口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
折口信夫(著)
,小池昌代(訳)
,丸谷才一(著)
/河出書房新社
作品情報
小池昌代の訳詩と鑑賞で和歌の世界へと誘う新訳「百人一首」を中心に、折口信夫の個性が光る「口訳万葉集」と丸谷才一の豊かな和歌の解釈を楽しむ「新々百人一首」をそれぞれ厳選し収録。
解題 口訳万葉集 岡野弘彦
解題 百人一首 渡部泰明
解説 池澤夏樹
月報 穂村弘 今日マチ子
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
- 出版社
- 河出書房新社
- 書籍発売日
- 2015.07.14
- Reader Store発売日
- 2017.07.07
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 442ページ
以下の製品には非対応です
このコンテンツは”PRS-650/350”には端末の制約により対応しておりません。予めご了承ください。
この作品のレビュー
平均 4.3 (9件のレビュー)
-
「口訳万葉集」折口信夫
日本最古の歌集を、昭和の鬼才折口信夫が訳していた。しかも、口述筆記。3人の友人がテキストだけで辞書も持っていない折口から書き取るという形で、4500首ほどの訳を書き写したという…。しかも漢字の割り振りは独特、句読点をつける等々、鬼才ならではのテキストになっている。
その中から池澤夏樹は203首を抜き取る。広く知られた歌が多いが、読んで行くと柿本人麻呂の歌が抜きん出て多い。何故か、は結局解説では展開されないが、池澤の私淑する丸谷才一の人麻呂評(359p)を読むと納得できるのである。
その中から更にわたしは35首かを選んで元歌と訳に対する感想を記したが、字数の関係でここでは展開出来ない。記さざるを得ないほど、多くのことを思った。思うに、技巧の少ないこの歌に、人の気持ちのほぼ全てがあるやに感じるからである。
「百人一首 」小池昌代訳
百人一首を訳するに当たって、現代訳にこだわるあまりに詩篇の体裁を採ったように思えた。正直、成功しているようには思えなかった。もちろん詩篇となれば、大幅に文字を増やすことは可能だ。または、順番を変えて、大きく変更も出来ただろう。しかし、どうしても説明的な詩が多い。やはり井伏鱒二のような「意訳」ぐらい迄行かないと「詩」への変換は無理なのかもしれない。
百首なので、枚数が多いわりにはサクサク読める。訳・解説を読んで私的に発見があったのは16首、訳を素晴らしいと思ったのはたった1首である。
「新々百人一首」丸谷才一
冒頭の「鳥に泪を流させるのは、日本のみで、しかも平安期に限った流行であった」という丸谷の説明は説得力があったと思う。「近い将来、この伝統的で超現実主義的なイメージが優れた詩人によってよみがえる」(263p)という予言は、まだ実現されていない。それはおそらく、優れた詩が出来上がるだけではダメで、例えば人面魚が広く世に流布したような、「鳥の泪」が流布するような「事件」が起きなければならないとも思う。歌の言霊機能或いは古代的呪術性を重視すべき事を、この批評を読みながらわたしも再確認した。
人生の総てを歌を詠むことにかけるような世界。歌の下の恐ろしいまでの寓意の数々。それを表現するには、私などは、このような「文学評論」を作るよりも、小説にする方が、或いは21世紀の現在では映像表現にする方が、よほど表し易いように思われるのだが、残念ながら、日本にはそれは現れてはいない(と思う)。平安期の心理小説などは、ホントは私も読みたくはない。でも、そこに人間の営みの曼陀羅のような真実があるのだとしたら、観たいと思う。(今ふと思ったけど、だから源氏物語の現代訳が繰り返し繰り返し作られるし、この全集でも作られるのか!俊成・定家父子が「最も熱心な『源氏』読み」(341p)であったのだから、定家を日本文学史の最大の「支配者」(359p)と見なす丸谷を文学の師と仰ぐ池澤夏樹が、一方で日本人の心理を描くことを目指した本・日本文学全集を新しい『源氏物語』で終わらすのは、理の当然なのかもしれない)
池澤夏樹は、ひとつの歌を「ここまで深く読めるのか」堪能して欲しい、と書く(257p)。吉田健一は知らず、丸谷才一は上記の意味でわかりやすかった。
ひとつ。「新々百人一首」を「さんま坂百人一首」とすべきと言う池澤夏樹の提案には反対である。現代人はこの「さんま」という言葉に「タレント」という「言霊(イメージ)」しか感じない。もし場所で云うならば「目黒百人一首」だろう。それならば「小倉百人一首」と対になる。
2018年4月読了続きを読む投稿日:2018.04.27
『口訳万葉集』:万葉集の現代語訳を手掛けた折口信夫の著書より抜粋。折口信夫を知る上ではちょうど良い分量と難易度。
『百人一首』:現代の詩人である小池昌代による分かりやすい現代訳で,他2作に比べると浮…いて見えるが,『竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)』に近いテイスト。
『新々百人一首』:丸谷才一が自ら百人一首を手掛けたテキストより抜粋。和歌研究の深層に踏み込んだ内容を含む。続きを読む投稿日:2024.03.17
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。