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第四間氷期(新潮文庫)
第四間氷期(新潮文庫)
安部公房/新潮社
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総合評価

125件)
4.1
37
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22
4
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    殺人事件を巡るミステリのような展開から話が変わってきてSFへ(笑)予言する機械や謎の脅迫電話、胎児誘拐事件、水棲人の研究など色々考えるな~(笑)異色なSFとしていい感じですね(笑)

    0
    投稿日: 2025.11.24
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    最初から飛ばしています。ミステリっぽく始まりますがだんだん「これ何の話…?」的展開。とにかくスピード感があって止められません。 諸々の突飛な話が繋がった時は何とも言えない「腑に落ちた〜」感が。 万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことが発端となり、とんでもない事が次々に明るみになっていきます。 いやいやまさか…な事が行われているのですが、安部公房の筆致に、思わず私も乏しい想像力をフル稼働させられてしまいました。 あとがきの日付は1959年、ウィキペディアによると「日本で最初の本格長編SF」とのこと。 予言機械にしたって、コレ60年以上前の作品! 第四間氷期が終わろうとする時。そこに、それこそ天地がひっくり返るような未来を描いた安部公房。これはホントに衝撃。

    8
    投稿日: 2025.11.02
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    大学時代に途中までしか読めていなかったので再読。面白い。未来について色々考えさせられる。現在の価値基準で未来を評価することなんて、できっこないんですねきっと。意外な展開にきっと引き込まれるはずなのでおすすめです。

    0
    投稿日: 2025.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

     安部公房にしては読みやすいなあ、というのが最初の印象。  電子計算機に大量のデータを与えただけで未来を予言できるというのは、カオス理論を考えると、前時代的という感は否めない。未来も過去もシュミレーションできてしまうというのも、そんなに単純じゃないだろっていう気はする。でも安易なタイムマシンものにはなってないし、死体の神経組織に電極を差し込んでデータを取得し、生きている状態をシュミレーションするというのは、怪しくてなかなかいい。  未来予測のサンプルに選んだ男が殺され、死体を予測機械にかけるとその口は<胎児堕胎>について語り始める。男を殺したとされている情婦からデータを取ろうとするとその女も殺され、家に帰ると主人公の妻も何者かに病院に呼び出され堕胎されていることが明らかになる…。  裏表紙のあらすじを読む限りでは、ある男の未来を予言させようとすることによって何らかの因果律に干渉し、氷河期になるって話だと思ってたけど、こうやっていろいろと裏で行われている謀略が明らかになっていくというミステリ的手法が使われていたのか。期待してたのとは違うけど、これはこれで面白い。作者がこんなわかりやすい論理の作品を書くとは思ってなかったから意外だったけど。見えない組織に包囲されているという閉塞感なんてラドラムみたい。発表年度を考えると「ブルー・シティ」なんかにも当然影響を与えてるんだろうな。  胎児ブローカー→母胎外発生→水棲動物飼育→水面上昇による人類の後継者としての水棲人類の研究という流れは今でも十分刺激的だけど、発表当時はもっと凄かったろうな。主人公が現実の延長線上ではない未来を認めることができず、自分自身の第二次予言値の命令によって殺されてしまうのも安部公房的迷宮なのか。  やっぱこの時代、インテリにとって共産主義というのは理想だったのかな。現実にはコンピュータに関しては、資本主義というかアメリカの技術力は圧倒的だったわけだから、モスクワ1号なんてものが先に作られるとは考え難い。

    2
    投稿日: 2025.06.10
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    安部公房は、家元が中学高校一貫校の寮生時代には劇作家として活躍していた。演劇同盟座付き作家N原は、彼に傾倒していた。劇団男優の家元は、江守徹から芝居のイロハを拝借した。 ところで花田清輝の書評でも書いたが、実に小説の世界(活字の世界)は、流行歌の世界(歌謡曲界隈)に比して繰り返し楽しむ機会に乏しいのは実に残念な事だ。本書も、安部氏の比較的初期作品であるが、彼の特色である人間の意識と感受性に、環境や他者の影響が色濃く出ている。今で言うところのAIにも似た予言機械が登場し、未来が人間に肯定的なものであるのか否定的なものであるのかは、不明である。が、それゆえに人間は未来を知りたがる(占いなどの信憑性が薄いものも含め)。未来は日常生活の連続の末にあり、予言機械は多分に、幸せな未来をより残酷な未来として予知するだろう。そして現代をコンピューター的観念過剰の思考が支配する時代と考えるならば、人間の内的思考を保持するためには個々の育んだ常識が大切であり、ここで支配的に言葉をかける予言機械を拒否し続けることこそ、著者が実は主張したかったことではなかろうか? それにつけても、三島由紀夫か安部公房の何れかがノーベル文学賞を受賞すると思ったが。

    0
    投稿日: 2025.04.03
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    人間が水棲人間になるとして、その未来が幸か不幸かを今の陸棲人間に判断する能力はなく、判断する資格を持つのは主観的判断のできる未来の水棲人間だけだという物語中の言葉から、自分には他人の人生が幸か不幸かを判断する能力も資格もないため、他人への余計な介入はしないよう、気をつけようと思いました^_^

    0
    投稿日: 2025.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「豚に、豚みたいだと言っても、おこったりはしませんよ…」 安部公房のSFって言われてるけど安部公房の話だいたいSF的要素あるとおもう。サイエンス要素ないのに火星が舞台なだけでブラッドベリの火星年代記がSFなら、火星人と名乗る男が家におしかけてくる人間そっくりもSFじゃないのか?SF概念はむずかしい… この作品、以前読んだ砂の女や人間そっくりに比べると取っ付きにくく感じ、特に途中の科学的な話の部分は自分には難しくあまり頭に入ってこなかったが後半からあとがきにかけてSFの醍醐味である固定概念を崩されるという感覚を味わうことができて最後まで読んで良かったと思えた。 今まで過去の人が現代の生活を知ったら妬むくらいに羨むと思っていた。過去は不便で倫理観も未発達で多くの人が貧困や病で苦しみ早くに亡くなってしまう、そんなふうに過去や過去の人を見下していたのかも知れないと気付かされた。あとがきに例えば室町時代の人が現代に来たら彼は現代を地獄だと思うだろうか、極楽だと思うだろうか?との問いかけがあった。小説の主人公が未来を担う水棲人間の子供を見て残酷だといい、それは人間のおごりだと諭されたように自分と断絶された未来または過去を良いか悪いか判断できるものではないのだと思った。 陸に憧れて初めて涙を流すという感情を知った水棲人間の少年の話がすき。アンデルセンの人魚姫を彷彿とさせる。全体を通して不気味、不穏なのにここだけ読者の心を慰めるような美しさを感じた。

    4
    投稿日: 2025.01.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こちらはブクロクに登録していない一冊です。 平成13年まではエクセルに書籍を整理(現在も)していました。そちらまでこちらに移すことは出来ず。 コンピュータが予測した全世界が水没した未来の世界で、呼吸のできない水上に出て自死をする私たちの子孫の描写の美しさと切なさに涙した若い自分を忘れたくはないです。

    30
    投稿日: 2024.09.23
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    聞かされた最初も、予言機から色々聞かされていく過程でも、自分はずっと主人公と同じような気持ちだった。「ありえない!→いやそんなバカな、、」みたいな徐々に不安になっていく感じ。 この本を読んだことで、この本というより「未来を認めたくない自分」に対して恐怖を感じる体験をさせられました。 自分の理解力不足もあるとは思うが、正直ストーリー構成的に強引だったり説明つかないところがいくつもある気がしてる。ただ、50年以上前の作品だし、話の複雑さを考えれば許容範囲か

    0
    投稿日: 2024.09.16
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    学生時代に読んだ本を再読。 父に薦められて読み、SF好きになり、読書習慣が付くことになった思い出深い本である。 予言機械、水棲生物の存在は常識から大きく外れている。 その異常さ、不気味さに起因しているのだろうか、読み進めるにつれて主人公の世界自体が現実から剥離していく様な感覚に陥る。 未来の残酷さを受け入れるか否かが、この本の主題となっているが、楽観主義の私は本編の未来はまだ良いように感じた。 現実では、今まさに起きている戦争ですぐ近くの国が核を撃つかもしれない。 それを起点とし、人類が滅ぶ事もあり得る。 そんな未来が無いと言い切れるだろうか。

    0
    投稿日: 2024.09.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久し振りの安部公房。いつも意味不明という感想で終わりがちの安部公房であるが、比較的わかりやすい主題で惹き込まれる。未来予知装置により、陸地がなくなることを知った陸棲人が水棲人を産み出す物語。予測装置を作り出した博士は予測装置による未来を信じられないことを理由に予測装置自体に殺されてしまう。

    0
    投稿日: 2024.09.13
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    最近のアニメ、映画でよくあるAIと人間の同期っぽい設定があって、この作品を昭和45年に書いている安部公房の想像力に脱帽。 今はAI技術の進化を見ているので、面白い想像だな位に感じるけど、この本が出た頃読者はどんなふうに感じていたんだろう。 集中して読めてない部分も多いので、再読したい。 昭和40年代の人の想像で表現している挿絵が何だか面白い。

