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その扉をたたく音
その扉をたたく音
瀬尾まいこ/集英社
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総合評価

189件)
4.0
47
82
43
5
0
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    主人公・宮路は29歳、無職。親の仕送りでなんとか暮らしながら、“ミュージシャン志望”を名乗る男。 そう聞くと救いようがないようでいて、実際の宮路は不器用なりに素直で、どこか放っておけない。 介護施設の入居者たちとのやりとりがとても温かい。 率直で人間くさい会話の中に、宮路の優しさや成長がにじむ。 好きな音楽や人に夢中になる姿も、無様だけどまっすぐで、憎めない。 人生をこれからどう生きるか悩む宮路と、人生の終わり方を考える入居者。 人生にも悩みは違えど、その扉をたたく音はいつ鳴るかわからない。 読後、宮路のこれからの一歩をそっと見届けたくなる物語。

    0
    投稿日: 2025.10.29
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    テンポよく読みやすかった。 才能は自分自身じゃ分からなくて、誰かがいるからこそ気づくことができる。 それは何歳とか何か資格を持っているとかは関係ない。 たとえ些細なことでも誰かの生きる力になっているならそれは立派な才能だと思う。 人はいずれは死んでいく。 だからこそ最期の後悔ないように生きたいと思う。

    9
    投稿日: 2025.10.18
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    コメディかと思ったらちゃんと青春だった。遅咲きのやつ。なんて言うか、恵まれているとか貧しいとかって、結局相対評価でしかなくて、自分自身の中で当たり前のことが、意外と他人からは凄いと思われているのかなぁと、思いました。 「自分だけが分かってるお笑いが一番つまらん」ってパンチラインが最高。

    78
    投稿日: 2025.10.14
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    よまにゃのクリアしおり目当てで購入。 序盤は全然おもしろくなくて、どうなるかと思ったけど。4節あたりから突然話が動き出して、おもしろくなってきた。

    0
    投稿日: 2025.10.14
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    2年近く積読していた、21作目の瀬尾作品。あらすじから、主人公がミュージシャンもどきの若者で老人ホームが舞台というところから、勝手にラストが推測できてしまい、読むのをとても躊躇していました❗️ 実際に読むと主人公・宮路をサポートするサブキャラクターが、過去の瀬尾作品とリンクしていて、想像していたよりもテンポ良く読み進めることができました。読むといくつになっても何かに夢中になることは、とても素敵なことだと指南してくれる大人の青春小説❗️ ラストは予想していた展開だったので、涙が出るまでには至りませんでしたが、宮路がその後どのような道を歩んで生きていくのか、とても気になっています❗️

    14
    投稿日: 2025.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    音楽が繋げてくれた暖かい心の繋がり。 主人公が育ってきた環境には全く共感できなかったけど、唯一共感できたのは、昔感じた胸踊る瞬間がまた訪れることを信じてる姿かな。最近ギターを始めた私が読んで正解すぎる小説だった。誰かと音楽を奏でることの「最高」、それが上手くても下手でも、そこに誰がいるか誰を想って歌うかが大事なんだなって考えさせられたし、その「最高」を感じてみたいと思った。 主人公の宮路、最初のイメージは親のお金でただ音楽に縋って生きてるだらしない奴かと思ってたけど、読んでいくうちに宮路の内面はただ純粋で綺麗なままな気がした。本庄のおじいさんにウクレレを教えるために今まで弾いたこともないウクレレを買って練習して一緒に歌う曲も探したり、水木のおばあさんに頼まれたおもしろい小説も、小説とか読んだことないくせに10冊ちゃんと読んでオススメする姿とか、人が好きなんだなよりも宮路なりにその人との関わり方、繋がり方を凄く大切にしてるんだなって嫌いになれなかったし、好きになれた。 宮路と渡部は、生まれ育った環境も性格も違うのに、磁石のように惹かれあって、二人の演奏も会話も全て心地よかった。  作中に出てくる音楽を聴きながら、読むのがまた良くて、物語にもっとのめり込めれる。また好きな音楽が増えた。 自分の息子かのように時には友人のように毒舌な水木のおばあさん、宮路をウクレレの先生と呼んで、毎週金曜日を楽しみにしていた本庄のおじいさん、宮路が老人ホームでできたかけがえのない繋がり、年齢を超えた人と人との繋がりを感じさせてくれた気がする。年齢が違くても、通じ合えるもの、感動するものはきっとあるはず。 宮路の演奏も多分最初と比べたら全く違う演奏だったと思うし、一人の人間としても成長してキラキラしてた。   タイトルの「その扉をたたく音」、どこからきてるんだろうと思ってたけど、グリーンデイのWake Me Up When September Ends (9月になったら起こして)と渡部のサックスの音、宮路と渡部のセッション、本庄のおじいさんとのウクレレ演奏を含めた「音楽」と掛けてるのかなと思ったり。   宮路のお金に関する考え方も変わったのと同時に自分も気付かされた気がする。自分で稼いだお金で誰かのために贈るプレゼントがどれだけ素敵なことか、かけがえのないものなのか。 この本では、音楽と人を繋げるものだけじゃなくて、人と人が繋がるもっと大切なものを見せてくれた気がする。

