
総合評価
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powered by ブクログ『歯車』にある「伝統的精神もやはり近代的精神のようにやはり僕を不幸にするのは、愈僕にはたまらなかった」の一節は、未だなお変わらない人間存在の問題の所在を鋭く言い当てている。この先に作者の死があり、100年経ってどれだけ世界が一変しても解決しようのない問題であることに憂鬱な心持ちになる。けれど、不思議と勇気をもらえるような気もする。
1投稿日: 2025.12.31
powered by ブクログ「或阿呆の一生」は話がブツブツ切れて、よくわからなかった。 「歯車」は死ぬ間際で、精神が疲労してるのが滲んだ作品だと感じた,
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ表題作『河童』が面白かった。 人間社会への風刺が痛快だ。 久しぶりに文豪に位置付けされている作品を読んだが、ハウツー本ばかり読んでいたせいか、読むのに難儀した。 古典は咀嚼するのに苦労するが、噛むほどに味わいが出て来る料理のような感覚だった。 この夏は積読になっている太宰作品を読みたい。
1投稿日: 2025.07.24
powered by ブクログ4.0/5.0 世の中を見つめる冷めた視線や皮肉っぽい視点が全編に貫かれているように感じた。 生きることに対する絶望や、恐怖、やるせなさ等々晩年に芥川が抱えていた苦痛がひしひしと伝わってくる。 明らかに死を意識して書かれたであろう『或阿呆の一生』や『歯車』、当時の日本社会に対する皮肉や捩れを異世界を通して描いた『河童』 自らに対する嫌悪感や劣等感の捌け口として文学に頼っていたことが伺える箇所が多く、勝手に親近感を感じたりもした。
0投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ直前に読んだ『羅生門・鼻・芋粥』(角川文庫)に比べて、自分にはあまり刺さらなかった。 芥川の当時の精神状態を小説を通じて表現したのだろうか、全体として暗く早く先が読みたい…と言う気持ちにはならなかった。
0投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログ河童の出産のシーンが最高でした。 カワウソとの戦争はアニメーションで見てみたい。 きっと可愛いから。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ芥川龍之介最晩年の作品を集めた短篇集。「憂鬱だ、死にたい」という気持ちを直接的に言わずに、短篇で表現するのはすごい。「蜃気楼」などこの世界に存在するすべてのものがあやふやで不安定なものに感じてしまう。
0投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ河童の国に迷い込んだ主人公が、 河童の世界を語りながら、 人間社会を風刺しているのかと 思って読んでいたが、読むにつれ、 芥川が、晩年、精神が病んでいく中で、 世に発表する小説として 河童の世界に託し、 寓意的に描かねば、自分の考えを 吐き出せなかったのだろうと思った。 河童の世界では、 産まれてくる子供が、自分の意思で 産まれたくないと言えば中絶される。 胎児の意思が尊重されるお産に、 芥川の発狂した母親の存在の影響を思う。 他にも芥川の心象が書かれているのだが、 芸術、政治、経済、資本、無神論など。 大正末期、若しくは昭和初めの作品だが、 現在、私達が抱えている 社会問題に通じる内容で考えさせられる。 ある河童のセリフ 『余りに憂鬱ですから、 逆さまに世の中を眺めて見たのです、 けれどもやはり同じことですね。』 「河童」の舞台にもなった上高地の河童橋、 訪れてみたい。 「歯車」は、陰鬱で常に イライラ不安に襲われていて、 読み手側の私も、何やら心臓がドキドキ 引きずり込まれそうで、途中で読むのを やめてしまった。
13投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川は「河童の世界」を通じて痛烈に日本のありさまを問うてきます。 ひとりひとり(一匹一匹?)の河童がなんと個性的でユーモラスなことか。そして、なんと不気味なことか・・・。 これが芥川龍之介の決死の抗議、人生最後の警告の意味も込めての作品だったかと思うとぞっとします。彼はこの作品の発表後一年も経たずして自殺してしまいます。 芥川龍之介の死から間もなく100年になります。ですが100年経っても芥川の作品は決して色あせません。文学の力は連綿と今を生きる私たちに受け継がれています。
2投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ「大導寺信輔の半生」(だいどうじしんすけ) 大正十四 年一月 芥川の自書自伝ということ とても、とても興味深いです 本所、牛乳、貧困、学校、本、友だち、、 「玄鶴山房」(げんかくさんぼう) 昭和二年 一、二月 読み進めるうちにぞわぞわぞくぞく、、山房内の物理的には狭い空間での出来事。しかし内部の人間の仄暗い思いがどこまでも這うように広がっていくかんじがする。 解説によると、これは“念には念を入れた、まったく用意周到な、細工のこまかい、小説である”と。 「蜃気楼」 昭和二年 三月 文庫解説より“芥川がもっとも自信をもった作品であり、(中略)全篇無気味な美しさから成立っている。” 「河童」 昭和二年 三月 kappa memo 医者 チャック 漁師 バッグ 最初に見かけた 硝子会社の社長 ゲエル 資本家 学生 ラップ 詩人 トック 超人倶楽部 哲学者 マッグ 超人倶楽部 作曲家 クラバック 超人倶楽部 裁判官 ペップ 政治家 ロッペ クオラックス党 新聞社社長 クイクイ プウ・フウ新聞 音楽家 ロック 元郵便配達員 グルック 万年筆を盗んだ 長老 これは何度読んでも傑作。大好き 「或阿呆の一生」 昭和二年 十月(死後発表) ほぼ遺書なんだろうけどもう死の淵にもう両足を突っ込んでいるであろう闇 「歯車」 昭和二年 十月(死後発表) 未読、、、また別の機会に読む
6投稿日: 2024.03.31
powered by ブクログ最晩年の短編集。幻覚を見、狂気の中に書かれたと思われる「歯車」では、発狂寸前の内面の描写と、ギリギリのところで社会と接している「彼」の描写とが、明確な境界を持たずに迫ってくる。まるで、自分の狂気を原稿に絞り出す様子のパラレルを思わせる。そして、ギリギリで保たれていた正気が力尽きていく最後は、理由は分からないが引き込まれるものがある。
3投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログタイトル作「河童」 芥川晩年の作品。生活やお金、宗教、芸術などに関する芥川の考えが記されているような作品。河童の設定が絶妙に近未来的でとてもSFチック。職工屠殺法の部分が衝撃で印象的。
2投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログ芥川の小説は「鼻」「羅生門」など面白くかったのこの作品集は読むのがつらいというか面白くありませんでした。この中では「蜃気楼」「玄鶴山房」は読後感は悪くなかったです。2024年1月13日読了。
0投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
河童、ずっと気になっていた。河童好きとしては読まねばならないと思っていた。(動機としては不純かもしれない) 河童の返事がQua(yes)ということに少し笑った。 当時の世の中を風刺しているらしいことは知っている。 後の芥川の自殺に繋がるような展開もあり。 でも、行ってみたいな河童の国。
0投稿日: 2023.12.21
powered by ブクログ「玄鶴山房」はよかった。 僕が数えただけで22ページで10人の登場人物が出てくる。これだけ登場人物の人間関係をこの少ないページで無駄なくそしてわかりやすくかけるって技量のせいかとも思うが、そこにうまさを感じない不思議さが残る。 丸太の中に仏像の姿が見えるかのように、題材を前にどんどん彫ってイメージに近づけてるような印象もある。 「蜃気楼」 幻覚に戸惑う自分を、確かめるように題材としてしてみることで戸惑いを断ち切ろうとするのか、対峙しようとしているのか、結局この作品の中で幻覚や幻聴は(まだ)ない。 小さい出来事は微かな彩りを持つが絵画的とは言えない感じもする。より詩的であるが故に最後の現実味のある会話に僕はほっとした。
3投稿日: 2023.09.22
powered by ブクログ「河童」は一種のユートピア作品のように思われる。多くのユートピア作品では現実世界とは真逆、もしくは価値観を変えさせるような習慣を持っているという設定が多い(例『ユートピア』『ガリバー旅行記』)。河童の言葉が若干ラテン語系の言語になっていたり、芸術家たちのことを「超人」(超人といえばニーチェ)と称したりしていることで、芥川の好みが窺える。
0投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ昔から自宅にあってまだ読んでなかった。芥川龍之介最晩年の作らしいが6編いずれも全く面白くなかった。内容も文章もいまいちで、著者が芥川と知らずに読んだなら誰も評価しない作品ではないかと思った。自殺した芥川の内面を知りたいという芥川ファンであれば楽しめるのだろう。
