
総合評価
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powered by ブクログ見栄とか、世間体とか、プライドとか、そう言ったものにどうしても自分で自分の首を絞める現代人にはピッタリじゃないでしょうか。なるほどこう展開するのかな?と思っている方向にいかずバッドエンドもあれば、昔話をこう解釈したのか!という驚きも楽しめます
12投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログ読むのは2回目だが、面白かった。今まで読んだ太宰治の中でもトップクラスに面白い物語ばかりだった。 新釈諸国噺とかお伽草子とか既にあるものについて空想を巡らして、自分のスタイルにすると言うのはとても面白い。特にお伽草子カチカチ山の兎と狸を16歳の処女と37歳の中年大食男にしているのが痛快だった。男として恐ろしくなるようなことではあったけど。 新釈諸国噺は全て楽しく読めたが、中でも「義理」という作品が印象的だ。武士の義理の悲しさがよくわかる。西鶴がベースとのことだが、西鶴は読んだことがないので、元になった話も読んでみたい。
0投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログ戦時中に書かれた作品で、いずれも古典や民話、伝承を基に、彼独自にアレンジした小説である。解説にあるとおり、この時期の太宰治は、彼の読書体験から、作中人物の心理や情景を解釈して創作するという手法がなされている。
0投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログ「御伽草子」は太宰の中期の作品であり、誰もが知っている昔噺を題材にし、ユーモラスで少しふざけたことを書きながらも現代でも通じるような普遍的な人間の本質が描かれている。桃太郎だけは日本一はおろか日本二も三も経験せぬ作者が日本一の快男児を描写できるはずがないと放棄した事も書かれていて太宰らしさも感じられた。 「清貧譚」は貧しい暮らしをしながらも好きな菊を育てて幸せに暮らしている才之助のもとに、まるで才之助のことを試すかのように謎の姉弟が現れ・・・ 才之助の心の清らかさと不器用な様がなんだか愛おしくなった。
3投稿日: 2025.08.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
浦島太郎とカチカチ山がとにかく面白い。作者の批評精神が全開で、この人はずっとこう言う世間と人間に対する不満というか醒めた見方を何処かで持ち続けて居たのだなと思う。斜陽等の長編にも通底して、この世の中に対する虚無めいた見方が流れているように感じる。 反面、この文庫に収録の他の作品はあまり面白いと感じられなかった。特に新釈諸国話は正直、読むのがつらい。いかに作者のエッセンスで翻案したとは言え、余りに元の西鶴のストーリーと合っていないと感じ、読んでも何ひとつ感じるものがない。 お伽草紙は良かったのだが、他が上記なので、個人的には文庫全体としての評価は低めとなってしまった。残念。
8投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めてしっかりと太宰治を読んだが現代の作家たちとは何もかも違く読みにくかった。個人的に面白い話も多々あったためまた太宰治の作品を読んでみたいと思う。昔話を面白く作り変えるのはとてもユーモアがあり、彼しかできないのではないかと思った。
1投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ太宰治はユーモアさを備えているのかと思い知らさらました。 それくらいこの一冊はおもしろくアレンジが効いていて、楽しくて、時にダークな面にドキッとさせられる。
27投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ12/20 お伽草子 太宰治 ずっと読みたかった作品400ページ越えの大作。短編集。 どんなものかと思って読んだが、盲人独笑以外、清貧譚、新釈諸国噺、竹青、お伽草子面白かった。盲人独笑も意味がわかったら面白いのだろう。面白かった。 好きな話は猿塚、裸川、女賊、赤い太鼓、カチカチ山。 太宰中期の作品も好きだな。
0投稿日: 2024.12.20
powered by ブクログ太平洋戦争の真っただ中に書かれた作品集。ものすごくよかった。主に西鶴の作品をモチーフにした「新釈諸国噺」や昔話をモチーフにした「お伽草紙」を収録。「お伽草紙」は「瘤取り」、「浦島さん」、「カチカチ山」、「舌切雀」がモチーフ。前書きでは、空襲の真っただ中、防空壕で娘に「ムカシムカシノオ話ヨ」と始まっていくのがとても好き。そしてそれぞれの作品の解釈、「瘤取り」の性格の問題や「カチカチ山」のウサギが悪女、タヌキがブ男という解釈などがとても面白かった。空襲の中、よくこんなの書けたなぁ…
0投稿日: 2024.08.27
powered by ブクログ太宰治氏によるお伽噺や古典。 読みやすくて面白かったです。 太宰治氏らしい登場人物や動物たちに思わず笑ってしまいました。
9投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・あらすじ 第二次世界大戦中に描かれた太宰治中期の作品集。 中国と日本の古典、お伽話をベースに太宰のユーモアと観察眼、空想力が存分に発揮された作品。 ・感想 先にYouTubeの朗読で全部聞いてたけど、今回は改めて朗読を聴きつつ(読むスピードに合わせたので1.5倍速だけど)本を読んでみた。 太宰らしいユーモアが溢れつつ生真面目、ちょっと自虐的で笑えるところが多々あって面白かったw 特に好きなのはやはりお伽草子。 日本のお伽草子を太宰が二次創作?するにあたりキャラクター設定、舞台設定、ストーリー展開について太宰なりに肉付けしてるんだけどそれがまたとても面白い。 こういう作品を読むと太宰の繊細さ、観察眼、洞察力がよくわかる。 カチカチ山であれだけの苛烈な罰を狸が受けるには…と空想巡らした結果があの狸とウサギのキャラ設定なのが絶妙(男性はやっぱり「狸かわいそう」と思ってしまうのかもだけど) 後半なんて特に狸が今後一切近寄ってほしくない不快すぎる生物としてウザキモに書かれてるのすごいなって…。 あの結末に少しの同情心も湧かないw あとは桃太郎さんを太宰が書けない言い訳をだらだら書いてるところもユーモラスすぎて好き。 「日本一の快男児なんて日本ニ、三にすらなったことない作者に書けるわけない」みたいに書いてるところ笑った。 太宰はあと駆け込み訴え、風の便り、ろまん燈籠、女生徒、畜犬談、皮膚と心、黄村先生言行録あたりも本で読みたい。 他にあの太宰にしては珍しいミステリー調のやつ…題名忘れたけどあれも読みたいな。
