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町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
飯田一史/平凡社
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総合評価

37件)
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    本屋がなぜなくなっているのか、また、本屋の流通の構造に興味があったので読んでみた。 かなり濃い内容で、読み応えがあった。 ただ、色々情報があって読み終わってよく分かってないところが多いので、復習が必要そう。

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    投稿日: 2025.11.04
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    本を作り流通させ売るビジネスの動きを振り返る内容。どこかの視点に偏る事無く事実を連ねていて資料としての価値を感じるが、テーマ毎に時系列で追いかけるため漢字が連なる長い名称のプレイヤーがなん度も出て読みづらかったが、ステークホルダーの多さと歴代対応の積み重ねで身動きができない様は、企業のレガシーな基幹システムの非効率性に近い状況に結びついた。

    0
    投稿日: 2025.11.04
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    スーパーや家電は価格競争してるのに本は守られてるんやなー。くらいの認識でした。 地元の本屋くらい自分たちで守らないとと思う自分と、高い税金という名のサブスク払ってるんやから図書館を使った方がいいと思う自分と、よく葛藤してます。

    0
    投稿日: 2025.10.21
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    本屋には平積みチェックや自身の本を置いてもらっている所で売れ行き確認位しか行かないのですが読書家なので本屋さんには踏ん張って欲しい気持ちは人一倍強い。 立ち読みの排除?非推奨の流れとAmazonの台頭は本屋さんの運命を大きく左右したのだろうな

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    投稿日: 2025.10.14
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    「町の本屋」は危機的状況にある。 昔はどこにも個人経営のこじんまりした本屋さんがあったものだが、昨今確かに見かけなくなった。本屋がなければ住民が「本」に触れる機会が無くなる。 なんて話が確かにそれはその通りな気もするのだが、著者はその理由を様々な歴史や資料から検証する。 紙の出版物が減ってるからだという話には組しない。なぜなら、それ以前から本屋は減り続けてるからである。 大きな理由は、本の利益率があまりにも低く、運搬費は人件費の上昇に耐えきれないこと。 その上、自分たちの売りたい本を売りたい値段で売れないこと。 本の流通にかかわる、出版社と取次と小売店が、なんつか、一体となって「本」に取り組むのではなく、それぞれの立場で自分たちの利益だけを追求しようとしたこと。 他業種からの参入を阻止しようとしたが、公取にぼこぼこにされ、村理論が通用しなくなったこと。 結局、時代の変化に対応できなかったこと。 こんな感じか。 今ネットで本を買うのも当たり前だと思うがAmazonは、「町の本屋」がやりたかったことを大規模に実現した一面もあるらしい。 そうとう、コストダウンを人に押付けてるところもあって、一概にどうとも言い難いとは思う。 実際、「町の本屋」があったころも、買いたい本が並んでなかったからな。 本を探しに行くのはいつも、旭屋とか紀伊国屋とかジュンク堂という大書店だった。 非常に残念だが、確かになくても困らない。 だからなくなっていく。 そういうことなのだろう。

    0
    投稿日: 2025.10.07
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    町の本屋、チェーン書店、TRC、図書館行政や現場、取次、出版社、公取などの立場から交換された情報を元に、新刊書店経営の歴史を語るとともに、忘れられた書店の姿を描く。 本の定価が固定であることは当たり前だと思っていましたが、そうではないという選択肢もあったと知りました。

    0
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本好きとして知っておかねば、、と思って手に取った一冊。正直全然何も知らなかったらから、そんな時代もあったのか、そういう仕組みになってたのか、と驚き。本という知識への第一歩が安価で手に入ることは、広く人々に開かれているという意味でこの上なく良いことだと思うのだが、一方でそれを置く本屋側がここまで経営上苦労するとなると、自分でやろうとも思わないし、難しい。 最後に書かれているように、最近ではスペース販売との兼業や、独立書店の新しい動きはある。10年、20年後に本屋がどのような形で、どれくらい身近に存在しているのか、できるだけ開かれて、多くアクセスしやすい形で残っていることを祈るばかり。

