藤森照信×山口晃 日本建築集中講義
藤森照信(著)
,山口晃(著)
/淡交社
作品情報
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先生役に路上観察的視点をもつ建築家・藤森照信氏、聞き手兼ツッコミ役に気鋭の画家・山口晃氏。その二人が、「集中講義」の名のもとに日本各地の名建築を見学し、発見や建築の魅力を語り合います。建築の魅力はもちろん、見学のさなかの珍道中や二人の愉快な妄想など、山口画伯のエッセイ漫画と対談とでたっぷり伝えます。時に大マジメに、時にユーモアたっぷりに、教養と雑談を交じえつつ繰り広げられる二人の掛け合いはまさに「爆笑講義」。寺社、茶室、城、住宅...知っているようで知らない日本の伝統建築の魅力を、二人の独特の視点から再発見!
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商品情報
- シリーズ
- 藤森照信×山口晃 日本建築集中講義
- 出版社
- 淡交社
- 書籍発売日
- 2013.07.29
- Reader Store発売日
- 2018.06.22
- ファイルサイズ
- 56.1MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (25件のレビュー)
-
これはタイトルを変えたらどうかな。「日本建築漫遊記」とかどうでしょう。
ほんとに真面目な「集中講義」かと思ってパスしてたのよ。東大名誉教授と天才絵師の組み合わせだもの。でもこのお二人、「路上観察学会…」と「ヱセイ漫画」の方でもあるわけで、いやまったく面白い。こういう本って他にあるかしらん。
山口画伯の絵については、もうあれこれ言う必要もないだろうけど、何とも味わい深く、実に楽しい。圧倒的な画力あってこその飄々とした筆遣いに魅了される。今更ながら「省略」の凄さに感嘆。ささっと描かれているのに、しっかり量感や奥行きがある。各章の扉となっている絵に特にそういう感じがあって、旧閑谷学校の回などすばらしい。ご自身をヒゲのオジサン風に描かれているが、実物は長身の男前。かっこいいなあ。
そして藤森先生がこれまたケッサク。えらい先生なのに、どこへ行っても言いたいことを言い、すぐに寝っ転がり、団体行動ができない。山口画伯による似顔絵がその雰囲気をすごくよく伝えていると思う。でももちろん、お話は深い。教養と見識に裏打ちされた「講義」はもっともっと聴いていたくなる。今でも学生を連れてあちこち見学に行かれるそうだ。学生たちがうらやましくなる。
ワハハ!と笑ったり、なるほど!と唸ったりする所があちこちにあるが、二箇所だけ抜粋。
(訪れた「聴竹居」のあまりに完璧なしつらえに辟易して)
藤森「あのさ、めちゃくちゃデッサンがうまくて有名な藝大の先生っていましたよね。合唱する女学生たちを描いた…」
山口「小磯良平でしょうか」
藤森「そう。もう、ヤだよねえ(笑)」
山口(笑いながらうなずく山口さん)
藤森「あまりに非の打ちどころがなくて、直しようのないものをつくれちゃう人がいるんだ」
この後、藝大時代デッサンは上手だったかと尋ねられた山口さん、「人並み、でしょうか」と答えていた。とんでもなくうまい人っていうのがやっぱりいたけど(白黒写真で撮ったようなデッサンなんだって)、そういう人は絵を描かなくなってしまうんだそうだ。ふーん。
(横浜の三渓園がお二人ともいたく気に入って)
藤森「僕の構想段階にある建築に『車の茶室』っていうのがあるんです。(略)本物の車を茶室化して、街を走って好きな所でお茶を飲む。今まで自家用車でそれができればと思ってたけど、船形の聴秋閣を見てたら、バスでやれば、と思ったの。『建築が走ってる』ように見えるのが大事!デザインは和風にしないだろうけど、フロントガラスは障子でね」
山口「しょ、障子ですか」
藤森「フロントガラスの障子をあけて『さあ、出発!』ってなかなかいいでしょ?運転手は僕で、車掌は山口さん(笑)」
藤森先生のご自宅であるタンポポハウス(屋根にタンポポが植えてある)や、茶室「高過庵」(名前通り木の上で揺れている)、「空飛ぶ泥舟」(ワイヤーで吊ってある)などを見ると、これがあながち冗談でもない所がすごいです。続きを読む投稿日:2014.02.25
建築ごとに扱いの濃淡が激しい気がする。
松本城の扱いなど非常にあっさりしている。いつの間にかフジモリ建築の話に傾く…
藤森センセイの気まぐれや歯に衣着せぬ蘊蓄開陳、そして山口晃、否、山愚痴屋らしいグチ…、ボヤきとが相俟って、いかんなく斜に構えた集中講義録となっている。
ただ、日本建築と、ヨーロッパやアフリカほかの建築とを比較する視座は新鮮だった。山口・藤森両氏の豊富な外遊経験そして鋭い観察眼があってはじめて為せるわざに違いない。各回講義で両氏が発見のよろこびを打ち明けあっているさまをみて、自分も訪れたいものだと切望。あんまり二人が楽しそうに語らっているから、ただテキストを読んで満足し、頭でっかちになるのを予防してくれる。沢木耕太郎『深夜特急』も並行して読んで、このご時世に禁断の旅行欲求が掻き立てられている。いかにせん。続きを読む投稿日:2021.08.26
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