1投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ全部面白かったけど、「浦島さん」が特に好き。 亀が、すぐ何でもかんでも批評や干渉をしたがる人間の煩わしさをズバズバ論破していくのが爽快だった。 確かに人間は他の生き物と比べておせっかいなところがあると思う。 ネットで言うと、どこの誰かもわからない匿名の書き込みにあれやこれやと批判や同情をよせていたり。 また、どこの馬の骨かもわからない奴の虚勢を張った自慢話が蔓延っていたり。 彼らは外聞に重きを置きすぎている。 そんなに外聞は大事か。 亀にそんな疑問を投げかけられたような気がした。 価値観を押し付けたり押し付けられたり、そんな世の中じゃ多様性からは程遠い。 相手は相手、自分は自分。 それぞれが自分軸を確立し、周りに干渉しない、また自分とは全く異なった価値観を同情や蔑みなしにただ受容する。 そんな考えの生き物たちが集まった竜宮城、ぜひとも行ってみたい。 ※だいぶ昔に読んだ作品なので内容を断片的にしか覚えていません。
7投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ読んでからだいぶ時間経ったけど太宰の解釈がいちいち捻じ曲がりすぎて咀嚼に時間かかった...太宰を読んだ後の目に映る世界がちょっとどんよりとするのが私は結構好き、この世はいつも明るくキラキラしているわけではないし全てを受け入れた上でそのキラキラだけを抽出して生きていきたいんだよ将来的には。今の私は人生のフェーズとしては「全てを受け入れる、まず知る」のフェーズだと思っているので、こういう感覚を大切にしていきたい。何はともあれ、太宰の思考が本当に気持ち悪くて面白いから是非読んで、慣れ親しんだお伽噺に太宰の解釈が加えられただけなのでめちゃくちゃ読み進めやすいヨ、こんなに彼の文学作品が好きなのに1mmも会ってみたいと思わないのすごいわ、全然会いたくねえ
1投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログメモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1753977567034642829?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
0投稿日: 2024.02.04
powered by ブクログ太宰によるフォークロア新解釈をたっぷり味わえる一冊。新釈諸国噺などは、西鶴の原文にちかいのだろうなという話と、『粋人』『遊興戒』『吉野山』など太宰節が滲み出ている話とに分かれている。 特に好きだったのが『竹青』と『浦島さん』。 こうも伸びやかな想像力、幻想的な世界を鮮やかにいきいきと書くことができる作家とは。戦時中の制限された中で、ひとびとを、そして自分自身を鼓舞させるような、そんな切実とした思いも裏に感じる。両者、あまりにうつくしい世界観で、もっと色んな人に読んでもらいたいなぁと思った。これを作者名を伏せて読んで、一体どのくらいのひとが太宰と気づくだろうかと。 そうした美しい描写のなかで、太宰が綴る率直な言葉というのはまたいつも以上に胸にひびくものがある。「年月は、人間の救いである。忘却は、人間の救いである。」 お伽草子は珍しくも「父」としての太宰治が垣間見えるところもあり、なんだかほっこりもした。
1投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログ空襲の中のお伽話語りから始まる のが印象的 久々に再読したけどお伽話や伝承の太宰解釈って改めて贅沢だなぁ、と。 一番好きなのは「浦島さん」 口達者な亀と自称風流人の浦島さんの軽妙な問答は幻想的で美しい竜宮の描写に惹き込まれるうちに太宰の吐露する心情を聞いているかのような感覚へ 無限に許される楽園と地上への郷愁 行きはよいよい帰りはこわい お伽話の解釈が面白い
2投稿日: 2023.10.01
powered by ブクログ戦時中に執筆された短編集。 防空壕の中で娘に読み聞かせていた昔話をもとに書かれた「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の4つのオマージュ作品からなる表題作の「お伽草紙」や、同系統の創作話がたくさん収録されている。 このお伽草紙がめちゃくちゃ面白かった。物語の構成はそのままに、登場人物の内面を深く掘り下げることで、昔話に新たな解釈を与えて、太宰らしい作品となっていた。 なかでも一番好きなのは「浦島さん」。浦島さんと亀のやりとりが面白い。浦島さんに助けた亀が竜宮へ招待しようとしても、そんな批評のない国があるとなかなか信じられない浦島さん。それを説得する亀さんがなんともおかしかった。そして内容も結構深かった。 ここまで想像を膨らませて物語として落とし込める彼の才能と努力はやはりすごい。太宰治ってただ暗いばかりじゃないのよね。 戦時中、過酷な状況下で戦う日本人のための娯楽として役に立ちたいという思いでこの小説を書いたことが作中で語られている。 日本人なら誰もが知っている昔話が、こんなに面白くオマージュされているのだから、きっと多くの人に楽しんでもらえたんじゃないかな。
30投稿日: 2023.08.31
powered by ブクログくどいなぁと 思う所もあるけど パロディ面白い 才能の無駄遣いの ような作品 戦争中の少ない資料 言論統制や ひどい環境でもあった だろう時代に 描かれた作品 文学に携わる者として 徴兵されなかった 自分のへの 義務のような 罪滅ぼしのような そんな思いを持って 作品を作り上げて いったのかなと 勝手に想像 ブックオフプラス22号一宮バイパス店 にて購入
0投稿日: 2023.05.01
powered by ブクログタイトル*お伽草紙 著者*太宰治 出版社*新潮社 作品紹介* 困難な戦争期にあって、深く芸術世界に沈潜することで時代への抵抗の姿勢を堅持し、日本文学の伝統を支えぬいた太宰中期の作品から、古典や民話に取材したものを収める。”カチカチ山”など誰もが知っている昔話のユーモラスな口調を生かしながら、人間宿命の深淵をかいま見せた『お伽草紙』、井原西鶴に題材を借り、現世に生きる人間の裸の姿を鋭くとらえた『新釈諸国噺』ほか3編。
0投稿日: 2023.01.26
powered by ブクログ中期の名作ですね。 学生時代(20年近く前)何度も読みました。 今回、津軽へ年末一人旅に行こうとする後輩のために貸し出すべく再読。 御伽草子の筆が軽く、饒舌。 「曰く、惚れたが悪いか」 は名言です。
1投稿日: 2022.12.04
powered by ブクログ面白かった。後半のお伽草子の幾つかの短編が特に面白かった。私小説的な作者の独白のようなものではなく、ただ単に読者のため、読者を楽しませるために書いているものだというのが伝わってきた。
0投稿日: 2022.06.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