    0
    投稿日: 2024.06.19
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    予言機械が開発者の意図を越えた動きを始める…AIが現実になっている現代に読んでも、不自然なSFさは感じさせず、読む者を不安に陥れる安部公房の世界に引き摺り込まれる。 50年以上前に書かれた本とは思えない。 予言を知ったら取る行動を織り込む操作を無限回繰り返す最大値予言、という件は数学的にはイメージできるが、人間の行動をそのように処理できるとしたら興味深い。

    1
    投稿日: 2024.06.15
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    未来とは天国か地獄か。科学技術によって人間を取り巻く環境は大きく変化し、その新しい自然によって人間自体も大きく変容してゆく。未来の価値を図る尺度は現在の側にはなく、善悪の彼岸すら大きく捩れてゆく。これはある種のSFが未来を通して現在の人間社会を描くという試みを、未来予知機械をSFと見立ててそれによる変化をメタ的に捉えて描いている。SFミステリーのような導入から最期は幻想小説にまで変化してゆくジャンルレスな作品。

    1
    投稿日: 2024.04.17
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    ややこしい 自分と自分の対話 でもすごい練られてるなーと感じた。 結末が、なんかなーと思ったけど。 深く読み取ることが私にはできなかったけど、 現実では考えられない未来が ふつうに感じる時が来るということは コロナでの数年間の生活もそうだが ありえるし 今と繋がらない未来は確かにあるとは思う その中で生き抜いていくしかないけど 連続性のない未来をポンとみせられると 私は、そのために準備しようとかおもえるかなー? ただでさえ、地震がくるっていっても 防災グッズも購入してないのに、、、 私も未来を妨げてしまうのだろうか。怖いなー 安倍公房さんの本は、なんか難しそうだし 怖そうだし、手に取ったことがなかった 書店で100周年という、ポップをみて 読んでおいた方がいい作家さんだとかんじ、 これともう一冊購入した。 もう一冊は未読だが すぐに読む気になれない 面白いかといわれると、面白くない でも、最後までどんどん読める 結局、読んでよかった本という感じ。 他の本を読んでから、 静かな心で次の作品を読もうと思う。

    11
    投稿日: 2024.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ブックオフとか古本屋で安部公房の新潮文庫で銀の装丁のやつがあると買うようにしている。本著も以前に買って積んでいたので読んだ。どの作品もめっちゃ好きだけど、この作品も例に漏れず好きだった。これが1950年代に書かれていたことには驚くしかなかった。  今流行りの人工知能がテーマ。マザーコンピュータ的な人工知能が未来を予測することに成功し、その未来に対して人類がどのように考え、アプローチするかというのが大筋。前半は推理小説仕立てになっていて、とにかく謎が膨らみまくるし、アクションシーンも多くシンプルにエンタメとしてオモシロかった。また会話劇が中心になっている点も意表を突かれる構成で堅めの内容の割に読みやすくはあった。  未来をどう評価するかがテーマとなっており、著者自身のあとがき、文庫の解説でもかなり踏み込んで考察されている。現在を犠牲にして未来を優先するのか?といった、現在から未来を評価する意味を問うており、SFというジャンルに対して批評的であった。SFでは物語を通じて未来のことを肯定したり否定したりするけど、それって結局現在の価値観を尺度にしているよねという指摘。ゆえに堕胎であったり、その胎児を水棲動物にするといったように現在の価値観からするとエグめの設定を用意しているのが秀逸だった。挿絵として各シーンの版画が掲載されているのだけど、絵の内容もあいまって正直面食らった。未来の話をする上で子どもは最たる象徴であり、そこを躊躇なしに異形のものとして描いているのはかっこいいと思う。シンギュラリティの結果として第二の自分が発生し、それに自らの運命を翻弄される点も興味深かった。繰り返しになるが、このように未来的な描写のどれもが1950年代と思えないし著者の先見の明にただただ驚くばかり。(もしくは我々の未来に対するイメージが更新されていないだけかもしれないが)  現在を大切にして未来の課題を先送りにしようとする主人公の姿勢が終盤には裁判のようなアプローチで断罪されるのだけど「これだから年寄りは」という一種の諦念じみた目線を部下から送られるシーンがたくさんある。これも今読むと胸が苦しくなる。どっちも間違っていないものの未来を大切にするエレガンスに対して現状維持する保守ってどうやっても今の時代は勝つの難しいよな〜と個人的には感じた。こういった古典を読む時間も今年は大切にしていきたい。

    2
    投稿日: 2024.01.22
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    電子頭脳を持つ予言機械、今で言う人工知能のような機械にある男の未来を予言させたことに端を発し、事態はあれよあれよと急展開を迎える。 SF的な要素があるかと思えば、唐突にミステリーな要素が垣間見えたり、SF小説と言われているが、不思議な作風だった。この作品が日本で初の本格SF小説だそう。 そして、1959年に出版されたとは思えないほどに近未来的で、今の時代に出版されても古さを感じさせないのではないかと思う。 「砂の女」や「箱男」のような哲学的な作品を書くかと思えば、この作品のようにSF要素のある未来を予想したかのような作品を書いたり、阿部公房の作風の幅の広さに驚いた。この作品のほうが先の2作品よりも前に刊行されているので、もともとはSF的な作家なのだろうか。

    21
    投稿日: 2024.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

     非常にショッキングな作品だ。予言機械が映し出す過酷なまでの未来、その未来を前提として、海底開発協会のメンバーは行動する。「現在」では罰せられるべき犯罪を犯してまで。しかし、勝見がそれらを糾弾すると、彼らは未来の論理を使ってそれらの行為を正当化していき、次第に勝見の方が言葉を失っていく。自分の子供を、水棲人という「片輪の奴隷」にされたにもかかわらず。この作品は、私のよく見る悪夢を想起させる。内容は忘れるのだが、冷や汗がたらたら出てくる悪夢だ。目の前で起こっていることに対して、何か叫ぼうとしても、声が出ない、届かない。出来事を眺めるしかできない無力の状態になってしまう。勝見も頼木達の論理に完璧に打ちのめされて、言葉が出ない。妻の胎児を中絶させられ、自分自身もこれから殺されるというのに、叫ぼうにも、それが声となって空気を震えさせることができないのだ。  私は、未来にどうしても耐えられない。そこで、まず勝見と同じく、「予言機械」の正当性を考えてしまう。誤差のない予測(シミュレーション)なんて、ナンセンスだし、予言を知った場合の行動をn次予言値としてカバーしているかのように見えるが、2次予言にしたって、誰が・いつ・どこで・どのような状況で、1次予言を知ったかによって変わるべきで、それを刻々と計算していると、時間が足りないはずだ。しかも、作品中に出てくる二次予言値も相当妙な存在である。単なる予言で人格などない、と言いつつ、勝見を殺す段になって「私だってつらい」と感情を滲ませるのだ。また、勝見がいくら予言を鵜呑みにしては危険だと叫んでも、海底開発協会のメンバーは取り合おうとしない。その正しさは絶対的で、それからの論理だと、勝見は未来に対応できない人間として裁かれる運命にあるらしい。しかし、そのような未来を受け入れられないのは私も同じで、だからこそ「予言」の正当性を疑わざるを得ない。予言機械が語る未来の過酷さを思うと、なおさらに。  しかし、「予言」を「預言」と読み替えると分かるような気がする。ちょうど、ノアが神から洪水の預言を聞いたように。勝見もまた、自ら作った予言機械から預言を授かったのだ。しかし、傲慢で残酷なノア(少なくとも安部にとっては)と違い、断絶に耐えられない勝見はその預言を信じることができなかった。故に、未来の論理によって裁かれ、代わりに弟子達・海底開発協会がノアにならざるを得なかったのだろう。海の主人となるべき水棲人類の父親となる、ノアに。勝見が責めを受けるとすれば、未来予測という神の領域に足を踏み入れたにもかかわらず、神の言葉を信じられなかったという一点に尽きる。しかしながら、そのことこそが、予言がタブーであることを暗示していると思う。  さらに、物語の後半で、予言機械によって未来が映し出されていく。ただし、それが「実際」に起こることなのかどうかは、一切語られることはない。ただ映されるのみだが、その未来像はとてもリアルに迫ってくる。洪水、水棲人社会の到来、水棲人社会の日常、「風の音楽」にあこがれる水棲人、などの物語。それらに対して、私たちはもはや判断することはできない。ただ眺めるしかないのだ。でも、本当にこの「ブループリント」は正しいのだろうか?  いや、もう予言だの水棲人社会だの言うのはよそう。たとえ、近い将来、水棲人を眺める望遠鏡のように水没していく運命にあっても、我々は「現在」を生きるしかないのだから。

    0
    投稿日: 2023.09.24
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    好きな長篇。 サスペンス色が強く緊迫した雰囲気が、主人公と同調していく様で面白い。 作者の先見の明という点で有名な本作だが、やはりこの時代でこの作品を生み出した安部公房は怪物という他ない。当時描かれていた未来を、現代から答え合わせ様々な考証が出来る有意義な一冊。