0投稿日: 2023.06.11
powered by ブクログ書物には良薬と劇薬があるというけれど、これは後者である。「羅生門」の文体を想定して読み進めたら痛い目を見た。 個人的には、最晩年の作品はかなり好み。理知の枠から漏れ出す激情と不安が作品全体を包む。故に小説は小説の形を保っておらず、むしろ詩に近い印象を抱かせる。 一度読んだくらいでは味わいきれないくらい深い作品。
0投稿日: 2023.04.08
powered by ブクログ「我々の運命を定めるものは信仰と境遇と偶然だけです。」 人間界とは似て非なる河童の世界 特に母親のお腹の中にいる子供にも、この世に産まれるか、否かの選択を与えられるというのは考えさせられる
0投稿日: 2023.03.16
powered by ブクログ怖くて怖くて悪寒を感じながら読んだ 私が今まで知っていた作者とは違う それでも惹きつけられる世界観に 次々とページをめくってしまう 心が軋む音が聴えそうな1冊
3投稿日: 2023.03.04
powered by ブクログ芥川龍之介著『河童・或阿呆の一生(新潮文庫)』(新潮社) 1968.12発行 2018.5.16読了 芥川龍之介の晩年の作品を収録した文庫本。芥川の作品では「蜜柑」が一番好きだが、この文庫本に収録されているのは、いずれも憂鬱で病的な気配を感じさせるものばかり。死を予兆していたかのように、自叙伝的な小説が目立つ。先人たちが残した本を読み漁ったり、宗教に救済を求めたり、晩年、芥川が精神的疲労に陥っていたことがよく分かる。残念ながら、それらは物質主義者の芥川の精神を救う手立てにはならなかった。鬼気迫る、そんな表現が一番しっくりくる。イカロスのように翼が燃え尽きてしまった人。才悩人、芥川龍之介。 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000008586831
2投稿日: 2023.01.11
powered by ブクログ全体的に暗いがどこか共感できてしまう静寂感に包まれた本。 遺作になることを分かっていたんだろうなと思う。
0投稿日: 2022.11.25
powered by ブクログ暗い 芥川が自殺の直前に書いた物語たちであるのでそれが自然だったりはするのだが 芥川の「唯ぼんやりとした不安」を書いていると言われている河童は特にそれがすごく読み取れるような気がする 芥川は周囲と価値観が合わなかったのかもしれない だから、周りの人物を河童に見立てることで小説という形を取った彼なりのSOSを発していたのかもしれない こんなことを言えるのも、芥川が自殺したという帰結を知っている今だから言えるのかもしれないけれど… リアルタイムでこれを読んだ時、もし、芥川と知り合いだったら自分は彼に何と声をかけるだろうか そんなことを考えていた
2投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログ意識のステージ高すぎて詩読んでるみたいで難しかった 『歯車』は書いてた時しんどかったんだろうなって浅はかながら感じた
0投稿日: 2022.04.27
powered by ブクログ全六編。非常にユニークな世界観ですが、とりわけ河童の世界では胎児に生まれてきたいかどうかを尋ねるという所が面白い。全体的に芥川後期の作品は暗い物が多いですね。
0投稿日: 2022.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校生のときに読んだ本。 芥川、最後の作品ではないだろうか? 当時はなぜ彼は死を選んだのか?手がかりがあるような気がしたが、作風は彼らしく物語調にまとめられていた記憶 ”ぼんやりとした不安”のフレーズが頭に残っていて、 自死を選ぶ人にも明確な理由がないことも多いのかもしれない。逆に生を選ぶ人にも明確な意義を確信しているのは少数派な気もする。 彼ほどに頭のキレるひとでも、劣等感や不安感がつきまとうのは、いかにも人間感あふれる作品であった
0投稿日: 2022.03.10
powered by ブクログ【読み終わって感じたこと】 「河童」を除けば全体的に陰鬱な作品であり、私の読むスピードを非常に遅くさせる力があった。「蜘蛛の糸・杜子春」を先に読んでいたから、余計に対照的な暗さを感じた。 【印象に残ったシーン】 「河童」で、胎児が産まれることを拒むシーン。芥川はこの胎児に少し自身を投影していたのではないかと思った。確かに、子供は自ら望んで生まれているわけではない。その事実に対するシビアな描写だなと思った。 【好きなセリフ】 「死にたがっているよりも生きることに飽きているのです」 このセリフは、最期には自殺してしまった芥川自身の素直な気持ちなんだろうなと思った。生きることに疲れてしまった彼の人生は一体どんな暗澹さを含んでいたのだろうと思うと、私には計り知れなかった。
0投稿日: 2022.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川龍之介最晩年の苦悶の短編集。こちらの気持ちが下降気味だと引きずられてしまう。 何故そこまで死を希望したのか、理由は幾つか読んでみたけれど、本当のところはわからない。ただ、相当な遅筆だった事、スペイン風邪に2度かかり、2回目はかなり重症だった事は、今回知った。 たぶんこの本はもう読まないと思うので覚書です。 「大導寺信輔の半生」 芥川の半自伝的小説と言われている。精神的風景画として6章からなる。未完らしい。 本所 出身地への嫌悪・恨み 牛乳 母乳への憧れから牛乳への嫌悪 母親は身体が弱く信輔に母乳を与えず 貧困 幼児期の貧困への嫌悪・敵意 学校 中学校での孤独 規則への嫌悪 教師への 敵意 本 小学生から本を愛すが、貧困の為欲しい本を 手に入れる事に難儀する。物語の中に転身 する。 友だち 頭の良い人・頭脳のある人を好む。 社会的階級の差別に壁を感じる。 芥川の作品が高尚であるので、それと決めるには難しいけれど、資金的な悩みは大きなものだったのかもしれない。 「玄鶴山房」 この家の主人玄鶴は結核で、もう最期は近い。その家族と看護師の平穏を装う生活の中での心理描写。 『家政婦は見た』を何故か思い出しちゃったよ。 その心理戦が、凄く好きでした。 この頃、芥川は義兄の借金をも背負い込み、困窮を友人らに訴えていた。 「蜃気楼」 たぶん芥川本人が、鵠沼の海岸を散歩する。蜃気楼は見えず、水葬の亡骸を見つける。ただ、それだけなのに、全体的に暗鬱な感じ。 「河童」 物語は精神病患者の思い出話として語られる。河童の国に迷い込み、そこでしばらくの間生活する。河童の国は社会が成立していて、そこでの出来事の描写が現実社会への批判になっている。出産や結婚については、なかなかシビア。胎児が産まれたくないと答えればそこまでとなる。同胞を食用にしたりする。人間社会に戻ったその患者は、再び河童の国に行くことを望む。 で、芥川の命日は『河童忌』。 「歯車」 歯車は偏頭痛が始まるサインのように「僕」の視界で回り始める。これはちょっとわかる。頭痛が始まるサインって人それぞれだけど、私は首の辺りで音がする感じ。 物語の始まりにホテルが出てくる。そのホテルに幽霊が出るという。その辺りの描写は、村上春樹の『ダンスダンスダンス』と重なった。 結局、幻想とか妄想が語られていて小説ではない感じ。何かを誰かにわかって欲しかったのかしらね。 「或る阿呆の一生」 自殺後見つかった51の項目からなる作品。 自身に関係した物事について、端的に回想している。ラストは敗北。 こんなに冷静な文章を書けていたのに、何故、死を選んだのか。もう作家として文壇で認められていたのに。書けば、売れる。が、かなり推敲するタイプだったので沢山書けない。収入は増えない。家族は増える。女性にモテてしまう。 もう少し、中期のような作品を書いて欲しかった。
4投稿日: 2022.01.08
powered by ブクログ久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。 今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。 本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。 特に、死後に出版された「或阿呆の一生」と「歯車」は中身ががちゃがちゃしており、これを解説を見ないで、いろいろと理解できる人がいたらすごいと思った。 ただ、理解しにくい内容でも、何となく不安感や厭世感は見えているので、そのあたりの空気感を楽しむのには良いのかもしれない。
0投稿日: 2021.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
有名作家に何をいまさら…と笑われる感想かもしれないが。 恐ろしいほどの文章力。 数行のパッセージで映像が喚起される。 儚い、面白い、美しい、悲しい、哀しい、恐ろしいをすべて詰め込んで。
1投稿日: 2021.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「ある若い狂人の話」だと思って読み進めると、あまりの描写の緻密さと精巧さに「この人は本当に狂人なんだろうか」と疑問を持ち、最後には何が虚構か真実か分からなくなりました。流石としか言いようがない。藪の中と少し似た読後感でした。