    1
    投稿日: 2025.10.05
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    町の本屋の数が少なくなってきた背景を、単純な「読書離れ」で片付けずにデータに基づいて紐解いている良本。 かなり情報量は多いが、他業態とは異なる、異質な本屋のビジネスモデルの解説に始まり、大規模書店の出現、Amazonの参入等の影響が具に記載されている。

    0
    投稿日: 2025.10.04
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    とかく「本離れ」「スマートフォンが普及したせい」などと単純化して語られがちな「町の本屋の消滅」について、歴史的経緯、日本の書籍流通の特殊性、法制度などに基づいて解説した本。 データブック的な側面もあり、正直なところ、全体的には読みやすい本ではない。 とはいえ、問題の所在はかなり明確になっている。 再販契約を維持するのであれば、値引き禁止を法制化し、かつ、書籍の定価を上げることが中小書店の保護にはなる。 さらに、書店が取れる粗利率をもっと上げることと、配本制度の改善も必要となる。 また、書店が置かれている現状には、独禁法と公取委がかなり影響していることが理解できたのは収穫であった。 書店団体が出版社等と交渉することが独禁法で禁止されていたのに対し、単独の企業であるAmazonは、相当のシェアを獲得した後に、出版社等と交渉することによって有利な取引条件を引き出すことができた。 このことによって、むしろAmazonによる書籍流通の独占が進んだことは皮肉である。

    0
    投稿日: 2025.09.28
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    かなりの労作でないか。 今まで自分が思っていた「書店を取り巻く環境」がいかに間違っていたのか気付かされる。 ・本屋はふらっと寄る場所から本好きがわざわざ行く場所に変わってしまった。 ・意外な位、本屋に通っている人がいる。週1回以上で75%、え?本当。本屋に来ている人へのアンケートだからか、こんなものか。 ・町の本屋は最盛期の90年代でもつぶれていた。 ・昔から兼業している本屋が多かった。それでないと経営的に無理だった。 ・無書店の町村は昔からあった。 ・本屋がつぶれた原因は、ネットやスマホのせいではない。 ・昔から読書率も不読率は変わっていない。 ・不読者、読書をしなくなったから本屋がつぶれたわけではない。兼業モデルが立ち行かなくなりつぶれたというのが本当。

    1
    投稿日: 2025.08.30
  • コップの中の嵐で体力が削られていったように見える

    書店経営の視点から、様々なデータを元に「町の本屋」さんの経営が成り立たなくなってきたことを分析している。元々文化政策が弱い上に流通の力関係から普通の商いとかけ離れた「儲からない」構造があるところ、大手書店やコンビニとの競争と雑誌売り上げの減少が痛かったようだ。一方、図書館無料貸本屋論・Amazonに持っていかれた論・電子書籍化論などは言われるほどでない(というか見当違い)らしい。 いま経済政策として書店振興が言われているが、むしろ文化政策が必要だと思った。

    0
    投稿日: 2025.08.19
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    日本の出版社がこの本を出すのをよく許したなぁと思えるほど業界の闇に切り込んだ内容だと思う。 正直完璧にに理解できたとは言い難いが今も昔も町の本屋が順風満帆だった時代はほぼなかったんだろう。事実として私の地元ではだいぶ前に町の本屋は姿を消した。大型店があるからそんなに困ったことはないけど、それも当たり前ではなく相当な経営努力のうえで成り立っていて薄氷の上に立つような状況なのだと思う。 考えてみれば昨今様々なものが値上げされているけど、その中に本は含まれていない気がする。でも運搬費や資材費諸々は値上がりしているわけで、その分何が削られているのか……これ以上は言わないでおきましょう。 何にせよ今、私たちが定価で本を買える尊さに感謝しながらこれからも読書に励みましょうということでございます。

    21
    投稿日: 2025.08.17
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     出版業界の流れが明確にわかり、絶望的な状況を突き付ける。希望はあるのか?だが、本書は何か絶望なのか、どのような構造なのか?を明確にしてくれることで、この五里霧中の状態をある程度晴らしてくれている。その中に希望の光を見つけるしかないかもしれない。  様々な業界や小売が同じような状況に置かれていることは容易に想像できる。出版業界に限らず、社会の一部として、物の売り買いをして生活をしている者へ、この本書をお勧めしたい。

