ぜんぶ本の話
池澤夏樹(著)
,池澤春菜(著)
/毎日新聞出版
作品情報
はじめて読んだ本をおぼえていますか?
ページをめくれば溢れだす、しあわせな時間と家族の思い出。さあ本の国へ旅にでよう――。
本書は、文学者の父・池澤夏樹と声優、エッセイストの娘・池澤春菜のふたりが、「読書のよろこび」を語りつくした対話集です。
「本は生きもの」と語る父。「読書の根本は娯楽」と語る娘。児童文学からSF、ミステリーまで、数多くの本を取り上げ、その読みどころと楽しみかたを伝えます。池澤家の読書環境やお互いに薦めあった本、夏樹さんの父母(春菜さんの祖父祖母)である作家・福永武彦や詩人・原條あき子について等、さまざまな話題が登場。さらに巻末にはエッセイ「福永武彦について」(池澤夏樹)、「ぜんぶ父の話」(池澤春菜)も特別収録しています。
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この作品のレビュー
平均 3.9 (32件のレビュー)
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読書は競わない。読んだ本の数だとかスピードだとかはどうでもいい。面白い本を読んだら、話し合いたいし、薦めたい。年齢も関係ない。同じ本でもそれぞれで読み方が違う。そして本読みはいつも本に飢えている。 …だから寄ると触ると「何か面白い本読んだ?」「これ良かったよ」と薦めあう。今ではお互いの専門ジャンルも違うので、相手がアンテナを張っていないであろう、でも絶対に好きだと思う本を見つけると、やった!と得意になる。とても平和的で建設的。
と、池澤春菜は「まえがき」で書いている。
この時娘は45歳。えっ!?いつの間に‥‥。私は30代のエッセイストだと思っていた。彼女の半生語りを聴き、なおかつ調べると、声優から始まって、歌手、女優、エッセイ、SF書評(え?日本SF作家クラブ会長なの?)、最近は匿名でアニメ脚本まで書いているとな。本書では、翻訳もやりたいし、小説も書きたいと宣言している!知らなかった。かなり活躍している。よその家の子どもの成長は速い。
池澤夏樹は、娘と「すべて本の話」をテーマに児童文学、少年文学、SF、サスペンス、チョロリと時代小説などを縦横に語る。聴いていると、娘の守備範囲にかなり寄り添っている。放任主義で育てたらしいけど、溺愛しているのが丸わかりだ。流石に俎上にあげた本は200冊弱「しか」ないけど、池澤夏樹もほぼ読んでいる。そして、池澤春菜じゃないけど、付箋紙貼りまくり、参考になる本は以下の通り。
⚫︎ 『ムーミン谷の彗星』『ムーミンパパ海へいく』は、案外狂気の世界。
⚫︎ ヴェルヌの小説にはどれもひねりがある。たとえば『八十日間世界一周』(以下は省略)
⚫︎ 『星の王子さま』でよく問題になるのが、キツネを「飼いならす」という箇所だよね。 Apprivoiserという動詞について。(以下は省略)
⚫︎金原水端訳、宮崎駿絵の『水深五尋』(ロバート・ウェストール、岩波書店)。
⚫︎ 『モービー・ディック・イン・ピクチャーズ』(スイッチパブリッシング刊行)という本、知ってる? 『白鯨』を各ページごとに文章を一部抜き出して、残りをイラストで埋める、それを全ページでやった大作でね。翻訳は柴田元幸。←これはついポチッてしまった。もうすぐ届く。
⚫︎「テセウスの船問題」からSFの中の「魂」問題を扱った本に、トマス・ピンチョンの「V」、「歌う船」、カレル・チャペックの『 R. U. R』、『ブレードランナー』などに話が及んでゆく。
⚫︎ クリスティについて今でもよく議論されるのは、『アクロイド殺し』はフェアか否かという話だよね。(以下は省略)
等々‥‥とっても楽しい!
でも、さらっと読書の真髄も語っている。
⚫︎ 読書って自分自身は本に向かって開かれているんだから自閉ではないんだよ。(略)本を読みふける子どもを、親は信じていい。本とのつきあいはこちらの主体がいる。そこがゲームとは違う。
さらにいえば、池澤夏樹も池澤春菜も、本書で初めて「自分語り」をしている。
特に、私は池澤夏樹と福永武彦とのちょっと複雑な親子の歴史を初めて知った。池澤夏樹は『塩の道』という詩集以外は、福永の存命中には何も書かなかったらしい。夏樹はいう。「作家としての自分は、好きなものをほぼ好きなように書いてきた。福永武彦から直積的な影響は受けていない。でも作家が一人身近にいたことで、そういう人種がどんなふうに暮らすのか、書く前から想像はついていた。そういう意味での影響はあったと思う」距離を置きながらかなり意識している。
娘の春菜も父の夏樹を「あとがき」で冷静に分析していた。
「池澤夏樹の魅力は世界との距離感だ。中ではない、外でもない。中と外の境、境界、波打ち際。端っこから世界を見ている。中にいては見えないものを見ようとする。それはたぶん、灯台守とか、船の不寝番のような、ひとりだけの孤独な場所だ。だけど、中にいては見えない美しいもの、離れすぎては気づけない愛しいものを見ることができる場所でもある。」
池澤一族3代のかなりレアな話もある、思った以上にお得な一冊だった。
2022年6月5日読了
続きを読む投稿日:2022.06.07
いやいや、お二人を作りあげた愛しい本たち、あまりに私の好みと合致していて、読んでいる間は感動の連続だった。楽しかった!
ちょっと昔の岩波少年文庫をイメージさせる本のカバーも嬉しい。
池澤夏樹が福永武彦…の息子だったというのは、初めて知った。そして、最後に紹介された母・原條あき子の作った練馬区立大泉第二中の校歌が素晴らしい!この学校で学ぶ生徒たちがうらやましい。続きを読む投稿日:2024.03.26
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