カルチャーショック! それぞれの昔話の解釈がすごい。 カチカチ山のたぬきが中年のやらしい、きたない親父で、うさぎが残酷な15.6の少女という解釈には、圧倒された。いくらひどい仕打ちをされても、惚れている弱味でついつい近づいちゃう、みたいな。 最後の「古来、世界中の文芸の哀話の主題は一にここにかかっていると言っても過言ではあるまい。女性にはすべてこの無慈悲な兎が一匹住んでいるし、男性には、あの善良な狸がいつと溺れかかってあがいている」には、なんともいいがたいものがある。 こぶとりじいさんにしても、だれも悪く無いのに不幸な人が生まれてしまったと。 人間って本当にさまざまな考え方を持っているもんだな。 そして、こういうパロディ?を読むと、原本をハッキリ知らなかったんだなともおもう。 1989 の感想を転記
7投稿日: 2021.11.23
powered by ブクログこぶとりじさん、浦島太郎、カチカチ山、舌切り雀を太宰流にアレンジしてユーモアたっぷりに仕上げた短編集。浦島さんとカチカチ山がよかった。 新解釈諸国噺など読み応えがあるものが多い。なかでも清貧譚という短編が良かった。
0投稿日: 2021.07.24
powered by ブクログ「こぶとりじいさん」、「浦島太郎」、「かちかち山」、「舌切り雀」という有名なおとぎ話を太宰が独自のユーモアな解釈をしたもの。 特に浦島太郎は、助けた亀との言い争いのシーンがとても長く、しかもあまりにもお互い理屈っぽくて笑ってしまった。 子供向けの昔話であるがゆえに描かれていないだろう余計な会話であるとか、あえて描かなかったかもしれない人間らしい薄汚い場面だとかをあえて見せることによって、昔話を新たな解釈をして読むことが出来る、少し皮肉っぽい面白い作品だった。
0投稿日: 2021.04.27
powered by ブクログ太宰さん流の昔話、好きだ。 軽快に語られているが 人間の中に根強く存在する 慈悲、強慾、怨恨、嫉妬が 語られていて興味深い。 浦島太郎の話。これもまた良い。 『年月は、人間の救ひである。 忘却は、人間の救ひである。』 人間が最も恐れる老いというのも 美しく、幸福なことなのかもしれない。 年老いてまたこの本を手に取った時、 私はどう感じるのだろうか。
5投稿日: 2021.02.11
powered by ブクログ太宰治の悲痛な感じは弱く楽に読める 理屈っぽい面倒くさい持論を展開してて青さも感じる 昔話をちゃんと読んだことがなかったから、 昔話話自体の理解も深まって良かった 1番好きなのは、浦島太郎の亀かな
0投稿日: 2020.12.10
powered by ブクログ陰惨さや皮相的な面が表には出ず、とても終戦の前月に発表されたとは窺えない。読んでいて楽しい気分になる。2020.10.6
0投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログ太宰治にかかると、子供のためのおとぎ話が、人間の生き方や深層心理を描く心理小説になってしまうのか。確かに採択されたお話はどれも一癖ある噺であり、素直に面白かったと終わるより、引っ掛かりのある噺である。かちかち山は特に男女の仲の恐ろしさを描くホラーとして優れている。
0投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログなにげない文章の中から登場人物の人となりを読み取ることができて、息を吸うようになんの抵抗もなく主人公が遭遇している状況をイメージすることができる文章力は、さすがだと納得せざる終えない
0投稿日: 2020.04.15
powered by ブクログこの本を読んで太宰は人間の本質や内面を文章化することに優れているのだと感じた。 特に印象に残っているのはカチカチ山の話。人は見かけによらないということや 、誰しも多かれ少なかれこの本に出てくる登場人物のような気持ちは持っているのではないかと思わされた。 ある種、読んでいて人生における教訓が詰まったような1冊だった。
0投稿日: 2020.03.25
powered by ブクログ2019.6.24 39 面白かった。太宰治の表現や感性は、今の時代でも新しいような感じがする。俗っぽさ、ユニークなところ、難しい表現の中にあるちょっとした可愛い言葉遣い。竹青の中での、人間は一生、人間の愛憎の中で苦しまなければならぬものですをのがれ出ることはできません。忍んで努力を積むだけです。学問も結構ですが、やたら脱俗を衒うのは卑怯です。もっとむきになって、この俗世間を愛惜し、愁殺し、一生そこに没頭してみてください。神はそのような人間の姿をいちばん愛しています。というところに、太宰治のとっても言いたいことを感じた。吉野川もよかった。
0投稿日: 2019.06.24
powered by ブクログ困難な戦争期にあって、深く芸術世界に沈潜することで時代への抵抗の姿勢を堅持し、日本文学の伝統を支えぬいた太宰中期の作品から、古典や民話に取材したものを収める。“カチカチ山など誰もが知っている昔話のユーモラスな口調を生かしながら、人間宿命の深淵をかいま見させた「お伽草紙」、西鶴に題材を借り、現世に生きる人間の裸の姿を鋭くとらえた「新釈?国噺」ほか3編。"
0投稿日: 2019.06.18
powered by ブクログ素晴らしかった。 太宰治はあまり読んだことがないが、この作品群はユーモア満点で面白い。 特に竹青や、御伽草子は読みやすい。 芥川は文章の装飾がセンス満点といった感じだが、太宰は人間の内面の分析のセンスが満点という感じ。
3投稿日: 2019.05.27
powered by ブクログ特に印象に残ったのは「浦島さん」。物語中には太宰の独自の解釈が垣間見られるが、最も感銘を受けたのはやはりパンドラの箱の話である。パンドラの箱は開けると膨大な憎悪や悲観など否定的な感情、悪物質が放出される。ただ、底に残るのは希望である。どれだけ辛くても、希望を見出して生きていけという太宰の強く優しい訴えだと考えることができる。そして、「浦島さん」を太宰が執筆完了したのは昭和20年、終戦直後のことである。 本当に太宰治は偉大な作家だと思う。
1投稿日: 2019.04.04
powered by ブクログ洒脱なユーモアと豊富な語彙、軽やかでそれでいて格調を感じさせる文体。 太宰治の良さに満ちている短編集。『お伽草紙』を太宰の最高傑作に挙げる人も多いが、わたしもこの作品は好きだ。防空壕の中での娘への語り話という設定が凄い。日本絶体絶命な時に、こんな戦意高揚に全く寄与しそうにない作品群を書く太宰はやはし凄い作家なのだと思う。西鶴の作品に材をとった『新釈諸国噺』や古典的短編も、太宰の教養の深さがうかがえる。“猿塚”という話だけは相当後味が悪いけどやはり巧い。
2投稿日: 2018.07.24
powered by ブクログ清貧譚・竹青そして井原西鶴の作品群にヒントを得た新釈諸国噺、と人情物がてんこ盛りで、心情の機微に敏感な彼らしい作品がずらり。お伽草紙には期待が大きかったかな、まあ普通。桃太郎をあえて作品化しなかった理由も書かれてたけどなんか腑に落ちない。逆説的だが井原西鶴を読みたいと思わせたね
1投稿日: 2018.04.11
powered by ブクログ『ノイズカット』 太宰治の人生の中で中期を彩る作品。 この作品では太宰治のアツイ情熱を感じる。 どこか、なにか悶々としたものが吹っ切れて、ある制約がある中を自由に闊達に表現されている感じがする。 ちなみに、カチカチ山は女性の感想をきいてみたい。 デートでこの話題をだしたら飯がまずくなるかも。。。