    0
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    渡部の、物腰柔らかそうに見えて奥には力強い芯が通っている、人に(特に宮路に笑)興味がないようでいて本当はとても包容力のある人柄が、とても良いなと思った。宮路との相性もなんだかんだ良くて、2人の会話を聞いていてほっこり。渡部に結構きついこと言われてるのに素直に受け止める宮路にも、どんどん情が湧く。 そんな渡部は瀬尾まいこさんの「あと少し、もう少し」に登場する人物だと知った。読もうと思う。

    1
    投稿日: 2025.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    きっと誰にでもその瞬間は訪れるんだと思う。誰にとってもそれは突然で、だからいつ訪れてもいいように、なるべく前を向けるように備えたい。結局水木さんも渡辺君も、ぼんくらもみんな世話焼きだったんだなー。

    0
    投稿日: 2025.09.01
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    「人生に目的を持って生きることを全うしたい」 カフェで小説を一冊読んで、そんな気持ちにさせてもらえて幸せだ 読書からしか得られない景色がある

    0
    投稿日: 2025.08.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮路がだらしないようでいて、すごくいいやつなので、読んでいて気持ちがいい。 人の欲しいものにぴったりなものを選び、ウクレレを教えてほしいと言われれば買って練習し、本が欲しいと言われれば10冊買って自分でも読んでみる。 作中で演奏される曲がストーリーに合っていて、聴きながら読んだらとても心に沁みた。舞台が老人ホームということで、「上を向いて歩こう」とか「東京ブギウギ」などの往年の名歌が多かったが、本作を読むまで知らなかった「Wake Me Up When September Ends」という歌はとても心に残った。 『あと少し、もう少し』の渡部が成長して登場していたのもとても嬉しく、ちょっとときめく会話もあり、宮路とのかみ合っているようないないような会話は面白くて時に吹き出してしまった。 夏に読むのにぴったりな、元気が出る一冊。

    1
    投稿日: 2025.08.30
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    瀬尾さんが描く主人公は毎回、ちょっと感覚がズレていて面白い。最後までハラハラドキドキはないが、お約束の転結の転はあり、ここでこうきたかと、分かっていたけれど主人公同様悲しい気持ちになった。とはいえ、最後まで主人公の気持ちに寄り添えられなかったが、解説を読んで、なるほど主人公が純粋すぎるからかと理解できた。日常的な普通の平凡な話ながら、ここまで他の作家さんと違う描き方をされるのは著者以外知らない。出会えて良かった作家の一人である。

    0
    投稿日: 2025.08.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじを読んだときに予想した系統の話とはいい意味で少し違った。あらすじを読んだ感じ、サックスを吹く渡部君は、何かしらの理由で音楽を諦めたのかなとか、それを聞いて感化されたギタリストの宮路は、自分の音楽に欠けていたものに気づくのかなとか、音楽にしろ他のものにしろ、自分の生きる道を明確に見つけるところまでお話が続くのかなとか、そういうあるあるみたいなものを少しずつ外してきて、でもそれがリアルで、ほっこりした。

    0
    投稿日: 2025.08.25
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    へぶたんさんの感想から読みたくなって。 序盤、ディズニーアニメのようにサクサク進んでいく物語に、ちょっとリアリティなくない?なんて思っていたのだけど、どんどん登場人物たちが好きになって、終盤には泣かされ、まんまと読了後は優しい気持ちになってしまった。私はお年寄りものに弱い!水木さんの手紙なんて反則だ! 特に、老人ホーム入居者に未経験のウクレレを教えるように無理に頼まれて、練習しながらだんだん「あのじいさんと一緒に歌うと楽しいだろうな」なんて想像しちゃう、のんきで優しい「ぼんくら先生」宮地のことをかなり好きになった。「心の瞳」と本庄さんのエピソード、泣けた…。 わたしもサックスをやっているので、本庄さんと宮地のウクレレ演奏や、渡部くんとのギター&サックス練習やライブには、学生時代の合宿で、初めて音楽は楽しい、と思ったときのことを思い出した。