    1
    投稿日: 2025.08.17
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    戦後を中心に、小規模書店の商売がいかに難しいかということを跡付けていった労作。 今どきの新書にしては小さい活字で、400超のページ数である。 同じ著者の本で、『「若者の読書離れ」というウソ』を興味深く読んだ。 あの本と同様に、本書も「定説」を覆そうとする試みだと思われる。 例えば、「本が売れなくなったから、町の本屋がつぶれるようになった」「ネット書店ができたから、町の本屋がつぶれるようになった」という説を、本書は真っ向から否定する。 出版不況の前から、ネット書店が台頭する前から、町の書店の大量閉店は起き始めていた、と。 それを、多くのデータ、法令や業界紙などの資料により明らかにしていく。 出版業界の構造はとても複雑だ。 筆者自身そのことに言及して、終章や、各章末のまとめを先に読んだり、興味がひかれた章から読んでもよい、と言っている。 私も正直、最初は終章だけ読めばいいか、くらいに思っていた。 ところが、ここに書かれていることは、自分自身が利用者として経験してきたことの多くをすくいとっている。 昭和の終わりごろに生まれた自分たちの世代にとっては、自分たちが目撃してきたことが、商慣行や法令、流通構造などの、一般読者は意識できない側面から、町の本屋がつぶれるべくしてつぶれていったことを説明する。 あれはこういうことだったのか、などと思いつつ、結局全ての章を読んでいくことになった。 子どもの頃、自分が育った田舎町にも駅前には個人経営の書店があった。 そうした書店では、つけ払いができて、親は全集ものを幾シリーズも買っていた(ゆえに、今家じまいをする時、大変な目に遭っている)。 が、自分が大きくなるころには郊外型書店に通うようになり、そこには文房具だけではなく、ゲームソフトやレンタルビデオも一緒に扱われていた。 大学時代は大学生協と、首都圏の駅内の書店にお世話になった。 これは再販制度の外にある業態だった、と本書で知る。 就職後、何度か転居をしたが、いつも隣には本書で郊外型書店の最初と言われるあの書店の支店があった。 しかし、5年もたたないうちに、どの支店も次々と閉店していった。 都心部の大きな商業施設に入った大型書店も、いつの間にか閉店してしまっていた。 ネット書店も、いくつか利用していたが、結局サービスがなくなってしまったり、利便性がよくなかったり。 (最近はamazonでさえ、あまり使わなくなったけど。) TRC(図書館流通センター)の話は、これまでほとんど知らなかったことで、面白かった。 オンラインで書誌データ、在庫データを管理するシステムと抱き合わせで、図書館に本を売るということだったが、出版業がもっと早くデータベースの重要さに気づいていれば…と思わされる。 全国一律どこでも安価に本が買えるということが、収益が上がらないビジネスを長期的に生み出し、少ない利益を出版社、取次、書店の中で取り合ってきた。 特に個人経営の書店には、戦後一貫して厳しい環境でしかなく、それが商売として成り立っていたことが奇跡だと思うしかない、ということがよく分かった。 先ごろ経済産業省が「書店振興プロジェクト」を公表したが、一体それはどういう風の吹き回しか。 そうそう、昔、本屋さんで本を買うと入れてくれた「これから出る本」というパンフレットがあった。 これが2023年に終了していたということも、本書で知った。 さみしい…。

    3
    投稿日: 2025.08.15
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    知ってるつもりで知らないことが多く、それにしてもドロドロした出版の世界。読んでいるうちに何度も気分が悪くなってきた。それほどに濃い内容。

