茶聖【電子特典付】
伊東潤(作者)
/コルク
作品情報
利休と秀吉、真の勝者はどちらだったのか
「茶の湯」という安土桃山時代を代表する一大文化を完成させ、天下人・豊臣秀吉の側近くに仕えた千利休。
茶の湯が、能、連歌、書画、奏楽といった競合する文化を圧倒し、戦国動乱期の武将たちを魅了した理由はどこにあったのか。
利休は何を目指し、何を企んでいたのか。秀吉とはいかなる関係で、いかなる確執が生まれていったのか。
戦場は二畳の茶室、そこで繰り広げられる天下をも左右する緊迫の心理戦
信長、秀吉、家康……死と隣り合わせで生きる者たちとの熱き人間ドラマ
利休の正体は、真の芸術家か、戦国期最大のフィクサーか <電子書籍特典> 茶人 木村宗慎さん・伊東潤対談
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商品情報
- シリーズ
- 茶聖【電子特典付】
- 著者
- 伊東潤
- 出版社
- コルク
- 掲載誌・レーベル
- コルク
- 書籍発売日
- 2020.02.20
- Reader Store発売日
- 2020.02.27
- ファイルサイズ
- 5.2MB
- ページ数
- 528ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (30件のレビュー)
-
千利休の見方が変わる一冊。
実際のところは勿論誰にも分からない。イメージ通り、時の権力者に擦り寄り思うがままに操り、裏で権力と財力を恣にした俗人だったかも知れない。
だがこの作品での利休は、茶の湯で『…この世に静謐をもたらそうとした』、そのことに生涯とその生命をかけた人物として描かれている。
茶の湯が武人たちの『荒ぶる心を鎮める』という考え方が興味深かった。
信長はそれまで土地であった恩賞を茶の湯の名器であったり、茶の湯を開く資格を与えることであったりに変えた。
そして秀吉は利休と共に更に飛躍して茶の湯を天皇・公家から庶民まで世の中隅々にまで行き渡らせた。
そして利休は秀吉の心を戦から茶の湯へと繋ぎ止めるため、様々な趣向を次々と生み出していった。
信長や秀吉は『己以外のものに野心や欲心を抱かせまいとし』て茶の湯を利用したが、己自身は『欲心』を鎮められなかった。特に秀吉は敢えて止めなかった。
秀吉と利休の関係にヒビが入った一つのきっかけとして黄金の茶室があると勝手に思っていた。利休が追求する侘びの世界とは真逆にある黄金の茶室は、私からみればあまりに露悪的でしかないのだが、そこに利休は秀吉の真の狙いを知る。
勿論これもまた作家さんなりの解釈であって実際のところは分からない。でももしそうだとしたらこれまた秀吉の見方も変わって面白い。
一介の茶人に収まらない、戦を止めるためならどんな交渉も裏工作もやっている利休は、私から見ればやりすぎにしか思えない。だが武人には出来ない、利休にしか出来ない戦いだったのだろう。
これもまたこれまでの見方を覆すところで、利休の掌でうまいこと転がされていたように思っていた秀吉が、この作品では利休と常に闘っている。
止まらない己の欲と、止めようとする利休との闘いの連続は緊迫するばかりで、これではいつ破綻が来ても仕方ないと思う。
だから津田宗及も今井宗久も秀吉から『降りた』。だが利休は降りない。
山上宗二のように徹底的に楯突いて果てることもしない。
利休は秀吉と『共に断崖から身を投げる』道を選んだのだ。
茶の湯を利用した信長も秀吉もその権勢はあっという間に過ぎ去った。そして同じく茶の湯を政治の道具として使った徳川家康を始めとする江戸の時代もとっくに終わり、近代、現代に至った。
だが千利休を祖とする千家はいまだ繁栄している。何と皮肉なことか。まさに利休が死の直前に感じた予感の通りだ。
近頃は文化人や芸能人が政治の世界に近づくことは悪とされ、逆に政治と距離を置き権力に物申すことこそ格好いいとされる風潮がある。勿論それが一概に間違いだとは思わない。
だが千利休のこの半生を読んで、彼が茶人としてだけでよりは何倍も濃い人生を送り、自分のためだけではない大きなもののためにその人生を捧げた傑出した人物だったと思う。
実際のところはわからないが、ただ一つ言えること、彼はその生命と引き換えに茶の湯を守ったのだ。続きを読む投稿日:2020.08.04
本能寺の変以降の千利休の一生を描いた物語。
秀吉が暴走していく中で、世の中を争いのない静謐に導こうと奔走する正義の人として書かれていた。元々千利休に正義の印象は持っていなかったが、物語として面白く、特…に後半は緊迫感もあってドキドキしながら読めた。続きを読む投稿日:2023.11.11
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