池波正太郎を歩く
須藤靖貴(著)
/講談社文庫
作品情報
私たちは小説の舞台に立ち、歩き、池波正太郎の道程をたどることができる。梅安の遠州藤枝、鬼平の谷中、真田太平記の信州上田、そして幸村終焉の大坂……あの名場面の舞台を訪ねて――男の在り方、気概ある生き方を、時代小説やエッセイに著した池波正太郎。その珠玉の数々を、いま一度熟読し、池波文学の道程をたどりたい。そうした想いから、筆者は、各地を訪ね歩いた。土地ごとの人情に触れ、酒を愉しみ、舌鼓を打つ。『仕掛人・藤枝梅安』などの19編の舞台を、旅して記した、充実の1冊。
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商品情報
- シリーズ
- 池波正太郎を歩く
- 著者
- 須藤靖貴
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2012.09.14
- Reader Store発売日
- 2020.12.18
- ファイルサイズ
- 36.3MB
- ページ数
- 328ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (3件のレビュー)
-
池波氏の各作品の舞台を訪ねる紀行エッセイ。本書で全編読了したのは鬼平犯科帳だけだが、その他の作品も容易に想像できて思わずニヤリとしてしまう。都内が中心かと思ったのだが、関東から西にそれぞれ所縁の地があ…って、池波氏の後を追体験する著者と一緒に旅をしているような気にさせてくれた。文体はかなり池波氏に影響を受けたと推察する。後半の「池波用語の基礎知識」が良く、『上に立つものはイエスマンが好きなのだろう。(中略)いわんや組織の小上司をや。』なんて琴線に触れる言葉だと思う。続きを読む
投稿日:2017.08.29
映画ファンやアニメファンが、舞台となた場所を訪れる「聖地巡礼」
がしばらく前から話題になっている。
何を今更なのである。読書好きはもっと昔から聖地巡礼をしている
のだ。学生時代の夏休み、暇に任…せて在来線を乗り継いで京都へ
行った。目的は当時はまだ営業していた京都・丸善の店内にレモンを
置くこと。
そう、梶井基次郎の真似である。京都・丸善には私のような客が
結構いたようだ。店員さんは慣れたものだろうが、今考えると迷惑
行為だよね。若気の至りである。
さて、本書。著者を知らなかったのだが作家さんだそうな。それも
池波正太郎ファンの作家。その著者が、池波作品を携えて小説の
舞台となった土地を訪ねる紀行エッセイだ。
類書は結構あるんだよね。江戸地図で作品を楽しむとか、京都を歩くと
か。読みたいのだけれど、極力読まないようにしていた。だって、聖地
巡礼本なんて読んだら、絶対に池波作品を再読したくなるから。
それなのに読んでしまったの、本書を。ほんの出来心で。冒頭から
やられましたわ。
藤枝梅安の生誕地・静岡県藤枝市を訪ねる章では偶然にバスに乗り
合わせた年配のご婦人と、そのご婦人と待ち合わせをしていたご友人
たちと一緒に「藤まつり」の会場を楽しむなんていいじゃないか。
『真田太平記』を手にゆかりの地を歩き、著者の自宅のある最多県朝霞
市から自転車で(!)東京・永代橋まで行き、永代橋の欄干にもたれて
池波作品を読む。
似たようなことをした。昔々、上野の西郷隆盛像の前で半日『西郷隆盛』
を読んでいたことがあった。
やっぱり失敗だったわ。いや、本書の内容ではない。小説舞台の地を
訪ねて、近くに池波さんおすすめの蕎麦屋や寿司屋があればそこで
お腹を満たし、遠方であれば池波さんのエッセイに出て来る宿に泊まる。
真似したくなる旅だからこそ、読んで失敗したのだ。池波作品を再読し
始めたら、しばらくそればかり読んでしまうからだ。
だって、私の書庫の片隅には本棚とは別に文庫用コンテがいくつか積ん
であり、中には池波正太郎や山本周五郎などの時代・歴史小説の文庫が
納められているのだ。
それは手を触れてはならぬ禁断の箱。手を出したら最後、作品の虜囚に
なってしまうから。
あ、でも手が勝手にコンテナを開けようとしているっ!まずは台東区の
池波正太郎記念文庫に行くか。そこで何を読むかが問題だが。続きを読む投稿日:2017.08.24
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