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麦ふみクーツェ(新潮文庫)
麦ふみクーツェ(新潮文庫)
いしいしんじ/新潮社
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総合評価

162件)
4.1
56
53
38
3
0
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    友だちが貸してくれたので読んでみた。はじめてこの作家の小説を読んだが、大人の童話って感じだ。 ばかでかい僕と、数学で頭がいっぱいのお父さん、音楽を愛するおじいちゃん。 学校の用務員さんや郵便局員、肉屋さんが参加する町の楽団をおじいちゃんが取り仕切っていて、ぼくもそこに猫の鳴き声で参加する。 いろんな音が多様に奏でられ、音楽があるなかで、いろんなお話が紡がれていく。 小さな港町で起こる出来事は、ねずみが空から降ってきたり、とても人当たりの良いセールスマンに町中が詐欺にあったり、 それでお父さんが大変なことになったり、音楽が奏でられなくなっていた町の人を用務員さんが救ったり。 町を出て音楽学校にすすんだ僕だけど、学校になじめず、かわりに毎日通ってた図書館で盲目のちょうちょおじさんと知り合いになったり。 ちょうちょおじさんが仲介してくれた世界的なチェロリスト(すごくへんてこで変わり者だけど、とっても愛嬌がある)に音楽を教えてもらったり。そこで、チェロリストの娘の「みどり色」と出会ったり。 ばかでかい僕がいろんな人と出会い、いろんな経験をして、少しずつ、少しずつ、成長していく。 物語はなんだか懐かしいような、あたたかいイメージが心に浮かび、挿絵などひとつもないのに、 まるで絵本を読んでいるような不思議な感覚になる。 心を休ませたいときやちょっと一歩立ち止まりたいときに、またこの作家の本を読んでみようかな。

    2
    投稿日: 2025.09.13
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    ちょっと読みづらかったり途中で飽きてしまったりで、読み進めるのに時間がかかったけれど読了。 この物語、映画で観てみたいなぁ。 表紙のデザインからほんわか系を想像していたら 、ショッキングな出来事もたくさん起こるお話で意外だった。でも暗く嫌な気分にはならない不思議な空気感。 心に残るメッセージも散りばめられていた。 いいも、悪いも、ない。 大きい小さいは、距離の問題。 地図の道筋どおりにはいかないし急に壁が現れることもあるけど、それでも進んでいくしかない。 合奏は、楽しい。 この世に存在するもので打楽器にならないものはない。

    0
    投稿日: 2025.06.07
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    【2025年36冊目】 素数にとりつかれた父と、音楽にとりつかれた祖父。誰よりも身体の大きなぼくは、ねこの鳴き真似が上手く、「ねこ」と呼ばれている。ある真夏の夜、ぼくはリズムよく鳴らされる不思議な音を耳にする。それは麦ふみクーツェの足音だった。 大人向けの童話のようなお話、もしくは絵のない絵本、という表現が自分の中でしっくりくる一作でした。連作短編集というわけではないと思うのですが、章ごとにタイトルがつけられていて、ゆっくりゆっくりと物語は前に進んでいきます。 ありそうでなさそうな、ちょっぴりファンタジーも入ったお話。読み聞かせしたくなるようなリズム感。もしかしたら、Audibleと相性が良いかも。 どういった人生を歩んできたかで、この本との向き合い方はがらりと変わるような気もしました。

    0
    投稿日: 2025.03.25
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    いしいしんじさんの著書を初めて読んだので、読み初めは進みにくく感じましたが、大事なことが散りばめられていると思い、もう一度繰り返してゆっくりと読みました。 本当に良いお話でした。「大きい小さいは距離の問題」、忘れない言葉になると思います。 打楽器にこんなに寄り添った物語があるなんて、奏者は読むと嬉しくなるのでは。

    1
    投稿日: 2024.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    麦ふみクーツェ 主人公のねこはティンパニー奏者のおじいちゃんと数学教師のお父さんと暮らしていました。おじいちゃんは町の吹奏楽団の指導に没頭し、お父さんは素数に取り付かれてだんだんと奇行を繰り返すようになります。 鼠が大量に降ってきたことから町の調子がおかしくなっていき、一段落したところで現れたセールスマンによってとても大変なことになってしまいます。そんな町の物語と、音楽学校に留学していたねこの周りの物語が平行して語られていきます。 とても感心したのが、ゴシップのスクラップを趣味とするねこのクリップする物語の小さな謎解きや、その登場人物のお話が各所にちりばめられている構成で、とても楽しむことができました。 なめらかに体が動かない用務員さん、盲目のチェリスト、盲目のボクサーであるちょうちょうおじさん、そしてやせっぽちでとても長身なねこと、普通の人と比べると風変わりな登場人物の少しもの悲しい物語や人生訓がとてもやさしく心を打ちます。 連想したのは、村上春樹氏を思わせるちょっと奇妙な登場人物と不思議な物語の中に、寓話やふと心を打つ言葉がちりばめられていることと、ジョン・アーヴィングの小説のようにとてもたくさんの人があっけなく死んでいくことです。連想は連想として、作家の想像力というのはかくも豊かであるということを堪能できるとてもすてきな物語を皆さんの楽しんでみてください。 竹蔵

    0
    投稿日: 2024.07.19
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    動物が死ぬのは良くない。人間も死ぬけど。 ヘンテコな人がたくさん出てきて、気を使ってしまうようなソワソワ感がある。ただ本人たちはヘンテコであること、ヘンテコなことは一番に危険な目に遭うこと、色々を理解していて、その上で目立たないようにではなくてやりたいことや特技を磨く。それがヘンテコさに誇りを持つ方法らしい。ヘンテコじゃなくても人間はそう生きるしかないんじゃないかなと思う。

    0
    投稿日: 2024.05.22
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    人生相談で、いしいしんじさんの回答を見て、素敵な人だなぁと思ったのでこちらを手にとってみました。 ですが、わたしにはまだ早かったのかもしれない… 文章はとても綺麗でわくわくします。 文の節々にどこか少年を感じます。

    0
    投稿日: 2023.08.10
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    読むのに時間がかかりましたが、読み終わってしまうのが惜しいような、長編大作でした。 ファンタジーが好きなので私にはとても面白かったです。どんな本とも似ていなくて、独特でしたし、登場人物が、際立っていました。

    0
    投稿日: 2022.04.24
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    混沌と秩序、呪いと祝福、グローバルとローカル。 相反するものと出会い、葛藤することで世界は動いていく。

    0
    投稿日: 2022.04.14
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    一気に読み切ってしまいました。同じリズムで流れていても、音楽は先へ先へと進んでゆきます。変わらないことを抱えながら(あるいは信じながら)、自分に出来ることを黙々と続けることが大切なんだなぁ、と改めて気づきました。 僕たちはみんな「クーツェ」なんですね。