    35
    投稿日: 2025.08.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「上を向いて歩こう」や「心の瞳」、「東京ブギウギ」といった名曲を惜しみなく登場させることで、この作品自体が立体的になって新鮮だった。 水木さんと本庄さんが大好きになった。特に、「心の瞳」を宮路と自分の曲だと言った本庄さん。"遠回りをしてた人生だけど君だけがいまでは愛のすべて 時の歩み いつもそばでわかち合える""いつか若さを失しても心だけは決して変わらない絆で結ばれてる"これを自分と本庄さん2人の曲だと言われた宮路がどんな気持ちだったか。宮路が何年もの間諦めきれずにしがみついていたものはきっと音楽じゃない。音楽が連れてきてくれる何かなんだ。 話自体は短いけれど、立体的で厚みのあるお話でした。これから大切にしていきたい作品の一つになりそうです。

    2
    投稿日: 2025.08.07
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    私は、今は自分のために小説を書いている。でも、いつかは誰かのために言葉を紡げたら、そう思わせてくれる物語でした。今のタイミングで読めてよかったです。

    2
    投稿日: 2025.08.04
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    ちょっと甘ったれ過ぎてないか?と思う主人公。でもおばあさんの買い物、おじいさんのウクレレの先生になってやっと大人になりかけて。仕事、見つかるといいね!

    0
    投稿日: 2025.08.04
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    ナツイチのしおりをもらおうと思って、選んだ本です。出かけにもっていくのにも薄くていいなぁと思って。ささっと読めてよかったです。 相変わらず瀬尾さんのお話は家族とか身近な人の優しさを感じる温かさがありました。美容院で読んで、あやうく泣くところでした。読んでて想像はついていたけど、水木さんとの別れはつらかった。あの手紙は優しすぎて、それは何日も引きずる。つらすぎて現実逃避したくなる。老人ホームが舞台なだけなや何とも切ないのだけど、温かく前向き。父親もいい。

    16
    投稿日: 2025.08.01
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    瀬尾まいこさんの本は夜明けのすべて以来。 登場人物が皆優しく、穏やかな世界観。終盤の水木さんの手紙にグッとくる。 ここまで年を取ったら、人を生かすのは医療ではない気がする。という描写があるけど、本当にそう思う。 ただ登場人物に全く感情移入出来なかったなあ。夜明けすべては物凄く感情移入できたから、勝手に期待してしまった。その点は少し残念。 とはいえ、どう生きるかどう死ぬのか等色々考えさせてくれるいい作品だと思います。200ページ弱くらいで読みやすいし。読後感もいい。

    18
    投稿日: 2025.07.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025年のナツイチでしおり目当てに買った。 音楽小説が好きだから買ったけど、どちらかというと遅まきにやってきた青春小説といった感じだろうか。 ギターにしてもサックスにしても、全体的に楽器や演奏に関するディテールの描写は薄めで、とくにサックスは何も取材せずに書いたのかというくらい薄い。たぶんソプラノやバリサクではなさそうですがアルトですかテナーですか? リード湿らせたりネックだけで吹き心地を確認したりしませんか? もちろん、主人公の宮地がサックスについて知識なさそうだから一人称視点でごちゃごちゃ書いてあるのも違うとは思うけど…… などと批判めいたことを書いてしまったが、期待してたのと違った割に楽しめたのは、宮地が「ぼんくら」なくせに自分の才能やニート生活に対する自己認識が非常にまっとうだったからだ。親からの仕送りだけで働かずに暮らしているというのが分かった時はちょっぴり「うわぁ……」と思ったが、才能のなさ、踏み出せない情けなさの描写は簡潔ながら丁寧で、なんだか憎めない。 渡部君に対する強引さにはちょっと引いたが、渡部君が懐の広い子でよかった(笑) これは推測でしかないが、金持ちの子に生まれて身動きが取れなくなった宮地に対して、渡部君は「両親がいないからまともに育ってない」とか言われないように頑張ってきたんじゃないか。人当たりよく、我慢強く大らかであるようにと努めてきたんじゃないか。 水木のばあさんは存在自体がフラグだなと思ったがまんまと泣かされました。

