ボーイズラブ
銀の鳥籠
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完結
「ショウ。こっちにおいで」甘く優しいけれど、有無を言わせない声。この男が愛でているのは所有物である自分の姿形であって、自分が何を思っているかなど気にもしていないだろう。俺はこれからこの優しい顔をした男に貪り喰われることになる――。学校からの帰り道、見知らぬ外国人に拉致された少年・彰吾(しょうご)は、自分が日本から遠く離れた異国の地へ売られたことを知る。そして、そこで彰吾を待ち受けていたのは、愛玩用の奴隷として生きる生活だった……。残酷でありながらも切なく、無常さの中に光を見出す、衝撃の物語が遂に・・・
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「最後に君の笑顔が見たいんだ……」
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ほんのわずかな希望や喜びを見出した彼らは、なんて眩しく笑うのだろう……。
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穏やかに微笑んでいても、目だけが冷ややかで、いっそ哀しそうにすら見えた。「君が飛んで行ってしまわないよう、私も色々考えないといけないようだ……」
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大勢の怒号と足音が次々にドアを開け、乱暴に家探しをしている気配が近づいてくる。……小さい子たちが喉がひきつったような悲鳴をあげる──。
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「本当に君には敵わないよ! 家族のようにか……。そうだな、それもいいかもしれない……」
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ただそこに、手を伸ばせば触れられるほどそばにいる。たったそれだけのことが、かけがえもなく貴重なことに思えた。
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私には笑み一つ見せなくても、他の奴になら楽しげに笑うのか……。嫌がりもせず、嬉しそうに、しどけなく甘えて身を任せるのか……。
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こんなに近くで見ていたというのに、彰吾が自分から触れるのは初めてだった。
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「今、あの子たちはみんな、夢を見ているんです。今まで存在すら知らなかった未来を見て、それに希望を持ち始めているんです」
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温かい大きな手のぬくもりが恋しかった。庇護されている、守られているという安心感が欲しかった。――けれど、それはもう二度と与えられない。
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傷の痛みと乱暴な恫喝が昨夜の屈辱と恐怖を思い出させ、ふつふつと怒りが滾った。「……俺がどんな目に……あったと……」
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どれほど大事にされようと、どれほどこの人の優しさが本物のように見えようと、それはかりそめのものにすぎないというのに……。
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