    1
    投稿日: 2021.09.25
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    この世で出会う、たくさんの出来事。 自分という人生を初めて生きる僕たちは、翻弄され、右往左往し、コテンパにされることも度々だ。 自分て何者なんだろうとか、生きるってどういうことなんだろうとか、そんな、答えのなさそうな問いかけにについて思い悩んだりして、途方にくれて、くたびれることも数知れない。 でも、そんなこんなも引っ括めて、生きるっていうことなんだって思う。 色んなことに直面して、少しづつ自分がいったい何者なのかってわかってくる。 自分が生きるっていうことが何なのかが見えてくる。 自分の周りに起こることをちゃんと受け止めること。 正しいとか間違ってるとかじゃなくて、ありのままを受け止めるってこと。 それが大事そうだって、やっと最近分かるようになってきた。 麦ふみとは、霜が降りるような寒い冬の日に、霜で盛り上がった土ごと若苗の麦をふみつぶすこと。そうすることで麦が力強くよく育つそうです。そうしないと、麦が弱くなって実りもすくなくなってしまうそうです。いい苗も悪い苗もなく同じようにふみつぶす。つぶれてしまってダメになった麦も畑の肥料になって役立つそうです。 それが麦ふみ。農家の大切な仕事です。 とても素敵な物語です。

    0
    投稿日: 2021.04.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とてもやさしい、希望に満ちたお話だと思いました。読み終わった今、自分の「へんてこさ」に誇りを持って生きていこう、と自然に前を向けそうです。 昔、知り合いが、この本は「自分にとって一番大事な本だ」と言っていたのがずっと心に残っています。読んでみて、その理由が少しわかるような気がしました。

    0
    投稿日: 2021.03.14
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    音楽に取りつかれた祖父と素数に取りつかれた父と、ねこの鳴きまねが上手い「ぼく」が3人で慎ましく暮らすというあらすじから、ほのぼのした童話を連想した。でもそうではなかった。悲劇が次々に降りかかり、それでも希望をつかもうとする話だった。この世に起きる悲劇も喜劇も些細な出来事も、実はどこかでつながっている。へんてこな存在は目立つから、真っ先に火の粉が降りかかる。だから一人でも生きて行けるように、技を磨かなければならない。抽象的で哲学的な、生きることに少し疲れた人を優しく受け入れてくれるような本だった。

    0
    投稿日: 2021.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いしいしんじさん読むの4つ目。「トリツカレ男」「プラネタリウムのふたご」「ぶらんこ乗り」。 どれも世界観と文章がとても好きなんだけど、これ読んで確信した。ストーリーが自由に進んでいくようで、実はものすごーーーく緻密に構成されてるんだよ。印象的な途中のエピソードや何気ない小道具が後からバチバチバチって嵌っていって物語の中で意味を持ってくる。それが凄いの。鳥肌。 いやオムレツのエピソードに不意打ちされて涙がぶわってなりましたよ…あんなのむりだろ…うう… クライマックスで、すべてがつながってひとつの音楽を奏でる、暗闇の中での観客たちがそれぞれの音を鳴らす、ホッチキスやはさみやおもちゃの合奏。生きている人たちのたてる雑多な音が音楽になる。 このシーンを読んだ後ふと本から顔あげると、窓の外から聞こえてくる電車の音とか、家族の足音とか、空を行くヘリコプターの音とか、そういう世界の音がなにもかも愛おしくなるような気がした。 そしてねこのおかあさんの話のあとの一文。これがこのどこまでもやさしい物語におけるもうひとつの核心でもある気がする。 「たったひとつの『ひどい音』、一瞬の音とそのこだまが、あらゆる吹奏楽の音色、それまで過ごした生活すべての彩りを、真っ暗に塗り替えてしまうってことが、この世ではまちがいなく起こり得るのだ」 そうなんだよな、残酷な悲しい出来事は起こり得る。どこにでもやみねずみは潜んでいる。 だけどそれに飲み込まれないために音楽を奏でる。合奏をする。シャドウボクシングをする。 いしいしんじさん、いままで読んだのも全部好きだったんだけどこれはホントとくに衝撃というかもう…やられた…ってひっくり返りました。ため息。

    1
    投稿日: 2020.10.18
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    一度読み始めた本は最後まで読む主義のため頑張って読んだけど、自分には理解できない類の本だった。 ただひとつ「音楽のよろこびの大きな部分を合奏のたのしみが占めている。なにかにつながっていること、それをたしかめたい、信じたいがために、音楽家はこれまで、そしてこれからも、楽器を鳴らしつづけるのかもしれない。」という文章は共感できた。また、栗田有起さんの解説「読書とは、文字による合奏に参加することだ。」という言葉には大きな衝撃と共感を感じた。

    7
    投稿日: 2020.09.30
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    子供用の物語のようで、大人に分かる本。星四つに近い。 現実に見たような聞いたような錯覚を覚える。ものの見方を変えるだけで、世界がこんなに彩られるのかと思う。いや、これは誰もが経験する子供目線を、大人が描いたからかもしれない。空想好きな作家が書いたファンタジーにしては、人間性や現実をよく捉えて描かれ、両側面を持つ。それが不思議と感じる原因なのかもしれない。

    0
    投稿日: 2020.03.17
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    この著者の童話の世界観と言葉のリズムが好きである。 いいこと?わるいこと? とクーツェはうたった みんなおなじさ、麦ふみだもの。 録音された音楽も、ごくたまに生演奏をうわまわる。ただし音楽家であるためには耳なりがするほど生演奏にふれること。どんなひどい演奏であっても、生の楽器演奏には、音楽家のための栄養がわずかながらそなわっているからだ。 独立した特殊な事件など、この世には何も起きていないような気がしてくる。クーツェの言ったように、大きい小さいは距離の問題。 それらの嘘によって、街のみんなには楽園の風景が見えた。おおきな代償を支払いはしたけれど、みんなの手に、なにひとつ残らなかったわけでもない。ぼくはやっぱり、今もそうおもいたい。 へんてこはあつまらなくっちゃ生きていけないってそう思ってな。へんてこはひとりじゃめだつ。めだつから、ぼんやりふつうにいると、ひとよりひどいめにあう。 この世のところどころにしがみつくへんてこなひとたち。彼らはそれぞれの技をみがく。自分のへんてこさに誇りをもとうと。まじめに、まるでばかにみえても。 熟練のティンパニ奏者のように、ぼくは待つことを学ばなけりゃならない。それはなかなかに難しい。ばかといわれてもへんてこ呼ばわりされてもけっしてばちを捨てず、ステージのいちばんうしろでじっと立っていること。そのときをききのがさぬよう、ちゃんと耳をかたむけて。 音楽のよろこびの大きな部分を合奏のたのしみが占めている。

    0
    投稿日: 2018.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    優しいものがたり。最初は、なにがなにやら分からなくて、なんだか居心地が悪かったけど、それは、ねこ(主人公)が居場所を見つけられていなかったからなんだろう。 いろんな悲しい出来事もあるし、ささやかな幸せもあって、なんとなく、どちらかと言えば世界は生きづらいなあなんて思いながら、ぼんやり生きてる。 でも、彼や彼の町にとって最大の悲劇をきっかけに、ねこの人生は変わる。解説者の言葉を借りれば、音楽そのものになる。 いろいろ背負ってたねこが、だんだん重荷を重荷と思わなくなるところが好き。周りにいる人たちの、あまりにおおらかな優しさと気持ちの大きさが好き。いっぱい傷ついていて、でも負けずに生きていける彼らが好き。 実際に、あんな町があったとして、私は彼らの町では暮らせないだろう。 でも、ほんの少しでいいから旅に行って、一緒に合奏したり、麦をふんでみたいと強くおもう。 とん たたん とん、と足を鳴らして。

