便利な購入方法
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福井城下で福松と別れた兵馬は長浜に戻り、竜之助、お雪の名を記す卒塔婆に出会い、胆吹では廃墟と化した王国を前に立ちすくむ。その王国を見限ったお銀様は、京山科で再び巨大な財力を背景にした新たな計画を企てていた。一方、竜之助は新撰組の一派と過ごしたのち、寂光院の尼僧のもとに寄宿する。駒井らの船は椰子林がある無人島へ到着、新生活の建設に着手する。また与八は、子供たちの教育や荒地開拓に情熱を傾けていた……。「山科の巻」「椰子林の巻」を収録し、完結。
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駒井の率いる無名丸が釜山を出帆、大海原へ乗りだした。白雲、七兵衛らを加えた総勢十六人。それより先、琵琶湖で死かけた竜之助とお雪は、はからずもお角に救われた。ついで京山科へ向かった竜之助は、新撰組の一派に出会う。一方お銀様は、娘のその後を見届けに来た父・伊太夫に対面すべく胆吹をあとにした。王国の留守を託された青嵐居士は、迫り来る一揆を迎える備えにかかった……。「京の夢おう坂の夢の巻」「山科の巻(一~四十七)」を収録。
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夜ごとに徘徊する竜之助の探索に出た米友が役人に捕まった。近在には一揆の気配が高まっており、その一味と見られた結果だった。お銀様は竜之助を長浜に隠れ住まわせ、お雪に世話を託した。ある夜、二人は湖に船を漕ぎ出すが、漂う船で激情にかられたお雪は竜之助に、死にたいと口走る。お雪にのびる竜之助の腕……。そのころ胆吹山麓ではお銀様が怒りにもだえていた。群がり来る人々は皆、理想どころか、甘い汁を吸おうとするばかりで、夢の王国がぐらつき始めていたのだ……。「恐山の巻」「農奴の巻」を収録。
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駒井の率いる無名丸からマドロスともゆるが脱走した。駆落ちである。探索に向かった絵師白雲は二人を発見し、そのまま恐山へと足をのばす。それより先、薬草探しに出かけた道庵は山中で道に迷い、偶然にもお銀様の胆吹王国にたどりつく。時を同じく、遊魂のように竜之助が現れ、長浜の町で夜な夜な辻斬りの横行におよぶ。一方江戸では、お絹が築地の異人館に入り浸り、神尾は根岸の屋敷で酒に荒れていた……。「新月の巻」「恐山の巻(一~百四十六)」を収録。
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米友、弁信、お雪らの助力を得て、お銀様は胆吹山麓の開墾を指揮していた。ある夜、お雪の夢に竜之助が出現し、「人間という奴は生むより絶やした方がいい」とうそぶく。それより先、甲州へ赴いた与八は有野村で働いていたが、地蔵菩薩を彫る彼を村人は木喰上人の生まれ変わりと畏敬しはじめる。一方、兵馬は高山の芸妓福松に口説かれ、加賀白山へ旅立つ。途上、仏頂寺と丸山に出会うが、なんと二人は自殺して果ててしまう……。「胆吹の巻」「新月の巻(一~五十九)」を収録。
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代官の妾を伴い近江・美濃の国境へ到った竜之助は、女の口舌をよそに宿をでた。時を同じく、関ヶ原を一人さまようお銀様は、お角に託された米友に追いつかれる。尺八の音に誘われて、二人は竜之助との劇的な邂逅を果たす。不破の関で語りあううち、お銀様は熱っぽく「理想の国」建設を説きはじめる。一方、関ヶ原合戦の模擬戦を企てた道庵は雲助を率いて悦に入っている。絵師白雲は奥の細道をたどりつつ飄々の旅を。そして駒井は再び仙台湾へ……。「不破の関の巻」「白雲の巻」を収録。
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お松は七兵衛の手助けで洲崎へと到る。登との対面をはたし、お君を偲ぶ駒井。それも束の間、暴徒の襲撃を恐れ、お松、マドロス、茂太郎とともに新造船で海上へ。それより先、高山相応寺へ移った竜之助は血の渇きに眠れぬ日々を送る。ある夜、好色な代官にお雪がさらわれる。まもなく代官屋敷の暗闇に白刃が一閃、代官の首が飛ぶ。その直後、街道を急ぐ二つの駕籠の姿が。はからずも竜之助は代官の妾との道行き、美濃の金山へ……。「弁信の巻」「不破の関の巻(一~三十九)」を収録。
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飛騨高山を前に竜之助とお雪は火災に見舞われ、からくも川原へ逃れた。白骨で鎮まっていたものの封が切れたのか、再び竜之助の血がざわめき始める。同じころ兵馬は高山の代官屋敷に逗留、好色な代官の妾に手を焼いていた。一方、マドロスの行状から謀反を企むと騒がれた駒井は洲崎退去を決心する。その駒井の一子・登を伴い、お松は青梅をあとに洲崎へ。なぜかお松との同行を拒む与八は、郁太郎を背に甲州へ向かうが……。「勿来の巻」「弁信の巻(一~二十)」を収録。
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竜之助との間を理由ありげに噂され、お雪は不安を募らせていた。宿を訪れる人がみな、竜之助を捜しているように見えてくる。ついには白骨を去り、白川郷へ向かおうと決意する。そのころ兵馬は飛騨高山に歩を進めていた。一方、お銀様は再び故郷を離れ、お角に同道して鳴海、熱田へ。道庵と米友もまた、木曽から尾張へ入り、名古屋城天守に登って御満悦。ある夜その城中奥深く、がんりきの百蔵が忍び入った……。「年魚市の巻」「畜生谷の巻」を収録。
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竜之助を追って兵馬は雪の白骨へ到ったが、竜之助を見出せぬまま、空しく去る。それより先、お銀様の帰郷した有野村で火災、継母とその子が焼死した。荒れる気持ちをもてあますお銀様。そんな彼女と別れ白骨へ向かう弁信に、行くのはよせと声がする。一方、安房洲崎では駒井の食客となったマドロスが、沈没船を探索する毎日。そこに聞こえるのは茂太郎の唄う即興歌、ハライソ、ハライソ……。「鈴募の巻」「Oceanの巻」「年魚市の巻(一~二十八)」を収録。
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与八が竜之助の一子・幾太郎を養育する武州沢井町。当地で寺子屋を開いたお松は、多忙ながら、充実した日々を送っている。一方、染井の屋敷を焼き、下野栃木に逼塞していた神尾主善は、再び江戸へ舞い戻った。根岸に隠れ住み、悪仲間とよからぬ企みに耽る。そのころ、武士あがりの大道絵師・田山白雲が茂太郎を伴い、安房洲崎に駒井甚三郎を訪ねた。その駒井の試験所に或る夜、碧眼の異国人が闖入した……。「みちりやの巻」「めいろの巻」を収録。
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お雪にともなわれ、信州白骨の温泉へ赴いた竜之助は、しばしの安息を得て目を癒す日々。その竜之助を仇と狙い、旅を急ぐ宇津木兵馬。一方、お銀様は慕い追う竜之助の探索をいったん断念、故郷の有野村へ向かった。時を同じく、がんりきの百蔵に茂太郎をさらわれ、うらびれた独り旅を行く弁信。また米友とともに京大阪をめざし、医師道庵が街道をゆらゆら歩む。中山道筋に展開する道中模様……。「流転の巻」「みちりやの巻(一~十三)」を収録。
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