しっとりとした筆致で、江戸に生きる人の綾を時代推理の俊英が描く訳あって武家の娘・綾は、江戸一番の花街の入り口に建つ船宿の住み込み女中に。そこで遭遇した思いがけぬ六つの謎と事件の行方……。船宿『篠屋』の勝手口から端正な侍が飛び込んで来て、追われていると言う。予約客の寺侍・梶原だ。女将のお廉は梶原を二階に急がせ、まだ目見え(試用)の女中・綾に、あんたも急いで二階に上がり、湯文字ひとつで梶原様の床に入るんだ、と叫ぶ。追手の足音も迫る。同衾を装うための芝居をしろというのだ。綾は床で丸くなって考えていた。・・・
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4つの謎と事件の行方
重版の快シリーズ第10弾!
『お富 与三郎』は、木更津から始まった実話だった!
『篠屋』に現れたおきちの秘められた過去。
あの「お富さん」はその後、どんな人生を生きたのか?(第一話「お富さん地獄めぐり」)
「兄の幸太郎は生きている」と篠屋の主・富五郎は突然、綾に告げる。住み込み女中となって働きながら兄を探していた綾は、微かな手掛かりを頼りに兄の痕跡を追う。そんな折、お忍びで綾の前に現われた天璋院(篤姫)がもたらした天佑とも思える話と「その意気じゃ、今度こそ逃してはならんぞ!」の言葉に励まされ、三田聖坂に向かう綾。果たして⋯⋯。(第四話「天璋院様お成り」) -
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日本医学の父たるべき熱血ウイリス院長を憔悴させたものは――。
人の顔を観るのは、満天の星を見るようなもの。
ドクターは薩摩へ行く――
占い師閻魔堂は大病院(後の東大医学部)の寝台で語った。
船宿篠屋の綾は実兄大石幸太郎の名を横濱軍陣病院で発見、ウイリス医師に再会しようとしたが、野戦病院の軍陣病院は廃され、ウイリスは新病院の院長になったという。藤堂家上屋敷に建ち上げられたという新病院を捜した。徳川幕府はここに「西洋医学所」をおき西洋医学を普及させたが、明治新政府が「医学校」として復活させ、この「大病院」の院長にウイリス医師を迎えたのである。
5つの謎と事件の行方――第9弾! -
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柳橋が勿然と消えた!
官軍との戦の真只中。船宿『篠屋』の船頭は…。
江戸城無血開城の下工作に成功した山岡鉄太郎から、西郷隆盛の懐刀益満休之助を横濱の軍陣病院へ運んでほしいと頼まれた。
慶応四年五月二十日、強風に陣羽織の裾をなびかせ騎馬が駆けてくる。篠屋のそばで馬を止め、ひらりと降り立った。六尺豊かな巨大漢。山岡鉄太郎であった。この三月、東征軍参謀の西郷隆盛に目通りし、江戸城無血開城の下工作に成功していた。山岡は、強風のなか横濱の軍陣病院まで益満休之助を運んでほしいという。益満は西郷の懐刀だが流れ弾を受け破傷風にやられ……。 -
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唐津藩嫡子の身ながら藩から排されつづけた元老中の究極の決断!
幕府崩壊の尖風と黒煙の下、小笠原長行に帰国の誘い。
またも藩存続の生け贄か!
もう藩には左右されぬ──。
(第五話『春告げ鳥』)
慶応四年三月三日、三度目の老中を辞したばかりの小笠原長行のもとへ国許の唐津から使者が訪れた。時節柄、帰国されては…という藩主からの誘いであった。長行は二歳で藩主の父を亡くし、藩国替えの危機脱却のため、後継者から排された。こたびは、新政府への生け贄として長行を呼び戻す。もうこれ以上、藩存続のためには動かぬ。長行は究極の決断を己に迫った。(第五話) -
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苦労してるのは、わたしばかりじゃない。自分も腹を括ろう!
人気絶頂の噺家三遊亭圓朝、何もかも放り出したい気分でいたが、幕臣で粋人中の粋人成島柳北の姿を見て…。(第四話「しぐれ迷い橋」)
5つの謎と事件の行方……重版の快シリーズ第6弾!