    3
    投稿日: 2023.07.23
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     クロト、ラケシス、アトロポス、彼女らは運命の三女神と呼ばれ、ギリシア神話によって伝えられている。これらの神々は人間の運命を決める存在であるとして伝えられてきた。この作品では機会が未来を人間に与えている。行っていることに対して違いはないと思うが、この割り切れなさは何故なのか。もしかすると、この神々も我々人間が作り出した存在であるかもしれない。そうするのなら、立場は機械と同等のものだ。  なぜこうもやるせなく感じてしまうのだろうか。  それはおそらく我々人間を超越した存在であると思っているか否かという判断があるからである。自然や宇宙など我々を遥かに凌駕する存在を神としてきた。我々は支配下の存在だ。機械となればそうではない。しかし、未来という甘美な存在にあてられ、自ら支配下に置かれようとする人間の浅ましさがある。運命というのは確かにあるのかもしれない。だがそれを生きる責任を転嫁させてはいけない。  上手く言葉にできないが、それだと楽しくないではないか。そう思った。

    0
    投稿日: 2023.03.20
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    まさか未来予言機の開発話がこんな展開をするとは…目が離せず、一気に読んでしまった。 古典文学を読んでいると、当時の感覚では当たり前でも今の感覚では「倫理的にどうなんだ」と思う現象が多々ある。きっと未来人から見た我々にもそういう点がいろいろあるだろう。 人間の価値観は絶えず変動しているが、絶対的に現在が最善というのは間違っているのではないか? それでも良かれ悪かれ、私たち「現代人」は現代の価値観の中で現代を生きるしか道はないのだが。 最後に安部公房は、現代人に未来の価値観を評価する資格はないと言った。 現代人の偏見で未来を観測して、頓珍漢だと絶望するくらいなら、未来予測なんてない方が良いのかもしれない。 未来人がぴちぴちの全身タイツだって、ヤバい見た目の生物に進化していたって、黙って受け入れるしかない。彼らが未来に生きる「現代人」である限り。

    2
    投稿日: 2023.02.27
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    半世紀以上の時を経て、2020年代の我々こそ切実に読む物語ではないだろうか。 私が最初に読んだ2006年ごろ、世間はweb 2.0の頃で、深層学習や機械学習以前。作中の「予言機」はまだ荒唐無稽なものとして捉えていた。 しかしchatGPT等のLLM(大規模言語モデル)と呼ばれるAIが現実に存在する2024年の私には、「予言機」は切実さを感じる存在で、明らかに2006年よりも、このお話自体の内容が切実に迫ってくる(chatGPTは予言のための機械ではないが、予言機はchatGPTのように未来を「生成」し、作中人物と対話している)。 64年の歳月を経ている作品が、直近約20年を挟んで、こんなにも読み手側の要因で受け入れられ方が変わるものかと驚愕した。時代が追いついたとはこのこと。 そもそも本作は奇妙に2020年代にマッチする環境下で描かれたのかもしれない。 本作が書かれた1959年は、当然世界が西側と東側に分かれた冷戦の真っ只中で、おそらく日常のなかに戦争への不安があった。さらに、本作では環境激変への対応の結果として水棲人間が出てくる。つまり安部公房は地球規模の環境変化にも問題意識をもっていた。翻って2024年現在、ロシアはリアルタイムに戦争していて、日本を取り巻く国際政治も20年前よりも不穏さを増している(と思う)。毎夏の高温で環境変化は現実のものとなっている。安部公房の問題意識が現実のものとなっている。 最後に、安部公房の「あとがき」には、未来をどう受け止めるか、ということがテーマの一つと書いていて、さらに、「未来とは価値判断を超えた、断絶の向うに、「もの」のように現れるのだと思う。」としている。ドライな捉え方だと思うが、彼自身の想像力をもとに下したハードボイルドな結論であり、先輩の意見として一考すべきと思います。

    1
    投稿日: 2023.02.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    丁度この本の前に『わたしたちが光の速さで進めないなら』を読み、以下の感想を抱いた。 …改めて小説とは(そして私にとってあらゆる芸術とは)、あくまで今の世界を投影するものであり、SFのような未来を描いているものでもそれは何の例外もないということを感じた。言い換えれば人間の想像力なんてたかがしれているのではないか、ということでもある笑… この感想を書いた後に読んだ本がこの『第四間氷期』だったのは、偶然というべきか、必然だったというべきか、読み終わって安部公房のあとがきを読んで、戦慄してしまいました… タイトルから私が想起していたのは、小松左京の『復活の日』など、急激な変化の中で立ち向かう人間ということだったのだけど、中身は全然違いました。安部公房は『砂の女』くらいしか読んだことがなく全然サンプル数が少ないのだけど、こういう会話劇なんだなあ。途中で暗殺者からポマードの匂いがしたときには笑ってしまった。みんなこの時代の男性はポマードつけてるんだなあ…三島由紀夫でさんざん読んだから親近感。 水棲生物のくだりからはグロテスクでううとなっていたのだけど、最後新人類は深化し、そしてその新人類はこの重力に耐えられないという終わり方はSFっぽくて好きだった。 つまり、「…肯定的な世界のイメージや、否定的な世界のイメージを、未来のかたちをとって表現した文学作品も多かった。しかしぼくは、そのいずれもとらなかった。はたして現在に、未来の価値を判断する資格があるかどうか、すこぶる疑問だったからである。なんらかの未来を、否定する資格がないばかりか、肯定する資格もないと思ったからである。真の未来は、おそらく、その価値判断をこえた、断絶の向こうに、「もの」のように現れるのだと思う。…だからぼくも、未来を裁く対象としてではなく、逆に現在を裁くものとして、とらえなければならないと考えたわけである。…未来は、日常的連続感へ、有罪の宣告をする。」という著者自身のあとがきに語られているこのテーマである以上、なんとも正しい感情を引き起こす本だなあと。読者はどちらかといえば勝見先生に感情移入をするのだろうし、こういう未来が提示されたときに、苦悩以外に何を引き起こすというのだろう? 読了感は決して良くはないが、だからこそ良作といえるだろう。その気持ちも込めて★5

    0
    投稿日: 2022.11.07
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    希望でも絶望でもない未来。 安部公房は一貫してしっかりとした論拠をもって現代社会への警鐘や逃避をテーマにしてきましたが、SF作品への挑戦は自然な流れのように思えます。 他の作品同様に、鋭い視点と論理的な指摘、そしてたっぷりのユーモア。紛れもない安部文学であり、大いに楽しませて頂きました。

    0
    投稿日: 2022.11.05
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    予言機械を発明した博士目線で進む物語。 ホラーチックなところもあり、驚かされることもあり、物語に引き込まれました。やや難解な部分もあるが、そこがまた自分自身、世の中に対して、改めて目を向けて考えに耽る、、、そんな時間が持てて良かったです。

    0
    投稿日: 2022.09.12
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    つまりは未来を受け入れられる人間とそうじゃない人間がいるという話だった。私たちは理解できない強大なものに恐怖心を感じるようにできている。

    1
    投稿日: 2022.08.04
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    現代日本の作家である安部公房(1924-1993)による本作は日本初のSF長編小説とされる、1959年。 自由とは、現在の同一性に閉じているのではなく、未来という差異へと開かれてある、ということ。未来とは、現在からの延長ではなく、現在との断絶である、ということ。則ち、自由とは、自己否定への可能性、自己(暫定的有意味)が非自己(根源的無意味)へと転じる可能性であり、そこには自己(暫定的有意味)の背面に穿たれた非自己(根源的無意味)の亀裂が予め前提されている、ということ。未来とは、自己(暫定的有意味)にとっての非自己(根源的無意味)を時間軸上に投影したものである、ということ。僕らがひとつの連続体とみなしているものが、実は任意の点において不連続であるディリクレ関数のごとき代物であるということ。 本書は、人間の自由というものの人間自身にとっての過酷さ、その耐えがたさを、未来予言という仕掛けを通して読み手の眼前に突きつけてくる。 「こうした日常的な連続感を、つい昨日までは、このうえもなく確実なものだと信じてきたものだ。しかし今はちがう。昨夜見たのが現実なら、この日常感はむしろ、いかにも現実らしい嘘だと言うべきではなかろうか。なにもかもが裏返しなのだ。/予言機械をもつことで、世界はますます連続的に、ちょうど鉱物の結晶のように静かで透明なものになると思いこんでいたのに、それはどうやら私の愚かさであったらしい。知るという言葉の正しい意味は、秩序や法則を見ることなどではなしに、むしろ混沌を見ることだったのだろうか……?」(p210)。 自己を起点として有意味で連続的で heimlich に構成されているかに思われた「世界」(暫定的有意味)が、実はどこにも起点をもたない無意味で非連続的で unheimlich に散逸しているだけの「もの」(根源的無意味)でしかあり得ない、ということ。 「真の未来は、おそらく、その価値判断をこえた、断絶の向うに、「もの」のように現われるのだと思う」。「未来は、日常的連続感へ、有罪を宣告する。[略]。未来を了解するためには、現実に生きるだけでは不充分なのだ。日常性というこのもっとも平凡な秩序にこそ、もっとも大きな罪があるということを、はっきり自覚しなければならないのである」。「おそらく、残酷な未来、というものがあるのではない。未来は、それが未来だということで、すでに本来的に残酷なのである。その残酷さの責任は、未来にあるのではなく、むしろ残酷を肯んじようとしない現在の側にあるのだろう」。以上「あとがき」(p338ー341)より。 虚構でしかない日常性の上で暫定的有意味の安逸を貪るだけで根源的無意味を直視できない者たちに対する、この作家の苛立ちを感じる。 □ 「「[略]、人間は、予言を知っておる場合と知らん場合とでは、おのずと、やることもちがうわけですな。すると、予言しても、それを発表してしまえば、ちがった結果になりゃしませんか?」[略]、「その場合には、最初の予言を知ったうえで行動したという条件で、もう一度予言をくりかえすわけですな。つまり、第二次の予言ですな……これがまた公表された場合は、第三次予言……というふうにやっていきまして、まあ無限大までもってゆく……これがいわゆる最大値予言になるわけで、現実はこれと第一次予言との中間の値をとる、というふうに考えればいいわけです」」(p25)。 再帰プログラムの不動点意味論を思い出した。 「社会を予言でしばることは、なんたって自由主義に反することですからな」(p205)。 「――人間の情緒が、多分に、皮膚や粘膜の感覚に依存していることは了解していただけるでしょうな? たとえば、「ぞっとする」「ざらざら」「ねばつく」「むずむずする」……こう、ちょっとならべただけでも、いわゆる体表面感覚が、いかにわれわれの気分や雰囲気の形容になっているかが分ります」(p304)。 メルロ・ポンティ『知覚の現象学』を思い出した。

