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他人の顔(新潮文庫)
他人の顔(新潮文庫)
安部公房/新潮社
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総合評価

123件)
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    僕にとって、長編小説は短編小説よりもレビューは書きやすいものである筈だった。然るにこの小説は、非常に論理的であると同時に掴みどころを見つけることが難しいと言う、一見相反する局面を両方備えており、なかなか当を得たレビューを書きにくい。 レビューとして、僕は顔についての哲学的、実際的な意味などを並べようと考えたのであるが、思えばそれらは安部公房がこの小説においてすべて書き込んでいたことであったのだ。具体的には、社会生活における顔の役割、顔を失うとどのようなことになるのか、美醜とは何か、と言ったことであるが、僕が今更論じ立てなくても、すでに小説の中に書かれてある。 常々、著者の理系的な眼力に由来するとも思われる論理性と完璧性には舌を巻かずにいられない。 またこの小説は、最後に謎を残して終わる。僕はこの方式に村上春樹を連想したのであるが、この謎とは、村上春樹の多くの小説に見られるそれとはまた異質のものである。村上春樹の残す謎は、読者の判断に大部分が委ねられており、それまでの文脈等では全く想像がつかないことが多い。 ところが安部公房のこの小説では、この謎を解決する鍵も文中にいくつか与えられてはいるのだ。しかしそれでいて、ではどうなるのかと聞かれると、誰にも『答えられはすまい』のである。これが安部公房の魅力の一つだと言ってしまうと、尻切れとんぼかもしれない。しかし、僕は安部公房をこれからも読んで行こうと思う。 このような境遇に陥ったら、人はこういう判断を取るだろう、と言うことが緻密な洞察と計算によって書かれている。安部公房の提示する境遇とは、常に現実世界からは乖離したものである。そのようなフィクション(境遇)と、ノンフィクション(人間心理)が出会い、違和感なく混ざり合うところに、安部公房の作品の持つ大きな魅力があるのだ。

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    投稿日: 2009.11.29
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    さすがの安倍さん。期待通り、作品に没頭できるのが素敵。よくもまあ、これだけ内容を書けるなぁとしみじみ思う。いい意味での「変態」。褒め言葉としてのね。

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    投稿日: 2009.11.09
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    安倍公房は 正反対のものごとから 正反対の真理を導きだそうとする つまり ただの ひねくれものです 好きです

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    投稿日: 2009.10.15
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    仮面を完成させるまでの主人公の科学的思索が面白い。 ただ、少し冗長というか区切りなく話が続いていく感じで、読むのにはけっこう疲れました。

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    投稿日: 2009.10.02
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    液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男…失われた妻の愛をとりもどすために”他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき・・・・・・。(中略)”顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。(裏表紙より引用) 図書館になくて、大学生協でも取り扱ってなくて、楽天ブックスで入手。 男の独白形式なので結構退屈です。動きが少ないです。黒と白色のノートは結構面白かったんですが、灰色のノートはひたすら内面に入り込んでいくような感じです。 後半で物語は急展開。男が仮面を被って妻と接触するあたりから、男が滑稽に感じられました。普通に考えて、奥さんなら男の顔が違っても、雰囲気、背格好、匂い、声とかで感づくんじゃなかろうか…と思っちゃいました。私が女だからかなあ。 最後の最後で男が変貌するところが、さすが安部公房、という感じでした。 それにしても本当に、男の気持ちがリアルです。こんな体験を当人がしたわけでもないでしょうに、すごいです。 大江健三郎の解説も良かったです。 でも全体的に地味な印象の小説でした。

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    投稿日: 2009.07.10
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    別の顔を作り出すということは、新しい人になるということ。 あくまで自分と他人、主観と客観を分け隔ててノートに綴られる記録が生々しい。 整形が身近なものになった今だからこそ。

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    投稿日: 2009.06.22
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    人は他人の瞳に己を見る。それと同じ役割をしているのが顔だと思う。 他人の顔に変わってしまった自分とは何か 人間か、生物か。 自我への問いかけ、螺旋状のミステリー。 さすが阿部公房

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    投稿日: 2009.06.05
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    人間とはなにか。自己とはなにか。 知りたくければ、ペルソナを脱ぎ捨てるしかないのだろうか。 安部公房脚本で勅使河原宏監督の映画「他人の顔」も見逃せない。

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    投稿日: 2009.05.21
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    安部公房を読むは砂の女に続いて二度目。 なんというか、この人の比喩は、本当によく理解できるものと全く理解できないものの二つにきれいに分かれる。 僕の語彙力に由来するものも多くあるだろうけど、雰囲気だけで全く意味を為さないような比喩も多くあるように思う。 本筋はなかなか面白いのだけど、本筋の部分に肉付けされる比喩表現が多すぎて、少し助長に感じた。