    3
    投稿日: 2017.02.15
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    漢字の開き(ひらがな)が多いので 読み切るのに少し時間がかかりました。 前半にあるのは穏やかで停滞した世界。 後半に訪れるのは残酷で優しい世界。 後半に物語がどんどん加速するので、 途中で断念してしまった人も、 ゆっくり休み休みで良いので 読み進めて欲しいなぁと思う作品でした。 終盤に主人公のバックグラウンドが 靄が晴れるように一気に明らかになっていき、 それはそれなりに鬱蒼になる内容だけれども、 根底には思いやる気持ちが流れているので深く沈み込むことなく、 読後には柔らかな余韻に包まれます。 所々散らばる一見意味不明なパーツたちが組み合わせっていく様も読みどころです。 人生には救いのないことがままありますが、 この作品に悲劇は数あれど、本当の悪は描かれていません。 それが現実との境界線であり、いびつで愛おしい童話たる秘訣なのかもしれません。

    1
    投稿日: 2016.10.08
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    変わった男の子が、変わった町に住んでいて、子供の頃に幻覚?みたいな麦をふむクーツェにであるんだけど、それは本筋じゃなくて、 その男の子がいろんな人にであって、変わった人ともであって成長していく話

    0
    投稿日: 2016.02.13
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    今思うと笑っちゃうけど、幼稚園児の頃だと思うけど、よく押し入れに閉じこもった。真っ暗な中で何してたんだろ?よく思い出せないけど、何だか想像上の自分の世界を作って、そのなかで、誰かに話かけたりしていたような、ぼんやりとした記憶がある。親でもない、兄弟でもない、現実の友だちでもない“その誰か”と、心のなかで話続けていたような・・・ この物語の主人公の「ぼく」は、その生まれもった体格などから、小学校で同級生や先生から何となく「へんてこなもの」として遠ざけられる。それは、最初の方は、ほとんど独り言だけってことからもわかる。 そんなとき、ぼくは屋根裏で「へんてこなひと」に出会えるようになる。とん、たたん、とん、という足ふみの音とともに屋根裏に現れる“クーツェ”にぼくは、いろいろと話かけるようになる。でもクーツェの答えは謎かけのようなものばかりで、ぼくもわかったような、わからないような、という毎日を過ごす。 そうするうちに、主人公を取り巻く、おじいちゃんや父さんや、町のたくさんの大人たちのいろんな“事件”に巻き込まれていき、おじさんや先生や女の子という、他人からは見たら「へんてこ」と見えるかもしれない人たちに出会い、彼らに対して自分を不器用ながら、自分の言葉で伝えようとすることで、「へんてこ」は実は「へんてこ」じゃなく、ある意味輝きをもったものだってことが少しずつわかり始め、それが彼らやまわりの多くの人の共感となって広がり、ぼくは、すごい「仕事」をなしとげることができるまでになる。 最後に、ぼくは、おじいちゃんが生まれた土地を訪れる。ぼくはもう、自分の体格や生い立ちで卑屈になったり自分の殻に閉じこもったりはしない。自分のルーツを確かめるかのように、ぼくはクーツェがしていたように、自分で足をあげて大地を踏みしめる。その時、ぼくはクーツェに会いに行く必要はなくなっていた。 (2010/2/28)

    1
    投稿日: 2015.11.08
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    表紙とタイトルに惹かれて読んでみましたが、最初でくじけ ました・・・意味がよく分からなかったです。 いしいさんの本は「プラネタリウムのふたご」もそうでしたが正直私の頭では理解できないです。 高評価ですが、ごめんなさい。 表紙だけの評価として★3つで。

    0
    投稿日: 2015.10.15
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    思ったよりスケールの大きな物語。 人の死や「やみねずみ」、悪意、硬直化した心など、目を背けたいものもしっかり描かれている。 「ねこ」と呼ばれる大柄な少年と、数学者の父、自称ティンパニ奏者の祖父。 物語の後半はねこがそんな家族のもとを離れ、成長していく。 そこから物語のテンポがよくなってきて、だんだん読むのが楽しくなっていった。 そこで「クーツェ」が何者かがもわかる。 この本は十年位前、当時十代だった知人に教えてもらった本だ。 私もその頃読んでいたら、もっと多くのものを感じとれたかな…。

    0
    投稿日: 2015.09.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読むのに時間がかかった一作。 前半があまりに暗くて辛い。 その分後半があったかくて幸せ へんてこはあつまらなくちゃ生きていけない へんてこさに誇りを持つためにわざを磨かなくてはならない この言葉で星が2つ増えた

    0
    投稿日: 2015.06.12
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    完全な空想の世界。 とてもあったかい想像に支えられた、不思議な世界の話です。 色々な事に傷つきながら、色々な人に出会いちょっとずつ成長していく主人公が素敵です。 何があっても自分なりの一定のリズムでまえに歩いていく、そんな生き方をしたいです。

    0
    投稿日: 2015.05.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独特の世界だった。読み進む内にこの世界にはまってしまう。最初意味の分からいクーツェの言葉が奥深いってことに気づかされる構成がすごい。

    0
    投稿日: 2015.05.17
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    素敵な素敵な童話 いいこと わるいこと みんなおなじさ 大きい小さいは距離の問題 へんてこはじぶんのわざをみがかなきゃならない

    0
    投稿日: 2015.05.14
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    小学三年生の夏、ぼくは、海辺の町に住んでいました。 自転車や物干しの金具はあっという間にさびつくし、お世辞にも綺麗な海じゃなかったから、 潮風のにおいは清々しいものとはあんまり言えなかったかもしれない。 だけど、テトラポッドに登って、遠くの方を眺めていたり、 どこかから流れ着いた得体のしれないごみなんかがテトラポッドに 挟まっているのを観ると、空想が広がって、世界はとても広いものだ、と思ったりしていました。 その夏は、毎日、図書館に通いつめて、司書の人に顔を覚えられるくらいに 本を借り続けて物語の世界に浸っていました。 本そのものとはあまり関係はないのだけれど、 麦ふみクーツェを読むと、ぼくはそんな頃を思い出します。 良質な物語は、その人の心の面積をほんの少し拡張してくれる気がします。 主人公はねこと呼ばれる少年で、彼は誰よりもうまく猫の鳴き声を真似することができた。 彼はものすごく大きな体を持っていて、母親が亡くなってしまったのも、 大きな体の自分を産んだからだと思っています。 彼はある日、自分にだけ聞こえる麦ふみの音を聞くことになります。 とん、たたん、とんというリズムは物語を通して響き続けることにもなる。 お父さんは数学の美しさにに魅せられた変わり者、 おじいさんは吹奏楽の王様として、ティンパニを操りながら、 港の倉庫で街の人たちの吹奏楽団の指導役をしている。 この作品にはへんてこなひとたちばかりが登場します。 お父さんは数字に取りつかれ、おじいさんは音楽に取りつかれている人たちだし、 目の見えない元プロボクサー、玉虫色スーツのセールスマンや、 色盲なのに、みどり色と名付けられた女の子などなど。 へんてこな人たちは、そのへんてこさ故に、目立ってしまう。 でも、へんてこさを持った人たちは、そのへんてこさを磨いていくしかないのです。 それが、へんてこであるということに誇りを持てるたった一つのことだから。