    10
    投稿日: 2022.07.24
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    難解な作品が多い安部公房の中ではたいへん読みやすい一冊。 未来を予言できる機械が、やがて自分を追い込んでいってしまう。50年前に書かれたとは思えない現代的SFホラー。

    2
    投稿日: 2022.04.11
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    知らずに読んだけれど、日本で本格SFをやったハシリだとか。 奇妙な世界にいつのまにか巻き込まれていくストーリー展開は、これまで読んだ安部公房作品に通じるものがある。 当初は自分自身が開発した未来予言機の研究存続のためにやっていたことが、最終的には、人工生物とか、地球そのもののあり方が変わるかもしれない未来予想とかに繋がっていくのは予想外。 読みやすいけれども濃厚なSF描写と、自分の認識が揺らいで混乱させられる世界観で、脳がこねくり回された。この読み味はやっぱりすごいし、唯一無二だと思う。 演劇と小説を行き来する作家だけあり、舞台でやっても映えそうなセリフと、シュールさもよかった。 未来予言を突き詰めると、一個体の人間の再現までできるという描き方には恐怖しかなかった。

    2
    投稿日: 2022.01.10
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    安部公房「第四間氷期」読了。著者の本は勝手に難解という先入観があり読んだ事がなかったが紹介され思い切って挑戦してみた。はじめはタイトルと違った内容にやはりと戸惑ったが様々な伏線が繋がり人工知能や超人類等が組み込まれ昭和30年代のSF とは思えない秀逸な展開に驚いた。ほんと最高でした!

    6
    投稿日: 2021.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1958年から1959年、雑誌『世界』に連載され、日本SF史でも重要な作品とされています。人間が現在の人間のままでは生き残れない環境変化があって、それで現在の人間でなくなっていくことを受け入れられるかということがテーマです。 不気味なんだけど、なんか読んでしまう小説ですね。 主人公は日本で一人だけプログラミングができるという研究者で、プログラミングについても考察があります。 ---- 星をみながら、じっと宇宙の無限を考えたりしていると、ふと涙があふれそうになったりする。あれと同じ感覚である。絶望でもなければ、感傷でもない。いわば思考の有限性と肉体の無力感の共鳴作用のようなものだった。(p.320)

    0
    投稿日: 2021.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    未来を受け入られられるタイプの人間と受け入れられないタイプの人間がいた。 予言による混乱を避けるべき予言機械の正式な了解が避けられる中、世界が水没する未来を受け入れ水棲人の育成をする人達もいた。 本が出版されたのは高度経済成長期。資本主義•工業化•田園風景の都市化が起こり、世の中の仕組みも街並みも大きく変わっていった時期である。 今までの常識が覆されていく世の中であった。 そんな中でどう立ちまわるのか。未来に対して否定的なタイプと肯定的なタイプでの議論がなされていた事だろう。 2021年、新しい生活様式と言った言葉が流布する中現代に生きている人々に対しても、問題提起をされているように感じた。

    1
    投稿日: 2021.08.29
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    完成した予言機械。しかし機械に政治的な予言をさせることは上司に認めてもらえない。そこで平凡な中年男の未来を予言させることにする。とある男を機械にかけようとしたところ、その男が殺害されてしまう。水棲人を創出している男から脅迫も入り、最終的に機械が人類の未来を語りだす、という内容。 面白いのは、人が未来を覗き見たとき、現在の価値観・世界観で未来を評価することはできないというところ。未来を了解するためには、日常からの断絶が必要らしい。

    1
    投稿日: 2021.05.22
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    未来に希望はあるのか、それとも絶望なのか? 未来を予言できるコンピューターを開発した主人公。 コンピューターにより未来を予見し、水棲人間をつくりだした人々。未来に向けての意見の相違で道が割れた人間たち。 奇しくも東日本大震災の大津波を経験したわたしたち、温暖化が進む世界。地上が海にのまれる日も近いのかもしれない。 だとしても、その先の未来に何を見て何を望むのか? 答えの出そうにない命題。 これが60年以上前に書かれた小説だという現実。

    1
    投稿日: 2021.05.06
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    50年ぶりに再読した。ねじ式を再読した時も思ったけれど、読後感が50年前とあまり変わっていなかったことがむしろ新鮮でした。

    0
    投稿日: 2021.03.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初出が1958年の本格SF作品。 六十年以上前の作品にも関わらず、‘電子頭脳を搭載した予言機械’の説明や水棲生物研究のくだりなど、未来的なテクノロジーの描写が精緻かつ説得力を持っている為に全く荒唐無稽さを感じない。 それどころか電子頭脳があろう事か開発者である勝見と同一人格となり、勝見自身の未来を予知し人を使って行動を操っていた…という展開に戦慄。 当時、こんなあらすじを考え出している事が驚異的だと思う。 女性観が古いのは致し方ないか。物語本筋に影響はないものの気になる人はいるかもしれない。 42刷改版 2021.1.10

    0
    投稿日: 2021.01.10
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    文庫本は昭和45年発行。平成19年現在39刷。昭和33-34年、雑誌「世界」連載。連載が終わって61年経っているのに、古くならないどころか、益々新しく、現代を批評しているかの如くである。 安部公房はまともに読んだことがない。純文学とか、不条理文学とかだと思っていたから。ところが、今回は全体の半分はSFで、半分はミステリだった。もちろん、純文学らしく何言ってるんだかわかりにくい所もある。私はそれを「現代版黙示録」として読んだ。いや、半分本気です。満州から引き上げる途中、安部公房は時空の裂け目に落ちて、神に導かれてちらりと未来を見て帰ってきたのではないか?だから、電子計算機(AI)が未来を語り、死者の脳から殺人事件の顛末を語らせるという不可思議な、しかし23世紀ごろには現実になりそうな現象も描けるのではないか? しかも、東野圭吾もあっと驚く、意外な犯人が出現する、というかそういう映画をたくさん観た現在ではほとんど予測はついたけど、エンタメミステリーも描かれる。 安部公房は、もしかしたら気温が41度を越すような日本の夏の風景を1-3秒で通り過ぎたのかもしれない。いや、もっと酷い未来を、例えば日本列島のほとんどが沈没しているような未来を神の目のようにチラリチラリと観て、還ってきたのかもしれない。小松左京が「日本沈没」を書くよりも10年以上前に、安部公房は黙示録的に日本の未来を描いた。大洪水のあとに暮らす我々の子孫。 未来予測機を開発した先生に、助手の瀬木は言う。 「(先生は)観念的に未来を予測することには、強い関心を寄せられたけど、現実の未来に対してはどうしても耐えることができなかった」 それは、地球温暖化やコロナ禍の下、やがて近づくカタストロフィに「耐えることができなかった」我々のことを予測する言葉なのかもしれない。