成島の殿様こと成島柳北は一月前に騎兵頭を辞め外国奉行に。れっきとした幕臣ながら柳橋では誰もが知る粋人中の粋人。人気絶頂の噺家三遊亭圓朝は人には言えぬしこりをかかえていた。だが、あの柳北が今、政治のはざまで苦労を強いられていると知
り、心が少し軽くなった気がする。散々な目に遭っているのは、自分ばかりじゃないのだと。(第四話「しぐれ迷い橋」 -
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手を洗え。外に出るな。
江戸で三万人が死んだ九年前の疫病(コレラ)大流行…。
悪夢再熱の兆に立ち向かう蘭方医で軍医の手塚良仙は漫画家手塚治虫の曽祖父。
時代の大転換期に人々は…。(第四話『うつろ舟』)
船宿「篠屋」の船着場に奇妙な屋根船が流れ着いた。船頭らしき男が一人、死にかけている。近くにいた蘭方医で軍医取締の手塚良仙が駆け付けた。良仙は後の漫画家治虫の曽祖父。九年前に大流行し江戸で三万人が死んだ“安政コレラ”の症状に似ている。二人いたらしい客を早く捜さないと、あの悪夢が再現してしまう。江戸を悪疫から守るための闘いが始まった。篠屋の綾は……。 -
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数奇な人生を歩んだ老中小笠原長行の重大な決断と約束!
私の嫡子を拾ってほしい!
子のいなかった大名が、初めての子を捨てるとは?(第五話「送り舟」)
時代推理の俊英がしっとり描く五つの謎と事件の行方。
夜中、船宿「篠屋」に供ひとりを連れた侍がなだれ込んできた。追われているという。あとで知れたが、老中の小笠原壱岐守長行だった。唐津藩六万石の嫡子として生まれたが二歳で父を失い、幼すぎて藩主になれず三十六歳まで深川でひっそりと暮らした。だが、ある時、青天の霹靂のように脚光を浴び…。生麦事件の処理で「江戸を救った恩人」ともいわれていたが……。 -
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この橋の向こうには、何かが待っている。渡りきれれば……。
しっとりとした筆づかいで、江戸に生きる人びとの綾を時代推理の俊英が描ききる、船宿『篠屋』の綾が遭遇した五つの謎と事件の行方……。
江戸有数の花街・柳橋の船宿「篠屋」に、成島柳北という、学者として将軍家に仕えて来た、俊才の誉れ高い幕臣が再来。柳北は幕府上層部の無能ぶりに苛立ち狂歌にしてからかい、奥儒者の職を解かれ閉門の身。学者であるも名うての遊び人柳北の耳に、若き日の情人・久米八が横濱で異人相手のラシャメンに身をおとすという噂が。で、篠屋の主に相談に…。(第五話「へちま」) -
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死か、右脚切断か──。
名女形・澤村田之助、その凄絶な決断と意地。
船宿『篠屋』の綾が瞠目した歌舞伎名優の仰天の決断!(第四話『ちぎれ雲』)
時代推理の俊英がしっとり描く六つの謎と事件の行方。
柳橋の船宿『篠屋』の奥屋敷に江戸歌舞伎随一の名女形・澤村田之助が戸板で運び込まれた。二年前に舞台で傷めた古傷から毒が入り、骨や肉が腐っていく難病のため、秘密裡に御典医の往診を仰ぐことになったのだ。蘭方の御典医は、一刻も早く脚を切断しないと命にかかわる、と診断した。武家の娘で訳あって篠屋の住み込み女中になった綾は、田之助の仰天の決断を知って……。 -
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しっとりとした筆致で、江戸に生きる人の綾を時代推理の俊英が描く
訳あって武家の娘・綾は、江戸一番の花街の入り口に建つ船宿の住み込み女中に。
そこで遭遇した思いがけぬ六つの謎と事件の行方……。
船宿『篠屋』の勝手口から端正な侍が飛び込んで来て、追われていると言う。予約客の寺侍・梶原だ。女将のお廉は梶原を二階に急がせ、まだ目見え(試用)の女中・綾に、あんたも急いで二階に上がり、湯文字ひとつで梶原様の床に入るんだ、と叫ぶ。追手の足音も迫る。同衾を装うための芝居をしろというのだ。綾は床で丸くなって考えていた。この船宿は断ろうと。だが……。
6つの謎と事件の行方新シリーズ第1弾! -
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