    0
    投稿日: 2015.04.21
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    いしいしんじさんの作品を読むのは初めてだったので、最初はひらがなと漢字の独特な使い方が少し読みにくいと思ったけれど、ストーリーがおもしろくてどんどん読んでしまった。読後感も爽やかでよかった。 ただ、仲間を求めてさまよう恐竜の話はレイ・ブラッドベリにほぼ同じ設定の話があるし、全体になんとなくポール・ギャリコの「ほんものの魔法使」を思い起こさせるなど、「どっかで見たような感」は否めない気はする。

    0
    投稿日: 2015.03.28
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    体が大きく、ねこの鳴き真似の得意な「ねこ」と音楽の話。日本の作家さんなのに、翻訳のような感じのする文体。現実にファンタジーが紛れ込んでいるが、全てが優しく、違和感なく流れていく感じ。 どこがどうおもしろいとは表現しがたいが、音や香りが目に見えるようで、ほっこりした気分になった。

    0
    投稿日: 2015.02.11
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    どうしても読み進められなくて、 レビューを見て、最後まで読んだ方がいいんだろうな…と思いながら、 途中でやめてしまいました。

    0
    投稿日: 2014.11.24
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    合奏は楽しい 大変なこともあるけど、やっぱり楽しいよね! て気持ちになった。 悲しかったり、切なかったりするけど、でも最後はなんだか安心する終わりだった。

    0
    投稿日: 2014.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父と慎ましく暮らす、とびぬけて大きなからだをもつぼくの物語。 どこか遠い国の童話かおとぎ話のようなこの世界観に最後まで入り込めなかった気がするのだが、気がつくと読み終えてた。 正直面白かったかと言われればそうでもなく、かと言って面白くなかったかと言われればそういう訳ではない。 なんとも不思議で難しい作品。 終盤までは、不思議な世界の中、悲しい話で埋め尽くされるが、決してネガティブではない。 「麦は、つぶされることで強く成長する。それで成長せずにくさってしまった種があったとしても、それは畑の肥やしになる。どんなことも、無駄だったということは何ひとつない」 悲しい出来事や理不尽な出来事も無駄なことは何一つない、それを独特の世界観で描こうとしているのかも知れない。

    0
    投稿日: 2014.07.03
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    「自分は周囲から浮いてる、変わり者なんだ」と悩んでいる子どもたちに、是非読んでほしい。あなたは「へんてこ」だから独りかもしれない。でも、大きくなって世界が広がれば、「へんてこ」の仲間や理解者が必ず集まってくる。そして、これまでのことはすべて繋がって、大きなことを成し遂げることができる。だから、それまで「へんてこ」なところを磨いておいてね。「ねこ」と呼ばれる主人公の男の子の成長を通して、著者はそんなふうに語りかけているのかもしれない。

    2
    投稿日: 2013.12.25
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    まず、とても面白いし童話なんだけどそこらの童話とは内容のスケールが桁違いに広い 結局クーツェは「あ〜」って感じなんだけど、もちろん登場人物は個性的で魅力的で、いろいろな人間が居る様にいろいろな人生があるんだよって言われてる気もした。 ねこには才能があったといえば簡単だけど、周りの雑音に左右されずに個性を追求する芯がなかったらみんなと同じで、本当は強い人間なんだけど一見弱い感じなのが不思議だった。 楽しい作品で童話チックで細かくというか隅々までねこの故郷や挑戦するために訪れた大都会も描かれててすごくキレイで、特に故郷はねこが羨ましいほど美しい!

    0
    投稿日: 2013.09.01
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    麦を踏むとん、たたん、とんという音がいつまでも心地良い。 長いお話で、最初は中々面白さが分からなかったし、内容が入ってこなかったけれど後半でやられました。

    0
    投稿日: 2013.09.01
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    何でこんなに消化できないのか首をひねりながら読んだ 多分このファンタジー性をどう解釈したらいいのか迷った。 いかほどリアルな世界観なのかメタな所で悩んだし。 くらむぼんがかぷかぷ笑ってるのを見るような気分。 でもリズムと雰囲気と、はみだし者の何かと、 世界の大きく暖かいところが感じられた気がする。 ところで折角どこの国かも分からぬ話なのに 麦ふみで何故か落穂拾いを連想して 完全にヨーロッパのイメージで読んでた

    0
    投稿日: 2013.06.30
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    なんだか、自分の中にぐいっと入って、ストンと落ちて、なじむのが難しかったように思う。 悪い意味ではなく。 …口に入れたはいいけど、なかなか飲み込めない感じ。食道あたりで詰まっちゃうみたいな。 やはり境界線というか、紙一重のところを描くのがとってもうまい。 そういうところに強烈に惹かれるのです。 きれいに「めでたしめでたし」で終わらないのもいい。 真に美しいと思える。 栗田さんのあとがきもすてきでした。

    1
    投稿日: 2013.05.18
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    音がテーマの不思議な物語。登場人物は、皆へんてこで印象的だったけど、最初は退屈でなかなか進まなかった。中盤、ねこが旅に出るあたりからは面白くなってきて、最後まで読了。途中で投げ出さなくて良かった。耳が少し敏感になった気がします・・・。

    0
    投稿日: 2013.05.11
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    いしいさんの本は三冊目です。 二番目に好き、かな? ずんぐりむっくり、なんだかおかしくて哀しくて、懐かしくてあたたかい、そんなお話でした。 いしいさんのお話は、悪い人がでてこない。玉虫色のスーツのセールスマンさえも、なんだか憎めない。 ささやかな幸せに改めて感謝しようと思いました。

    0
    投稿日: 2013.03.17
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    具体的なことは何ひとつ語らず、ただ自分のリズムで麦ふみを続けるクーツェは、上手く周囲のリズムに乗れない人々に許しを与えてくれている。 変てこでもいいのだ、そのままで生きていていいのだ、と。 http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-188.html

    0
    投稿日: 2013.03.04
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    いしいしんじの、「大人のための絵本」っぽいところが大好きで、 この本も読み始めました。 ただ、今までと違って、世界に入り込むのに時間がかかりました。 淡々と進み、物語の全容を把握するのに、300ページくらいかかりました。 このお話は、 吹奏楽部だった人、楽器を演奏することが大好きな人には、 もってこいのお話。 『音』についてのお話。 合奏をしている それは、音を鳴らしている 音を鳴らすことによって、 誰か(何か)と繋がっていることができる 「繋がっている」ことが、どれだけ素敵なことなのか それがわかるお話です。 演奏する喜びを知っている人は、きっと理解できるはず。 麦ふみの音、 私にも聞こえる気がします。

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    投稿日: 2013.01.22
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    祖父、父、息子という、男三代の暮らし。 女っ気がないというのも、むさ苦しいようでいて、 なかなか温かみがあったりするもの。 てっきり、主人公は擬人化された動物なのだと思ったが、 さにあらず。ちゃんとした人間だった。 タイトルの通りの人物が登場するのだけれども、 いったいそれが何を意味するのかは終盤までのお楽しみに。