    2
    投稿日: 2025.07.26
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    月20冊、年間300冊近い本を読む私としては、考えさせられる新書だ。 ・・・というのはこれだけ本を読んでいる私だが、本屋にはほとんど貢献していないからだ。 私の読む本の源はほぼ第10章にある。 街の本屋さんには足を運ぶことすらほとんどない。 podcastや会社で購読している雑誌から本の情報を得、ネットで予約し、 入手の連絡が来たら走って取りに行く。 こういう生活をここ10年近く繰り返している。 これがあるために定年後を悩むほどなのだ。 それはそれとしてこの新書できづかされたのは、 本屋の窮状は今に始まったことではないということ。 再販制という本の流通の仕組みのせいで、本屋はもともと薄利。 これをカバーするために、昔から様々な「副業」を営んでいた。 本屋のスペースを使って。文房具を売ったりビデオやレコードをレンタルしたり。 なので最近のビールを飲みながら、とか、スタバ併営とかは当たり前のことなのだ。 ところが昨今、そうしたものはことごとくスマホに吸収される。 音楽も映像もサブスク。そもそも雑誌もスマホからの情報に吸収された。 この本にあったが、本屋ではないキオスクやら薬屋がフライングして雑誌を売ることに 猛烈に本屋が抗議した、なんてのも今は昔。少年ジャンプもろくに売れない時代だ。 そう、キオスクだけでなく私鉄の売店もどんどん雑誌を売る。 利益は出ないが乗客の要望がある。 そこに来てコンビニが増殖。 さらに図書館も、、、 何より強力なのはアマゾン。成り立たないと思われていたビジネスを、 圧倒的なロングテールと送料無料で成功させてしまった。 本屋は大型、チェーン店でないと生き残れない時代だ。 。。。正直私はそれでも困らないわけだけど、 街としてそれでいいのか、、、 とは思う。 まえがき 第一章 日本の新刊書店のビジネスモデル コラム1 本屋の動向と読書の動向は必ずしも一致しない 第二章 日本の出版流通の特徴 コラム2 書店の注文・取引方法あれこれ 第三章 闘争する「町の本屋」――運賃負担・正味・新規参入者との戦い コラム3 見計らいの重視、予約と客注の軽視 第四章 本の定価販売をめぐる公正取引委員会との攻防 コラム4 返品条件付販売への切り替えはいつ起こり、いつ委託ではないと認識されたのか 第五章 外商(外売) コラム5 取次からの請求への書店の入金率の変化と返品入帳問題 第六章 兼業書店 コラム6 信認金制度 第七章 スタンドと鉄道会社系書店 コラム7 出版物のPOSの精度を高めるのはなぜむずかしいのか 第八章 コンビニエンス・ストア コラム8 書籍の客注と新刊予約注文の歴史 第九章 書店の多店舗化・大型化 コラム9 共同倉庫構想の挫折史 第十章 図書館、TRC(図書館流通センター) コラム10 「送料無料」と景表法規制 第十一章 ネット書店 コラム11 2020年代の「指定配本」の増加 終章 あとがき

    4
    投稿日: 2025.07.22
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    色々とメディアに内容が紹介されて知った。 書籍流通や図書館、これまでの歴史を知ることができるので、出版関係者は読んで損はないと思う。 チェーン店でない、町の本屋さんは淘汰された細かい経緯がわかりやすく記載されているのは貴重。 昔の値引きや景品などのことは、意外と知らないことも多かった。

    1
    投稿日: 2025.07.18
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     本書のタイトルについて 「つぶれる」という言葉は強い。当の書店から反発が起こり、売りづらくなるのではとの懸念から「消える」「なくなる」のような比較的穏当な言い方に変えられないかと何度も平凡社の編集、営業の方々から提案された。(まえがき より)  企画を引き受けた時点で、会社として相当な覚悟があったはずなのに、横槍を入れてくる社員がいるのすごいよな…  この人たち、何がしたくて出版社に入ったのだろう?  「書店の経営は大変だろうな」とは常々思っていたけど、昔から赤字体質だったとは…  厳しい状況下でもがんばってくれていた「つぶれてしまった」書店の皆さまに改めて感謝

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    簡潔な言葉で本屋がつぶれてきた要因を述べている。怒りにも似た声が透けて見える。町の本屋という文化が衰退している事は間違いない。だが本屋が危機にあったのは今だけではない。新しい形できっと書店は残り続けるだろう。道筋は私たちが考えるしかない。

    12
    投稿日: 2025.06.27
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    力作。 書店の経営が厳しいのは今に始まったわけではない。 利益を得るために価格アップではなく販売増を選んだ出版社、それを後押しした取次。