0投稿日: 2021.05.06
powered by ブクログ芥川龍之介、最晩年の作品集。 「大導寺信輔の半生」という、冒頭の小説の書出しが好きだ。自叙伝的なものだと思うのだが、「大導寺信輔の生まれたのは本所の回向院の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなかった。…」で始まり、生まれた辺りには、穴蔵大工や古道具屋や泥濘や大溝ばかりで美しいものが何もなかったにもかかわらず、信輔は物心ついた時からその町を愛していたこと、毎朝、父親と家の近所へ散歩に行ったことが幸福だったことが書かれている。 美しくないと断言しているのに、幼い時から愛着を持った町は、回想することが美しい。映画の回想シーンのように、淡い光に包まれている感じがする。 標題作の一つ、「河童」は登山中に河童を発見し、追いかけた所、河童の国に迷い混んだ男の話。目が覚めると河童の医者が彼を診察しており、以外にも彼は河童の国で好待遇で歓迎される。河童の国にも医者も社長も技術者や詩人も音楽家も哲学者もいる。人間の暮らしと殆ど変わらないのだが、河童の国では、雌が気にいった雄を見るとなりふり構わず、追いかけて飛びつくことなど、人間と異なる部分もある。 人間より技術が進んでいるので、次々新しい機械が発明され、工場の生産が上がると要らなくなった労働者は解雇されるどころか、殺され、食肉にされてしまうなど、残酷だが河童からすると「合理的」らしい面もある。解説にスウィフトの「ガリバー旅行記」のようなジャンルに属する作品らしいが、なるほど、異世界から人間界を風刺、批判しているような作品である。芥川龍之介という人はこういう作品も書いていたのだ。面白かった。 「或阿呆の一生」は多分死を決意し、作品を友人の久米正雄氏に託している。自叙伝みたいなものらしいが、詩的で私には分かりにくかった。 短い生涯だったが、年代によって作品の色が随分変わったいるのだろう。今度は若い時の作品を読もう。
31投稿日: 2021.04.13
powered by ブクログ表題作と「大導寺信輔の半生」が良かったです。芥川は教科書以来触れるのは初めてでしたが、とても面白かった。
0投稿日: 2021.03.29
powered by ブクログ河童という架空生き物がおりなす社会設定がこまかく、おもしろい。読みやすい。最後に語り手が「統合失調病」であることから、すべての物語が彼の狂気からつくられたものなのか、と理解したときには予想はしていたけど鳥肌が立った。とてもうまくできたアイロニー小説。 ポイント ・皮肉ー人間の愚かさを河童社会という架空の世界に例えて書く ・自殺という概念 ・生まれてくる前に生死の選別が子に与えられるという発想
0投稿日: 2021.02.21
powered by ブクログ全編を通してどうしても自死狂死に惹かれているのが解る。お金についてかなり悩んでいるのに、身を切り売りするような文章を作っているので苦しそうに感じる。 「蜃気楼」 蜃気楼と真っ暗な海岸でマッチをつけること。夢の中で全く意識していない人が出てくること。意識の閾の外の見えない部分を表現しているんだなあ。 「河童」 河童はファンタジー世界を作っていておもしろい。でも現実の思想、作家、音楽などが浸食している。 「歯車」 私も偏頭痛の閃輝暗点を感じることがあるから、解るぞこの感じ!と思った。歯車とは言い得て妙で動くチカチカするものが終わってくると頭痛が酷くなる。
0投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログ現実的な生々しい小説を読んでいて、目を背けたいぐらい頭が混乱していたので、河童のようなある意味、設定が人間世界と逆の話を読むと、風刺とは思えないぐらいホッとした気分だった。勿論意味を全てわかって読んでいたわけではないが、河童と言う、人間世界に似ても似つかない、不合理な世界が日本でも何となく起こっていたことが垣間見えた。河童の世界でも、色んな小説家や哲学者が頻用されていたのが面白い。 或る阿呆の一生、歯車と3作品全て読んだ。 河童を読むと、そこまで辛い描写は出てこなくて、児童が読んでも飲み込めるような作品だと思う、 或る阿呆の一生から自伝的要素が強くなっていき、 歯車では最後のシーンで下界から夭折してしまいたい、というような彼の思いがヒシヒシと伝わってきて、幻覚や妄想が多く出てくる。 彼の義理の兄が自殺したことがかなり尾を引いている気がする。何もかも全てを背負い込んで作ったような。
0投稿日: 2020.08.23
powered by ブクログ「河童」の感想。「入れ子構造」が効果的です。著者の“生活”から滲み出た「こと」が描かれています。冒頭に、この物語は「第二十三号が誰にでもしゃべる話」と書かれています。これは、語り手(病院に入院されている方)の“悲劇”が、現代ではありふれていることの表現だと思います。河童たちの「職業」が、「人間社会」の人々を風刺する記号になっています(いわゆるタイプ名)。裁判官のペップは物語終盤で病気になってしまったことが分かりますが、そのことの伏線が多少張られていました。 物語前半は「人間社会」へのダイレクトな風刺が多いです。けれど中盤からもう少し込み入った風刺が出てきます。興味深かった風刺は、演奏会を「熱心に」聴いている河童たちが出てきますが、彼ら(河童たち)には「耳」(文字通りの意味です)がありません。また、「超人クラブ」の「超人ぶり」が、想像と違うベクトルを向いていました。この物語では、著者の女性への風刺(嫌悪?)が強烈に描かれていると思います。 「十七」で、再び「入れ子構造」が挿入されます。「河童の国の言葉」は、彼(第二十三号)が罹患した病気の症状の一つとも解釈できると思います。「ある事業の失敗」が、彼がこの病気になった原因でしょう(いわゆるトリガーになっている)。語り手の視点から、“河童たち”は彼にしか見えていないことが分かります。興味深かった表現は、彼は「月のある夜」に河童たちが何匹もやってくると言っています。「月」は“狂気”の意味をも表現するので、これは彼の“症状”が深刻なことの隠喩だと思います。
0投稿日: 2020.05.15
powered by ブクログ芥川龍之介最晩年の作品集。「河童」を除けば全体的に陰鬱で鬼気迫る短篇が多く、気分が沈んでいる時に読んだら危険かもしれないと思うほどに、負の引力が物凄かった。 一番印象に残っているのは、「歯車」。世の中の様々なものに対し語り手は不吉な予感を抱いてしまい、どんどん追い詰められてゆく。自分の中の無意識が自己を破滅させようとする極限の精神状態が描かれている(気がする)。 「或阿呆の一生」と共に、何かに絡め取られている感は、絶望している時に強く感じるもの。かなり危険な物語だけど、好みでもある。
4投稿日: 2020.04.13
powered by ブクログ「河童・或る阿呆の一生」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.12.15 215p¥240C0193(2020.03.26読了)(1998.08.25購入)(1989.06.15/44刷) 【目次】 大導寺信輔の半生(1925年1月) 玄鶴山房(1927年1,2月) 蜃気楼(1927年3月) 河童(1927年3月) 或阿呆の一生(1927年10月) 歯車(1927年10月) 注解 三好行雄 解説 吉田精一 ☆関連図書(既読) 「羅生門・鼻」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.07.20 「地獄変・偸盗」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.11.15 「蜘蛛の糸・杜子春」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.11.15 「奉教人の死」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.11.15 「戯作三昧・一塊の土」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.11.15 「侏儒の言葉・西方の人」芥川龍之介著、新潮文庫、1968.11.15 「上海游記・江南游記」芥川龍之介著、講談社文芸文庫、2001.10.10 内容紹介(amazon) 自ら死を選んだ文豪が最晩年、苦悩の中で紡いだ奇跡の傑作6編。 芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。 出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。 「或阿呆の一生」と「歯車」は死後の発表となった。
3投稿日: 2020.03.24
powered by ブクログ歯車、ある阿呆の…、大導時しんすけ、どれも自分のことを題材にしてるのかな、と思った。 生きていくのってそうそう楽しくはないよね、むしろ重苦しいよね、と言われているような。 前向きに、とか夢に向かって、向上心を持って、なんてことに疲れている時はむしろ救われる?
