ドリームタイム
田口ランディ(著)
/文春文庫
作品情報
ドリームタイムとは、オーストラリアの先住民族アボリジニの時間概念。スピリチュアルな世界における、時間の感覚みたいなものを指す言葉。ピエロ男、トイレの神様、フリーダ・カーロの女、乳房に紫色の肉の花が咲いているおばあちゃんなどが現われては消え、アイヌのシャーマンと沖縄のヌルが霊能力で対決する……まさに『千夜一夜物語』の趣き。夢ではない。現実でもない。この地球に起こっていながらふっと別の時空に迷い込んでしまうような、世にも奇妙な13の物語。
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商品情報
- シリーズ
- ドリームタイム
- 著者
- 田口ランディ
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2007.09.10
- Reader Store発売日
- 2010.12.01
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 300ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (15件のレビュー)
-
・「生まれる前は、どんなところにいたの?」
「どこでもないところ。でも、ここなの。同じだけど違う。近くだけど遠いの。そこは通り道であっちでもこっちでもないの」
・「おばあちゃんのガンは、どうしてお花…になったの?」
「お花になりなさい、って言ったから」
「それだけ?」
「うん。だって、なんだって何にでもなれるんだよ。最初はみんな同じものだったんだ。だから、なんだって、なりなさいって教えてあげれば何にだってなれるの。あの子たちは、自分が何になるかわからなくなってしまったの。ときどき、そういうことがあるの。だから、花になりなさいって教えてあげた。元に戻るのは難しそうだったから」
・「僕は長いこと、自分はとても取るに足らないつまらない人間だと思ってきました。僕には僕の感じ方で見ている世界があったけれど、それを他人に話すこともできないし教えることもできない。ましてや共有することなんてことはもちろんできない。だから、僕はいつも他人に合わせているしかなかったし、他人に長いこと合わせていると自分がゾンビみたいになって、なんだか本当に魂が抜かれたような状態になっちゃうんです。ところが、あるとき偶然に、一枚の写真と出会いました。それは特別な写真で、ピンホールカメラというとても原始的なカメラで撮った写真だったんです。僕はその写真に魅了されました。なぜなら、その写真の世界は僕が感じている世界ととても似ていたからです。自分がなんとなく感じている世界が、目の前にあった。すごくうれしかったんです」
・「写真というのは、とても不思議なものです。写真は人間の手によって描かれた画像ではなくて、モノが発する光によって、モノが自分自身を映したものです。撮っているのは人間だけれど、でも、どう撮られるかは、モノが決めているんです」
「モノが?」
「そうです」
「どうやって?」
「自分の意志で」
・シャクだけれど、彼の言う通りかもしれない。問題は常に私にある。私は何を表現し、何を世界に伝えたいのか。それを見失っていたのかもしれない。表現は私の裡なる光であるのに。
・「これ以上、わかりやすくどう説明したらいい。この世界は大きな二つの渦巻きによって成り立っている。右回りと左回り、広がるものと集まるもの、それらがバランスをとりながら約束のもとに永遠に踊っている。すべては偶然であるし、すべては決まっている。その自然の力を、蘇生の池の水は人間に蘇らせる」
・「思い出せば・・・、の話だ。思い出した者だけが変えられる。この世界には過去も未来もない。すべてが重なって存在する。ただ絶妙の、バランスがあるだけ。それが神だ。未来を変えるためには傲慢を捨て、そのバランスを知ればいい」
・「着物はね、呪術なんです」
「え?呪術ですか?」
「そうです。最高のシールドです。着物というのは、人間を梱包するように紐で結ぶでしょう。あの結ぶという行為がすでに呪術なのです」
「ほうほう」
・「私ね、実は、田口さんが私のことをどう書いてくれるか、それを読んでみたかったの」
「へ?」
「書いてくれって言ってるんじゃないんですよ。田口さんのエッセイに出てくるお友達って、田口さんの視線で編集されてて、それがとてもいいなあ、うらやましいなあと思っていたんです。だから、私も田口さんの視線のなかに入ってみたかったんだと思う。そして、私がどんなふうに見えるのか、田口さんの世界の登場人物になってみたかったんだと思う」続きを読む投稿日:2019.02.10
不思議で切ない13の物語っていう解説通り。
別の大きな世界があるような気がしてきた。
とてもいい作品。投稿日:2021.10.07
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