1投稿日: 2018.03.19
powered by ブクログ教科書以外では初めての太宰治。 大学の同級が好きだったな。 どの本か知らないけど。 この本は名前から想像出来るように古典のアレンジ?です。 元を知らないと独自部分が分からないけど、日本の有名な昔話なども題材になっていてちょっと楽しかった。
1投稿日: 2017.01.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
太宰治は、「人間失格」と「走れメロス」ぐらいしか読んだことがなくて、特に「人間失格」のどこまでもマイナス方向へ話が向かう印象が強かった。 でも、この「お伽草子」では、父としての顔がうかがえ、それぞれのお話の捉え方も、興味深い。
1投稿日: 2016.10.29
powered by ブクログごめんなさい。これはちょっと苦手です。文庫1冊読むのが苦痛でした。「浦島さん」だけ好きです。カチカチ山のタヌキが気持ち悪くて無理。フォークロアな太宰には何だか違和感を感じてしまう。作品の質の問題ではないです。私個人の好みで受け入れられない感じです。古典から題材を得た作品でも「新リア王」は妙に庶民的で笑えたんですが…いや笑えればいいというわけではないのですが…好きな太宰、苦手な太宰があるということでご容赦ください。
0投稿日: 2016.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
◆瘤取り こぶとりじいさんの話。太宰の解釈がとっても面白い。いわく… 二人目の、こぶが増えてしまったお爺さんは、ただ緊張して踊りが下手だっただけだ。他のおとぎ話に出てくるような悪人ではない。それなのにこぶが増えるという不幸なことになった。そこから教訓を得ようとするならば… 「性格の悲喜劇です。人間生活の底には、いつも、この問題が流れています。」 うーん、たしかに!! ◆浦島さん 浦島太郎。 亀の、浦島さん(陸上で暮らす人間)に対する、本質をついた毒舌にうなされ、 さらに、”浦島太郎がお爺さんになったのは不幸ではない”という解釈にもまたうなされた。 ◆カチカチ山 めっちゃ面白くてクスクス笑った!設定が絶妙。 うさぎ=16歳の処女で美少女 たぬき=うさぎに恋した37歳男性、色黒でがさつで食に貪欲な醜男(ぶおとこ)。 火傷+唐辛子後に復活してまたうさぎのもとにノコノコやって来たたぬきに対して、うさぎが「キモい、ウザい、死ねばいいのに」って思って泥舟計画を思いつく場面。もうそういう話にしか思えないよー(笑) 「惚れたが悪いか」 うさぎが残酷なのは、純粋な少女だったからなんだと。 太宰も美少女に「キモい」とか言われた経験があるのかしら、なんて思った。 ◆桃太郎 ”日本一になったことのない自分(太宰)は、日本一の桃太郎について書けない。私は弱者の気持ちはわかる方だが、強者の気持ちは経験していないしよくわからない。だから桃太郎は書かないのだ。” …ということらしい。 太宰のこだわりが見える一節。 ◆舌切雀 お婆さんの気持ちが、切ないというか、やるせないというか。お爺さんがあまりに無口だったから寂しかったんだよね。 最後の「いや、女房のおかげです。あれには、苦労をかけました。」という言葉にちょっと救われた。
2投稿日: 2016.05.03
powered by ブクログ「瘤取り」 志の輔らくご『こぶとり爺さん』より。 「カチカチ山」 柳家三三インタビュー(『落語の影響を受けた太宰治短編集』)より。
1投稿日: 2016.02.28
powered by ブクログ『お伽草紙』は「こぶ取り爺さん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切り雀」の昔話を太宰治流に書いたパロディー作品。どれも見事で面白い。とくに「浦島太郎」が最高だった。まさにユーモアとペーソスの天才。中高の教科書で『走れメロス』がよく取り上げられるが、ぜひ『お伽草紙』を扱ってほしいと。クラスが笑いでつつまれると思う。ちなみにこの本に収録されている他の話もパロディ的なものだが、西鶴など、元ネタが今の人にはあまり知られていないので少し残念。
0投稿日: 2016.01.08
powered by ブクログ有名な昔話の改作の表題作「お伽草紙」はもう少し捻りが欲しいところ。それよりも井原西鶴の作品を改作した「新釈諸国噺」が面白い。原作を読んでいないためどこまでが太宰流のアレンジなのか不明だが、辛口のオチがある作品もあり楽しめた。
0投稿日: 2015.07.15
powered by ブクログ井原西鶴の作品や昔話を太宰治がアレンジした短編集。 数多く見られる駄目人間達の描写に腹を立ててしまったり、憐れに思ってしまったり、滑稽だったりとどの作品も良質な物語となってます。 中でも『竹青』が主人公の駄目さと、物語の幻想的な部分、落ちの付くところ等、非教訓的なところも併せて良いなと思いました!
1投稿日: 2015.07.06
powered by ブクログ特に、昔話をもとにしたお伽草紙がとても面白い。 太宰さんならではの切り口がたまらない。 太宰は暗い、というイメージを持っている人に、是非読んでもらいたい。
0投稿日: 2015.04.29
powered by ブクログ2015.4.28 Kindle版を読了。予想以上に読みやすかった。お伽草子をアレンジして、書き直している。何気ないことから、ちょっと変わった方向へ掘り下げていく点が、森見登美彦の『四畳半〜』に似ている。逆に、森見登美彦の作品が、太宰治に似ているのだろうけど。本作品では、脇道に逸れながらも、すぐに本筋に戻って物語は進んだ。対して、森見氏の場合は、かたよった方向に掘り下げたままなかなか戻って来ず、そのまま着地してしまう。皮肉というか、ものを斜めに見ている点だけが似ているのか。とにかく、森見氏は、太宰治に影響を受けているのだろうと思う。 閑話休題。どの話も、お伽草子の登場人物の心情がありありと描かれている。お伽草子にある子供向けの柔らかい雰囲気は消え去り、作者のつっこみが冴えている。お伽草子の主人公たちの考え方や感受性が、比較的現代と同じような感覚に落とし込まれており、感情移入もしやすかった。下手に古めかしいお伽草子を読むより、こっちの方が面白い。 太宰治はもっと暗くて難しい印象があったが、本書でその認識はなくなった。他の作品も読みたい。
0投稿日: 2015.04.28
powered by ブクログ人間失格を読んで太宰を好きになって斜陽、走れメロス、短編集?と続けざまに読んできたが、このお伽草紙は人間失格に次ぐおもしろさ。 ところどころにある作者(太宰)の自分語り、特に桃太郎の一説は個人的に好きな部分であるが、今の小説にはそのような自分語りは少ないとふと思った。 作者が読者と対話するような文章があることで雲の上のような存在の太宰が急に身近な存在となったように感じた。いくら神格化されていようと普通のネガティブなおっさんなんだ。そう感じさせてくれる作品。 話は変わるが印象に残った物語は「カチカチ山」と「裸川」。特にカチカチ山の悲惨さは目を覆いたくなる。
0投稿日: 2015.01.24