    0
    投稿日: 2025.07.21
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    宮路の純真で悪意のないおせっかいにやめときなよ...渡部に嫌われちゃうよ...、p.97の空気感、絶対私には耐えられないと思いつつ、でも宮路のピュアで強引な誘いがなければ、渡部の才能が発揮される場は限られたものになってただろうと思うと、ナイス宮路とも思いますね。宮路が「神様」だと絶賛する渡部のサックスを聴いてみたいです。

    0
    投稿日: 2025.07.20
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    登場人物みんな好き。中でもぼんくらさんは汚い言葉を使っていても、純粋で真っ直ぐでよかった。サックス、ギターを楽しそうに奏でるお二人の様子を見てみたいと思う私がいましたw それにしても瀬尾さんの書く物語はどれもとてもあったかいなぁ。 今回も素敵な本に出会えて感謝です。

    9
    投稿日: 2025.07.19
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    今の自分にちょうど良かった。自分自身に何らかの燻りを感じている人に読んでほしい。 主人公はガキっぽいけど、悪いやつじゃないし読み進めるうちにどんどん可愛げが出てくる。 水木のばあさんも渡部も本庄のじいさんも良い。 綺麗事だけじゃないのがいい。 9の最後の宮路の気持ちと、16の最後の水木のばあさんの手紙の締め括りが、ニュアンスは違えど同じ思いを抱いていたんじゃないかと思い、良かった。ただ、良かった。

    4
    投稿日: 2025.07.13
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    親からの仕送りで暮らす夢追い人の宮路と、介護士で苦労人の渡部が織り成す笑いと涙の物語。結末はうっすら予想していても、やはり鼻の奥が熱くなりました。瀬尾まいこさんの他の本も読みたいです。

    0
    投稿日: 2025.07.09
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    29歳無職の坊ちゃん。 偏った価値観があるけど、素直で、老人の心にすっと入り込んでいく。これはこの人の才能。 水木さんっていうおばあちゃんとのやりとりに最後は涙した。 人生で出会う人には何かしらの意味があるんじゃないかって思った、そんな話。

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    世界に名を轟かせたいと思っていたけれど、目の前の人を笑顔にしたり、楽しませたりそんな風に生きていきたいなと思わせてくれるような作品でした

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    一気読みだった…純朴ではないけど素朴そのもの、ひねくれてはいないけど人生を飛び出せずにいる、そんな主人公。 音楽の力。人が人と関わるということ。 心にそっと、でもグッと、沁み入る本。

    9
    投稿日: 2025.07.02
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    サックスの話という事で手にしました。シンプルで短めの作品でしたが、心温まる内容でした。特に最後の主人公宛のお手紙は心打たれました。瀬尾さんの作品は“おしまいのデート”に続いて二作目ですが、今後とも注目して参ります

    9
    投稿日: 2025.06.30
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    瀬尾さんはすごい。 日常誰にでもあり得る悩みや葛藤をスラスラと描いている。飽きることなく一気読みできた。 何か励まされるような。 前を向いて、次の一歩が軽く出せるような。 そんな前向きになれる一冊。 緩やかな展開は賛否両論ありそうだが、主人公の生活や心理的変化を想像させるのには必要な表現なのかもしれない。 「あと少し、もう少し」からの流れでの読み始め。あの渡部くんの変化、成長を知ることができて本当に嬉しかった! 老人ホームでのいくつかの物語。 老いや死に関する話は展開が分かりやすいとマイナス評価もあるが、自分は老人ホームの入所者たちの生がリアルに表現されていて感動した。 瀬尾さんすごい。 また違う作品を読みたい。

    29
    投稿日: 2025.06.29
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    温かいお話、でもなく、心温まるお話、でもなく、なんとも言えない。 ただ、すごく遠回しに読者を前向きな気持ちにしてくれる本。 短くて読みやすい。途中、少し主人公にもどかしさを覚えたが、それはそれで良い。

    3
    投稿日: 2025.06.28
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    お年寄りとの触れ合いは 色んな気づきを貰えるし、優しくなれるけれど 仲を深めれば深めるほどツラいことも増えるよね。 ありきたりな内容に感じてしまったけれど、作者の優しさを感じる作品だった。

    0
    投稿日: 2025.06.23
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    やっぱりお年寄りが出てくる話はその先の展開を色々予想してしまって(そしてそれは大体当たってるので)ちょっと苦手!優しくはあるんだけど 主人公の素直さ、当たり前に他人のことを真剣に考えられるところ、まっすぐに育ったお坊ちゃんってやっぱりこんな感じなんだよなあと思った、良い意味で、良い意味でってつければなんでも良いわけじゃないけど、宮路さんには嫌がられそうですが