    14
    投稿日: 2025.06.21
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    出版業界に足を踏み入れて20年の著者が、書籍の出版流通のうち町の本屋にスポットをあてて論じた本。戦後なぜ町の本屋が消えたのか、書籍独特の再販制や関係する大店法等法律も交えて1点1点問題を明らかにしていく。

    0
    投稿日: 2025.06.21
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    書店が潰れていくことが長らく続いているけど、何が原因か今ひとつわからなかったのが、背景含めてよくわかった。取次の寡占と強さ、出版社の価格設定などひっくるめて、そもそも書店の利益が出ない業界構造。そして国は文化を保護するどころか、公正取引委員会により、書店同士がつながって取次や出版社と交渉することすら禁止した。そして単独で出版社と取引し、自前の倉庫と物流が用意できたAmazonだけが一人勝ち。国策として書店を守り育てることがないということが、残念なほどよくわかりました。 この本は、書店を巡る歴史的な変遷を、多数の資料を引用しながら解説してくれていて、説得力があります。未来の書店像には言葉少ないけど、考えて議論する良い本だと思います。ゼミなどでテーマにしたら面白いですね。

    8
    投稿日: 2025.06.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    町の本屋が減少してきて久しいが、これは業界全体に根本原因があるのが大きいと思う。時代の変化に伴うネット通販の拡大も一因でもあるが。本との一期一会を楽しみにして書店へ通う読書好きもいれば、ネット欲しい本のみセレクトする人も。私は書店での出会いを楽しみに大型書店へ足を運びます。

    0
    投稿日: 2025.06.14
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    読書離れによる出版市場の縮小により「町の本屋」が減り始めていると以前より言われており、自分もその言説を疑いもなく信じていた。本書は出版業界の仕組みや歴史、問題点を文献や数字から紐解き、過去から「本屋がいかにしてつぶれてきたか」を解説する一冊である。中々の骨太で気楽に読める本ではないが、本業界について興味深く面白く読めた。 出版物の販売金額も一人当たりの平均読書冊数も1996年をピークに減少しているものの、1980年代初頭のレベルであり、読書離れが急激に進んでいる訳ではない。再販売価格維持契約、出版社・取次・書店という垂直的取引関係、定価の22%という低い書店のマージン、バッシングを恐れて定価を上げずに出版数を増やすことで売上を伸ばす出版社、取次による見込配本と大量の返品、書店が売りたい本を売れない配本、取次に有利な支払条件など、元から儲からない要素を多分に持った業界であった。待遇改善やコンビニや大型書店などのライバルの規制のため、零細の「町の本屋」は改善のため団体交渉を持とうとするが公取に介入され続ける。 利益率の低い書店は文具やレンタル事業などの儲かる副業でしのいでいたが、サブスクの登場によりレンタル事業や雑誌販売の利益も減少。 Amazonは高機能の注文対応型の書籍流通や流通センターの構築、公取の方針も正しく理解して出版社との直取引や40%マージンの確保など、日本の業界ができなかった事を実現して採算の取れる事業を作り上げた。 読書人として「町の本屋」は潰れて欲しくないが、図書館の複本購入の禁止や図書館の地元書店からの購入を未だに団体で訴えるなど、過去の失敗から学んでいない。このような状況を見ると、公的支援をしない限り、選書やカフェ併設など行動する書店しか生き残らないのだろうなと寂しく感じた。