powered by ブクログカチカチ山が非常に面白かった。こんな発想はできない。でも読んだら、もうそれにしか見えなくなってしまう。面白い。
0投稿日: 2014.11.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昔話や井原西鶴の話を下敷きにして、ユーモアや皮肉なんかを織り交ぜて太宰なりに書いたものを集めた作品。 やはり太宰といえば『人間失格』を思ってしまい全部があんな感じで暗いのかと思ってる人も多そう(私もそんなふうに思ってた節がある)だが、これはユーモアも効いてるし面白く読める。 特に『お伽草子』は面白かった。 瘤取り爺さんから学ぶ教訓とか浦島さんの亀のいちいち言ってることが物事の本質すぎるとことかも良かったけど、カチカチ山がやはり素晴らしい。 兎を十六歳の処女の美少女として、狸を醜男とするところがもうまず良い。 兎の残虐性もアルテミス型美少女と思うとなんだか無性に美しく、狸の食に関する貪欲さとか全体的なずぼらさとか思いあがりなんかはすごく醜く思えて…。 さすがだなぁと思えました。
0投稿日: 2014.11.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
太宰治といえば、自身の弱さを皮肉ったような作品が多く見受けられるが、このお伽草紙はそういった話ではなく純粋な物語の本。 社会への皮肉は多少まじっているように思えるが、他の短編ほどでもなく、太宰の凛とした文面が純粋に楽しめるのでとても読みやすい。 太宰の「ひょうきん」な一面が非常にストレートに出ていると思う。 特に「カチカチ山」が好きだ。 カチカチ山はたぬきとうさぎを擬人化した作品。たぬきは作中ひどいことをしでかすが、どことなく憎めない。 純真な分、残酷さが際立つのは寧ろうさぎのほう。
0投稿日: 2014.09.07
powered by ブクログ太宰治の中間期?の短編群。人間失格ほど深刻でなく、走れメロスほど真剣でなく、なんというか、軽々と楽しく描いた印象。この人はユーモアをもって文章を書ける人なのだなと。
0投稿日: 2014.07.13
powered by ブクログ・・・・・・っということで、ただでは起きない太宰治と書いたが、今度は防空壕の中で子供に読み聞かせた御伽噺を題材に作品に仕上げている。 むかし「本当は怖い○○童話」なんて本が何冊も出ていた気がする。 太宰はそれを先取りした形か。 「こぶとりじいさん」「浦島太郎」「かちかち山」「すずめのお宿」をそれぞれブラックユーモアで仕上げている。 御伽噺とはいえ、そこは太宰、人間の本質についてかなり真剣に本音で語っている。 どの物語にも、オリジナルにあるようにホントーの悪者としては描いていない。 悪と決め付けずに、人間の性として描いているところが太宰の優しさだろうか。 所々ドキッとするような言葉が出てくる。 中でも浦島太郎は、太宰の理想とする世界観が見えてくる。 亀に陸上生活者の会話の全部が人の悪口か自分の自慢だなどと言わせている。 御伽噺という肩の凝らない物語だからこそ、太宰という人間を知る上で貴重な情報を提供してくれていると思う。 特に、私は実際に自分で体験したことでないと一行も一字も書けないとは、彼の自殺の原因を知る上で大きなヒントとなるとぼくはおもうのだが・・・
0投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログ浦島さんのラストがすごく好き。事実をそのまま受け止めて、それを悲観しなくてもいい、不幸じゃないってポジティヴにとらえる感じが、すごく優しいなって思いました。
3投稿日: 2014.03.17
powered by ブクログ・収録作品・ 盲人独笑 清貧譚 新釈諸国噺 貧の意地 大力 猿塚 人魚の海 破産 裸川 義理 女賊 赤い太鼓 粋人 遊興戒 吉野山 竹青 お伽草紙 瘤取り 浦島さん カチカチ山 舌切雀 奥野 健男・解説
0投稿日: 2014.01.31
powered by ブクログ図書館で。 カチカチ山のうさぎは16歳処女でタヌキがアラフォーの中年男、という解釈はなんとなくわかりやすかったです。少女の(というか子供の)残酷さって確かに恐ろしい。でも確かに瘤取り爺さんもよくわからないし舌切り雀のおばあさんもそんな悪い人じゃなさそうですよね。昔話の教訓とかよくわからないなあ~ 吉野山の悲哀が何とも言えず悲しかったです。
0投稿日: 2013.12.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本の昔話を太宰が再解釈したお話。 こぶとり爺さん,カチカチ山,浦島太郎,舌切り雀… 浦島太郎で乙姫が浦島に玉手箱をプレゼントした理由について,「マンガで分かる心療内科」の第3巻は,エビングハウスの忘却曲線に基づいて,辛い出来事を忘れさせ,竜宮城での楽しい思い出のみを残すためではないかとの解釈をしています。 一方,本書の太宰の解釈によれば,年をとることこそが幸せだからだということですが,前掲書との対比が興味深いですね。
0投稿日: 2013.12.02
powered by ブクログ様々なお伽話を太宰なりに解釈した作品です。そんなにまあひねくれた物の見方が出来るなと思うと同時に、彼の発想力の豊かさにおどろきます。 九州大学 ニックネーム:来見田仁志
0投稿日: 2013.11.06
powered by ブクログ戦争という、当局から言論統制が厳しくなる中、太宰だけが活発に執筆活動をしていた。古典やお伽噺を題材にして人間のエゴを書き続けたのは、さすがの一言。
0投稿日: 2013.09.02
powered by ブクログお伽草子、これは初読。中期の傑作は敢えて読んでいなかった。 なるほど、兎はアルテミスだったのね、涙無くしては読めないカチカチ山。
0投稿日: 2013.07.02
powered by ブクログ表題作の他に『盲人独笑』『清貧譚』『新釈諸国噺』『竹青』を収録した新潮文庫です。 このなかでは、やっぱり『お伽草紙』が良かった! 日本昔話を太宰さん流にリメイクしたお話なんだけど、これはスゴかった! どちらかと言うと、大人が楽しめるお話になっていたよ。 浦島太郎さんの竜宮城はちょっと大人過ぎてつまんなかったけど、もっともっと聞かせて欲しい太宰日本昔話でした。 これはおススメ♪
0投稿日: 2013.05.20
powered by ブクログ人間失格、桜桃、晩年、走れメロス、御伽草子となんか変な順番で太宰文学をよんできて、いちばん楽しかったのがこの本だった。「晩年」を読んでいるときも、なかなか世間のいう「太宰は暗い」という批評は嘘だ、と思ったが、御伽草子をよんで本当にそう思った。「晩年」では、ほんとうにこいつ死の間際にいるんか、と疑うほどの快活とした作品に思えたりしたのだ。 昔話に題材を取る作品はいままで読んで来たが、太宰にかかるとそこに笑いの要素が色濃く追加される。しかしこの作品が書かれたのは第二次世界大戦中だというのには驚いた。苦境の時代にあり、あれだけ大衆文学然とした娯楽読み物を書けるとは、なんていう頭してやがるんだと思った。だが、むしろ苦境にあったからこそ、あれだけの笑いを挟む必要があったのかもしれないとも思う。「晩年」の時もそうだが、死が近いときにこそ、道化という最後の人類に対する求愛の手段に訴えてしまうのが太宰なのだろうか、と。彼が見せる道化の裏に、此岸を見つめる彼の瞳があるのだ。この本は、道化と厭世と2つの側面を併せ持ちながらも、どちらの読み方もできる、太宰の最高傑作であると私は思う。