    45
    投稿日: 2020.08.18
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    AIもののSFとはこの物語を端的に表すジャンルであって、しかし、この物語について何も語りきれていない気もする。 この物語は、旧態依然とした世代と新しい世代や未来世界との断絶の物語だと思う。 解説では、作品が世に出た当初の日本、すなわち田園・農村社会から急速に都市化へ移行する中間領域の社会が投影されていると論じている。 プレモダンからモダンへ、農村から都市へ、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ、田畑からビルヂングへ。 しかし、いくら鍬を捨て、ネクタイとポマードを手に入れても、蛍の光からネオンの光を手に入れても、個人も社会もなんら変容していないのではないか。 そしてこの2020年には、プレコロナとアフター・ポストコロナを巡る、「新しい生活様式」なるダサいネーミングセンスの中間領域と、その後の社会変容への恐怖を想起させる。 P16.『世間が幾本の柱で支えられているのかは知らないが、少なくともその中の三本は、不明と無知と愚かさという柱らしい』 しかし、他ならぬ「世間」とは主人公のようだった。 優秀な開発者で研究所長は奇怪な事件に巻き込まれる。 そのうちに、若い研究者たちから突きつけられる言葉が重い。 日常に平和を取り戻そうとする主人公に共感していたはずが、徐々に、彼が旧態依然とした古臭く、劣った害悪な存在に思え、代わりに若い研究者たちの思想が新しい(ナウい?)ように感じる。 P.259『結局先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかった。(中略)断絶した未来・・・この現実を否定し、破壊してしまうかもしれないような、飛躍した未来には、やはりついて行くことができなかった。(中略)未来をただ量的現実の機械的な延長としか考えていなかった。だから観念的に未来を予測することには強い関心を寄せられたけど、現実の未来にはどうしても耐えることができなかった。」』 しかしこの頼木のセリフは実にダブルバインドである。 「先生」は量的な現実の連続体でしか未来を予測できず、頼木らはそうではない。 しかし同時に、「先生」は観念的な未来は関心を抱けるが、現実の未来には耐えられない。 すなわち、彼の言説は矛盾している。 量的とはすなわち極めて現実的・具体的・客観的であり、観念的とは抽象化された着想、思想、哲学である。 頼木が言いたかったのは具体的思考への批判だったのかそれとも抽象的思考への批判だったのだろうか。 およそ知能の発達は具体的思考を経て抽象的思考を獲得してゆく。 ピアジェらのいう具体的操作期から形式的操作期への発達である。 頼木は何を批判し、糾弾したかったのか。 そして、頼木或いは「新しい生活様式」について何を見たいのか。 この2020年にあって安部公房の物語はどれもこれも恐ろしい。

    4
    投稿日: 2020.05.26
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    本書で言う"日常的連続感"を自覚しないことには、現在における価値判断を絶対的なものであると勘違いしてしまうのかもしれない。しかし、それを自覚したところで未来を批評することは適わない。我々が出来るのは、日常的連続感に囚われず、批評的に現在を考え続けることだけなのだろう。そして、それが最も大切なことなのだ……。

    0
    投稿日: 2020.04.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやー面白かった!機械が映し出しているのは不可避な運命。やっぱり現在の行動如何では可変な"予測未来"を映し出すくらいが楽しい人生、世界になるような気がする笑自分が期待している解が得られないとそれを否定するってのは色んなことに通ずると思う。

    0
    投稿日: 2020.03.29
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    なぜか近所の本屋で平積みされていた。 作者は劇作家でもある。舞台、背景がカチッと決まった中でストーリーが展開する感覚がする。筋書きは乱暴な気がするが、あくまで主題が目玉。 昭和30年代前半の作品であるが、予言機械・人類改造とSF的主題は当時からあまり変わらない。カオス理論のせいか予言機械の方は流行らなくなったかもしれないが。

    3
    投稿日: 2018.11.05
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    wired・科学と創作・5位 mmsn01- 【要約】 ・ 【ノート】 (wired) 科学的思考を文学の領域で実践した、世界的作家の問題作。「予言機械」によって予知された人間の未来をめぐる不気味な物語。その怖さは今読んでも変わらない。 ◆ユーザーからのコメント 豚肉のおさしみ/これが入ってるとは!/科学技術と人間の関わり方が問われているいまだからこそ、面白く読めるはず/久々に読みたくなった。この世界観はすごい/安部公房の代表に『第四間氷期』とはマニアックなので投票しました!/安部公房、懐かしい! 中高生のころ、ハマってた/読書は安部公房の作品だけ、という人生でもいいと思っています

    0
    投稿日: 2018.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    難しすぎてよくわからなかった。 なぜ、予言機械が死体を喋らせることができるのかという理屈も私には理解できず、<私>が私を殺すという、決まった未来へのカウントダウンも理解できたなら面白いんだろうなーと残念に思いながら。。。

    0
    投稿日: 2018.02.25
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    生物学や科学やなんだかんだの専門的知識は持ち合わせてないけれど、それでも書かれている内容は理解できるしスリルと隣り合わせのストーリーには引き込まれる一方。 唯一理解できないのは、これが約60年も前に書かれた小説だという一点のみ。代表作しか読んだことなかったけれど、安部公房って凄すぎじゃない?

    3
    投稿日: 2018.02.21
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    安部公房は特殊な場面設定(このためしばしばSFと分類される)を行い、その中で人間という存在の不確かさを表現し続けてきた。 この作品でも、予言機械を開発した研究所所長と、その人格を入力され、さらに将来の姿を知った仮想人格(予言機械)の対決というふしぎな形でそれが示されていく(”他人の顔”は整形された人間の人格が変わる話しだし、名刺に人格をとられるといった寓意短篇もある)。 安部公房は私が高校時代に読み漁った小説家であり、20代までに何度か読み返し、その都度楽しんだ記憶がある。しかし、今回読み返してあまり大きな感動を得なかったのは、ストーリーを記憶していた為だろう。なぜなら、安部公房の作品はエモーショナルな楽しみや、文体云々で評価される作品ではなく、その寓意性の中で遊ぶ作品であり、その結果ストーリーが読めてしまうと楽しみが半減してしまう。

    2
    投稿日: 2017.11.16
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    昔むかしに読んだのに、今なお印象が強い本。 これをきっかけに安部公房を読みたいと思った。 SF感、物語の構成、非常に面白く、引き込まれる。

    1
    投稿日: 2017.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SFで始まり、ミステリを経由してホラーへ、最後はまたSFへもどる、といった感じだ。予言機械はAIの未来を見ているようだ。

    1
    投稿日: 2017.07.18
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    1959年の本かぁ、すごいなぁ。現代に読むと、ちょっと無理のある科学はファンタジーとして、世界観の古さはそれはそれで味があって、面白かった。

    0
    投稿日: 2017.05.06
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    幼年期の終わりを彷彿とさせるようなストーリーだと思った。技術や現実の妥当性などに突っ込むのは野暮だが、どこ前の可能性を予見し、許容するかという点については地球に生命が生き残っている分、幼年期の終わりよりも現代社会に対して示唆に富んだ作品になっていると思う。

    0
    投稿日: 2016.11.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

     未来を肯定するでも否定するでもなく、「断絶」したものとして捉えるというのが新鮮だった。未来が日常を食い破って生存するまで、ノンストップで進んでいく感じ。  予言装置が宣告する未来を、感情的に否定することしかできなかった主人公と、現状打破の希望とみて頑強に支持した頼木たち、両方とも極端だけど、ちょっとずつ解る面もあった。  機械が語る激変した未来を信じろというのはやはり受け入れがたいし、一方で来るべき豊かな未来があるというのなら、例えそれが現在の価値を無に帰すものであっても、潰そうとするのは計り知れない罪である…。

    0
    投稿日: 2016.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もし未来が見通せたら、とは誰しもが思うことであるが、本当に未来が見通せてしまったら。。。その未来を抱えて生きていくことに耐えられるのだろうか。なにが起こるか分からない現在を積み重ねることが生きるということで、「未来」という概念は意味がないのではないか。 博士は、読者の感覚に近い登場人物として設定されている。その博士が、最後の場面でうちのめされる。 一番いけないのは、自分自身が信じられなくなってしまったことだった。‥やはり、機械は、すべてを正確に見とおしていたのかもしれない。 運命を信じるか、人間の自由意志を信じるか。大きな問いを発しているという意味で、まさにSFだった。

    0
    投稿日: 2016.04.24
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    最初から最後までめまぐるしく展開していくのに、読み手としては取り残されなかった。ずっと面白かった。ん

    0
    投稿日: 2016.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村上春樹以前の日本文学の名作を読み直す。以下引用。 『つまり先生は、やはりその未来には、耐えられなかった。結局先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかったんだ。その限りでは、予言機に大きな期待をよせていらっしゃったとしても、断絶した未来……この現実を否定し、破壊してしまうかもしれないような、飛躍した未来には、やはりついて行くことが出来なかった』 『いや、殺人をそんなふうに、一般論でかたづけるのはいけないよ。人殺しが悪いのは、それが相手の肉体を奪うからでなく、未来を奪うからなんだ。われわれはよく、命が惜しいという……考えてみれば、その命とは、要するに未来のことなんだな』

    0
    投稿日: 2015.09.26
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    1959年に安部公房が発表した、近未来ディストピアSF小説。 世界に影響を与えた日本のSF文学として読んでおくべきだと思う。若干の読みにくさもあるが、読む価値アリ。 未来を予言する電子頭脳(AI)が開発され、その実験としてある男の未来が予言された。主人公・勝見博士はその男を観察していると、その男が死亡するという事件が起こる。そこから物語はミステリーとして展開していくと思いきや…… 裏の世界で動く堕胎手術をした胎児のブローカーの話になり、さらにその胎児は水棲人間の開発実験に使われている衝撃的な事実を知る。 そして全てを指示していたのは、勝見自身(の脳を電子頭脳にかけ、そこに現れる意思)だった。 ----- MEMO: 333 (あとがき) さて、本から目をあげれば、そこにはあなたの現実がひろがっている……勝見博士の言葉をかりれば、この世で一番おそろしいものは、もっとも身近なものの中にあらわれる、異常なものの発見らしいのである。

