光と影の誘惑
貫井徳郎(著)
/創元推理文庫
作品情報
銀行の現金輸送車を襲い、一億円を手に入れろ――。銀行マンの西村は、競馬場で出会った男とすぐに意気投合した。ギャンブルに入れ込む自分を非難する妻から逃げたい。ひと旗あげたい。鬱屈するような日常に辟易した二人の男たちが巧妙に仕組んだ、輸送車からの現金強奪計画。すべてはうまくいくかのようにみえたのだが・・・・・・。男たちの暗い野望が招いた悲劇を描いた表題作ほか、平和な家庭を突如襲った児童誘拐事件、動物園での密室殺人、ある家族が隠し続けた秘密など、名手が鮮やかなストーリーテリングで魅せる、珠玉の傑作中編ミステリ4編。
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商品情報
- シリーズ
- 光と影の誘惑
- 著者
- 貫井徳郎
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2010.11.12
- Reader Store発売日
- 2013.04.12
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 342ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (22件のレビュー)
-
四作からなる短編集。
まず、「長く孤独な誘拐」にて出鼻をくじかれた。誘拐犯からの要求は「アル家族ノ息子ヲ誘拐セヨ」。息子を誘拐された側がとある家族の子供を攫う誘拐犯になる、そんな素敵過ぎるプロットに勢…い良く食い付いた私は鼻息荒くしながら読み進めていた。のだが...、
むむ、確かにイヤミスで間違い無いのだが、これだとどの流れでも成立してしまう。伏線に期待するような作風では無い事を悟った初手だった。
続いて、「二十四羽の目撃者」
動物園での発砲事件、現場は実質密室状態。保険金殺人を上司が疑い現場に繰り出される事となる本作の主人公、探偵役となるミステリ好きの「おれ」がまさにペンギンの如くパタパタ動き回り、興味の赴くまま見当違いな推理を極悪面警察コンビに披露し怯える姿はとても愛狂おしくやはり前半は楽しい。
しかし、不意のアメリカン仕様はピストルを使う為の措置なのだろうが、言い回しや景色に違和感が大きく、私の拙い想像力では背景を補う事が出来なかった。最終的にはコナン君もびっくりなスーパー過ぎる閃きで強行突破だ。アクション映画ならスタンディングオベーション。
「光と影の誘惑」
タイトルにもなっている代表作。
ギャンブル依存の男二人が結託し、強盗を企てる。順調にセオリー通りの裏切りを経て、待ち構えているのは作者の仕掛けた巧妙な罠。だがしかし手法は今では使い古された定番物であり、驚きは少ない。更にそれを補強する為の細かい辻褄が絶妙に合わないので何だか心の居心地も悪い。昔の作品だから...でフォローされてしまうのは致し方ない気がしてきた折り返し地点の三作目だった。
「我が母の教えたまいし歌」
ここまで私的散々な結果にはなっていたがモチベーションは保たれている。
過去を振り返る皓ちゃん。父と母、そして姉の存在、んむ、複雑ではある。しかしこれを語る上に80ページは少な過ぎるし、収めるには登場人物が多過ぎた。みなみなの皓ちゃんとの繋がりにあまり重要性が無い。全体像が朧気ながら見えてきた頃には「伏線大丈夫か...」と、おろおろしたがなんのその、確か一作目にてその心配は無用だった事を思い出す。そもそも私が伏線だと勝手に盛り上がっているのが悪い。
勿論、終着にはそれなりの衝撃が仕掛けられているのだがなんかその...例えるなら...うん...静電気みたいな感じ...( ´•ω•` イテッ)
ーーーーーーーーーーーーーー
散々ぶーぶー言ってはいるが、結末が私的に物足りなかっただけであって、どれも流石の演出だった。【誘拐・密室・強奪・告白】と、テーマが完全に私の癖にドンピシャして来る。これは罪だ。良い罪。実際どれも読み終えたからの文句であり、経緯はしっかり楽しんでいたもの。やれやれ、我ながら狡いと思う。
ペンギン系メンズの「おれ」の存在以外はALL曇天使用なので胃もたれに注意。「イヤミス」を求めるブラックな己が見え隠れした時、第二のデビル人格を沈めるお薬要員としてこの作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。あぁ、もっと刺激の強い処方をお求めであればいつでもご相談下さい...(含)続きを読む投稿日:2022.02.26
貫井ファンとしては、この話はどんな方法で読者を裏切ってくれるのだろう?と期待を上げて読み始める。圧倒的な人の心を描ききる筆力に引き込まれるあまり、忘れた頃にいきおい裏切られる。
投稿日:2022.04.22
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