    19
    投稿日: 2025.06.14
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    借りたもの。 2024年に「街から本屋が消える!」という危機感を伴う問題が声高に指摘されるようになった。 この本は、その実態を膨大なデータから裏付け、分析している…!! 「この分厚いボリュームで文庫本⁉」と思ったが、文庫本だからこそ、こうして手に取りやすい、と思い至る。作者にしてやられた感(笑) 大手チェーン書店――いや、今は大手チェーン書店も苦戦しているが――ではなく、個人経営の本屋・町の本屋を中心にし、その衰退の経緯わかる。これは、出版・取次・公取によって潰されてしまった結果だった。 時系列でまとめられ、日本の書店の廃業が、今に始まったものではないこと。 業界の造問題がたびたび指摘されているが、その経緯(歴史的背景)について、そもそも本が薄利多売で多角化せざるを得ないこと…… 本田『ガイコツ書店員 本田さん 2』( https://booklog.jp/item/1/4040686802 )では、飲み会で「もっと取次の悪口描いてくださいよおお」とツメられていたり、次巻『ガイコツ書店員 本田さん 3』( https://booklog.jp/item/1/4040694228 )で、書店側の返品の悩みが面白おかしく語られ、マイルドになっていたが「やはり」と思うような深刻さ。 昨年、noteの記事で話題になった個人書店さんの事例が、現場で何が起きているのかを語っている。 【ひとりの書店主として、伝えたいこと とうとう危惧していたことが現実になってしまった。|二村知子 隆祥館書店】( https://note.com/ryushokanbook/n/nb27594fcfa61 ) 昔から「図書館は書店の敵だ!!」みたいな言説はあったけれど、その理由は「(ただでさえ薄利な本を)1冊買っただけで市民に無償で提供するとは何事か」という感情論的なもの(読んで「やっぱり欲しい!」と思う人たちがいる、ビジネスチャンスを逃している)だけではなかった。図書館の予算打ち切り、書店からの通常ルートによる納本の不確実性、それを解消しようとしたら足を引っ張られる…… 読んでいると「それってはた目から見たら内ゲバでは?」と思えるような足の引っ張り合い。 それを尻目に、Amazonは 1.高機能の注文対応型の書籍流通システム 2.大量の書籍ディストリビューションセンター(書籍流通センター)の設立 3.書籍の正味引き下げ(特に注文品・買切品の正味引き下げ)(p.295) を実現し、日本上陸3年で勝負は決したと指摘。 それは書店が望み、試みてきた姿を推し進めた事業体だった。 複雑・膨大な世界だからこそ、協力してAmazonに対抗するシステムを組み上げることができないのは、関わっている組織・人数が多いためなのはわかるけど、だからこそ共闘しなきゃならないのに、足を引っ張りあうもどかしさ……

    1
    投稿日: 2025.06.06
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    この本はリアル書店で購入しようと、隣の町まで電車で行った。今住んでいる町には書店がすでになくなっているので。 ショッピング・モールに入っている地域のチェーン店。レジはセルフで自分でバーコードを読み込んでお金を払った。スリップはなかった。 本を読みながら、自分が子供時代から付き合ったことのある書店がどのタイプにあたるのか、などと考えた。

    0
    投稿日: 2025.06.04
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    本好きのイチ消費者としては、生活圏内に複数大型書店があったからこれまでさほど不便を感じることは無かったが、その書店が続々閉店しているし、個性的な本屋さんでさえ経営難などと聞くと、できる限り応援しなくちゃと思う。 データが豊富で内容も専門的なので、ななめ読みしつつも、各章のコラムが分かり易いのに励まされ、なんとか読了。今更ながら図書館とTRC(図書館流通センター)の関係が理解できてよかった。 改めて一冊の「本」がどうやって作られ、読者に届くのか?さまざまな視点から描かれた『本を贈る』を読み直すのもいいかも。

    9
    投稿日: 2025.05.29
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    町の本屋の歴史、取次や出版社や他の小売店との関係等々について解説されている。 町の本屋は不遇な中で頑張っているなあと思った。

    0
    投稿日: 2025.05.20
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    町の本屋は消えつつあるという歴史と事実を探る、改善の一つの手がかりになるであろう良書である。 本著が述べている通り、小さな本屋が生き残るためには、出版業界の流通の仕組みの制度が硬直していることが原因の一つと捉えている。確かに、本屋は古書店の比べて自由に価格を決めることはできない。だからこそ、どの本屋においても価格は一定であるということを知る必要があり、それらに多くの要因によって全体的なコストが上がり小さな書店ほど負担が大きくなっているのだという。 私は思う、それらは「町の本屋」だけで起こる現象ではなく、大型書店でも閉店や店舗を集約しているところも見受けられる。時代という曖昧な言葉で一括りするほど、書店経営は難しいものだと痛感させられる。 だが、都市部、地方においても「町の本屋」という形は減少はするだろうが、無くならないだろう。新しく立ち上げる人や、様々業態を組み合わせた現代的な本屋が現れてきているからだ。 書店・出版業界も今、まさに新しい時代・環境・コンセプト、既存の街・町の本屋から変革し適応している状態が進んでいる進行形なのだと私は思う。