    0
    投稿日: 2025.05.11
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    実家が資産家でぼんやりミュージシャンの夢を追いかける無職の主人公が、他者と関わり合う中で生き方を見直していく。グサグサと辛辣な言葉もありながら、そこに含まれる愛に気付けるかどうか。さらっと読めるけど、ちゃんと心にグッとくる。

    1
    投稿日: 2025.05.05
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     高校の時に始めたギターにはまりミュージシャンを目指すもののうまくいかず、 親のスネをかじりながら過ごしていた宮路は、老人ホームで奏でられるサックスの音に魅了される。  介護士、渡部くんのサックスを聴くために老人ホームへ通い詰めた宮路は利用者さんとも交流を持つようになっていく。  レクリエーションでの演奏や水木ばあちゃん、本庄じいちゃんとのやりとりが温かかった。  水木ばあちゃんの手紙には涙が溢れた。  そして「あと少し、もう少し」の渡部くんが立派になった姿にも胸がいっぱいだった。

    1
    投稿日: 2025.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    お手紙のシーンは泣かずにはいられない。 老人ホームの老人たちと主人公のやりとりが小気味良くて好き。 渡部くんがすごく丸くなってるー!

    0
    投稿日: 2025.04.28
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    駅伝に出てたサックスの子のその後だとおもったら違ったね でもまいこちゃんの優しい世界そのままでした 好きです

    0
    投稿日: 2025.04.26
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    すごく心温まる。最後はうるっとしてしまった。主人公がニートで親のすねかじりという典型的なダメ人間なんだけれど、素直で前向きでどこか憎めない。人生楽しいことばかりではないけれど、前向きに生きようと思った。

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    最近祖母を亡くした際に初めて催事に赴いたわけだが、その時の感覚がありありと蘇った。 正直、晩年の祖母は母と仲が悪く私自身ほとんど関わりがなかったがいざ葬式で弱った祖母を見た時は胸が苦しくなった。 この先何人の人を看取ることが出来るのだろうか。

    3
    投稿日: 2025.04.24
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    瀬尾まいこさんの読んだことの無い本を図書館で見つけたので読んでみました。ミュージシャンの夢を捨てられずに親からの仕送りで暮らす金持ちお坊ちゃんの宮路(29歳無職)老人ホームでサックスを奏でる渡部とであって、、、という話です。夢を追うことがテーマになっているんですけど夢を追うって難しいですよね。簡単に辞められるけど簡単には夢は叶わない。難しい世界だなと思いました。最後に感動。

    78
    投稿日: 2025.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ぼんくらだけど、憎めない、優しい、正直な主人公。ばあさんが亡くなって渡部さんが迎えに来るところが、手紙を読むところで泣けてしまう。人の死は慣れることはないよなと思った。

    2
    投稿日: 2025.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

     無職で坊っちゃんで純粋な29歳の主人公が「神」との出会いをきっかけに視野が広がり、小さな一歩を踏み出す。  全くもって良いタイトルだ。 「いったいどうなるんだこの主人公!?」と宮路の人生の行方が気になって仕方が無くなる筆致に引き込まれて一気読みした。 ※読了(2024/01/28)

    7
    投稿日: 2025.04.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    手に取ったきっかけは「ナツイチ2024」にあったということ。読者の声「疲れた時には、瀬尾まいこさん。心が温まります」という言葉です。 「自分の意思とは関係なく動く現実の残酷さ。だからこそ言葉のような表面上のものだけでなく相手を思う時間こそが大事」だと再認識しました。 また、私個人的には「読書をしているシーンを読書するのが好き」という変なフェチみたいなものがあることもわかりました。

    2
    投稿日: 2025.03.28
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    宮路とその他の登場人物の会話が漫才のようなテンポの良さで気持ちよかった。 宮路がそよかぜ荘の人たちと交流していく中で変わっていく話だが、劇的に何か大きく変わるわけではなく、気づきを得て考え方や感じ方が少しずつ変わっていくのがよかった。それは宮路が素直な性格が良い方に作用しているのかも。 終盤の渡部くんの「時がいろんなことを解決してくれるのは、ちゃんと日常を送っているから」というセリフが刺さった。

    1
    投稿日: 2025.03.16
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    周りにいたらきっとイラッとするだろう宮路が、社会的に成長していく様はなかなか面白かった 要するに世間慣れしていないこどもなのだろうが、純真さが痛々しい てっきり流れで、介護の道に行くのかと思ったが…耐えられないのかな?? もう少し、あと少し の渡部が出てきた時はおもわず嬉しくなった

