便利な購入方法
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わたしはもはや武士ではありません。思うところあって刀を捨て、包丁を選びました。刀は人を殺めます。包丁も生あるものを切りますが、正しく成仏させれば、一皿一皿、一椀一椀の料理に変わります。その味が食べていただいた方の気持ちをほぐし、素材は生まれ変わって血となり肉となります。そして、ときにはそれが、人生の一椀になったりもするのです。
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元は武家だが、わけあって刀を捨て、包丁に持ち替えた時吉の「のどか屋」に難題が持ちこまれた。婚礼の寸前に花嫁が不治の病に倒れたが祝言は挙げたいと願う二人のために両家の親たちは「いつの日か、あの世でも来世でもいい、どこかで二人がめぐり合い、今度こそ倖せになれるような、そんな思いのこもった“倖せの一膳”をつくってほしい」というのだ。
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刀を包丁に持ち替えた元武家の料理人時吉の「のどか屋」に天下一品の豆腐を卸している相模屋の主が病に倒れた。このままでは裏長屋の小さな豆腐屋の絶品な味がとだえてしまう。時吉と常連客たち、長屋の住人が起死回生の策で立ち上がった(表題作の『結び豆腐』)。他に『思い出の一皿』『蛍火の道』『「う」はうまいものの「う」』を収録。時吉の小料理が人々の心をほっこり温める。
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冬の江戸の町に強風が吹き荒れるなか、神田三河町の茶漬屋から上がった火の手は、元武家で刀を包丁に持ち替えた料理人時吉の「のどか屋」にまで迫ってきた。師匠の娘おちよと客を一足先に逃がした時吉は、猛烈な火勢と煙のなか、風上に向かって走りだしたのだか……。喧騒のなか、どこからか赤子の鳴き声が聞こえてきた。しかし、火はもうすぐそこまで迫っている……。
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江戸の大火で店を消失した「のどか屋」の時吉とおちよは、さまざまな辛苦の末、神田岩本町に新たな小料理の店を開くことができた。やがて新しい客もつきはじめた頃、同じ町内に異形の料理人が店開きし、呑み放題、食べ放題の無料大料理で「のどか屋」を潰しにかかる。そして、お互いののれんを賭けた味くらべの罠が……。その裏には札差と悪徳医者の黒い思惑が隠されていた。
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元武士で刀を包丁に持ち替えた料理人時吉と恋女房おちよの店「のどか屋」に、常連の客、隠密「黒四組」組頭の安東満三郎が顔を出した。ある“やんごとなき御方”がお忍びで食した「のどか屋」の料理をもう一度味わいたいが外に出られない。出張料理をしてほしいというのである。その後、立派な駕籠で向かった先は、なんと江戸城であった。はたしてこの出張、吉と出るか凶と出るか。
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刀を包丁に持ち替えた元武士の料理人時吉が大川の土手を歩いていると突然、激しい雷鳴が轟きわたり目もくらむ閃光が走った。……と、稲妻に照らされた草むらに若い男が倒れている。男を駕籠で己れの店、小料理のどか屋に連れ帰った時吉は、正気づいた男から、世にも不思議な話を聞かされた。男は時吉たちの末裔だというのだ。しかもそれを裏づける事実が次々と……。
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武士を捨て料理人となった時吉と女房おちよの店「のどか屋」に、顔に火傷の跡が残る若い男が何度も訪れ、弟子にしてほしいと頼む。先頃の火事で料理人の父と母を亡くし、店も失ったという。時吉の料理の師であり、女房おちよの父である長吉のすすめもあって、若者は一からやりなおす覚悟でまず「初心の屋台」を引いて街で修業することになったのだが、そこで事件が……。
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山間の小藩、大和梨川藩城代組小頭の磯貝徳右衛門は、故あって武士を捨て江戸に出、料理人時吉となった。今は女房のおちよとともに岩本町にその見世ありと評判の小料理のどか屋のあるじである。そこに常連の二人の大和梨川藩士が顔を見せて、相談事があるという。遠い国許で闘病中の藩主に、身罷られる前にもう一度、江戸の料理を食していただきたいというのである。
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男児ばかり連続誘拐(かどわかし)!
江戸を騒がす魔の手はのどか屋の千吉坊にも。
武士を捨てて江戸に出て料理人となった時吉は、女房おちよとともに岩本町で小料理のどか屋を営んでいる。二月初旬、神田多町の湯屋から火が出て、大火となった。時吉とおちよは、救け屋台を引いて、焼け出された人たちのために「希望粥」を炊き出して回った。折しも江戸では、男児ばかりが行方不明になるという奇妙な事件が連続していた。やがて時吉たち夫婦の身にも……。 -
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愛娘と恋女房を残して旅から旅の古参料理人。
胸に迫るは望郷の想い。
侍を捨て料理人となった時吉とちよの「のどか屋」に包丁一本を晒に巻いた凄腕の料理人が舞い込んだ。
小田原を出て二十年という。
侍の身分を捨て江戸に出て料理人となった時吉と女房おちよの「のどか屋」に、尾羽打ち枯らした古参の料理人が舞い込んだ。小田原で料理の店を出していたが、二十年前に包丁一本を晒に巻いて、味の修行の旅に出たという。残してきた愛娘と恋女房への想いは深まるばかりだが、近くまで行っても、今さら会えぬと強がりを言っていたのだが……。
****今回登場するお料理****
薄切り野菜の煎餅
鱚の金麩羅(きんぷら)
帆立貝の炊きこみご飯
焼き柿
小判焼き(出し巻き玉子)
紅煮(くれないに)
鞍馬ごはん
平貝(たいらがい)の西京焼き
甘鯛の蕉蒸し
高野豆腐の唐揚
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大火に逃げ惑う人々。でも人の情がある限り江戸の町は負けない!
のどか屋が焼け落ちても、身ひとつ、命さえ助かれば、いくらでもやり直せる!
……と、赤子の泣き声が。捨て子? 放ってはおけない。
武士を捨て江戸に出て料理人となった時吉は、女房おちよと岩本町で小料理のどか屋を営んでいる。昼飯の客で賑わう見世に、半鐘の音が飛び込んできた。火は近い。早く逃げないと大変なことになる。背に小さな倅を背負い、女房と風下に向かって逃げ出した。……と、火の粉が舞う道の端から赤子の泣き声が聞こえる。捨て子か、双子の赤子だ。放ってはおけない。
《今回登場するお料理》
昼御膳(若芽雑炊・焼き魚・切干大根煮付け)
山家(さんか)寿司
寒鰤の照り焼き
たたき牛蒡の胡麻酢和え
炒め飯
ほうとう鍋
おでん鍋
幸い飯(大根菜飯)
風呂吹き大根 -
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