    0
    投稿日: 2025.05.18
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     素晴らしい本! 戦後の町の書店の歴史を、簡潔にわかりやすくまとめた本。長く書店業界に身を置いた身としては、知っていたり、聞いたことがあったり、または実際に体験して憤ったりしたことが多いのだけど、テーマ毎に時系列で整理されていて、とてもわかりやすい。今後の町の書店をめぐる議論はこの本をベースに進めればいい。間違った言説が巷を賑わしているけど、この本にある事実から始めた方がいい。そうでなければ、戦後ずっと続けてきた不毛の議論をまた続けることになる。経産省の「書店振興プロジェクトチーム」もそうならなければいいけど。残念ながら、そうなりつつある気がするけど。  スマホの普及、本を読まなくなった、amazonが上陸したことが町の本屋を潰したわけではない。書籍・雑誌の売り上げがピークに向かって伸びていた1980年代にはすでに毎年1000店以上の町の本屋が潰れていたという。町の本屋は潰れないように「抗争」を仕掛けたが、出版社、取次、公取にことごとく破れ去ってしまった。「出版社、取次、公取が町の本屋を潰した」のである。  いま、出版社や取次が町の本屋がなくなっていくのは「問題」だと言っているとしたら、それは本心からのものではないことを長く業界に身を置いた僕は知っている。出版社は自社の本がどこで売れてもいいわけで、取次は面倒な中小書店へは本を運びたくない、というのが本音だろう。今でもそれは変わっていない。  ただ、著者はamazonがたった1社で、たった数年で書店が仕掛けた「抗争」で得ようとしていたことを得てしまったことも報告する。正味の改善、新刊の確保、注文品の物流、返品率の減少・・・・。つまり、日本の書店は「力」が足りなかった。

    17
    投稿日: 2025.05.17
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    まだ半分も読んでないけど、本の販売についてマージンや価格設定、仕入れ量など知ることができてとても興味深いです。 ベストセラーはたくさん売れるから、本屋さんはたくさん仕入れて、たくさん売って利益だせる! と思ったけどいろんな条件があって簡単にはいかないんですね。 世の中の、本屋さんを残そう! 本自体はたしかに好きだけど、それよりも本屋さんに行くのことのほうが好きです!

    9
    投稿日: 2025.05.16
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    地元にある大規模に展開していない中小規模の本屋を対象に、明治期から歴史的な経緯をふまえながら、いかに本屋がこれまでに、つぶれてきたかを解説する図書。「つぶれる」という表現は、著者があえて強く表現するために使われている。各章の最後にまとめがあるので、さっと読むこともできる。 終章で簡単にまとめられているが、答えとしては、「雑誌と書籍の一体型流通」、「取次寡占」、「再販契約」のなかで成長してきたものの、現在、書店の変革には足かせとなっており、「書籍単体でも儲かる」、「仕入れと資金繰りでの主導権を握る」、「客単価の設定も自ら行う」ことが必要、と結論されている。 やはり驚きとしては、著作物の再販制が認められた理由はあいまい、というところ。読んでいて、確かにあまり明確に議論された感じはない。再販制度は文化水準の維持や多様な出版物のアクセスができるようになる、と大学のテキストで読んだが、1990年代すでに明確な理由もなく、現在の出版社ー取次ー書店の関係では、同じような本ばかり並んでいる、と指摘されており、考え込んでしまった。 さて、経済産業省が書店活性化のために動き出しているけど、関係者は多くややこしそう…どうなるのか…

    0
    投稿日: 2025.05.06
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    出版業界にいる身としては容赦なくえぐられてます。ネット書店のあたりがとくに興味深かったです。値下げはダメ、ポイントカードもダメと聞いてきたが、今Amazonめちゃくちゃポイント還元してるが? というあたりとかわかりやすかったです。 ところで前書きで「ややこしい、わからないところは読み飛ばしていい」「先に各章のまとめと終章読んでから読むと全体の見通しが良くなる」と書かれていたり、最初に用語集があったり、読むための丁寧なアドバイスや心遣いがすごく良いと思いました。