    1
    投稿日: 2025.03.07
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    平易な文章で、分かりやすいストーリーだけれど、最後にじわじわと感動の波が襲ってくる。改めて、瀬尾まいこさんの書く物語の力はすごいなと思った。 「あと少し、もう少し」の渡部先輩がでてきて、大人になった渡部君や渡部君の抱える何かが垣間見える。

    4
    投稿日: 2025.02.24
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    老人ホームで聴いたサックスの音が忘れられず、宮路は週1回老人ホームへ通います。水木さんにぼんくらと呼ばれながら買い物を請け負ったりウクレレを教えたりして1年がすぎました。もう来なくてよいと言われ、しばらくして水木さんの葬儀に行った後働くことにする。時間がかかったけれどひとり立ちしようという気持ちになるまでの成長物語だったのだなあと思いました。面白くてじーんときました。

    1
    投稿日: 2025.02.23
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    神様=渡部 ボンクラ宮路はこの神様のサックスを聴いて老人ホーム通い始める 神様のサックスはホームの人たちに寄り添うから滲みる それに気がつくのにはなかなかな宮路 入所者水木さんの導きにより、渡部との練習により少しずつ少しずつ 最後の最後に自分の力で生きて行くことに向かい合えた宮路 出会えるから人生は素晴らしい そんなことを音楽にのせて教えてくれる

    34
    投稿日: 2025.02.23
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    瀬尾まいこさんの小説は10冊くらい読んでいる。本書はとても気軽に読める1冊。 ストーリーは、裕福な家庭に生まれて不自由なく育った20代後半の息子は、音楽のプロになりたくて仕事もせずに無職で目的がない生活をしていた。ギターの演奏をすべく招かれた老人ホームで、サックスが上手な青年と出会う。青年は老人ホームの職員である。無職であることに後ろめたさを感じながらも、何度か老人ホームに通ううちにお年寄りたちから頼りにされるようになる。 読んでいると結末が見えてしまう。お年寄りがからむ、イコールやはり死は関係あるわけで。人生の無為を感じている青年はどう変わるだろうか、というのもある程度想像ついてしまう。また、入所しているお年寄りたちが横柄で頼まれた買い物を届ける主人公のことを「ぼんくら」と呼ぶことに違和感がある。そんなに失礼な設定で、作者は年配者に対して偏見があるのだろうな、と残念な気持ちになった。

    1
    投稿日: 2025.02.20
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    夢を諦められない29歳無職の「ぼんくら男」が、ひょんなことから、老人ホームのお年寄りたちと交流するお話。 いったいどう展開していくのやらと思っていたが、 生きるとは、働くとは…と考えさせられる。 出てくる歌がしみじみいい。 「あと少し、もう少し」のメンバーが出てくるのもうれしい。 私の中で、瀬尾さん史上1番泣ける本。

    11
    投稿日: 2025.02.19
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    卑屈さがなくて読み進めやすかったです。 終盤、自分の人生を自分ごととして捉えなきゃいけないことを自覚するシーンの表現には息を呑みました。

    1
    投稿日: 2025.02.05
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    30間近の目標も定まらず 親からお金を貰い生活していたけれど 施設の方との触れ合いで音楽をまた始めて どんどん成長していく物語

    5
    投稿日: 2025.01.20
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    「あと少し、もう少し」のスピンオフとは気付かず読んでしまった。 また、あの駅伝を読み返し、ここに戻りたい。 この小説の主人公は駅伝には関係ない、苦労なしのボンボンの物語だが、何故か嫌味がない。不思議だ。

    1
    投稿日: 2024.12.30
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    渡部くんにとって駅伝部で走ったことは大切な思い出になっているのだと垣間見れてよかった。 そよかぜ荘で出会いと別れを経た宮路くんは、これからもっと優しい人になるんだろうなぁ。 大田くん、渡部くんときていて駅伝部のみんなのスピンオフを書いてくれるのかな。

    0
    投稿日: 2024.12.22
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    ミュージシャンを夢見て仕送りで暮らす29歳で無職の主人公は演奏のボランティアで訪れた老人ホームで天才的なサックスを奏でる介護士の青年と出会い、彼と一緒に演奏をしたいと老人ホームに通い始めるという物語 音楽がメインの話だと思って読み始めたのですが、入居者たちと交流する中で主人公が自分の人生を見つめ直すのがメインでした。 自分が主人公たちと入居者たちとの中間くらいの年代なので、感情移入するというよりかは、俯瞰で彼らの物語を眺めるような感じで読んでいたのですが、最後の方、うっかり泣きそうになってしまいました。

