文学
「いき」の構造
あらすじ
例えば、「いき/粋」という言葉を外国人に説明するとき、いくら言葉で尽くしても、どうも説明できない気がする。それは、哲学者九鬼周造は考えたように、「いき」という言葉が、外国語に相当するものがなく、日本独自の概念だからだろう。それは、「異性への媚態」であり、「江戸文化の意気地」であり、「諦めと恬淡」であると九鬼は定義する。もう少し違う言い方をすれば、「垢抜して(諦)、張のある(意気地)、色っぽさ(媚態)」だと。どうにも抽象的に聞こえるが、日本人にはなぜか感覚として通じてしまう。感覚としてわかるものを、言葉によって定義するという哲学の基本であり本質を持ちながら、他に類をみない日本文化論でもある。

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