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    投稿日: 2013.01.20
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    大人のための童話だなあ、というのが第一印象です。読んでいて何だか寂しくなるのに、どこか暖かい気持ちにさせてくれる。子供の頃に読んだら、不思議な印象を持ったかもしれないなあ。でも、そういう不思議な余韻の童話って多かったような気もするなあ← へんてこな大人達と、背高のっぽな男の子のお話です(ざっくり)。 少年にしか聞こえない足音や、空からねずみが大量に降ってくる話、一斉に音痴になってしまった街の人々が日常生活を一瞬で取り戻す話など、ファンタジックな小話を少年の視点で追いながら、物語世界の時間はゆっくりと流れていきます。 街で起こる事件や少年に訪れる変化などが非常に穏やかな筆致で描かれているせいか、読みやすさの割にはページをめくる手はいつも以上にゆーっくりになってしまいましたが、それがすごく心地よかった。多読最高!本は早く読んでなんぼよ!と考えがちな私ですが(残念思考…)、この本は読み終わるのが惜しくなったのも何だか嬉しかったのです。 合間に訪れる悲劇を淡々と乗り越えていく描写や、「とん、たたん、とん」と物語のあちこちで優しく響くクーツェの足音が、ひたすら優しい。 雨が続いていた夜に少しずつ読んだシチュエーションもきっと良かったんだな。これは静かな夜に読む一冊にオススメです。 今回は背表紙の紹介文が素敵だったので、そのまま引用しましたよ~ ↓↓ 音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父、とびぬけて大きなからだをもつぼくとの慎ましい三人暮らし。ある真夏の夜、ひとりぼっちで目覚めたぼくは、とん、たたん、とん、という不思議な音を聞く。麦ふみクーツェの、足音だった。―音楽家をめざす少年の身にふりかかる人生のでたらめな悲喜劇。悲しみのなか鳴り響く、圧倒的祝福の音楽。

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    投稿日: 2012.10.16
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    タイトルからは想像もつかない「やるせなさ」 そこから湧き出てくる「光」 人生とは、なんと壮大なんだろう。

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    投稿日: 2012.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「良いも悪いもない,麦踏みだもの」 音楽家を目指す少年に,良い悪い様々な出来事が起こるが,この言葉のように,すべての出来事は少年の経験として,生かされていく. もちろん,これはあくまで全体を俯瞰できた時の結果論だと思います. ただ,用務員さんの決死の演奏だったり,町の楽団との演奏であったり,辛い出来事が起こった時に,その出来事を受け止め,次の一歩を踏み出すきっかけを作る,田舎の港町の人の気質みたいなものが良かったです.

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    投稿日: 2012.10.05
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    すごくあたたかくてすごく哀しくてすごく途方もない感じだったけど、今のところいちばん『ねずみ男』が気になる(頭の中をぐるぐるしてしょうがない)。 だけれど、ねこや用務員さんやチェロの先生、そのほか出て来た人たちみたいにいきたいなぁって思う、本でした。

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    投稿日: 2012.09.24
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    完璧やられました。 またいしいさんの本で泣いちゃいました。 この本ステキすぎて言葉にならないので読んでもらいたいです。 読んでる間ずっと小学校のとき2年間やってた器楽クラブのこと思い出してました。大体はアコーディオンをやってたんだけど、1回だけシンバルをやったことがあって、間違えて鳴らしちゃったときの申し訳なさとか、先生に叩き方を教えてもらったこととか、なんかいっぱい思い出した!この本に出てくるおじいちゃんが先生だったら間違いなくティンパニーをぽいーんと鳴らされて怒鳴られるんだろうな(笑) 合奏の楽しさとか味わったすごく幸せな思い出です。 「音楽のよろこびの大きな部分を合奏のたのしみが占めている。なにかにつながっていること、それをたしかめたい、信じたいがために、音楽家はこれまで、そしてこれからも、楽器を鳴らしつづけるのかもしれない。」 また合奏したいなー。 今回わかったこと。 私にとってウソとかホントとかは別に大して問題ではなくて、語られるお話が好きだということ。 まぁ、何でも信じ込みやすい私だからその話がほんとなのか気になって仕方ないんだけどね(笑) この本に出てくるんだけど楽譜にほんとに「ねこの声」とか「犬の声」ってあるんですかね?もしあるのなら、そんな音楽が聴いてみたい! 2008年12月18日

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    投稿日: 2012.08.28
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    トン、タタン、トンー 頭の中で不思議と流れる心地よいリズムのように、この本自体がさわやかで読みやすかった。 そして、どの箇所でも泣いてしまう。 これぞ感動作。

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    投稿日: 2012.08.26
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    「聞いたことのない、どこか懐かしい音楽が、いくつも聞こえてきた」 心の中に聞こえる音楽を通して物語が体に入ってくる。 「すべてはてこところのおかげ」「なげく恐竜のためのセレナーデ」「雪男とマンモスのアンサンブル」「赤い犬と目の見えないボクサーのワルツ」。いくつかの楽曲が登場するが、それらは聞いたことはないがどこか懐かしい音楽だった。小学校の音楽室で感じたポルカやアンデス、ロシア民謡が体現する情緒が、それらにもあったからだと感じた。 この物語はときに音楽となって喜びや悲しみ、緊張や安らぎを伝える。音楽の楽しさを伝えてくれる。

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    投稿日: 2012.08.16
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    どうしようもなく悲惨で滑稽にさえ思える出来事の続出。でも希望あるエンディング。大人のための童話ですね~

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    投稿日: 2012.06.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いしいしんじの長編。 ところどころに散りばめられたメッセージに、ドキっとしたり、 ホッとしたり。 いいこと?わるいこと? みんなおなじさ、麦ふみだもの。 p114 大きい小さいは距離の問題。 「ぼくはそれがどんなことかしらない。 麦畑なんてみたことがないしね。 ただ、ふみつける麦は一本ずつちがうはずだろ? それを、どれも同じだ、ってクーツェがいうんなら、 そのクーツェってやつはよほどのばかか、 あるいは悲しいくらいまじめなやつなんだろうね」p179 「ひとりで生きていくためにさ、へんてこは、それぞれじぶんのわざをみがかなきゃならない」p391

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    投稿日: 2012.04.05
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    いしいしんじ、初めて読んだ。いしいしんじ好きな人とは仲良くなれそう。 音楽がテーマの話でほんと読ませる文章だなーと感じた。読んでてするするっと入ってくる。 伏線のはり方が上手。よんでいて「そこでくるかー!」みたいな憎い演出が多々ある。加えて、物事の特徴をすごく上手にとらえて、効果的に文章に盛り込んである。たとえば音楽。麦ふみ。猫の鳴き声。赤い犬。大きいからだ。素数。ティンパニ。盲学校。単語から連想されるようなイメージと文章がうまく合ってて、独特の世界観になってるなーって。 あとは、誰もが経験したことがあるような状況をメタファ?として使うことが多くって「そうそう、そうだよね!あーたわかってるねー」みたいな感じにもなる。 よくわからん。ともかくよいです。

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    投稿日: 2012.03.20
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    いしいしんじさんの作品の中で、最も早くに読んだ小説。どうやったらこんな奇妙な世界が思い描けるのかと、いたく感心しました。それ以来、いしいさんの小説をたくさん読みましたが、このころの話が一番好きです。わかりやすくて、それでいて不思議で。