    0
    投稿日: 2024.12.19
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    瀬尾さんらしいあたたかいお話です。 他の人のレビューにもありましたが、主人公には29歳までだらだらと何やってる!という気持ちにもなりますが。長年やってきた音楽で、老人ホームに暮らす人たちを喜ばせることができた、という経験は大きいと思います。 好きなこと、自信があることを認められることって、自分の生き方を認められたようで嬉しいですよね。 出てくる方がみんな優しくて、読み終わりも心地良かったです。

    3
    投稿日: 2024.11.12
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    大好きな瀬尾さんの作品 言い回しとか 表現とか 寂しい悲しい事であっても愛を感じる文章 あの時の渡部くんかと途中で思ってほっこり。 みんなに幸あれ。水木さんも本庄さんも大好き。

    0
    投稿日: 2024.11.05
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    介護職をしてることもあり、利用者に重ね合わせてしまい最後は号泣してしまった。渡部くんの言っていた「利用者と家族とでは違う」のようなフレーズに共感が出来た。何よりも主人公とおばあちゃんの関係性が堪らなかった!しかし、こういうハートフルストーリーを平日の次の日仕事で読むのは体力がいるわ、、、 令和6年10月7日 仕事終わりに一気読み

    4
    投稿日: 2024.10.07
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    ギターが弾ける無職の主人公、サックスが上手い介護士と、老人ホームの入居者の心の交流を描いた中編。いつもながら、瀬尾さんの「笑顔で前を向いて生きよう」という希望のメッセージに励まされる。

    11
    投稿日: 2024.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ぼんくらと違ってしっかりした渡部くんが 水木のばあさんとのお別れに 「ぼくを1人で行かせないでください」と 連れに来るところがたまらなかった。 介護士だからって人の死を何とも思わないわけないよね。 水木のばあさんとぼんくらとのやり取りは おもしろかったし ばあさんの心の優しさに泣ける。

    1
    投稿日: 2024.10.03
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    29歳にもなってミュージシャンを夢見つつ、何にも踏み出せていない主人公の男。バイトすらしていない。なぜなら実家が裕福で仕送りをもらえるからだ。 ある日、ボランティアでパフォーマンスをしに訪れた老人ホームで、天才的なサックス演奏を聴く。演奏者は年下の介護士の男。音楽には情熱を持たないこの男を焚き付けて、一緒に音楽で世に出たいと主人公は考えた… こんな始まりなら、遅れてきた青春小説になるのかな? と思いきやそうではない。 介護士の男を口説き落とそうと、主人公は何度も老人ホームに通う。そのうちに、施設の入居者たちと交流が生まれる。その交流の中で、主人公は自分がどうしたいかということに気がついてゆく。そして、なぜ働くのか、なぜ仕事につくべきなのか、その意義にたどり着く。 この主人公、裕福な親に甘やかされた無職の売れないミュージシャンではあるのだが、とても素直で明るくて気持ちが良い男なのだ。老人たちとの会話も明るい。全然擦れていない。老人たちのあれやこれやのおつかいに、文句を言いながらも応えてゆく。ハンカチを贈り、ウクレレを教える。彼らのためのコンサートを企画する。29歳のプータローなのに、中学生の男の子のようで憎めない。クズだとは思えない。きっと育ちが良い。大地から水を吸い上げる新芽のように、周りの人たちとの交流から影響を受ける。このキャラクター設定が面白い。 物語の終盤であることがおこり、主人公は大変落ち込む。その主人公に対して介護士の男がかける言葉がよかった。 「時がいろんなことを解決してくれるのは、ちゃんと日常を送っているからですよ。こんなふうに、布団の中で時間をやり過ごしているだけで薄れる痛みなんて、何一つありません。」(引用) 結局、日常をきちんと送ることが、生きていく強さをもたらす。 そして、自分以外の誰かのことを想い行動することが、日常をつくる。 「渡辺くんの言葉で、完全に目が覚めた気がした。俺だけが真ん中にいた世界は、もう終わったんだ。」(引用) 「俺だけ」が真ん中にいる世界から出ることが、大人になるということ。 そして大人は、日常を送り続けることで、ときおり訪れる痛みや悲しみを乗り越える力を得る。そうして初めて、「俺以外」の大切な人たちのために行動することを続けられるのだ。 そういうメッセージを受け取った。