3投稿日: 2013.03.15
powered by ブクログそれぞれに知っている話で、でも違う。 不思議な感じがした。 中国の話を題材にしている、 鳥の話だったかが印象的だった。 これも前過ぎてうろ覚え。
0投稿日: 2012.12.30
powered by ブクログ太宰はなんとなく敬遠していたが(太宰、と呼ぶのまでなんだか気恥ずかしいくらい)、これだけは別格に好き。 歪んだユーモアにけれんみたっぷりで、娯楽作品としても楽しい。
0投稿日: 2012.10.26
powered by ブクログカチカチ山のモデルになった山へ登ったあとに購入して読みました。 太宰治特有のユーモア、ブラックユーモア、凛とした文章の短編集。 特にカチカチ山はたぬきをパッとしない中年男性、うさぎをあどけない少女にしたあたりが物凄く好みでした。 私の好きな、手塚治虫の世界を見ているかのようだし、更にそこに残忍さを持った少女に片思いする汚いおっさん! それでも愛を語る、たぬきの最期の台詞が、とても愛しい。
0投稿日: 2012.10.26
powered by ブクログ西鶴のオリジナルを読める気がしなかったので、太宰版で読もうと思い、手に取る(軟弱者・・・)。 西鶴の作品を骨子にしているけれど、きちんと太宰の作品になっているんだな、と思った。解説でも言われているように、ところどころ太宰は西鶴センセイに遠慮をしているようだ。太宰の「らしさ」が出ている作品の方が、なるほど生き生きしていて出来がよいように思われた。 とはいえ、太宰は本当に西鶴のことが好きなのだな、と思った。その尊敬がなんとなく、初々しくも見えて清らかだ。 お伽草子の方も、太宰がオリジナルを多少曲げても「自分のもの」にしている作品の方が面白かった。かちかち山のたぬきや、舌切り雀のおじいさんなど。キャラを描き切っている感じがする。 太宰と西鶴の大きな違いは、生まれではないだろうか。西鶴は町人で太宰は大地主の家柄だった。それがもっとも、二人の価値観の違いになっているような気がする。 私も商売人の子供だからかもしれないが、西鶴はやっぱり、町人の生まれなんだなぁ、と思うもの。太宰はそういうところに関してはやはり、お坊ちゃんが抜けないんではないかな。
0投稿日: 2012.08.20
powered by ブクログ夏だ!太宰を読もう!と、思い立った私。周りの文学クラスタに「一番好きな太宰治の小説」を尋ねたところ、『お伽草子』を挙げた人が一番多かったです。『人間失格』や『桜桃』『津軽』なんかが人気あるのかな、と思っていたので少し意外でした。 この新潮文庫版では、「お伽草子」の、全四話と前書きに加え、井原西鶴から材をとった「新釈諸国噺」や、中国の古典に着想を得た「竹青」「清貧譚」、盲目の三味線奏者の日記に着想を得た「盲人独笑」を収録。 どれも面白かった!日本のあらゆる作家の中で、太宰治は最高のユーモアセンスを持っていると思いました。なん箇所か、クスクス笑っちゃった。そのユーモアが、ちょっと悲哀があって、やさしくて、いいんです! お伽草子は、「瘤取り」「カチカチ山」「舌切り雀」「浦島」と、日本人なら誰もが知っているおとぎ話を下敷きにしています。その人間描写が、ユーモアに満ちててすばらしい。瘤取り爺さんにでてくるおばあさんやら、カチカチ山の残酷な処女ウサギと、愚かな狸やら。いとしくなること間違いなし。 お伽草子に比べて、「新釈諸国噺」は知名度が低い気がするけれど、これはかなりおもしろかったです。私は西鶴を読んだことがないので、太宰がどこまで物語を創作したのかわからないけれど、西鶴と太宰のコラボ、これは最強だ。残酷さ、滑稽さ、人情。短い話にまるっとはいってます。読みながら日本全国を旅行できるのもイイ!笑 「盲人独笑」は、半分ホンモノ、半分太宰の創作、というのが私には仇に働いて、あまり楽しみきれませんでした。本物の日記を読みたくなってしまって、集中できなかった。
0投稿日: 2012.07.18
powered by ブクログ前半はちょっと我慢しながら読んだけど 昔ばなしベースのやつはおもしろかった 太宰治ってこういうカヴァー的なの多いの? この人の書くダメな男は笑える 自分のこと書くのがうまいのか 笑えるヤツだったから文章にしてもおもしろいのか ダメな男しか出てこないけど そこがまた魅力なんだろうな フツーだったから星3つ
0投稿日: 2012.07.17
powered by ブクログ空襲の避難先で子供たちに聞かせた、アレンジ昔話。斬新すぎる切り口で、当時としては現代版日本昔話になるのだと思う。中学か高校時に読了。
0投稿日: 2012.05.20
powered by ブクログ盲人独笑 清貧譚 新釈諸国噺 貧の意地 大力 猿塚 人魚の海 破産 裸川 義理 女賊 赤い太鼓 粋人 遊興戒 吉野山 竹青 お伽草紙 瘤取り 浦島さん カチカチ山 舌切雀
0投稿日: 2012.05.10
powered by ブクログ有名な人のを読んでみよう計画。面白いところだけ。 御伽草子はおもしろかった。なまえから良い。 百国のほうは・・・次時間のあるときに。
0投稿日: 2012.05.10
powered by ブクログ太宰治をはじめてちゃんと読んだ! 五所川原行ったときに太宰治の生地に行き、太宰作品まともに読んだことないな…とりあえず読んでみるかと買ってみた本。 短編集だし、ユーモアが随所にあって意外と読みやすい!…といっても「意外と」なので現代小説と比べたらやっぱ読みにくい。まぁそこは単純に時代の問題ですかね。ユーモアといっても今で言うオチのある笑いではなく、どちらかというと皮肉めいた感じ?それはそれで面白いけども。 後半のお伽草子が面白い!昔話をもとに太宰さんが想像を膨らませて書いたお話。カチカチ山とかほんとにかわいそう笑 こういうお話も書く人だったんだなと太宰さんへのイメージが変わった一冊でした~
0投稿日: 2012.04.15
powered by ブクログ2012年2月9日読了。iPhoneの青空文庫リーダーアプリにて。「こぶ取り爺さん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切り雀」の4つの昔話を太宰流に、当世風に語りなおした小説。太宰らしいユウモア、風刺と自虐ネタ満載で滅多矢鱈に面白い。「批評を嫌いといいながら自分は批評めいたことばかり言ってやがる」などの風流人浦島と亀とのやり取り、つれなく冷酷な美処女(?)兎の前に「惚れたが悪いか」と果てる醜悪な狸、なんら生産的な活動をせず婆さんに生活の世話になりながら、雀一匹に異様な執着を見せる爺さんなど・・・面白くて仕方ない。「浦島太郎」のラストにあるような、救いがたい境遇に落ち込んだ人へ太宰が見せる共感・やさしさもいい。しかし、太宰が疑問を抱いたように、これらの昔話を聞いた子供はどんな教訓を得ればいいのだろうか・・・?「君子危うきに近寄らず」・・・?