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    投稿日: 2012.03.10
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    泣きました。ぼろぼろ。 まんがだったらいままで何度か泣いたことがあるのですが、活字読んで泣いたのははじめてです。 ちょうどいま、小学生のときにやっていた吹奏楽を、ふたたびやってみたい衝動に駆られて市民楽団にコンタクトをとっているサナカだったので、タマタマ借りたこの作品が、「合奏」を中心に物語がすすめられる内容だったことに、ちょっとおどろきました。 スポーツなどの「結果」が目に見えてわかるモノとはちがい、芸術分野、とくに「合奏」のような団体でつくりあげていくモノは、個の力量や才能がわかりにくい場合が多く、それは人生にも似ています。 たとえ評価されたとしても、それは所属している団体に向けられることがホトンドです。 この作品の主人公の少年は、さまざまなコンプレックスを抱えながらも、徐々にその才能を自覚するのですが、その才能は「他人」から評価されることではじめて成り立つもので、身を置く環境によっては、落伍者となってしまいます。 しかし、「他人」の協力によって評価される環境を得た少年は、大きく成長していきます。 はじめてありのままの自分の才能を認めてくれるヒトたちと出会ったときに交わされた会話のシーンで、私はナミダがチョチョ切れました。 才能を開花させるのに必要なことは、「協力してくれる他人」を惹きつけるだけの人間力であり、それは記録に残るものではありません。 反面、カタチが残らない「音楽」という分野で、亡くなった作曲家の作品が「譜面」という「記録」で改めて評価されることもあり、主人公はその役割も与えられています。 また、数学という、一見「結果」だけで語られそうな世界においても、その結果が認められるのは何年も経ったあとになることも描かれています。 ニンゲン、他人からの評価がスベテではありませんが、前に進むタメには、おなじ会話ができる他人の存在が支えてくれる部分が大きかったりします。ひとりでは生きられません。 私が、小学生のときのユーフォニウムの演奏に、ある程度の自信を持って進んだ中学校の吹奏楽部で、ん?という程度ウデのセンパイと合わずに退部し、20年以上経ったことし、小学校の吹奏楽の同窓会でみんなとハナシをできてウレシかったことを思い出しました。 目に見えない「才能」と、世界中の記事をスクラップし、目に見える「記録」として残す趣味とを併せ持つ主人公を通じて、どちらの大切さもバランスよく教えてくれる作品でした。 まあまあ。 オモシロいかって言ったら、そうでもないのですが。 あと。ヒトが死にすぎ。 キョーミのある方は、ゼヒ。 http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1335.html

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    投稿日: 2012.02.12
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    身の周りにあふれているたくさんの音。それを秩序立てて良い音楽にするのも耳触りな騒音にするのも自分次第。たとえ1人ではできなくても、自分自身を受け入れて心を開けば、一緒に良い音楽をつくりあげていける仲間と出会うころができる。人と違うことを恐れずに自分の持ってるものを最大限に磨いていく勇気をもらえた。

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    投稿日: 2012.02.01
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    数々のへんてこな人達の生き様は回り回って、少しでも孤独やへんてこを抱えている全ての読者へのエールみたいに思えた。 いしいさんの物語は、途中で傷つけられても最後にはなんて優しい話なんだろうという印象になる。 用務員さんのマーチが聴いてみたい。

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    投稿日: 2012.01.03
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    次々と降りかかる、不思議で、時に不気味だったりするできごと。 そうしたものごとに巻き込まれてゆくのは「へんてこ」な個性豊かな人々。 ストーリー全体に物悲しさややさしさが感じられて、ぎゅっと引きつけられる。 切なさを漂わせながらも、終盤のくすぶっていたものが大きく開くような展開に、読み終わったあとはとってもあたたかい気持ちに。 理屈より感覚にうったえられているように感じた作品。 おとなのための童話という表現、うなずけました。

    1
    投稿日: 2011.12.03
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    最初、話の雰囲気にあまり溶け込めなくてどうなるかなぁと思いながら読んでた。 でも読み進めるうちに、色々つながって絡み合って、最後まで一気に読むことができた。 とても綺麗で静かな物語。 太鼓たたきたくなる。

    0
    投稿日: 2011.11.09
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    音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父、とびぬけて大きなからだをもつぼくとの慎ましい三人暮らし。ある真夏の夜、ひとりぼっちで目覚めたぼくは、とん、たたん、とん、という不思議な音を聞く。麦ふみクーツェの、足音だった。-音楽家をめざす少年の身にふりかかる人生のでたらめな悲喜劇。悲しみのなか鳴り響く、圧倒的祝福の音楽。坪田譲治文学賞受賞の傑作長篇。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 なんとなく面白かった…? 不思議な話だった… ネズミが降ってきたり、降ってきたネズミに悩まされたり、セールスマンに騙されたり…留学したり… でもなんか読みやすいからさらーっとよめた。

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    投稿日: 2011.10.15
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    ふしぎなふしぎなお話なんだけど、するっとその世界にはいっていける。 日本かも外国かも異世界かもわからない場所なんだけど、その街のようすが容易に想像できる。 「花のように耳がひらく」。 あちこちにちらばる音や色や香りや雰囲気は、どれも文章でしか表現できないもの。 本を読むたのしさが凝縮されていると思います。お気に入り。

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    投稿日: 2011.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とん、たたん たたん、とん とん、たたん、とん 主人公の少年『ぼく』ことねこは、いつもこの不思議な音を聞きます。これまで誰も聞いたことのない不思議な不思議な音。 読み終えた後に残るひとつの疑問。 麦ふみクーツェとは誰か 答えは出ない。お父さん(ねずみ男)でもおじいちゃんでも、他の誰でもないはず。いや、その人の解釈しだいか。私の中では、答えは出ないだけであって。 この問いかけは、宮沢賢治の『やまなし』――クラムボンとは何か。という問題に似ているような気がした。小学校のときにやまなしを読んだあとに先生に聞かれ、私は確か「蟹の泡」と答えた。 確かに答えを出したい、って言うより、自分の中で結論付けたい気持ちはあるんだけど、謎のままで残しておきたい気持ちの方が大きい。大人向けの児童文学かもしれない。 いしいさんの作品、ぶらんこ乗りに続いてまだ二作目だけど、とても優しい世界でできていると思った。クリーム色のカーテンみたい。

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    投稿日: 2011.10.02
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    突き抜けているなぁ、と思います。 彼の描く人物や風景は過剰なほどに童話的なのだけど、ストーリーは決して童話でなく、ところどころにぎゅっと掴まれる文章がある。 早く次へ読み進めたいのにぼんやりと何度も追ってしまうセンテンスがたくさんある。

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    投稿日: 2011.09.30
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    作中に出てくる楽曲が本当にあれば良いのに。 曲のタイトルが秀逸。『なぐりあうこどものためのファンファーレ』とか『赤い犬と目のみえないボクサーのワルツ』とか。 オーケストラ曲に「ねこの声 ほがらかに」(にゃー!)と指定が入っているのも良い。

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    投稿日: 2011.07.28
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    再読。 いしいしんじさんの「ものがたり」はやっぱりいい。せつないけれど、最後にはどこか希望がある。 とん、たたん、とん。

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    投稿日: 2011.07.12
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    絵本のような世界観をリアルに描写している。目に見えないもの(音、におい)までも読み手にリアルに感じさせる。ほんと惚れ惚れする。