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    投稿日: 2008.12.31
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     事故により顔を失った主人公が、失われた妻の愛を取り戻すために「他人の顔」をプラスチック製の仮面に仕立て、妻を誘惑する男になり回復を目指す。  安部公房作品の中でもこの作品は文体が非常に判りやすく書かれている。その理由としては恐らく、主人公である男の「手記」としてこの作品が位置づけられていること。つまり男の性格を文体で表しているということと、仮面を作る工程が科学的記載に基づいて精密に書かれているという点からそうなるのだろう。  果たして人間にとって「顔」とは何なのであろうか? ただの肉体の一部なのか? それとも? 顔を失うことで心をも失った男の闘病記である。

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    投稿日: 2008.05.03
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    主人公の手記としての小説である。だが、その内容を上の空で聞いているような不安定さがあり、そのうえ手記として見るには「あれ?」と思うような所もある。あっちに行ったと思えばこっちへ行き、ふらふらと方向性を見失う文章という名の主人公の理屈と発見と復讐心。手記の内容自体が全部彼の妄想であって、最後の妻の手記さえも1つの手記の中の文であるような錯覚さえ起こす。

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    投稿日: 2008.01.05
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    人間にとって『顔』がどれだけアイデンティティを支えているかが強烈にわかります。どんな顔でも顔があって初めて人と認められるのです。

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    投稿日: 2007.09.26
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    ものすごい量の科学的記述には頭がついていかなかったけど、気迫は充分伝わります いいところで終わってるのが更に良かった

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    投稿日: 2007.09.23
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    自分の顔を失った男は、その苦悩から逃れるため、プラスティク製の仮面を製作し”他人の顔”を手に入れる。

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    投稿日: 2007.09.19
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    液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。

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    投稿日: 2007.05.26
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    この本を読みながら寝てしまったとき、自分の仮面が剥がれる恐ろしい夢を見た。でも、仮面が見破られるとかバニラ・スカイのような恐怖じゃなく、この小説の一番こわいのは、素顔と仮面とその役割が分からなくなってしまうところだろう。仮面を他人との通路にしようとしていた意図は、いつの間にか仮面が一人歩きすることで覆され、その仮面で騙すはずの妻は、仮面として葬り去られたのは実は男の素顔だったと非難する。顔とは何なのか。顔と共に失ったものは、仮面と共に失ったものは何なのか。

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    投稿日: 2007.05.03
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    やっぱ安部公房の比喩はすごい。 えぐってくるねえ。それだけに読後感は重いけどさ。古さを全く感じない。

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    投稿日: 2007.04.14
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    小説自体が手記である、というのは箱男と同様の手法であり、ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」等と同じ特徴を持つ。読者に話の筋を追わせるのではなく、読者が与えられた情報から物語を構成することで、より話にリアリティを持たせている。途中、医学的な話題も飛び出しており、安易にこのような事をすると「作者の知識のひけらかし」のようになる事があるのだろうが、安部公房はそのような事態に陥ることもなく、むしろ話により現実性を持たせることに成功している。他にも、副詞がほとんど出てこない等、様々な試みが見て取れ、小説を書くことについて非常に研究熱心であることが伺える。

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    投稿日: 2007.03.05
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    グロテスクです。安部公房の中ではそれほど面白くもない様な気がします。対人関係について考えさせられますね。

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    投稿日: 2006.12.13
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    整形手術を施した男が、「他人」になりすまして、妻を誘惑するというショッキングでエロティックな物語。映画化もされた。

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    投稿日: 2006.04.29
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    安部ワールド満開。その独特の文章表現がクセになる。内容は、「顔論」。(笑)人間は何でもって人を判断するのか、何でもってその人の存在を認知するのか。もし、将来自分のだんなさんが後天的に一生治らないケガを負ってしまったら、私は彼を一生心から愛する事が出来るだろうか?出来ると信じたいけど、答えに一瞬戸惑ってしまう自分がいる。想像してしまうから。その想像は、想像上のものであれ視覚的なもので、それは結局彼の顔を想像して判断してしまっている自分がいる紛れもない証拠だ。人間の存在価値の根底を問う1冊。

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    投稿日: 2006.02.15
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    悶々と性欲に悩む主人公が自己正当化に励むお話。途中でオチが見えてしまった・・・。 『顔』のもつ意味を考えさせられる。そんなこと真剣に考えたことなかったなぁ。

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    投稿日: 2004.12.05
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    レポートに必要だったので読んだ作品。 阿部公房の作品は、高校の頃に授業で「赤い繭」を読んで以来なのですが、この人の作品は何とも言えない感があって好きです。 果たして顔の役割って何だろう?コミュニケーションの手段? この作品を読むと、結局顔というのは自分を確認するための手段だという気がします。自分を認識するための一番簡単な手段。 自分の存在を忘れないための手段。

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    投稿日: 2004.11.06