    0
    投稿日: 2015.08.15
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    いままで読んだ小説の中では、今のところトップ。1950年代に執筆されたとは思えない。 著者の作品のなかでもかなり読みやすいので、初心者にもオススメ。

    0
    投稿日: 2015.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分が生まれるはるか前に書かれたとは思えないSF小説。 このアイディがどの程度オリジナリティがあるものかは分からないが、未来予知が出来る機会はまさに今のワトソンなど人工知能の進化系、今読んでも、今読むからこそ未来の問題提起になりえる小説だと感じた。

    0
    投稿日: 2015.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    予言機という未来をはじき出すことの出来る機械をつくった科学者が、世界の未来と自分の未来との乖離に苦悩するSF作品。 予言機が弾き出した海面上昇で世界が水没する未来と、現在の延長でしかない未来との差を論じ合う様はSFというより哲学的。 来る未来に向けて、新しい一歩を踏み出すことが正解なのか、もしくは日常の連続の延長としてありのまま未来を受け入れることが正解なのかは作者によって読者に委ねられた。 未来は希望なのか、絶望なのか、作者が言う「未来は本来的に残酷なものである」と言うこの言葉に非常に共感する。

    0
    投稿日: 2015.06.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    予言機械によって地球が水没するという未来が予言され、一部の研究者によって、人類の未来を託すために水棲人類の開発が進められていた。 予言機械の開発者はその未来を受け入れられず、予言機械の開発に消極的となるという未来が予言され、受け入れないということを知った未来の開発者自身と周囲の研究者によって、殺害される。 ただし、予言機械の開発者が主人公であるため、上記の大筋は序盤は明らかにされず、予言機械の開発を継続するためになんとかじて成果をあげようと、見知らぬ男に目をつけ、その男の未来を予言してみせようとするが、それをきっかけに謎の男に付け狙われるという事態に巻き込まれていく。 妻がいつのまにか堕胎される、水棲豚を飼育する、二週間以内の胎児を集めて水棲人類を発生させるなど、終始不気味な雰囲気が漂っている。水棲人類が生きる未来も生々しくグロテスクである。 ミステリーとしてもSFとしてもとても興味深い作品。

    0
    投稿日: 2015.06.08
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    安部公房のSFである。しかし、SFなのにミステリなのか、悶々とした追いつ追われつがあり、自分以外が薄気味悪く笑っていたり、気がついたら自分が死ぬ運命になっているあたりが安部公房だ。 予言をするコンピューター、水棲人間作りなど、SFの要素はしっかりある。それなのに、多くの部分で感じるのは、「燃えつきた地図」や「密会」にもあった、よくわからない人たちから情報を引き出そうとする話。その中で、未来にいるのか戦後間もない木造のアパートに居るのか、未来にそういうボロアパートがあるのかを錯覚する。 ディテイルは非常によく書き込まれており、荒いながらもコンピューターや、発生学(オーガナイザーの時代か?)をそれなりに納得させるように書いているのが興味深い。物質の密度勾配で腕が出来るか足が出来るか、なんていう話を書いているが、これ、1950年代だからね。 予言の話のモスクワ2号で、引き合いに出されているのはオーウェルの「1984年」なのかな。皮肉的に触れられているのも興味深い。 本作は全体に会話が主になっており、安部公房の独特の形容詞回しが苦手な人でも読みやすいだろう。最後の「コンピューターの夢」とでも言える部分以外は、情景も非常にわかりやすい。 「砂の女」「方舟さくら丸」で感じた、日本映画のネチネチした部分を文章化したような、安部公房らしい作品といえる。 なお、表紙は奥さんの安部真知の作品のものを読んだ。中には珍しく挿絵まで入っている。新潮文庫は知らない内につまらない表紙になっていて、非常に残念だ。このサムネイルの表紙なら、星をもう一つ減らしたい。

    6
    投稿日: 2015.05.15
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    安部公房の作品はずいぶん昔に発表されたものであっても現代にも耐えうるし、ちっとも古びない。この時代に、すぐにコンピュータ社会が到来することを予言していたのか。

    0
    投稿日: 2015.04.07
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    たぶん10代の頃以来の安部 公房。 そういえばこんな感じだったなーと懐かしくなった。 全然明るくはないけど、絶望的に暗いわけでもない、安部公房が描く少しグロテスクで奇妙な未来像。 面白かった。

    0
    投稿日: 2015.03.22
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    高校3年のときに初めて読んだ。大学3年のときにユートピア論の授業で発表するために読み直した。そしてそれから25年ぶりにまた読んでみた。中1の息子が夏休みの課題で読んだ。(私が与えた5冊の中から選んだ。漱石や鴎外をおさえて選ばれた。)その後、クラスでの紹介スピーチにむけて、国語の先生から書き直しを指示されてしまった。感想文はノータッチだったので、ここで読み直して、アドバイスをすることにした。さて、ほぼ1日で通して読んだのだけれど、これほどおもしろいとは思っていなかった。安部公房の中で一番好きな小説であることは間違いないのだけれど、もっと読みにくいものと思っていた。まあ、年をとって読解力がアップしたのかもしれない。三島とか漱石などを読んでいると、最初の50ページほどは大した事件も起こらず、投げ出したくなるものだけれど、これはちょっと違っていた。予言機械の話から、3週間目までの胎児を7000円で買うという話。そして、水棲哺乳類、さらには水棲人間の話。最後には地球温暖化による海面上昇、陸棲人間の絶滅? さらには水棲人間都市、機械がこういった世界を予言していく。水中に住む人間には涙腺がない。泣くことがないために悲しみを知らない。皮膚感覚からくる地上人の情緒というようなものを水棲人は感じることができない。水棲人は陸上にすむ人を歴史上のものとして、博物館などでの観察対象とする。陸上人に作り上げられた水棲人が、地上に生きてきたものを批判的に見る。我々が作り出した未来によって我々自身が裁かれていく。ミステリー風に書かれているけれど、内容は深くて重い。1950年代後半に「世界」に連載されている。それを考えると感動的ですらある。

    1
    投稿日: 2014.10.29
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    SF。突飛な設定にもかかわらず、見てきたような描写の細かさ。迫力がある。安部氏が医学部卒であることも、説得力を持たせている一因だと思う。

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    投稿日: 2014.10.08
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    私はいわゆる文学作品とか有名どころとか一切読んで 来なかった人間なので、初・安部公房であり、そして 今更ながらの第四間氷期、である(苦笑)。 未来を予言するコンピューターや、今でいえば遺伝子 工学にあたるような生物改造、そして地球温暖化などを 扱い、当時から見た未来を描いた立派なSF小説であり ながら、初出昭和33年という古さをほとんど感じない のには驚いた。もちろん、そこに作者の力量が現れて いるということも言えるのだろうが、実はこの小説が SFではなく、言わば哲学の表出だからゆえに古くなら ないのではないだろうか、そんなことを思った。 出てくるSF的仕掛けのすべてが、作者の言う「未来の 断絶に対する絶望」を示すための単なる道具立てにしか 過ぎないと思えて仕方が無いのだな。主役として扱われ てもおかしくない予言機械や生物改造が、脇役ほどの 地位も与えられていない、そんなもどかしさを全編を 通して感じた。少なくとも単純に楽しんで終わる娯楽 SF小説ではないことは確かだ。 未来の断絶に対する絶望とは、実は死への恐怖なのでは ないだろうか、そんなことも思ったり。

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    投稿日: 2014.08.30
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    1959年執筆。「第四間氷期」をどう思いついたのか。恐ろしいまでの才能だ。素晴らしい。 終戦から復興を遂げ始めた高度経済成長期前、そして冷戦真っ只中。温暖化はもとより現代のコンピュータの勃興なんて夢のまた夢の世界。そのなかで科学的裏付けで構築された緊張感ある緻密なストーリー。 テーマは「断絶した未来」だが著者は肯定も否定もしていない。陰鬱な結末と捉える人が多いようだが「理解を超えた未来」を提示されたとき人類はどう反応するか。というテーマそのものを読者で試しているのかもしれない。SFよりむしろ哲学に近いのかもしれない。

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    投稿日: 2014.03.02
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    SFなんだろうか。 ま、一応発明とか未来とか出てくるので。 安部公房は私が好きな作家の一人なんだけれど...、 うーん、まあまあなのかなー。 ★2と迷うなー。 私の好きな安部公房の不条理な世界観ではなかった。 発想の飛躍という意味では確かにらしいんだけど、 不条理性もあるんだけど、 でもちょっと好みではなかった、 ということなんだろうな。 どうしてだろう? ちょっと設定が陳腐な感じがしたかな。 ★2でもいいんだけど、 最後の唐突さときれいさがさすがという感じがして、 ★3。

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    投稿日: 2013.11.09
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    未来とは何か? 未来を知った人間はどう生きるのか? 考えさせられる。 この小説で予言されている未来はとても不気味 陸上を離れた水棲人間たち その未来から見た現在の陸棲人間の描写がおもしろい 恐ろしいほどリアルに迫ってくる未来への予言 安部公房…ホントにどんなとこから人間を見ているのだろう?

