呪い禍 古道具屋 皆塵堂
輪渡颯介(著)
/講談社文庫
作品情報
料理屋・福芳で修行するも、やむを得ない事情から店を辞めることになってしまい、途方に暮れていた麻四郎。
困って街を歩いていると、古くからの知り合いである千右衛門に声を掛けられ、皆塵堂を紹介される。
どうやら人手が足りないらしく、ひとまず十日ほど試しに働いてみることに。
麻四郎が店番を手伝っていると、呉服屋の弥平という男が訪れ、やけに綺麗な壺を「ただで引き取ってほしい」という。
おかしな話だが、峰吉の巧みな交渉によって、壺数個を買うことを条件に、綺麗な壺を引き取ることに。
だがその晩、麻四郎がふと目を覚ますと壺の口から人の手が出てきていて……!?
その幽霊の正体とは? そして、麻四郎の不運の本当の理由とは。
大人気シリーズ、3年ぶりの待望の新刊!
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商品情報
- シリーズ
- 呪い禍 古道具屋 皆塵堂
- 著者
- 輪渡颯介
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2021.05.14
- Reader Store発売日
- 2021.05.14
- ファイルサイズ
- 2.4MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (10件のレビュー)
-
何故か『曰く付き』の品と不運な男が引き寄せられる〈古道具屋皆塵堂〉。前作「夢の猫」のあとがきで『完結編』と書いてあったことはなかったことになっている…つまりシリーズは続くということらしい。好きなシリー…ズなので嬉しいことではある。
今回〈皆塵堂〉で働くことになったのは麻四郎。料理人として長年勤めていた料理屋からリストラされ退職金もなく、当てにしていた親類の居酒屋で働くことも出来なくなり振り売りの仕事でしのいでいて…という典型的な転落振り。そんな折に知り合いの料理屋の主から紹介されて〈皆塵堂〉で働くことに。
早速働かない店主・伊平次や相手によって見事に態度を使い分ける小僧・峰吉、『曰く付き』の品による怪異という〈皆塵堂〉の洗礼を受ける。
麻四郎の『不運』は一つ一つは小さなものなのだが、重なれば呪いか?と疑いたくなる。居酒屋を営む親類から聞かされた話は正にその疑いから確定になりそうなものだったが、真相は。そして麻四郎の『不運』は収まるのか。
タイトルの「呪い禍」は多分「コロナ禍」に引っ掛けているのだろうが、もう一つ、「呪いか?(呪いなのか、そうじゃないのか)」というダジャレでもあるようだ。
オチはこれまでの輪渡さんらしい脱力系。
シリーズ再開ということで、これまで〈皆塵堂〉で働いていた男たちも再登場。
隣の米屋で働く円九郎は相変わらず怠けることばかり考えているようだが、米俵を担ぐくらいは出来るようになった(その後が笑える)らしいし、女性の前ではキリッとしている。
間抜けな呪いを掛けられた連助は相変わらず幽霊や化け物を見ないし信じない。目の前に幽霊がいるのにほどけた褌の紐を閉め直すのに必死。間が良いのか悪いのか。
〈銀杏屋〉の若旦那・太一郎は猫が苦手なのに相変わらず猫に追いかけられている。だが彼の目利きは確かで安心出来る。
そして〈皆塵堂〉で働いてはいないがレギュラーの巳之助。相変わらずの猫好きは変態レベルで町内の飼い猫から新たに産まれた猫まで全て把握している。引き取り手探しから猫の快適な暮らしのためなら部屋主を蔑ろにすることすら当たり前。
峰吉の達観も感心レベル。大家で世話好きな清右衛門が何故か円九郎にだけ厳しいのも笑える。
麻四郎が周囲に振り回されてばかりのキャラクターなのかと思っていたら、時に峰吉より先に客の応対をしようと対抗意識を持ったり(負けるけど)クセのある男たちを上手く使う方法を考えたりとなかなか逞しい。
ちょっと盛り上がりにかける話ではあったが、いつものユーモラスな輪渡作品らしさを楽しめた。このくらいのユルさが良いのかも知れない。
※古道具屋皆塵堂シリーズ一覧
(★はレビュー登録あり)
①「古道具屋皆塵堂」
②「猫除け」★
③「蔵盗み」
④「迎え猫」★
⑤「祟り婿」★
⑥「影憑き」★
⑦「夢の猫」★
⑧「呪い禍」(本作)★続きを読む投稿日:2021.07.13
このレビューはネタバレを含みます
本作の問題人物は,腕の良い料理人ながら,勤め先の営業不振で自ら職を辞した麻四郎。親戚の料理屋で雇ってもらおうとしたところタイミングが良くないのでしばらく待ってくれと言われ,その間料理人以外の仕事をして…おけと言われ塩の振り売りに身をやつしている。ある日,修行中に気にかけてくれていた老人に出会い,皆塵堂に行くように勧められる。前作までの連助や円九郎も引き続き登場し,ドタバタを繰り広げる。
レビューの続きを読む
「何かが起こる店」
富士見屋の弥平という男が怪しげなツボを買い取ってほしいとやってくる。峰吉はタダでもいらないと一度は突っぱねるが,店先に置かれたいくつかの品を買い取るという交換条件で引き取ることになる。しかし夜中に物音で目を覚ました麻四郎は暗闇に壺が倒れていてその口から男の頭が出てくるのを見てしまう。
「足音の主」
大工の作五郎という男から家のいらない道具をまとめて引き取って欲しいという依頼を受け,伊平次と麻四郎が引き取りに行く。女房が誰もいない2階で不審の物音がするといい,取り合わなかった作五郎と喧嘩をして実家に帰ってしまったという。しかし,伊平次と麻四郎も物音を聞いてしまい,原因を調査することになる。
「正しい楽しみ方」
伊平次が知り合いの古道具屋から良くないものを掴まされてしまったので引き取って欲しいと依頼を受ける。皆塵堂に新しい奉公人が入ったと聞いて様子を見に来た連助は麻四郎とともに引き取りに行ってほしいと頼まれる。その前に麻四郎は米屋で働いている円九郎に連助残し方を聞く。円九郎は連助に幽霊を見せて一泡吹かせたいと考えていて,麻四郎にも協力してほしいと頼む。そして引き取りに行った先は丸屋という店の蔵で。連助と二人で蔵の中に入った麻四郎は,不穏な空気を感じ,やがて実際幽霊を見るのだが,なぜか連助は絶妙なタイミングで幽霊を見ないで済んでしまう。流石の麻四郎もいらつくのだが...。
「開かない引き出し」
麻四郎の親戚で最初雇ってもらおうとしていた店の芝蔵が皆塵堂に呼ばれてやってきて,麻四郎の知らない呪いの話を知らせる。
一方木綿問屋の上総屋からの依頼で道具を引き取りに行くことになった麻四郎は円九郎を連れて行くことになる。ものは引き出しが開かなくなってしまった鏡台。上総屋の娘にいいところを見せようとした円九郎は力任せに鏡台の引き出しを開けようとする。するとついに開いた引き出しから老婆の頭が飛び出して...。
「のろいか」
芝蔵が熊谷に住む自分の父親惣兵衛を連れて皆塵堂を訪ねてくる。騒兵衛は前回芝蔵がした話についてより詳しいことを話すという。そして,太一郎が麻四郎が出会った幽霊たちについて素性を明らかにする。続きを読む投稿日:2023.04.28
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