社員で、中央に座ったのが『本所おけら長屋』という小説の著者らしい。この著者と思われる男は指の骨をボキボキと鳴らし、立ち上がった。
「さてと、はじめますか」
その男は、ブースの前に女性が通ることを見定めると、テーブルから著書を落とす。
女性はその本を拾ってくれた。
「ありがとうございます。これも何かの縁ですねえ。この本、すごく面白いですよ。書いた本人が言ってるんだから間違いありません」
女性は思わず笑ってしまうのだ。そして女性をレジまで誘導し、自分の小説を買わせてしまう。あまりに見事な手法に、山口恵衣子と担当編集者は口を半開きにして眺めるだけだ。その男は、次々に通行人を止めて本を売りつける。・・・みんなが楽しそうに本を買っていく。
男は次の行動に出た。自分の本を買わせた通行人を山口恵衣子の前に引っ張ってきたのだ。
「この『食堂のおばちゃん』面白いですよ。読んだことないですけど。あはは。買ってくださいよ。もし、つまらなかったら、この人がお金を返しますから」
そう言って、山口恵衣子を指差した。通行人は、笑いながらその本を買ってくれた。
「黙って座っていても本は売れませんよ。売らなきゃ」
・・・
「どうせ来たんなら楽しまなきゃ損ですよ。それで本が売れれば一石二鳥です」
・・・
・・・
このとき、山口恵衣子は、その男が“疫病神”なのか“貧乏神”なのか、まだ気づいていなかった。
山口さんの作品は、本書で12冊目の読了となりました。
畠山さんの作品は、本書が初めての読了となりましたが、『本所おけら長屋』シリーズ第1弾の3話まで読んでいます。累計200万部を突破している大ヒットシリーズだけあってとても面白く、私好みの「涙と笑いを誘う」本で、続きを読み進めようと思います。続きを読む投稿日:2024.06.05
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。