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    投稿日: 2011.07.07
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     最初はあまり好きじゃないな、むしろ苦手と思いながらも読み進めていくと、いつのまにかこの小説の世界に引き込まれていた。最後の方でおじいちゃんの正体が明らかになったり、読んでいて主人公ねこと同じ時を過ごしてきたような気がして、読むのを途中でやめなくてよかったと思えた。  ものごとは必ず落ち着くべき場所に辿り着いて行くのだなと思わせてくれる本だった。

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    投稿日: 2011.05.23
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    すべてを許容する話だと思う。いいもわるいも、不吉さも幸福も、へんてこさもぜんぶ。明日もただがんばって生きようって気になれるやさしい話。

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    投稿日: 2011.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初めていしいしんじを読んだ。 用務員さんが卒業式で鐘を鳴らした場面は思わず何度も読み返してしまった。 「ねこ」と呼ばれている少年が用務員さんが残した楽譜をみてタクトをふるところが好き。

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    投稿日: 2011.04.19
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    小川洋子みたいにめっちゃ好きー!!とはならないけど似た雰囲気。 くじけそうになったり、諦めそうになったら読んだらいいと思う。 変な自分がきっと受け入れられるはず。

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    投稿日: 2011.04.15
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    おもしろかった。 けど、よくわからないトコロもあった。 音楽がよく出てくるのですがその表現がうまくて今にも音が聞こえてきそうな本でした!!

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    投稿日: 2011.03.19
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    この小説自体が音楽なんだと思いました。 「とん、たたん、とん」の基本のリズムが常に鳴っていて、動詞が全部ひらがなの文章がやさしいメロディーを奏でていて、魅力的なキャラクターのほろ苦くも暖かいエピソードが、歌になって聞こえてくるような気がしました。 何も聞こえないはずなのに音にあふれた文章でした。本当に不思議。 音楽の源は打楽器だというおじいさんが好きでした。 あと、がらくたの楽器を使って楽しく演奏する吹奏楽団や、ねこの手術の時にドアの外で思い思いの音を奏でる人々…。 これぞ音を楽しむ、音楽の本質なんだよなあ。

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    投稿日: 2011.02.03
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    普段、目をふさぎ、耳をふさいでしまうような悲しい現実の中から、きらきら光るものを取り出して大きくひびかせてくれる、いしいさんの小説こそ、「一流の音楽家」の音楽ようだな、と思いました。 いしいさんの小説では、胸がしめつけられるような現実を見せられるので、途中、読んでいてつらくなるのですが、でも、最後には、必ずあたたかい気持ちで本を閉じているのです。 「ぶらんこ乗り」も「トリツカレ男」もそうでした。 この感情は、胸がしめつけられるような現実を見せてもらったからこそ、得られたものなのだと思います。

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    投稿日: 2011.01.06
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    こういう作品を書けるってすごいなと思う。 へんてこな人間もちゃんとそれぞれ居場所がある。 というよりも、実はみんながみんなへんてこな人間で、そのへんてこな人間がみんなでへんてこな味を出せば素晴らしいものを作り出せる。 音楽をきっかけとして、そのことを教えてくれる。 けっして押しつけがましくも説教くさくもない。 奇想天外な逸話をちりばめられて、それでもきちんとひとつの物語が作られている。 出だし、わけのわからない話が続いて読んでいて、なんだこれって感じだったけど、最後の方はしっかり盛り上がって、最後になるとすべてがおもしろかった。

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    投稿日: 2010.12.25
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    音楽を文字で表すとこんな感じなのかな? 最初の方が、全く意味不明で、ゆえに読み進めるのが困難。 これがこうなって、さっきのがそうなって、きっとこれからはああなるんだろうな、みたいに考えながら読んでいるんだなってのが分かった。 途中からストーリーっぽくなってきたので、ぐいぐい進む。 この構図ってモモにも似てるな。

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    投稿日: 2010.11.21
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    ひとことで感想言えない壮大さがありました。 吹奏楽は風だ。音楽による想像力豊かな世界。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-116.html

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    投稿日: 2010.11.15
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    ほんのり切ない。 クーツェでもいいじゃないと思える少し心温まる作品でした。 ところどころに伏線がありささやかな感動を味わえました。

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    投稿日: 2010.10.23
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    でたらめにひどいことがたくさんあって、いやなものと同じくらいきれいなものもたしかにあって、さいごは、あたたかい土の上で爽やかできもちのいい風に吹かれる。 へんてこは、短所で長所。つまり、特長。

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    投稿日: 2010.09.06
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    いしいしんじさんの作品は、詳細に表現されないけれど孤独や絶望みたいな虚無感が根底に流れていて、でも、最後はそこから希望や未来を残して温かい気持ちで読み終えることができる。 つぶれた苗も畑の肥料になる。いい麦も悪い麦もないというセリフにちょっとジンときました。 へんてこだからこそ孤独で悲しくて、浮いてしまう存在たけど、へんてこを武器にして自分らしさを取り戻していく面々に勇気づけられます。

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    投稿日: 2010.08.15
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    購入した本。 とん たたん とん 人は誰だって、異端児なんだと思う。 みんなと同じなんて、ありえない。 人と同じ生き方なんて出来ないもの。 だから、寄り添えるんだと思う。 その優しさと弱さを信じて、支えてみたい。

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    投稿日: 2010.06.21
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    作者の表現力がすごい! 麦ふみの音、雨の降る音、生命の息づく音……文章の一つ一つが心地のいいリズムを刻んでいます。 疲れた大人にそっと勧めたい物語。

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    投稿日: 2010.04.15
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    2005年に購入して、本棚で眠っていた本。 いしいしんじらしい物語でした。 こんなにダークなのに、こんなにファンタジック。 伸びやかな心をもった、異形の主人公。 主人公を取り巻く善良な人々。 善良すぎるために、時に間違いを起こし、そしてやはりその善良さゆえに憎めない人々。 P459より 「『合奏は楽しい』  おそらく、歴史上はじめて音楽をならした人類でさえ、この意見にはうなずいてくれることと思う。音楽のよろこびの大きな部分を合奏の楽しみが占めている。なにかにつながっていること、それをたしかめたい、信じたいがために、音楽家はこれまで、そしてこれからも、楽器を鳴らしつづけるのかもしれない。」

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    投稿日: 2010.03.11
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    みどり色は何百万人に一人なんかじゃない。 世界にたった一人なんだ。 ねえ、一人ってそういうことでしょう?

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    投稿日: 2010.02.28
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    今、一番はまっているのがいしいしんじさんの本。 音楽家のおじいさんと数学者のお父さんに育てられた主人公が自分の道を進み始めていく物語。街の少しメルヘンチックな様子やちょっと変わっているけど真剣な登場人物たちの姿に癒される。

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    投稿日: 2010.02.11
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    よんだ。 やはりこの不思議な雰囲気・テンポ・言葉がいしいしんじ小説なのだな。 私には居心地がいい。 玉虫色のセールスマンがやってきたあたりから読むのが止まらなかったなぁ。 クーツェがいったい何者なのか、それがわかるのは最後の5頁なのであります。 しあわせに満ちた話かといえばけしてそうではないし、だけれど、読んだあとに残ったのはじわっと染み入る幸福感。 子どものころに読めばまた違った気持ちになったのかもね。 これは大人に効く童話だ。

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    投稿日: 2010.02.07
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    音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父、とびぬけて大きなからだを持つぼくとの慎ましい三人暮らし。ある真夏の夜、ひとりぼっちで目覚めたぼくは、とん、たたん、とん、という不思議な音を聞く。麦ふみクーツェの足音だった――音楽家をめざす少年の身にふりかかる人生のでたらめな悲喜劇、圧倒的祝福の音楽! 童話のような物語、奇妙で不思議だけれど、幸福や困難を経験していく主人公をとおして、圧倒的な人生、「生きる」っていう感覚を強く感じる。中学生とかに読んで欲しい、とても読みやすい1冊!