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    投稿日: 2013.09.26
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    予言機械・殺人事件・胎児ブローカー。 ぽんぽん現れるキーワードと展開についていくのがちょっと大変だった。 水棲人の描写が生々しい。 もし未来に起こることがわかってしまったら順応していくしかないのか。 ひんやり冷たい感触が残る小説。

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    投稿日: 2013.09.01
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    時間モノ。だいたいは過去に行く話が多いけど本作は未来。 機械による確実な未来予測が理論上は行える設定。 ここで理論上というのは人が信じるかどうかであって、実際のところ、この機械は確実な未来を予測することができる。 その機械の試験のために被験者を探す〜ってとこから始まる。 前半の展開からの予測を裏切る展開。 ありえそうなと感じさせられる青写真だった。 個人的にはガルガンティアの設定と一部似ているなと。こちらが圧倒的に先だが。

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    投稿日: 2013.06.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実は初めての安部公房。 おもしろかったー。一気によんだ。 人間が生き残るために、胎児の状態から改造を加え、 水棲動物に改造する。 人間が遺伝子組み換えで色々な生き物を作りだしている今、 究極的にそういう判断をおかしいと思わない時代がやってくるかもしれない。 物語は未来予言機を作った男が未来を知る過程を描き、どうしても未来を受け入れられない男の反応を描いているので、その様子が示唆に富んでるということなのかもしれないけど、その筋よりも、設定自体がまさにSF!おもしろかった。 安部公房、他のも読もう。

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    投稿日: 2013.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    堕胎した子供を水棲人として製造する工場など、想像するだけで気持ち悪い描写が多くあり、またありうるかもしれない未来の姿が少し恐ろしかった。 しかしこうした気持ち悪さが安部公房の魅力でもあるし、それが嫌にはならないところが作家の文章力を感じるゆえんかもしれない。 ただ、現代の映像技術で映画化されたとして、見たい気持ちは起きないだろう...

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    投稿日: 2013.05.26
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    面白かった!!安部公房にしてはとても読みやすい。エンタメ性が強いと言うのか…安部バージンはまずこれや! 勝見博士はイライラするほど保守的で、日常の連続にしがみついていた。無邪気に純粋な知的好奇心で予言機械を作り上げた彼は、ただの技術屋に終わってしまった。いつか限界が来たときに人間は環境だけでなく自分たちの変化も受け入れなくてはいけないのだ…しかも、その限界なんか迫ってません?笑 と感じてしまうのは3.11のせいだろうか。 それにしても、安部公房って本当にモノをよく見てる。モノ、物質。きっとすごく理科が出来るんだな。根っからの理系なんだろう。一見飛躍したようなことを小説で言っていても、それがものすごく緻密な観察からくるものだったりするから妙に現実感がある。思考がオーバードライブしながら絶妙なところで地に足がついているところで、『建築』的思考を持っているなってふと感じてしまう。きっと安部公房のアタマの中なんて測り知れないから、私の言語に訳す時に1番ピッタリなものが建築なだけなんだけど。 マンガの『預言者ピッピ』はこの小説からきてるんだな。あのお話も、人間が進化を迫られることと、既に予言された未来を受け入れることが描かれている。

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    投稿日: 2013.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    毎度のことながら予測不能なアプローチと落とし所に脱帽。 ラスト数ページ、少年の下りでは、 一瞬時が止まったかの様な錯覚に陥った。 「勝見博士の言葉をかりれば、この世で一番おそろしいものは、 もっとも身近なものの中にあらわれる、異常なものの発見らしいのである」 ー1959年6月 著書あとがきより (2013.3 再読)

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    投稿日: 2013.03.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    “信じられないからではなくて、信じたくない”未来。 未来の予知には耐えられないタイプの人間。 僕もそうだ。 望まない未来を予想し、それに対応する事が、 現在で理解・受け入れられないものでも、 それをすすめる勇気を持ちたい。 最初の予言を知った上で行動する、 二次予言という考え方が印象深い。

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    投稿日: 2013.02.10
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    安部公房の長編のなかでいちばんSFらしいSF。 それにしたって文章はさすがで、面白い表現が次から次に出てきます。 主人公は割にまとも(安部公房にしては)で、 そのぶん周りが狂っておりぐるぐる振り回される感じです。 ガツンとやられるというよりは曖昧な気持ちにさせられる本ですね。 はじめての安部公房というよりは何冊か読んで慣れてきたあたりでぜひどうぞ。

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    投稿日: 2013.01.11
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    砂の女、箱男ほどのインパクトがないのは、私が年をとったせいか?コンピューターとその予言。クローン技術、水棲人。間氷期の終焉による海面の上昇。などの要素を人間関係とその心理、現在と未来の時間軸で有機的に結び付け独特の安部公房ワールドへいざなう。

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    投稿日: 2012.11.05
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    安部公房で三冊目に読んだ…気がする。 新潮文庫の安部作品で、一番綺麗な表紙、と思う。 それで買った。 で、ぶったまげた。 1950年代の作品とは信じがたい。 初安部公房にオススメかも。 僕みたいに箱男から入るのは間違ってると思う。 そこから手を出したくなる気持ちはよく分かるけども。 とりあえず、読んでみて損はないと思う。

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    投稿日: 2012.10.26
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    1. 安部SF作品の代表作。日常の安寧を鋭く糾弾する堕天使。 機械 機械 機械 信仰。世界情勢の均衡、武力による制裁。 2. 計算機は演算して答えを弾き出していく 。問いかける側は人間。預言機械は自分で考える。自分で問題を作り始める。データを機械に与えると勝手にテーマを決めて答えを出そうとする。未来社会を予測する国家権力は預言機械の使用責任を奪い合う。何故なら社会における人間の利権とは所詮、責任は誰に付随するかで決まってしまうから。 ある日機械は、語り出す。 ~将来、世界は共産主義国家しか存在しなくなる~ (人々の反応は様々) ~古臭い思想だね…共産主義でなきゃならない理由はない~ ~我々は自由意志に基づき、自ら未来を創る…、機械の世話にはならない~ 預言機械第一号に対抗して、第二号、第三号が誕生する。利権争いは果てしなく続く。 人間の営み,人間の性 (サガ), 慣習。 3. 第四間氷期=迫り来る疎外。 預言機械の使用責任剥奪を恐れる主人公は、国の政治に関する預言を繰り返すだけの預言機械の注意の矛先を、個人の運命へと転換させた。 機械の暗号は…預言→人間=∞(無限大) 、機械は人類への最終予言を、[共産主義の未来]と析出した 。今度は[個人に対する最終預言]、即ち[誰かの人生を占う→最終的(無限大)預言] を弾き出そうとする。 主人公は、誰が預言の対象にされたのか、で悩み始める。職場の相棒と外の町に出向き、預言の対象にされた人物を探しに行く。初めは変わった特徴の人物に違いないと考えたが、相棒と話し合って、恐らく平凡な人物の方が狙われやすい、と考えを訂正した。とある喫茶店でお誂え向きの怪しい人物を見つけたが、一体、誰が預言の犠牲になったのだろうか? 4. 預言機械の犠牲者は…。 喫茶店にて預言機械の標的らしい男を見つけ、彼の向かう先を尾行する。男は愛人のアパートへと向かっているらしい。 男が向かったアパートの部屋の番号もわかった。だが、翌日の朝刊には、彼が殺された事が報じられていた。 愛人であった情婦が自首したのだそうだ。主人公らは自分たちに嫌疑が及ばない為の工作を開始した。 死体実験。実験の直後、一本の電話が主人公にかかってくる。 「あまり、この事件に深入りしない方がいいですよ」 何者かに、主人公たちの動向が、見張られていたらしい。 「警察は、事件当日の夜に、死者の行方を追跡していた二人の男(即ち、主人公と彼の相棒) が怪しいと見ているぞ!」 預言の対象者を探す事から、殺人事件の犯人捜しへと問題が擦り替わり、主人公らは、謎の男による電話に苦しめられ始める。

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    投稿日: 2012.10.19
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    安部公房という人間の頭の良さというか、先を見透す思考能力の凄まじさを感じる作品でした。 約54年前に発表された作品ですが、半世紀前に書かれたものが今現在における問題とも繋がる。とにかく読んでください。

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    投稿日: 2012.08.29
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    いま現在も本当に時代の転換期のようで、同じように考えてしまった。火山の噴火の周期、地震の周期、氷期の終期などなど。100年周期のものから何万年周期のものまであって、データも文献によるものから予測によるものまでさまざまだ。ただひとついえることは、そのすべてがとてつもなく甚大な被害を生じさせるということ。日本に直前に迫る地震にしても、東京の被害は6兆ドル以上だという試算もあるようで、そうすれば日本は実質終わってしまうだろう。その未来を受け入れることができるかというと、受け入れたくはないのだけれど、決まっていることならば、次の行動を考えるという、割り切った考えて方をしてしまう自分がいる。明るい未来を想像したことはほとんどなくて、保守的でもないので勝見博士の考えは理解しにくいのだけれど、実際にそういう場になるとそうなるのかもしれない。海から陸へ上がってきた生物が再び海へかえるという考えと、ダーウィニズム的な進化ではなく、ヒトという種自らが自己に改良を加え進化するという考えは、ぼくにとってものすごく新しくて全くの盲点で、ただただ、感心するばかりだった。 新しい視点と発想、そして未来についての疑問が生じるすごくおもしろい内容だった。