0投稿日: 2020.03.08
powered by ブクログ全体的に漂う不気味な美しさを味わえた。蜃気楼、海、漂流物といったモチーフとその情景が印象的な『蜃気楼』、価値観が反転した河童の世界を体感する、ファンタジー満載かつ強いメッセージ性を感じる『河童』が好き。
0投稿日: 2020.01.15
powered by ブクログ芥川龍之介の命日「河童忌」はこの作品のタイトルにちなんでいるとか、芥川は河童の絵を描くのが大好きだったとか、この作品のあとに「将来に対する唯ぼんやりとした不安」と遺書を残して自殺した、など聞き、気になっていたものの、ン十年も心の中で積ん読になっていました
1投稿日: 2019.12.12
powered by ブクログ2019.9.7 52 ようやく読んだ。芥川の、とてもとても繊細で、ちょっとしたことを気にかけて、夢に見たり、振り返ったり、暗合を思ったりという神経世界に浸った読書だった。 晩年の作品。
0投稿日: 2019.09.07
powered by ブクログ表題をベースにした皮肉と狂気と苦悩の小舞台を見て原作も購入。 読む力が衰えているように感じるのはまぁ良いとして 河童も好きだったけど歯車の方が気になった。 色々読み方はあるのだろうけど、精神が衰弱した主人公は「何か嫌な感じがするもの」に追い詰められていく。黄いろいもの。モオル。ブラックアンドホワイト。エエア・シップ。嫌なものってのは逃げても逃げてもどこかで必ずその影をちらつかせるんだ。そうやって光のない、濃く深くなる一方の闇の中を進みいき詰まっていく様を描いているような。いやしんどい、身につまされるような、なんとも「食らう」小説だった。
1投稿日: 2018.08.26
powered by ブクログ河童は高校生の時に読んでいますが、今読むと、わりと素直な気持ちで読めました。 高校の時には、風刺や比喩、現代社会への批判などに目が行きましたが、今読むと、不思議にそういうことは目につきませんでした。 単純に楽しめました。 或阿呆の一生と歯車は、なんとも不思議な小説です。 特に筋もなく、淡々と書き連ね、思考が中断されたり、かき回されたりします。 これぞ芥川という感じでしょうか。
1投稿日: 2018.04.04
powered by ブクログ死後に発表された作品も含む、芥川晩年の短編が詰まった一冊。前半はそこまででもないが「ある阿呆の一生」からの3話は不穏な空気が漂っている。太宰治の作品かと疑ってしまうほど。 自分が一番好きな短編は「河童」と断言できる。それほど面白い。一見するとユートピアなのかディストピアなのか分からない異世界を描写することで、当時の日本の社外風刺が透けて見えるのが面白い。 ブラックなネタが満載でありつつ、芥川の素朴な雰囲気も残っており、非常に読み応えがある話。
3投稿日: 2018.01.11
powered by ブクログ晩年の作品集で、全体的にかなり「重い」作品ばかりになっています。『歯車』『或阿呆の一生』辺りは、芥川龍之介そのものの人生を知った上で読まないと理解できないネタが織り込まれてたりしますし。 『河童』は、彼の人生をそれほど細かく知らない時に読んだ当時の感想は「河童の国で人間が暮らす話だけど、宮沢賢治っぽいファンタジーにはならなかったな。頭の良い人が書くと衒学的、小難しい暗喩やニヒルな視線で物事を捉えてるなあ」といった感じだったのですが、芥川に詳しくなった後に読むと、この作品にもだいぶ彼のリアル事件のアレコレが反映されてて深読みする余地がかなりあり、「重い」作品なのだなあという印象に変わりますね。
1投稿日: 2017.11.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
総じた感想は晩年作は河童が一番面白かったが 他はさほどでもなかった。 ・河童 精神病院患者が河童の世界での 体験談を語る話。 河童とゆう架空世界側から 当時の人間世界の社会を風刺している。 河童の世界では 産む側がこの世に産まれさせるかを判断する 人間の世界と違い、 産まれる側がこの世に産まれたいかを判断できる。 個人的に再度読み返したい。 印象的な陰鬱な作品だった。 ・玄鶴山房 暗澹たる一家とその亭主の最期。 告別者の参列者たちが話す、 「あの爺さんも本望だったろう。 若い妾も持っていれば、小金もためていたんだから」 とゆうセリフが印象的。 ・歯車 精神を病み死の淵にいる人の 心理状態が書き表されていた。 芥川の死の動機は 「僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安。」 だとゆう。 今作中の妻の言葉。 「どうもした訳ではないのですけれどもね、 唯何だかお父さんが死んでしまいそうな 気がしたものですから。……」 ・或阿呆の一生 印象的なシーンは 「おれはこの女を愛しているだろうか?」 「おれはいまだに愛している。」
1投稿日: 2017.08.18
powered by ブクログ芥川龍之介作品は『河童』が一番好き。 晩年の作品のなかで、小説として体裁を保てたギリギリの作品が『河童』だと思う。これ以降は文章がどんどん発狂していく。 『或阿呆の一生』もこの本で読めます。私は「三十三 英雄」が好き。 君は僕等の東洋が生んだ 草花の匂のする電気機関車だ。 初めて読んだ時ここで号泣した。なんかよく分からないんだけど、自分のことを書かれた気がした。よく分からないんだけど。 佐藤春夫や川端康成が「最高傑作」と褒めたたえた『歯車』も収録されてます。これを読んでケロッとした顔でいられる人というのは居るんだろうか…。 『河童』は絶対に新潮文庫!と思っている。背表紙のこの作品紹介がスゴい。 「芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。」 特に『歯車』の「神経の戦慄」というフレーズには震えた。まさにその通りだと思う。 これを一冊読むと、芥川龍之介が何故自殺しなければならなかったのか分かると思う。
1投稿日: 2016.10.26
powered by ブクログ最晩年の短篇集。 芥川龍之介の心のうちが垣間見えてる作品ばかりで小説としては面白いけど、読んでいて辛くなった。 歯車の最後の言葉はかなり印象深い。
1投稿日: 2016.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
河童などが入った短編集。河童がおもしろかった。 突然、河童の世界へ入る。その世界で過ごすうちに、言葉がわかってくる。人間界に帰ってくるが、河童の世界に帰りたくなる。河童の里は故郷のようだ。言葉遣いが難しめだから読むのに時間がかかる。
1投稿日: 2016.10.10
powered by ブクログひたすら暗かった。死ぬ間際に書かれた遺稿も(歯車と或阿呆の一生)は、本当に今にも死にそうで、ある意味すごい迫力だった。或阿呆の一生で、ラストに奥さんが、死んでるかと思って部屋を覗きに来られるシーンがあり、それが哀しくて胸に染みた。
1投稿日: 2016.08.26
powered by ブクログ天才。子供の頃に「鼻」、「父」といった作品は読んでいるし「鋭い心理描写だなぁ」と感じた様な記憶は何と無くある。ただ大人になってこうした晩年の作品を読むと、「心理描写」といった言葉に括れない凄味があることがわかる。 日本文学は夏目漱石や森鴎外といった系統と、川端康成や三島由紀夫といった系統に大きく分かれると勝手にカテゴライズしていたが、芥川はその二系統を軽く凌駕する。強いて言うなら太宰に近いものを感じるが、太宰は此処まで心象風景が上手くない(太宰ファンの方々、ごめんなさい…)。 「彼は今で言うところの統合失調症だったんだろうなぁ…」この一冊に収められている短編を読み終えて、そんな事を感じた。
1投稿日: 2016.03.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三、四年程積読のままだったが、急に読みたくなって手に取った。 芥川龍之介の、ここまで精神的苦痛を描いた小説は初めて読んだ。 彼の気持ちに寄り添って読む部分が多かった。 大導寺信輔の半生 玄鶴山房 蜃気楼 河童 或阿呆の一生 歯車 どれも好きだった。 歯車が一番好きかもしれない。
0投稿日: 2016.02.16
powered by ブクログ芥川の晩年の短編を6つ収録した一冊。恥ずかしながら芥川作品を読んだのは始めてだが、それぞれの話が、というよりも、この6編を合わせたこの一冊が、芥川の晩年の死生観や切迫感を感じ取るのに素晴らしい作品であると感じた。 “彼は日の暮の往来をたった一人歩きながら、徐ろに彼を滅しに来る運命を待つことに決心した” ―或阿呆の一生
0投稿日: 2015.10.12