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    投稿日: 2025.05.05
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    戦後から変わらず「末端」にいるのが本屋 「本を読む人が減っている」 「デジタル化が進んでいる」 「本を買うなら早いAmazon」 確かにそれはそうだが、表面的な話だけではなく、これまでの本屋の戦いが事細かに書かれている作品。 例えば、お金の話。本屋は平均15%〜22%の粗利が一般的であるが、本は値下げできず、欲しい本が必要数入ってくるとも限らない。 出版社→取次→本屋→顧客 が通常であり、配送料等も本屋が負担する。しかも金額は変更する権限がなく、人件費や燃料費が上がったとてうまく工面していくしかない。(出版社は消費者の本離れを懸念し値上げに腰が低い) こんな状況を生き抜きてきた本屋に対し、前述した表面的な目下課題を挙げるのはお門違い。そんなレベルの話ではなかった。

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    投稿日: 2025.05.04
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    確かに昔近所にあった町の本屋はなくなっている。 本書は出版業界の歴史や商慣行について解説しどうしてつぶれるような状況になっていったのかを書いている。 思っていた以上にデータや過去の資料の話がでてきて重厚。

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    投稿日: 2025.05.03
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    昔はどの町にも、駅前や一等地にあった本屋さん。そんな町の本屋さんの苦境については、多くの人々が話題にはするが実態を綿密に調査してきたわけではないだろう。「ネットやスマホの普及で本を読まなくなった」「最近の若者は本や雑誌を買わない」といった、確からしい言説に回収されてしまう問題に対して、真の課題を突き詰めた内容となっている。 そもそも町の本屋さんと呼ばれる、新刊本を中心とした個人や零細営業の書店は、1980年代から減少傾向にある。専業としての書店から文具雑貨やレンタルビデオといった多角化を経て2000年代まで生き残り、その後は大手や鉄道系と呼ばれる系列に統廃合されていった流れがある。そして小売業としての書店は、書籍の定価販売という法律の枠組みに縛られて価格決定権はなく、取次から見計らい・委託販売のような一方的な条件で書籍流通の仕組みに組み込まれる下請け構造にあり、ビジネスとしての選択肢がそもそも存在しない。 結果として出版不況においてヒット作の配本は限定され、雑誌やコミックの売れ筋はコンビニに侵食され、町の本屋さんの生き残りはかなり厳しくなっている現状がある。零細事業者の書店が組合をつくって対抗しようとしても、様々な法律や判例によって個別撃破されて出版社や取次に比べて弱い立場になり続けている歴史があるのだ。まさしく潰れるべくして潰れている町の本屋さんの現状を知る上ではかなり参考になるとともに、あまり希望は持てない状況なのだと知ることができる。

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    投稿日: 2025.04.30
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    書店でふと気になったものなんだけど、実は著者、”若者の読書離れ”の新書をものしたその方でした。同署では、実は読書への親和性は過去から現在にかけ、少なくとも落ちていないというものだったけど、本書も、一般に信じられている本屋減少の原因を、改めて問い直すものとなっている。ネット隆盛の時代だからとか、それこそ読書離れが進んでいるからとか、いかにもな理由が語られるけど、実はそれらはあまり関係がない、と。それ以前から、そもそもの商売形態として、書店は成り立っていない。他業種ではあり得ない薄利を、雑誌の隆盛やら、他業種との兼業やらでなんとかやり繰りしてきた歴史が明かされる。で、そのあたりでカバーしきれなくなった昨今、廃業が目立ちまくる状況まで事態は悪化。にしても、これはホント、街の本屋さんが無くなってしまうな…。簡単な問題じゃないけど、売り上げのうち、せめてもう少し書店に落ちる割合を上げないと。当然、それは価格に転嫁されざるを得ないんだろうけど、その事情が分かれば、喜んで飲む条件なんだけどな。

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    投稿日: 2025.04.30