辺境の小村ランシルバに通じる街道で“貴族の口づけ”を受けたドリスは、吸血鬼ハンターを探していた。西暦12090年、長らく人類の上に君臨してきた吸血鬼は、種として滅びの時を迎えても、なお人類の畏怖の対象であり、吸血鬼ハンターは最高の技を持つ者に限られていた。そしてドリスが、ついに出会ったハンターの名は“D”、旅人帽を目深に被った美貌の青年だった。
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かつて貴族の研究室があった孤島から白い霧が流れ出ると、付近の漁村の住民は貴族の下僕と化して姿を消す。幾たびか起こった悲劇が、今またメグの村を襲った。町の治安官は賞金稼ぎを雇って孤島に渡り、村人の消息を確かめようとする。途中メグは荒れ狂う海で、やはり島を目指すもう一艘の小船に美しい人影を見た。Dであった。一体誰が雇い、何のために彼は島に渡るのか。霧に包まれ、怪異に満ちた貴族の島に。
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大貴族・ゼノ一族はかつて村人の騙まし討ちに遭い、居城で惨殺されて滅亡した。かろうじて難を逃れたゼノ・ギリアンと四人の従兄弟は、三百年後に眠りから醒め、殺人者の子孫に復讐を開始する。最初の標的となった村長の娘アネットは、旅の途中の危機をDに救われ、そのまま護衛に雇おうとするが、Dの本来の目的は<辺境>を疾走する巨大列車“鉄の城”の主、ドラゴ大公の抹殺にあった。
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《彼は弟です。その勝負、譲ってください》。貴族の若い墓守りと刃を交えようとしたDに懇願し、吸血鬼と化した弟を自らの手で屠った美貌の女戦士は、名をイリヤと言った。一家が貴族に襲われ、ひとり生き延びたイリヤは、こうして呪われた存在となった兄弟を斃す旅をつづけているのだった。だが、平凡な娘としか見えぬのに卓越したハンターの技倆を持ち、優しさと非情さが混在するイリヤは、大きな謎を秘めているようにDは思えてならなかった。
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シーラ山の雪に閉ざされた山腹を突き破って出現した城の内部には、城主である最凶の貴族ギルゼン、彼を守護する騎士団と兵士の他にも、恐るべき存在がDを待ち受けていた。一万年前に不時着してギルゼンに捕獲され、吸血鬼と化した異星人である。ギルゼンは異星人の超技術を使って、己を含めた住人もろとも城を時の流れから切り離していたのだった。蘇ったギルゼンの願いは、<神祖>に対抗する野望の実現である。それには、Dが必要だった。
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貴族が入った柩を「都」へ搬送中の飛行隊が、シーラ山に不時着した。貴族の名はギルゼン。仲間の貴族でさえその存在を忌み、何重もの鎖を巻いた柩に収めて地底深くに封じたというほどの、悪鬼として名高い貴族だった。柩と貴族の回収を依頼されたDは、吹雪が荒れ狂う山に向かう。同行するのは、Dの意志に反して集まった、男女二人のハンター、女医とその護衛、父親を探す少年の面々。跳梁する妖物や山人を相手しながら、苛烈な山行が開始された。
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Dの眼前で五千年の眠りから覚醒したマキュラー男爵は、その容姿といい行動といい、従来の貴族の概念からは遠くかけ離れた珍妙な存在だった。だが、彼は、彼自身がそうであるように陽光の下で生きる貴族を作り出す方程式の解を手にした研究者であり、その研究材料として多くの人間を惨殺して告発された貴族でもあった。移動裁判所への護送の任務を負い、男爵と行を共にすることになったDに、男爵への欲と怨みにかられた多くの敵が襲いかかる。
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Dがジェネヴェの村に入った直後に戦いははじまった。潜入していた尖兵が吸血蝙蝠を放ち、擬似吸血鬼に率いられた<黒死団>の本体は村から五〇キロの地点にまで追っていた。狙いを付けられた村は老練な村長と新参者の治安官の指揮の下、Dを雇い、流れ者の傭兵も可能な限り動員して、総力戦の態勢を整えようとした。だが、敵は単なる凶悪な無法者集団ではなかった。真に恐るべき敵・擬似吸血鬼が次第にその牙をむきはじめたのだ。
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ボセージの町から今は廃墟と化した貴族の城へと延びるフローレンス街道に、かつて貴族がこしらえ、恐怖の的となっていた傭兵が甦り、住民を襲いはじめた。町は救出チームの派遣を決定し、Dと男女二人の戦闘士が依頼を受けて死の街道へと乗り出した。逃げ遅れた少女を拾い、巨漢の元貴族ハンターや強盗団のリーダーまでもを巻きこみながら、奇妙な混成部隊は傭兵の執拗な攻撃の中を貴族の廃城へと向かう。
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貴族の“遊戯地”として恐れられる死の谷間に『都』に向かう乗り合いの飛行車が不時着した。やくざ、酒場女、老夫婦、戦闘士、少年、そして謎の“サクリ”とそれを護送する護送官ら二人。この奇妙な取り合わせの乗客たちは、死の谷間からの脱出の成否を居合わせたDに託したいと願った。しかし、Dがこの谷間を訪れた目的は、昔“神祖”の軍と戦った貴族の砦を訪れることにあった。果たして、前途に待つものは・・・?!
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初めて本格的に刃を交えたとき、ヴァルキュアはDを異空間に送り込みその力を見極めようとした。五千年前、宇宙に放逐されたこの“絶対貴族”の思いは、いまや己の操り人形と化したマシューとスー、そして致命傷を負わせた二人の貴族への復讐よりも、DとDをこの世に送り出したものの方へと向けられているようであった。“神祖”の痕跡が刻み込まれた黒き鋼の大地で最後の壮絶にして奇怪な戦いが始まった!邪王星団ここに完結!!
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苛烈な戦いを切り抜け、Dとブロージュ伯爵は、七人目の刺客スーラに連れ去られた兄妹を追ってラモアの砦を出た。標的たち、とりわけDを己の領土におびき寄せようとするヴァルキュアの意図とは別に、刺客たちは容赦なく一行に襲いかかる。水妖ルシアンをDが、伝道師クールベをミランダが斃したものの、スーラを背後で操る新たな敵が出現した。キマという名のその刺客は、なぜかDをよく知る者のようであった。
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ガリオンの谷間でDを待ち受けていたのは、五千年の眠りから覚めた反陽子コンピュータ“シグマ”だった。Dはシグマが生み出す幻覚攻撃に耐えて人質の兄妹を救出するが、ブロージュ伯爵を失い、ミランダ公爵夫人も行方不明のままに終わる。兄妹を守って『砦』に向かう孤高のDに、シグマが生み出す新たなる刺客と、生き残ったヴァルキュアの七人が渾然一体となって襲い掛かった!
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