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    投稿日: 2010.01.25
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    絵本を読み終えたような暖かい気持ちになる作品です。 それぞれ障害を持っていても前向きに進む皆の姿が印象的。 ひらがなが多く書かれていて、その手法もきっと暖かい気持ちにさせるのでしょう。 本を閉じた後、夢の中から戻って来たような気分になりました。

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    投稿日: 2009.12.07
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    読んでいて、ゴッホの「種蒔く人」の絵が浮かんだ。 農夫が蒔くそばから、カラスが飛び交い、種をついばむ。 しかし、それを気にせず、種を蒔き続ける人。 理不尽な不幸やら孤独やら、そんなもの全てを包む圧倒的な祝福。 現代の宮沢賢治と言われる所以か。

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    投稿日: 2009.11.27
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    わりに厚い本なので母は挫折してた。 あたしは…どうだったかな、けっこうスラスラ読めた気がする? なんせ音楽才能ないので、演奏のシーン、私の頭には雑音しか流れないんだけど笑 景色がまるで目の前に見えてくるような感じは見事です。 これは秋に読みたい。 そういえばちょっと、白猫黒猫に様子が似ているか。いしいさん好きだったりして。

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    投稿日: 2009.11.25
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    いしいしんじの本の今まで出ている本の中で、おそらくいちばん好きな1冊なので、文庫を買って再読。 読んでいると時間の流れがちがう。読んでいる間中、ずっと流れ続けるかなしくて静かな空気が好きだ。

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    投稿日: 2009.10.31
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     音楽にとりつかれた祖父と、素数にとりつかれた父と三人で暮らす、うまれつき大きな体を持つ「ぼく」のおはなし。  用務員さんのエピソードとか、スクラップ帳のひとつひとつとか、あと「飴玉ください」とかがとても好きです。いろんな部分に統一感があるというか、上手くまとまってるなぁという印象。  あんまりガッツンこない感じでよかったです。いしいしんじの物語はあたたかいけれど打撃も強いから、ビクビクしながら読んでしまう……。  そのくせ心がぎゅーとなるおはなしばかりで、読み終わると、もう、いとしい! だきしめたい! というきもちでいっぱいになります。著者はどういう気持ちでこんなもの書いてるんだろう……。  とても遠いどこかの国で、私の知らない場所で、見えない文化のなかで、そのくせどこにいても共有できるような心の部分を書くのが上手いのだろうなあ。

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    投稿日: 2009.10.08
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    この人の作るお話は、長さを感じさせない、と思う。 これも500ページ近くあるお話だけど、勢いで ぐんぐんぐんぐん引っ張られて、引きずり込まれていく。 音楽家の話です。 非現実的な世界であるのに、 ぴたりと息のあった演奏には鳥肌が立ちそうになるし 読んでる側まで興奮する。 そして、良く言われていることですが、 彼の本は長く読める本だと思います。 もっと年を取ってからも読みたいし、子供にも読ませたい。 言葉の選び方がたまらなく好きです。 既に読んでいる方も多いとは思いますが、おすすめです。

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    投稿日: 2009.07.31
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    少年「ねこ」に起きる不思議で、あたたかい、そしてときに残酷な人生の悲喜劇。 ミヒャエル・エンデの「モモ」に雰囲気が似てます。 表現や雰囲気は寓話・童話のように感じますが、確実に大人にならなければわからない人生の苦しみや迷いが描かれています。 また、全体を通して音楽、音の世界が渦巻いているので、世の中に溢れる音という音楽がいかに壮大で美しいかということにも気づくことができる一冊です。

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    投稿日: 2009.07.29
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    えーんえーん くすんくすん まんまと泣きました。 ひらがなが多いからなのでしょうか、 普段はべらぼうに読むのが早い私ですが、 この本は何日かに分けて、じっくりと読めて、 それはとても幸せだった。 もっと、ずっとねこの成長が見たかった。 そしたら、もっと私は幸せになったと思う。

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    投稿日: 2009.07.26
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    乗ってくるまで展開がもどかしく読みづらいこともあったが、読みきると現実の冷酷さを超えた、暖かい場所を訪ねた感じになる。読み応えあり。

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    投稿日: 2009.07.08
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    誰もが過去があって、過去に何があったかなんてわからない。でも音楽を奏でること、誰かと音楽をつくること、聴くことの大切さ。それらの尊さは、どんなひとにも等しく降る。

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    投稿日: 2009.07.03
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    音楽のことになると人が変わるティンパニ奏者のおじいちゃん、素数にとりつかれた「ねずみ男」と呼ばれる数学者の父さん、そしてあまりにも背が高い「ねこ」と呼ばれる少年の物語。ある夜、「ねこ」は不思議な音で目を覚ます。とん、たたん、とん。窓の外に見たものは、金色に輝く一面の麦の波。そして、麦ふみをするクーツェの姿だった。 小さな港町で育った「ねこ」は音楽家を目指す。「ねこ」は様々な「へんてこ」な人に出会い、成長していく。 大好きでした。今まで読んだいしいさんの本の中でも一番好き。優しくて、まっすぐで、あたたかで、悲しくて・・・しっかりと感動させていただきました。 誰もが持つであろう何らかの「へんてこさ」。それに悩み、どうしようもなく孤独を感じた時、この本が救ってくれることでしょう。 「へんてこさ」に誇りを持つ為に努力すること。「何十万人にひとりの確率」ではなく、「この世にたったひとり」であること。私も背中を押してもらいました。

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    投稿日: 2009.06.12
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    牧歌的雰囲気漂う、いしいしんじの例の与太話。 いしいしんじでは一番好き。 天才的に猫の鳴きまねが上手い主人公が拡声器を使って町中のネズミを! みたいな展開なのに終始悲しみや苦痛がついて回るシュールな話。 だけどそういった苦痛から主人公は半歩外れた所にいて、 それは麦踏みクーツェがいてくれるからで、 でも麦踏みクーツェってなんだよ。

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    投稿日: 2009.04.21
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    いしいさんの書く文章はどれも詩のようです。きれいでやさしくてだれにもわかりやすい言葉で書いてある。 描かれていうものは綺麗なだけではないけれど、どれもあたたかい。 この島は日本なのかどこか外国なのかそれとも違うどこかなのかはわからないけど、読んでいるうちに場所や人がすっと頭に浮かんできます。 特にいしいさんの文章で好きなのは名前の付け方。 みどり色、ねこ、指の音… こんな名前ありえないと思いながらも、綺麗で彼の書く文章の中だけでは生き生きと動き回る彼ら。 なんて素敵な名前なのだろうと思います。

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    投稿日: 2009.04.12
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    とん、たたん、とん。 これを気に入った人はぜひ、 ♪People In The Box『バースデイ』 も聴いてみて下さい!

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    投稿日: 2009.03.22