powered by ブクログ物語に飲み込まれてすっかり冒頭に書かれていたことを忘れてしまい、最後の最後であっ…そうだった…と憂鬱になる河童。 読んでいて辛いものばかりだった。
0投稿日: 2015.08.30
powered by ブクログ「河童」を読んだ時の衝撃は忘れられません。すごすぎて爆笑しました。こういうことがあるから、本を読むのはやめられません。
0投稿日: 2015.08.03
powered by ブクログ河童…面白かったです。 ラストがそれかよ!というのはあるけど。。。 芥川の晩年の短編を集めたものらしく、自ら命を絶つ前の生きる苦痛、精神的な崩壊が作品全体に漂い、一人の人間として死に向き合い、救いを求めている心情がつぶさに描かれている。 偉大な作家の最晩年の心情、読んでみるのもよいと思います。
1投稿日: 2014.11.18
powered by ブクログ「河童」が面白かった。 この作品がユーモアであるということは河童の世界という設定や河童とのやり取り(例えば河童の出産の場面や鼬鼠との戦争など)からも伺える。 しかしそうしたユーモアからはそれ以上の人間世界に対する厭世観を痛烈に感じさせられる。 また、河童の世界が本当に存在するのか、それとも精神病患者である主人公の妄想なのかは不明なままであったが、そうすることで芥川は最後の最後まで、矛盾したこの世への皮肉と疑問を訴えていたのだろう。 人間の醜悪さを河童に思い知らされてしまった。 私も河童の世界へ行ってみたいな。 その他、「蜃気楼」は蜃気楼の発生する描写が美しい。 また主人公を気遣う妻の姿は、晩年の芥川の自殺願望を心配する妻文子の様子を窺い知る様で哀しい。 そういった点では芥川は自殺未遂を繰り返し、相手の言動や世の中に傷付きながらも、常に物事の有り様を冷静にそうして忠実に観察しては作品に映し続けていた人なのだと改めて実感してしまう、そんな作品集だった。 勿論理解しきれていない部分もまだあると思うので二回目も読んでみたい。
0投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログ河童は興味深かった。河童世界の価値観が人間世界のそれと正反対であることが、河童の特異性を顕著にも薄気味悪くもさせた。特に生と死に対する姿勢の違いが不謹慎にも可笑しく感じられた。産道に向かって、こんな暗澹たる世の中に本当に生まれてくるのかと問いかける河童の出産シーンや、死んだ河童を食べることに抵抗感を抱く主人公に、それは感傷主義だと言い放つ河童。この論理で語れば、人間の道徳性のほとんどが感傷主義と断じられる。確かに非論理的なルールが多いけど、そんなもんだよなあ。芥川龍之介の道徳観なのだろうか。哲学者マッグの阿呆の言葉の抜粋と、憂鬱を紛らわそうと逆立ちして世の中を眺めていたラップが好き。他の作品は全く頭に入ってこなかった。
0投稿日: 2014.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
―僕はもうこの先を書きつづける力を持っていない。こう云う気もちの中に生きているのは何とも言われない苦痛である。誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?(239) ここには芥川の晩年のすべてが詰まっている。 「大導寺信輔の半生」 予は父母を愛する能はず。否、愛する能はざるに非ず。父母その人は愛すれども、父母の外見を愛する能はず。貌を以て人を取るは君子の恥づる所也。況や父母の貌を云々するをや。然れども予は如何にするも父母の外見を愛する能はず。(15) 信輔を以て彼の心の吐露を連ねる。信輔の半生にどれほど自身を重ねたか。 「玄鶴山房」 のみならず死はいざとなって見ると、玄鶴にもやはり恐しかった。彼は薄暗い電燈の光に黄檗の一行ものを眺めたまま、未だに生を貪らずにはいられぬ彼自身を嘲ったりした。(53) 愛人に入れ込んだ玄鶴の終わりを描いたもの。彼の家庭は静かに、だが確実に崩壊しており、彼はそれでも愛人を求めようとする。その様を淡々と眺めて冷笑する看護婦の甲野は、やけに人間臭く、だがこれが世間だと思い知らされる。 「蜃気楼―或いは「続 海のほとり」―」 芥川の文体の美しさを表現した短編。この本の中では特殊な位置にあるように思う。 「河童」 我々は人間よりも不幸である。人間は河童ほど進化していない。(115) 或拍子に、河童の世界に足を踏み入れた「僕」。その世界は人間の世界とは種を異にしていた。河童の語る宗教や生死感、恋愛感などは芥川の代弁であろう。 そして河童の世界から人間の世界に戻って精神病患者扱いされる様も。 「或阿呆の一生」 いえ。死にたがっているよりも生きることに飽きているのです(184) 五十一編の中に彼の死への羨望がよく読みとれる。彼は彼自身を嘲り、死の齎す平和を思った。 「歯車」 彼が見たという歯車は、閃輝暗点だと言われている。私もその症状を持っており、改めてこれを読むと同じものだと思う。彼は歯車を見るたびに自分が狂人になったと悲観する。私は、果たして狂人なのだろうか?彼が見たという歯車が見える私は。
1投稿日: 2014.04.21
powered by ブクログ玄鶴山房・・・ ドロドロとした、昼ドラみたいだなーと思っていましたが さすが芥川!それだけで終わるはずがありませんでした。 短い物語にも関わらず、登場人物1人1人が濃い!(笑) 愛憎まみれた傑作です。 河童・・・SFっぽい話です。それでもって、人間界への皮肉に満ち溢れています。 河童との会話が独特です。この本の中では、一番小説っぽい作品かな、と思います。 或阿阿呆の一生・・・まんま、自分のことを書いているのだろうということがよく分かります。 病気の中で苦しんでいる、というよりはむしろ人の心に訴えかけるような、優しさをまとった文体が印象的です。 歯車・・・死を意識した人は、こういう考え方になるのだろうか?と感じました。 繰り返される不安、不気味さ。そしてそれから逃れたい自分。吉兆と凶兆を連想させる色やもの。 これもまた、芥川氏が自らのことを書いているように思われます。 全体的に、不安・死・恐怖というものを感じさせる作品集でした。(これらの作品が書かれた彼の時期を調べると、当然かもしれませんが) 未熟な自分には「蜃気楼」という作品の良さが、どうも分かりませんでした。 なんだか、なんでもないような話に思えるのです。 色々なところで絶賛されているようですが・・・ この良さが分かるような大人に、なりたいものです。
0投稿日: 2014.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「大導寺信輔の半生」「玄鶴山房」「蜃気楼」「河童」「或阿保の一生」「歯車」の六作品が収録されています。 「大導寺信輔の半生」は、主人公の半生を人物や商品などを通して描かれていますが、著者によるともっと書きますと言ってました。 「玄鶴山房」は、この山房に係わっている人物たちの生きざまを書いています。 「蜃気楼」は、主人公と友人が蜃気楼を見に行ってその土地での住民たちとの話などによって、主人公たちの一休みがドンでもない事になる。 「河童」は、精神病院の患者が看護婦などにいう話として、まとめられています。 「或阿保の一生」は、ある人物によって五十一章にもなる話しを当人の経験風に書かれています。 「歯車」は、友人の結婚式へ出席した所から始まり、主人公の善悪の心の葛藤が書かれています。
0投稿日: 2013.12.24
powered by ブクログ『河童』が読みたくて学校で借りてきました。 なんというか、…すごい短編集。 河童のお産について書いてあるシーンが一番頭おかしいと思いました(誉め言葉)。
1投稿日: 2013.11.13