0投稿日: 2012.02.11
powered by ブクログ太宰が御伽話を読むとこうなるんだ。 誰もが知っている御伽話ですが、 一作家が解釈することで、こんなにも広がるのだなぁと、 物事を解釈し、そこから思考を展開する楽しさ・大切さを感じた。 人間の本質や社会風刺を楽しめ、 太宰の作品ながら、読後に気分が暗くならなかった。
0投稿日: 2012.01.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人の世の常なる喜怒哀楽を込めた寓話の数々。 そこに筆者なりの思いをのせて大胆に解釈を施している。 この太宰の解釈を、ピュアととるか、シニカルととるか、そこのところはよく分からない。 多分どっちも。 数ある寓話の中でも、気にいった文句。 “気の弱い男というものは、少しでも自分の得になる事に於いては、極度に恐縮し、汗を流してまごつくものだが、自分の損になる場合は、人が変ったように偉そうな理窟を並べ、いよいよ自分に損が来るように努力し、人の言は一切容れず、ただ、ひたすら屁理窟を並べてねばるものである。極度に凹むと、裏のほうがふくれて来る。つまり、あの自尊心の倒錯である。" ~『新釈諸国噺 貧の意地』より、ダメ男の空気の読めなさを表して “曰く、惚れたが悪いか。 (略)女性にはすべて、この無慈悲な兎が一匹住んでいるし、男性には、あの善良な狸がいつも溺れかかってあがいている。” ~『お伽草紙 カチカチ山』より、作者の所感。愛すべきブサメンへの愛が透けて見える。
0投稿日: 2012.01.22
powered by ブクログモティーフはほとんどの日本人が知っているであろうおとぎ話である。 こぶ取り、したきり、カチカチ山、浦島太郎・・ これらの話をベースに著者のユーモアに富んだ人間分析が加えられるというのが本書の特徴である。 おとぎ話を現代風にアレンジしたと言えば聞こえはいいのだろうか。 筆致は重すぎない程度に軽く、情景も風光明媚という言葉がしっくりくるほど美しい。最近の作家を見下すわけではないが、これが文豪か。という感想を抱かずにはいられなかった作品。
0投稿日: 2012.01.07
powered by ブクログ「カチカチ山」「瘤取り」「浦島太郎」といった、おなじみの昔話を太宰風にパロディにしてあります。カチカチ山のタヌキはもてない中年男だった!?浦島太郎は風流好きの長男だった!?・・・太宰のユーモアと大真面目でおかしい解釈が光る名作。太宰は暗い人というイメージが先行している人には、ぜひ読んでほしい一冊。
0投稿日: 2011.12.16
powered by ブクログ日本昔話を、太宰治の独自解釈で焼き直したもの。僕たちの「おとぎ話」は、実はとても不安定なんだなあと思います。芥川龍之介の「桃太郎」読んだときもそうだし、太宰治の「カチカチ山」読んでもそう思った。新しい視点で文学できる、そんな楽しさを教えてくれました。
0投稿日: 2011.12.04
powered by ブクログ「走れメロス」で人への信頼と友情を強く表し、「斜陽」では没落貴族の娘の悲哀としたたかさを描いた太宰治が、日本や中国の説話を解釈すると、土屋賢二も真っ青の減らず口に満ちた毒舌満載なものとなるようです。^^ 太宰治の別の面を知ることができる一冊かと思います。 カチカチ山のタヌキがギャル兎に執着して翻弄される様子は、そのまま現代に置き換えることもできそうですし、浦島太郎のカメを同定しようとする試みも面白いです。(ただウミガメは産卵以外では陸に上らないのでメスのような気もするのですが…笑) 他に「盲人独笑」「清貧譚」などの短編が収められています。
0投稿日: 2011.09.27
powered by ブクログただ向う側の花を見たいだけなのです。自分がいま冒険をしているなんて、そんな卑属な見栄みたいなものは持ってやしないんです。なんの冒険が自慢になるものですか。ばかばかしい。信じているのです。花のある事を信じ切っているのです。そんな姿を、まあ、仮に冒険と呼んでいるだけです。あなたに冒険心が無いというのは、あなたに信じる能力が無いという事です。(浦島さんより)
2投稿日: 2011.09.19
powered by ブクログ再読。 以前読んだとき(高校時代?)は「御伽草子」の印象ばかり強く残ったが、今回は「新釈諸国噺」もとても楽しめた。 出てくる人物が皆すごく人間臭くて愛おしい。 皮肉混じりのユーモラスで軽妙な語りが、相変わらずとても好みだった。 また、これを戦時中(一部は戦後すぐ)に書いていたのかと思うと、とても興味深く感じた。
0投稿日: 2011.08.11
powered by ブクログ饒舌で辛辣な亀と言われ放題の軟弱浦島。小汚い中年たぬきと小悪魔うさぎ。アレンジというかもう最早やりたい放題。なんて面白いんだろう。古い作品のはずなのに、文章にも感覚にも全く時代を感じない。亀やうさぎの奔放な弁舌にドキッとさせられること幾度か。いつの時代にも通用する素晴らしい作品群。
0投稿日: 2011.08.10
powered by ブクログ太宰治、中期の作品集。『盲人独笑』『清貧譚』『新訳諸国噺』『竹青』『お伽草子』収録。 読み口の硬いものも多くなかなか読み進まなかったのだけど、それを補うように『お伽草子』がおもしろかった。 太宰による日本の昔話の再構築。『カチカチ山』における兎と狸を、若さゆえに残酷な美少女と醜い中年男に当て込む表現は新発見だった。 そして森見さんを彷彿とさせるユーモラスな文体。こんな一面もあったのね。
0投稿日: 2011.07.23
powered by ブクログ太宰治を読み始めた人にこそ読んで欲しい作品のひとつだと思う。人間失格、斜陽、それもいいですが、この作品を読んでみてはいかがでしょうか。
0投稿日: 2011.06.14
powered by ブクログ太宰のエッジのきいた捉え方は読みごたえがあった。 高校の時に読んだ時はいまいち意味が分からなかったが、今読んでみるとその表現の巧みさ等を実感できる。 まさに20歳前後くらいで読むとちょうどいいのかなと思う。
0投稿日: 2011.04.29
