細胞異植(新潮文庫)
仙川環(著)
/新潮文庫
作品情報
国内二例目の赤ちゃんポストで張り込んでいた新聞記者・長谷部友美が目撃したのは、嬰児を抱いた石葉宏子の姿だった。独身だと思っていた知人の行動に戸惑う友美。慌てて姿を消した石葉の行方を追ううちに、女の抱えていた修羅が浮き彫りになってゆく。最後に掴みとった驚愕の真相とは。先端医療は新たなる福音か、人倫を揺さぶる悪魔の誘惑か――。『流転の細胞』改題、全面改訂完全版。
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商品情報
- シリーズ
- 細胞異植(新潮文庫)
- 著者
- 仙川環
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2017.06.01
- Reader Store発売日
- 2017.11.17
- ファイルサイズ
- 1MB
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この作品のレビュー
平均 2.3 (5件のレビュー)
-
たぶん、毎回同じ事を呟いてしまうんだか。。
凄く題材が良くて本当に引き込まれる話しなんだけど(どの本も)
最後の締め方が·····いつも勿体ないのです。
医療や細胞やウィルスや、とても興味湧く話しなん…だけど
何故か終盤が··········。
でも、この手の話しも仙川さんの文体も好きなので読みますが·····。
何処か後一押し!!と毎回思ってしまいますm(*_ _)m続きを読む投稿日:2020.09.28
このレビューはネタバレを含みます
わが子を救いたい。
レビューの続きを読む
たとえ〝犠牲者〟を生んでも。
医療サスペンスの女王が描く、最先端・再生医学の闇。
帯文とのリンクは中盤以降。
序盤はとにかく退屈。
主人公である長谷部友美の幼稚さに辟易したことも…あり、読みかけの状態で一年近く積んだまま、それでも処分しなかったのは「赤ちゃんポスト」と「再生医学」のキーワード。
題材としては確実に面白いはずなのに、最後まで盛り上がりに欠ける印象。
わが子の命でわが子を救うという利己主義的な規範倫理と、中絶や胎児の尊厳という命の境界をめぐる生命倫理。
宏子の行動はある意味自家培養で、だからこそ人が踏み込んではいけない領域のようにも感じるけれど、わが子を助けるためなら手段を厭わない親の愛情という観点では一概に断罪しきれない面もある。
とはいえ、なんの思い入れもない男性の子どもであれば「自分の子」ではないとする思考回路は簡単には理解できない。
この点で、石葉宏子と未婚の友美の倫理観は果てしなく相容れない。
その理由を宏子は母性としたけれど、はたして本当にそうなのだろうか。
そして一連の宏子の行動とその裏にある事情を知った友美が、自身の恋人と描く将来設計になにか影響を受けるのかといえばそういうわけでもなく、ここがリンクしないのだとしたらこの対比にどんな意味があったのかと思う。
もともと上昇指向で出産願望も強くはなかった友美が、宏子の狂気じみた母性愛に触れてやっぱり子どもはいてもいなくてもいいと感じるのって普通じゃない?
もうひとつの流れである、新聞記者としての友美の成長もいまいち納得いかず。
これ成長してる?
自分の足で取材して伝えたい事件をひとつ見つけましたというだけで、最後まで人間的な魅力は皆無だったような…(言ってしまえば登場人物全員に魅力はなかった)
iPS細胞をはじめ再生医学の研究は日々進んでいくし、いつかきっと倫理的にぎりぎりの領域にまで踏み込んでしまうんだろう。
そうなったとき、各国の倫理観の違いから命の選別が始まらないといい。続きを読む投稿日:2021.03.07
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