powered by ブクログ人生の敗北の芸術の完成? 自殺直後の遺稿として発表され芸術の完成という見方をする人もある。 20歳からの一生を振返り自殺を決意し、決意した後の死を平和と考え心安らかになるまでの過程が、作家芥川の最後の文学の芸術性なのかと考えました。 確かに、この作品は遺稿ですが遺書ではなく、飽くまで自殺を覚悟しての回想であるから、この作品をもって人間芥川を詮索しようとは思わない、唯僕は作家芥川の作品の真価を感じたいだけである。 本当の遺書は、『或旧友へ送る手記』と『遺書』でしょう。(私見です) さて、この作品はまず、久米正雄氏に宛てた心情の吐露を除いて回想として執筆され「作家芥川」の51の断章は、51の回顧による敗北宣言だろう。 「彼を動かしたのは十二三歳の子供の死骸だった。彼はこの死骸を眺め、何か羨ましさに近いものを感じた「神々に愛せらるるものは夭折す」」と書いているが、本当の自殺の決意文ではない。 何故なら、『澄江堂雑記』(大正7年~13年)の中に「誰が御苦労にも恥じ入りたい告白小説など作るものか」と書いているからだ。勿論、断章八「火花」の中に「彼は人生を見渡しても、何も特に欲しいものはなかつた。が、この紫色の火花だけは、---凄まじい空中の花火だけは命と取り換えてもつかまへたかつた。」と書いていることから創作の欲求だけはある。 何よりも、作中に「自殺」という文字が出てくるのは四ヶ所だけで、それも「彼」ではなく他人又は対比だけで自殺の宣言ではない。 晩年の作家芥川は、病に侵されつつあるからだにも拘らず、一瞬の輝きのうちにすべてを込める閃光が、彼の芸術の生命で自分を燃焼させるものこそが自分自身の憂鬱から逃れるために見つけたのであると思う。 時は過ぎゆき、次第に病は進行し作家人生を振返った時に、芸術の技巧の行き詰まりによる枯渇を感じ始め、制作欲はあるがそれは生活欲を無意識に感じていたのでしょう。そして自殺を考え始めたのではないかと思う。 断章6と41は「病」です。 「不眠症に襲われ出した、のみならず体力も衰へはじめた」、技巧の枯渇と病が原因で遂に芸術家芥川の敗北・・・。 技巧の枯渇による苦痛は、病による苦痛を超えた。作家芥川の敗北は、人間芥川の存在価値さえも無にしてしまい、最早自殺しか選択肢がないと告白したかったのではないかと思う。 我慢の限界を超えてしまった。後は発狂か自殺。 以上の「心情の吐露」が「死を意識した美しい芸術の完成」、無二の芸術・自殺の実行によって完結する。 生を長らえて「唯ぼんやりした不安」を拭い去ることは出来ないがために、死を選択する事以外は作家芥川の芸術は永遠の価値を生み出さない。 確かに、作家芥川の一生は幾多の挫折と苦難と波乱に満ちたものであったかもしれない。 しかしながら、僕は芥川の芸術は本当の意味で完成されていないと思う。 死によっては何も生み出せないからで、生命あってこそ芸術の評価を知り得るのです。 尚且つ、敢えて僕は断言します。芥川の自殺は決して美しくない。 何故なら、決意してから『或旧友へ送る手記』の中で、死に方を暴露しているからです。 「僕の第一に考へたことはどうしたら苦しまずに死ぬかと云うことだった。(中略)贅沢にも美的嫌悪を感じた」確かに用意周到に自殺計画を進行させているかが窺える。 結局、薬物にて死にますが、旧友に自殺の方法を告白しているのは潔くないのです。 じゃあ、切腹でもすれば!と言いたいところだ。まだ生への拘りを捨てきれていないでしょう。 それなら、生きなければ駄目です。生まれて存在する価値を考えなければなりません。 死によって完成する芸術としての文学は、完全否定します。 芥川の『遺書』の中には、「僕は勿論死にたくない・・・云々」「けれども今になって見ると、畢竟気違ひの子だったのであらう。僕は現在は僕自身には勿論、あらゆるものに嫌悪を感じてゐる。」とありますが、それでも生きて下さいと言いたい。
0投稿日: 2013.10.28
powered by ブクログ「蜃気楼」と「歯車」が好み。「蜃気楼」には日常の中に不安が潜んでいて、淡いタッチなのに怖い。「歯車」はもう何十回も読み返した。芥川の懐疑心が極められていて、最後の一文で諦めにも似た絶望感が突き付けられる。
0投稿日: 2013.09.02
powered by ブクログ『歯車』は統合失調症の症状をよく表していると聞いたので そういう視点で読むからだろうか、ここに収められた短編はどれもこれも危うい
0投稿日: 2013.08.23
powered by ブクログ「或阿呆の一生」という名前に惹かれて、芥川の鬱屈とした世界に浸りたくて学校の図書館から譲ってもらった。個人的には「河童」が好き。河童世界って凄く合理的なのに、人間世界では受け入れられそうにないのはどうしてだろうね?………「河童」「或阿呆の一生」「歯車」の流れを深夜に読んだら案の定疲れた。「歯車」の最後の三行、なんとも晩年の芥川っぽくて好き。
0投稿日: 2013.07.20
powered by ブクログきりきりとしていて、切実で、強迫観念に追い詰められているようで。 目の前に横たわり聳え立つ1つの問題に全て囚われてしまっているような。 小説、として面白かったのは玄鶴山房と河童。
0投稿日: 2013.06.10
powered by ブクログ河童が途中で読み終わっていたのでとても気になっていたのですが、なるほど、オチはああいう…救われないなぁ。 さすが芥川龍之介です。何かを読者に悟らせようとする力は凄まじいものがあります。この人こそ教師になるべきだったのでは、とすら思えます。 芥川大先生の指導の下、今日も本を読みます笑。
1投稿日: 2013.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1.芥川後期の作品は、読者の好みが分かれる。この本で注目すべきは『河童』。主人公が異界(河童の国)に迷いこみ、そこを舞台に社会風刺をする内容は『ガリバー旅行記』と少し似ている。 2.遺作の一つ『歯車』は、川端康成・佐藤春夫が「傑作」と賞賛し、久米正雄・宇野浩二が「書きすぎて雑音が多い」と叩いた問題作。個人的には自殺へと向かう心理を冷静に描いた秀作だと思う。 3.『或阿呆の一生』は友人の作家・劇作家の久米正雄に託した「芥川の自伝」だが、芥川には「私生活を暴露する勇気」がなかったため、「フラグメント(断章)形式」で曖昧なことしか書いていない。 『或阿呆の一生』の登場人物は以下の通り。 「一生独身だつた彼の伯母」→伯母のフキ。芥川の母親のフクは、彼を産んだ七ヶ月後に発狂してしまう。そのため、芥川は母の実家に預けられ、伯母に育てられた。 「彼の先輩」→文豪・谷崎潤一郎。 「ゴオグ・耳を切つた和蘭人」→印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホ。 「先生」→芥川の師匠・夏目漱石。夏目漱石が『鼻』を絶賛したことが、芥川の作家デビューのきっかけになる。 「彼の妻」→妻の芥川文。友人・山本喜誉司の姪。 「『月』『彼女』『スパルタ式訓練』『雨』の彼女」→鎌倉小町園という料亭の女将・野々口豊子。芥川文の友人・相談相手。後に芥川の愛人になり、二人は駆け落ちを計画したが実行しなかった。 「狂人の娘」→芥川の愛人・秀しげ子。彼女は人妻で、当時は「不倫=犯罪」であり、秀しげ子との関係に悩んだことも「芥川が自殺した理由」の一つという説がある。『歯車』でも「復讐の神」として登場。 「或画家」→芥川の親友・小穴隆一。 「彼の妻が最初に出産した男の子」→芥川の長男で俳優になった芥川比呂志。 「彼の姉の夫」→西川豊。「保険金目当てに自宅に放火した」と警察に疑われ、鉄道自殺した。心身共に衰弱していた芥川が姉の家族の面倒を見ることになったことも「自殺した理由」の一つとされる。 「彼の異母弟」→新原得二。芥川の実父・新原敏三と後妻フユとの間に生まれた息子。養子に出された芥川とは不仲だった。 「背の低い露西亜人」→ロシア革命の指導者ウラジーミル・イリイチ・レーニン。 「越し人・彼と才力の上にも格闘出来る女」→アイルランド文学研究家・歌人の片山広子。芥川が恋した女性だが、プラトニックな関係で終わった。芥川の後輩・堀辰雄の小説『聖家族』に登場する「九鬼」のモデルは「芥川龍之介」で、「細木夫人」のモデルは「片山広子」。 「『火あそび』『死』の彼女」→芥川の妻・文の幼友達である平松麻素子。芥川は彼女と愛人関係にはならなかったが二人で心中を計画。だが芥川は心中せずに一人で自殺した。 「彼の友だちの一人は発狂した」→作家・宇野浩二のこと。皮肉な話だが、芥川の自殺後、宇野浩二は快復して「芥川賞の審査員」までやっている。
1投稿日: 2013.04.07
powered by ブクログ高校か中学の時に読んで以来の再読。 その時は暗い本だなくらいにしか思わなかったのですが、 いま読むと凄いですね。 他の芥川作品も読み返したくなりました。 とりわけ、最後に収録されている『歯車』は圧巻です。 執拗に連想される暗いイメージを、 繰り返される逆説と実在の小説への絶望的な解釈とが絡め取り、 痛々しいほどに苛立ちと不安が表現されてます。 そういう意味じゃ、いちばん先にこの作品から読んでもいいかもしれません。 独特の文体が、また、不安定な状態を表すのに一役買っているのですが、 それが分かるのも多少は本を読んでからでしょうし、 中学生や高校生よりはもっと大人に薦めたい一冊です。
1投稿日: 2012.12.16