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    投稿日: 2012.08.16
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    【予言が出来る未来を、どう捉えるか?】 「他人の顔」を読み、作者安部公房を気に入り、早速の2冊目を読んだ。読み始めの読みにくさは相変わらず、彼の作品は、いきなり暗闇の洞窟に入れられた様な気分になる。ページを読み進めるにつれて、その洞窟に明かりが灯り、内容が理解出来てくる。ただ、進めれば進める程、洞窟の深さに気づき、明かりが当たってない部分がどれ程なのか、その部分を如何に自分で補うかを要求されるのである。 本書は、未来を予言出来る機械とそれに「是」「非」の意見を持つ人間の関わり合いを描いたものだ。未来を予言出来る世界の良し悪しは、本書では述べられていない。むしろ読者がそれどれの言い分のを見て判断して欲しいとの作者の意図が含まれている。 「はたして現在に・・・なんらかの未来を否定する資格がないばかりか、肯定する資格もないと思った・・・」と「だからぼくも、未来を裁く対象としてではなく、逆に現在を裁くものとして、とらえなければならない・・・」という二文。もし、予言機械が発明され、未来が現在を裁き始めたならば、現在を生きる我々は、その裁きを受け入れることになり、何の為に生きているのか分からなくなってしまうのではないか、という懸念が残る。我々は、未来が分からないからこそ、夢や希望を持ち生きていけるのであって、それが無くなった世界では、恐らくそういった要素を持つことが出来なくなるのでないだろうか。そう考えると、予言機械なんて無い方が良いと考えるのだが、今後の技術力の進化は、予言を可能にし得る訳で、如何にその現実と向き合っていくかは、頗る重要な事であると考える。

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    投稿日: 2012.04.28
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    一見醒めた空気感なんだけど、 なんだかそれぞれにどこかがおかしい登場人物達。 最初に予想していたような話からどんどんかけ離れていき、 ゴールはよく分からない地点に連れ去れて来たような感覚になりました。 これに近い未来は、なんだか起こりそうな気がして、 それも何だか妙にリアルな感じ。 印象的な一冊でした。

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    投稿日: 2012.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    安部公房34歳にして1950年代最後の作品。 コンピュータやDNAなどの最新科学を散りばめたこの作品だが、逆に眩い部分が褪色化しているからこそ、不条理やグロテスク、ポエジーが際立つ。ユートピアでもデストピアない淡々とした未来像がさすがの安部公房だ。 911も311の一つをとってみても、人間の生などちっぽけで、儚いものである。小心な殺戮者はまた時と運命に圧殺され、地球レベル、宇宙レベルのダイナミズムに抗えない。 そういう意味では作者の目的には合致した読者のようである。 のちの筒井康隆や村上春樹などに大きな影響を与えていることは自明。

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    投稿日: 2012.03.09
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    読み始めた頃にイメージしていた内容と、進んでいく話の内容が予想外な方向にずれていくのに驚いた。人間の未来について考え、心がざわついた。 何となく『幼年期の終り』を思い出したりした。

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    投稿日: 2012.03.01
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    (1972.11.19読了)(1972.08.06購入) (「BOOK」データベースより) 現在にとって未来とは何か?文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か?万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった…。薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。

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    投稿日: 2012.01.21
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    時代毎に異なる価値基準をテーマとしたSF小説。 前半は、得体のしれない何かに翻弄される主人公だが、 後半には突きつけられる現実に憔悴しきってしまう。 読んでいるだけの自分まで、くらくらするようだった。 テーマは深く、文章も精緻。作者の手腕に感服するのみ。

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    投稿日: 2011.12.24
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    あらためて安部公房は「SF作家」だなと思った。単に近未来的な小道具があればいいってのではなくて、科学による新しい世界の姿を示すことで現在を問い直す作家、という。 この作品自体が、「現在のモノサシで未来を評価することの不可能性」ということをテーマにしてるようなので、上述のSF作家の定義からするとメタな視点になってしまうところが、またなんとも。安倍さん、無茶するなぁ。

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    投稿日: 2011.11.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もし近未来、予想だにしない地球上の環境の変化が起きた時、この新しい進化を受け入れ人類は新しい世界の住人となることができるか?時代による価値基準の変化についてをテーマにしたSF作品。

    0
    投稿日: 2011.10.02
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    すごくおもしろかった。 SFにミステリーを合わせたようなストーリーで、「他人の顔」や「砂の女」よりエンターテイメント色が強い。安部公房らしい既成概念をひっくり返すような発想の転換がありつつも、独特な文章表現は少ないので読みやすい。 安部公房が難解だとか堅苦しい印象を持っている人に勧めたい。 ラスト10ページだけでも映像化されたらいいな。

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    投稿日: 2011.09.25
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    主人公は未来を予想できる機械を作ってしまい、その未来が第四氷期による海面上昇で、地上は海に沈んでしまう。 後から知る水棲人間を作る案がそれを決定づけるものになってしまう。 機械だけに執着して予測を信頼しない。水棲人間からみた天国と現人間がみる天国。 SFだけあって、読みごたえや登場人物の描写など、かなり安部公房らしい作品です。

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    投稿日: 2011.09.05
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    未来予言機が完成し、そこに映し出された未来は、陸棲人間の終局を告げていた。 現在の継続性の中に安心を見いだし未来を拒否する人と、未来への変化の中に可能性・創造性を見いだし、積極的に来るべき時代と関わろうとする人たちの物語。 前半は探偵小説のようなスリル感があり、後半はSF小説の壮大感が味わえる作品です。 面白い。

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    投稿日: 2011.08.27
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    FICTIONのお手本のような作品。新しい世界、新しい価値観をもっていても現実と同じ地平にある。同じ地平にありながら現実を超越している。まるでファンタジーを読んでいるようだ。SFとファンタジーは表裏一体だとわかった。

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    投稿日: 2011.07.09
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    スピルバーグもビックリのSF超大作。安部公房の近未来感が好きや。恐くて気持ち悪くて妙な現実味がある。

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    投稿日: 2011.06.28
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    ボケたところのある僕は最初、間氷期が何のことだかわからなかった(笑)。手塚治虫を巻き込んだような、安部作品中、特に壮大なSF物語。未来への構想案や博士のシャープなキャラに、いつもはフワフワした夢の話をやりがちな安部先生の、別な男の顔を見た!おもしろい。

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    投稿日: 2011.05.12
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    SF作家としてこの年代にこれだけの未来を見据えられている点が非凡なる才能を感じる一冊である だが、前半と後半のつながりが分かりにくく読みにくい

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    投稿日: 2011.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    研究に没頭する主人公が、自分が開発した予言機なるものを介在とした組織に翻弄されていく。 途中、組織によって、主人公の奥さんが騙されて中絶手術されてしまう。 でも、物語はその奥さんのことは放りっぱなしで、それによってますます翻弄されていく主人公を追っていく。 物語が進む上ではアタリマエなのか。。。 作者が男だからか。。。 主題は別にあるからか。 未来における問題の前では、一人の女性の気持ちは小さい。 明るいわけでも暗いわけでもない、そこにある未来。。。

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    投稿日: 2011.04.03
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    日常的連続感にすがる矮小な想像力を、可能世界たる未来が断罪する。ストルガツキー兄弟(タルコフスキー『ストーカー』の原作者)の兄が露訳したことでも知られる小説。思いのほかライトなSF推理で一気に読み下せる。

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    投稿日: 2010.11.21
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    最初に読んだのは、大学受験が終わった日だったか。おもしろかった。それから何度も読んでいる本。もはや、ストーリーをなぞるように読んでいて、おもしろいとか感じることはない。それでも、たまに思い出して、読んでしまう。

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    投稿日: 2010.10.31
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    人類の未来を予言する機械の開発に当たる勝見博士。実験に選んだ男の殺人事件に巻き込まれ謎の男からの脅迫電話が。強制的に堕胎させられる妊婦たち。胎児の誘拐事件。勝見自身の子供も誘拐される。勝見の助手である頼木が明かす「第四間氷期」の謎。水棲人間達の研究。  2010年9月28日読了

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    投稿日: 2010.09.28
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    今まで読んだ安部公房の中でダントツに読みやすく、分りやすかった。 そして面白かった。 話の展開の飛び方がすごくて途中までは着地点が全く見えない。 出オチな話が多いような気がする安部公房の作品の中では変わっているのかも。 「未来」を描く場合は、あるいはそうなるのかもしれない。 恐ろしいと思ったのは、読者はちゃんと 主人公の「先生」に共感するように描かれている(とおもう)のに 話の後半から、「狂っている」とされる側の話が 客観的に見て、部分的にでも全体的にでも、 共感せざるを得ないように書かれていることだ。 主人公の側に立っていると、最終的に 必然的に、自分が殺されることに納得してしまわなければ いけないような(論理に従っていくとそうなるのだ) そんな気分になる。 日常の延長に長く続く未来は無いというのは怖いけどその通りなのかも。 心理描写と角度、話の特異性や展開もそうだが 私は安部公房の情況描写が好きなので、 それだけ拾っていくのも楽しい。 話の通りにとても端的で客観的なのに、詩的で美しいのだ。

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    投稿日: 2010.09.16