powered by ブクログ「新釈諸国噺」の中の「吉野山」など、お腹抱えて笑えます。 人間観察の鋭さとユーモアのセンスはさすがに太宰治。 太宰は「暗い」とかマイナスイメージ持たれがちだけれど、私は彼はとてもおもしろいサービス精神の持ち主だったと感じる。
0投稿日: 2011.01.30
powered by ブクログ元ネタありきの話の膨らませ方が面白いなぁ。 語り口も軽妙でいいし、ところどころで自分の意見言っちゃうのもいい。 皮肉っぽいのも好きだし、なんでこうなっちゃうんでしょうねぇ感が面白い。
0投稿日: 2011.01.21
powered by ブクログ誰もが親しむ古くからの昔話に新たな息吹を与える太宰文学です。 「瘤取りじいさん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切雀」など 人の心をのぞきみると、こんなにも恐ろしい日本昔話ですね。
0投稿日: 2010.11.25
powered by ブクログ太宰治が昔話をブラックに解釈し直した『お伽草紙』。おすすめ。 http://t.co/KSpIZnw
0投稿日: 2010.11.23
powered by ブクログ初期 太宰の、輝かしくも滑稽でユーモアたっぷりの作品。 後期の陰鬱とした人間描写を得意とする太宰からは想像がつかなくてビックリさせられるほどに明るく楽しいです。 思わず太宰の一生を追って読み解きたくなるほどにイメージが変わります。
0投稿日: 2010.10.12
powered by ブクログ昔話を太宰流にアレンジ。これはかなりおもしろかったです。こんなような作品って他にはないのかな(他の作家でも)。 ひとつひとつの作品が短くてとても読みやすかった。特に「カチカチ山」が好き。
0投稿日: 2010.09.23
powered by ブクログ太宰の心理描写は秀逸だなぁと思ったのがこの作品を読んだ最初の感想。登場人物が生き生きしてるし、女性を書かせると男性作家の中では群を抜いてる。よくもまあ昔から伝わっている、みんなが考えることなく頭に固定しているお伽話をここまで掘り下げたなぁ、としみじみ思うわけです。短編集だし、太宰が苦手だって人に読んでもらいたい。
0投稿日: 2010.07.28
powered by ブクログ御伽草子は私の中で学生に読ませたい太宰ナンバーワンでございます。どの話もスパイシーで外れがない。太宰ってほんと敏感でやなやつかもwでもそこがいいw
0投稿日: 2010.07.25
powered by ブクログ太宰=繊細 暗い 思考がじめじめしている印象が(私の周囲では)結構あるのですが、これ読んでいるとそうでもない気がします。おとぎ話をよくもここまで膨らませたなぁと。読み始めると止まりません。
0投稿日: 2010.07.21
powered by ブクログ最初の「盲人独笑」は凡人には理解しがたいものがあるが、ひらがなが多い独特の雰囲気は味があって好きだ。 要は昔話なわけだが、登場人物の心理や行動があまりにも人間臭くて、滑稽だけれども笑えない切なさがある。最後の方の話の方が、私たちには馴染み深い昔話をモチーフにしているのでとっつきやすいと思う。 個人的には「竹青」が好き。
0投稿日: 2010.06.29
powered by ブクログ太宰流御伽草子、おもしろかったです。 ひねくれた太宰風「おかしさ」。 ブラックユーモアというんでしょうか。 太宰さんの感じる御伽草子のレビューも含まれていて 太宰さんの意見をみれるところもよかった。
0投稿日: 2010.06.16
powered by ブクログ太宰独特の感性でデフォルメされた昔話。例えば「浦島さん」、乙姫様は徹底して無口、そして亀は饒舌。カチカチ山でのウサギの演じる傲慢な女・・・。一読あれ。
0投稿日: 2010.06.05
powered by ブクログ太宰って本当に人間観察が鋭いなあと感心してしまう一冊です。様々な昔話の、太宰なりの、馬鹿馬鹿しくもオリジナリティー溢れる再解釈。笑っちゃうけど、いちいち人間や人生の本質がはっきりと描かれていて、単なる娯楽小説以上の雰囲気を帯びてます。 皮膚感覚が倫理を被った状態、これすなわち低能或いは悪魔と言う。名文。いやー、残酷だけどカチカチ山、笑った笑った。
0投稿日: 2010.05.18
powered by ブクログ新釈諸国噺 中国の古典や江戸期の文学が好きだ。古典の教科書にもあった伯夷叔斉然り、葉隠武士然り。儒教や武士道といった強力な規範がある時、人はおかしな行動を取ってしまうらしい。 西鶴の本がもとネタ。自身過剰なサービス精神に悩まされた(?)太宰なのだから、古典の温め直しに終わるはずがない。原典には、心に響かないエピソードもたくさんあるので、時間の節約にもなる。
0投稿日: 2010.05.07
powered by ブクログお伽草紙がどれもすんごくて…。すごい発想力だ「聖諦」(しかも、その三百年の将来をさえ、浦島自身の気分にゆだねた。←なんという山!太田さんは遠ざかったことで完成された美ってとこを話してましたが予めそれを聞いてしまった私には前者のが鮮烈だったのかもしれん)「性格の悲喜劇」あとお照さんとおじいさんがきっと目と目でだけ会話している感じ、好き。もちろんおばあさんは哀れ。 兎の「おお、いい景色。」は鮮烈であります。とても絵になってます。あと感情が凶暴になるところ。よく、見つけて話すよなあこんなこと。 諸国噺も面白かったよなあ…裸川と太鼓の話とかは覚えてる。相撲のやつ… 盲人独笑は盲人のもの哀しさなんかではなく、武蔵野と似ていて、若者の胸を憧憬で焦がすタイプのものです。ああすき。 竹青が輝きだした瞬間「お帰りなさい」 「もっと、むきになって、この俗世間を愛惜し、愁殺し、一生そこに没頭してみて下さい。神は、そのような人間の姿を一ばん愛しています。」太宰さんの祈りというか、これを信じていたとはなんとなく今の時点では思えないけども。 作家さんはみなそうだろうけれども太宰さんて絶対書くのにむちゃくちゃくちゃ苦しんでたと思うから、こんだけ色々神がかり的な発想が見えると怖くなります…なんか寿命のようなもの、どんどん削っただろうな…
0投稿日: 2010.05.04