powered by ブクログ「大導寺信輔の半生」 必要以上に露悪的である 自虐がかっこいいと思っていそうな内容だが それは半分間違ってると思う 半分正しいと思う 「玄鶴山房」 いずれにせよ、人間最後は一人で死んでいくしかない 死こそ唯一平等に与えられた個人の特権である しかしそれは生を謳歌する者にとっての恐怖でもある 「蜃気楼」 蜃気楼の見えることで有名な海岸を、昼と夜の二度にわたり 妻や友人を連れて龍之介が散歩するという ただそれだけの小説であるが 一日の変化が、丸ごと一枚の絵に凝縮された 四次元的風景画とでも呼ぶべき、奇妙な迫力と美しさがある 「河童」 芥川の思う理想世界を、河童に託して描いた物語 しかしそこに住まう河童どもは、ことごとく鈍感で無神経で 他者に対する冷淡さを隠そうともしない 自意識ばかり高い、物質主義者のご都合主義者で 自虐すらナルシシズムを満足させるための道具とする それが、理想主義の正体であると 芥川は見抜き、自己批判して見せたわけだ 「或阿呆の一生」 太宰にせよ三島にせよ川端にせよ 小説家の自殺原因は、いずれもその根底に 「才能の枯渇」への恐怖があると思う 芥川は、一人の人間であると同時に 一個の小説製造マシンでもあった 彼の中では、常に人間とマシンがせめぎ合っていたようである 人間性にこだわって小説を書き続けるならば 彼はいずれ発狂を免れないだろうし マシンとして生きながらえる道を選ぶことは おそらく彼の自意識が許さなかっただろう そこで第三の道、と相成るわけだが しかし僕がこの「或阿呆の一生」を読んで感じたことは 書けなくなる絶望からの逃避というよりも 死を踏破し、戻ってこようとする妄想的な希望であった 「歯車」 何者かの意志が運命の歯車を回し、おれの命を狙っている そんなような妄想に恐れおののく芥川 しかし心のどこかではそれを待ち望んでいたはずなのだ 小説のネタになるから
1投稿日: 2012.11.09
powered by ブクログ乾いた世界の中に拡がる韻律の風景がある。生きる事への諦め、死へと一歩一歩と近づいて行く感覚がある。その感情には、恐れがある。それは何処までも拡がり続けていく、世界の茫漠さだろうか。無への恐れ、虚無を感じるが故の、死への固執。しかし、その絶望の中の死にも、どろどろとした賛美の詩が聴こえる。死への絶望の中にも、凄然とするような美しい退廃の美を感じる。韻律は、死を奏で、退廃の死は美を紡ぎ出す。彼が、死を悟ったのは、乾いた寂しさではないような気がする。
1投稿日: 2012.11.02
powered by ブクログ率直に言うと、今まで読んできた「羅生門」とか「鼻」とか「地獄変」とか「杜子春」とか「魔術」とか「蜘蛛の糸」とは 全然違う。 乱れ書き(?)というか、芥川龍之介の独特な丁寧さが少しなくなった気がします。 まあ、中3の考察だから頼りないけど。というかほとんど巻末の書評の受け売りっぽいけど。 「河童」は、今までの芥川龍之介の作品とは違って、なんか「異世界探検譚」じみたところがありました。しかも、「鼻」とか「蜘蛛の糸」のように、古語っぽく書かれてないので、スラスラ読めました。「伊豆の踊子」よりもスラスラ読めました。正直伊豆の踊子好きじゃない 他にも、「或阿呆の一生」はかなり独特な書き方だった…あとは「歯車」も。 芥川龍之介のような天才の精神的な崩壊と、まさに「ぼんやりとした不安」が表されていました。正直、「歯車」を読むと「ぼんやり」というよりも「切迫した」雰囲気がありましたが。 まだまだ芥川龍之介は作品を残しているようです。 ★★★☆☆
1投稿日: 2012.10.02
powered by ブクログ芥川龍之介の最晩年の作品集。 信輔の一生、歯車は、芥川の苦しみを如実に表し、読んでいるこちらもつらくなってくる。 彼の作品を少しでも理解できるようになりたいと思った。
0投稿日: 2012.07.29
powered by ブクログ2012.5.23.wed 【経路】 図書館。 そういや芥川は「羅生門」「蜘蛛の糸」しか読んでなかったなと思って。 【感想】 芥川の自叙伝的なエッセンスの多い著書。 途中「暗夜行路」を読んで重なって辛かったという表記があって、そんなん病んでるときに読んだらあかん本の筆頭やろー!!と突っ込んで読んでた。 哲学好きの無信仰は病んだときに救いが無くて辛い! 日本人は無信仰多いんだけどさ。。 でも宗教に素直になれたら生きやすいんだろなって思った。 【内容メモ】 ■大道寺信輔の半生 ・初の自叙伝的作品 ●本所 ●牛乳 ●貧困 ●学校 ●本 ・買った本の愛しさ←うんうん ●友だち ■玄鶴山房 ・家庭内部での人生の暗さ ・他人の苦痛を享楽する看護婦 ・客観視できるなら昼ドラ風。 ■蜃気楼 ・へんてつのない日常のさりげなさ ・筋のない美しさ? ■河童 ・社会、政治、宗教、道徳、習慣の風刺と鬱憤。 ・無信仰の告白。 ・河童の恋愛観が面白い。女の追いかけるのと、追いかけさせるのと。とても皮肉! ■或阿呆の一生 ・死後発表作品 ・不安の解剖 ・芥川の芸術と生涯 ■歯車 ・死後発表作品 ・迫害の妄想=歯車
0投稿日: 2012.05.25
powered by ブクログ河童は生まれる前に、自分は生まれてくるかどうか意思を決定する…… もし河童がいたらそんな社会なのかもしれません。
0投稿日: 2012.05.11
powered by ブクログ河童は面白かった。和風ファンタジー+風刺が利いてる。 晩年の作品が多いらしく、他は自叙伝的なものが多いので、芥川という人の一生を知らないとなんだかつつつつーと通り過ぎて終わってしまう。まあ最後の歯車はちょっと不気味だったけど。 これより前に書いた「地獄変」が収録されているものの方が小説感が高くおすすめ。
0投稿日: 2012.03.25
powered by ブクログ『歯車』の狂いかけた感覚の描写がすごい。狂気と正常が交差するような『河童』の着想や『或る阿呆の一生』と陰鬱であまりにも暗いが、一気に読み終えてしまった。
0投稿日: 2012.03.07
powered by ブクログ芥川のぼんやりとした不安ーきっと本人にしかわかりえないんだろう。 私は彼の後期の作品の方が好きだと感じた。
0投稿日: 2012.02.08
powered by ブクログ芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る『河童』、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る『或阿呆の一生』、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた『玄鶴山房』、激しい脅迫観念と神経の旋律に満ちた『歯車』など6編。 河童が良い。でも芥川は古典のがすきかな。
0投稿日: 2012.02.03
powered by ブクログ生れて初めて読んだ芥川作品は、「羅生門」でも「蜘蛛の糸」でも「地獄変」でもなく、「或阿呆の一生」でした。これはあまり正統的ではないかもしれません。 中学生当時、我が家に元元有つた『新潮現代日本文学全集』の「芥川龍之介」の巻を開いたら、「或阿呆の一生」なる作品が目に飛び込んで来たのであります。タイトルからしてユウモラスな愛すべき阿呆の話かと思つたら、これといつたストオリイのない、支離滅裂な作品であつた。 「微苦笑王子」久米正雄に宛てた文章が死を予感させ、胸騒ぎを誘発します。もちろん我我はその結末をすでに知つてゐる訳ですが...アフォリズムともいへず、やはり叫びとでも申せませうか。 「河童」は、精神病患者の話として語られます。人間の世界以上に人間的な河童の世界。当時の世相を風刺するといふよりも、作者の極限に達した苛立ちが感じられるのであります。 「大導寺信輔の半生」の「只頭ばかり大きい」少年は、まさに芥川自身。幼時の写真を見ると、確かに不気味なほど頭部がでかい。既製品の帽子では頭に入らなかつたといひます。相当コムプレックスを感じてゐたのでせう。 「歯車」ではもはや救ひが見えません。芥川はドッペルゲンガーを見たのか。自身の生霊か。歯車とは例へば「虹男」(1949年のパートカラーの映画)みたいなものでせうかね。違ふか。 他に「玄鶴山房」「蜃気楼」を収む。かうしてみると、とても芥川龍之介の入門篇としては薦められぬ作品集であります。が、これも芥川が遺した貴重な芸術品と申せませう。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-284.html
0投稿日: 2011.12.28
powered by ブクログ芥川が自殺する直前に書かれた、最晩年の作品6篇が収録。自伝的な内容や自らの内面を吐露した内容が多く、そしてそこに描写されるのは才能と神経が病弱な己の身体をを食い破り、悪辣な言葉が落書きされた壁が立ち塞がるかのような土砂降りの生活。神経や感情を直接掴まれる様な、痛み。 「何の為にこいつも生まれて来たのだろう?この娑婆苦の充ち満ちた世界へ―」 (或阿呆の一生) でも、馴染むんだ、この感覚が。困った事に。たぶん、自分自身を何ひとつ肯定できずに毎日死ぬ事ばかり考えていた中学時代の自分が、こういった世界観に反応しているのだろうけど。今でこそそこからは離れたけど、それでも時々あの頃の感覚が蘇って吐き気を催すような発作に悩まされる事もある訳で。まぁ、誰にでもよくある過去のトラウマですね。 だから、またそんな気分に襲われた時にはこの本を読み直して心を静めるんだ。毒を持ってでしか、対処できない毒もある。ギリギリでも生きのばしてやれ。
0投稿日: 2011.12.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「或阿呆の一生」 僕は今最も不幸な幸福に生きている。 死にたがつてゐるよりも生きることに飽きてゐるのです。 君や僕は悪鬼につかれてゐるんだね。世紀末の悪鬼と云ふやつにねえ。
0投稿日: 2011.10.11
powered by ブクログ芥川の自殺間近の頃の作品群。河童でかなり崩れている印象であったが、歯車になるともうどうしようもないという感じ。ついに、完全にあっち側に行ってしまわれている。理解ということをしようと努力するのがそもそも間違えであるのではないかと感じた。無論、私の読解力の不足は否めない。 死を。絶望を。前にして錯乱した頭の中が、文章に垂れ流された毒物であるように思う。解釈に対する正しい答えはきっとない。
1投稿日: 2011.09.03
powered by ブクログ「何もむずかしいことはないのです。唯神を信じ、神の子の基督を信じ、基督の行った奇蹟を信じさえすれば………」 「悪魔を信じることは出来ますがね。……」 「ではなぜ神を信じないのです? 若し影を信じるならば、光も信じずにはいられないでしょう?」 「しかし光のない暗もあるでしょう」 「光のない暗とは?」 僕は黙るより外はなかった。彼も亦僕のように暗の中を歩いていた。が、暗のある以上は光もあると信じていた。僕等の論理の異るのは唯こう云う一点だけだった。しかしそれは少くとも僕には越えられない溝に違いなかった。…… 『或阿呆の一生』と『歯車』を愛読。本当は岩波文庫が欲しい。
0投稿日: 2011.08.22
powered by ブクログ大好きな芥川さんの本ですが、所謂古典ものしか読んでなかったので晩年の作品に挑戦。 すごく面白くて好みなのは「河童」かな。晩年ということで、知識人ならではの苦悩が満ちている作品が多かった。にしても近現代作家さん方の「狂」に悩む姿は美しい。
1投稿日: 2011.08.03
powered by ブクログ強迫神経症的な追い詰められ加減を感じる一冊。しかしながら、面白いのは何故だろう。イチ押しは「河童」で、精神状態が悪いときに読んではならないのが「歯車」「或阿呆の一生」だと思う。
0投稿日: 2011.07.31
powered by ブクログ「蜃気楼」を読んだので、そちらのレビューを。 これは作者が自殺した年の作品です。 初期に書かれた作品は説話文学、歴史物、キリシタン物などが多いが、晩年の作品は生死に関するものが多い。 ということで、この「蜃気楼」もちょっと所々に死のにおいを感じます。 しかしこの作品は、晩年には志賀直哉の「話らしい話のない」心境小説を肯定し、それまでのストーリー性のある自己の文学を完全否定している。 だから非常に感覚的で、詩のような作品です。(死とかけてる訳ではなく) しかし、誰だか忘れましたが某作家にも駄目出しをくらったように、作者は詩人としての才能はあまりないようです。というのもちょっと主人公たちの行動と台詞がクサすぎるんです。 今までの芥川作品と比べるとかなり違和感があってくすぐったいです。 綺麗で繊細な世界の中に、水葬された死骸や土座衛門、現れては消える男女など、作品の中には気味が悪いほど巧妙に死の気配が隠されています。 段落下げの箇所 参考:Wikipedia
1投稿日: 2011.07.08
powered by ブクログ体調不良の日曜日,床の中で河童を再読.多分,高校生のとき以来.ユーモラスでないわけではないが,そこから何か作者のきしんだ精神がのぞくような気がする.体調の悪いときに読む本ではなかった.芥川はやっぱり初期の作品のほうがいい.
1投稿日: 2011.06.19
powered by ブクログ河童(主人公が精神病院に居なければただのファンタジーで終わった作者の影が見える話。) 或阿呆の一生(人間によくある話)
0投稿日: 2011.06.14
powered by ブクログどちらも良過ぎる。世の中の縮図をそれぞれ、異世界の描写と、言葉少なで芯をつく散文で捉えている。「河童」は戯画化することでよりリアルな描写を可能にしている。「或阿呆の一生」、徐々に言葉が熱を帯び、彼の繊細さと、時代への恨めしい叫びを感じる。
0投稿日: 2011.05.10
powered by ブクログ「文芸的な、余りに文芸的な」で言うところの筋のない小説っていうのは、まさに「蜃気楼」のような小説を指すのだろう。「蜃気楼」自体はあまり面白いと思わなかったが、芥川の言うように、これは筋を楽しむ小説ではないのだろう。 収録されている作品の中では「河童」が一番面白かった。
0投稿日: 2011.05.03
powered by ブクログ芥川龍之介の最晩年の短編作品集。 作家の自伝的な作品が多いよう。 蜃気楼はなんだかよくわからないけれど文体が不思議でイメージが湧く作品。 河童は、単純におはなしとしても面白いけれど、ガリバー旅行記のような風刺があるらしい。 或阿呆の一生は断片的な話がつぎつぎに出てきて目が回りそうになるが、でもそれがまた独特な感じをだしていていいと思った。 歯車が最後にあるのはあるべくしてあるのだと思った。この作品はなにか鬼気迫るものがある。ホラーではない。精神を病んだ人の心象風景だ。ほんとに怖い。この病みように比べたらどんな落ち込みも些細なものだと思えてくる。 "今日の僕は誰の目にも「寿陵余子」であるのに違いなかった。" このくだりは、自分にはぐさっときた。
0投稿日: 2011.03.28
powered by ブクログ芥川最晩年の作品集。「蜃気楼」無雑作に並べられた写真のような心象風景の連なり。「或阿呆の一生」"人生は一行のボオドレエルにも若かない"の一文が、ふと皮膚に馴染む瞬間も、確かに在る。「歯車」芥川を自殺に追い遣った強迫的な"ぼんやりした不安"が何であるか、今日の僕には解しかねた。"そのうちに又あらゆるものの嘘であることを感じ出した。政治、実業、芸術、科学、――いずれも皆こう云う僕にはこの恐ろしい人生を隠した雑色のエナメルに外ならなかった。"
1投稿日: 2011.03.26
powered by ブクログこれは或精神病院の患者、ー第二十三号が誰にでもしゃべる話である。彼はもう三十を越しているであろうか。が、一見した所は如何にも若々しい狂人である。彼の半生の経験は、ーいやそんなことはどうでも善い。彼は唯じっと両膝をかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、(鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張っていた)院長のS博士や僕を相手に長々とこの話をしゃべりつづけた。尤も見ぶりはしなかった訳ではない。彼はたとえば「驚いた」と言う時には急に顔をのけ反らせたりした。…
0投稿日: 2011.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
簡単に再読。 「玄鶴山房」をとりあげれば、静かに生を閉じようと覚悟した風だった玄鶴の山房に妾だったお芳が手伝いとして暮らすことで生まれる不調和、他意のないお芳が山房に指した光が人々のこころに影を落としていく有り体を容赦ない芥川の視線で綴る作品。影は罪と置き換えることができ、それはひとがひとである所以とも考えられることから、芥川自身が生きていることに対する思いを強く反映する作品となっており、作品を芥川の外的なものとすれば芥川の内的なものに限りなく近づいて描き上げられた作品だったんじゃないかと思わずにいれない。そして、これ以外の収録された作品はいずれも外的なものと内的なものとの何れかに偏向しすぎ境界を見失った感がつよく創作物というよりは等身大の芥川を知るのに適した作品群だった。
0投稿日: 2011.03.06
powered by ブクログ河童がオモシロかった。歯車もぼんやりとした不安を感じた。 死ぬ前に書いたという先入観があるためか、全編を通して怖さを感じる。 怖くはない話なんだが、不安定感が流れておりそこいらに溢れるミステリーなんか足元にも及ばない。
0投稿日: 2011.02.12
powered by ブクログ収録されている遺作「歯車」は芥川自殺前の心境が読める自伝作品。その不気味さは下手なミステリーやホラー小説なんて比にならない。
0投稿日: 2010.12.31