    10
    投稿日: 2024.09.27
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    一冊のページ数が少なく軽いので手も疲れないでよい。こんな短さで、グッとくる話になっていたところがすごい。最初はクスクス笑いながら主人公だらしねぇな〜と思っていたけど、人ってやっぱりスイッチが入ると自然と動き出せるものなんだな。と感心したし、いい話だった。読んでよかった。動き出すのに時間はかかっても、人との出会いで感じることは必ずあるし、嫌な人との出会いでも最後には必ず自分にはプラスに働くエッセンスがあると思う。

    2
    投稿日: 2024.09.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    会話の中でくすっと笑わせられる。主人公と老人ホームの人との交流に心温まる。主人公のいい加減なように見えて素直で人の為に何かできる人柄に好感が持てる。主人公が見てみぬふりしていたものに向き合っていく様子に元気づけられました。また、老人ホームの温かで悲しい現実を感じました。

    1
    投稿日: 2024.09.22
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    ニートの主人公と音楽と老人ホームのお話し。予備知識なしに読んでたら、駅伝走った人の話が出てきてびっくり。

    42
    投稿日: 2024.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『君にだって命はある 思い出したのなら目を開けて』 最近、瀬尾さんとの相性が悪いと思っていて、それでも読まなくちゃなあと思って、本屋で手に取った。読み始めても、なんだか好きじゃないと何度も何度も読む手が止まった。 だけど、後半になって、この本のリズムに身体が慣れたのか、徐々に読めるようになった。ご飯の合間でさえ、本を開いた。最後は終わらないで願うほど、この作品と一緒にいられる時間が大切になって。まるで、主人公の心模様のように。 誰かがいる世界は、自分の都合だけでは回らない。シグナルを待っていたくても、すぐに立ち上がらなくちゃいけなくなる。でも、その扉をたたく音は聴きたいと願ってる人の耳にしか、きっと届かない。私にも聴こえる日が来るといい。

    13
    投稿日: 2024.09.15
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     求められる、認められる、見ていてもらえることの何と心地よいことか。何と幸せなことか。そのことに気づくことがまた幸せの瞬間。  渡部君は、「あと少しもう少し」に出ていたのか。

    3
    投稿日: 2024.09.08
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    作品とは関係ないが、解説の北大路公子氏の名前を見て、有吉佐和子の「悪女について」の主人公と同じと思ったが、そちらは富小路公子だった。

    0
    投稿日: 2024.09.08
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    宮路、29才。 あまりにも人生の過ごし方が楽観的すぎて、最初読んでいる時は「えぇ?」と戸惑ってしまったけれど、瀬尾まいこさんの物語に出てくる人物なだけあって、素直で人間味に溢れた素敵な人だった。これからの宮路は描かれていないけど、きっと宮路なら大丈夫だろうって思えた。

    2
    投稿日: 2024.09.05
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    芸術を仕事にしていなくても、むしろ、他の仕事をしているからこそ、自分だけじゃなく他人や社会のことを理解した、地に足のついた表現ができることもある。 優れたスキルを持っていてもそれを仕事にはしていない。有名ではない。そういう人達が現実にもたくさんいるんだろうな。それでもその人の周りにいる身近な人をたくさん幸せにしているんだろうな。

    1
    投稿日: 2024.08.25
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    29歳、無職、ギターを弾いて、親が金持ち。瀬尾さんの作品に出てくる登場人物らしからぬ嫌いなタイプだなぁ…なんて初めは思ってた。でも、やっぱりちゃんと人間味があって憎めないやつだった。宮路。がんばれ!って応援したくなる。

    1
    投稿日: 2024.08.14
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    瀬尾まいこ、、期待通りのあたたかい物語。 ぼんくらこと宮路の成長物語。 水木さんの物語でもある、、 と最後の手紙で感じた。 90歳のおばあさんの本音が、突き刺さる。 ジンときた。 読書感想文全国コンクール高等学校の部の課題図書。 高校生にもこの言葉の重みが届くのだろうか、、うちの子にはまだ早い気がして。 私も高校生でこの言葉を読んでも、こんなに感情を揺さぶられなかったと思う。 でも高校生が同じように感じてくれたら、日本の未来も少し明るいかな。 そして、駅伝メンバーがいたのも楽しめた。あの時の!!てなる。

    0
    投稿日: 2024.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮路は無職で父からのお金で暮らしていてミュージシャンの夢を捨てきれない主人公。まさかの老人ホームで人生変わるなんてと。 でも老人ホームで出会う人から学ぶことは多い。やっぱり70.80年人生経験あるんだもんな。時代は違えどいろんなこと経験してるんだもんな。大先輩だなって思った。まだまだ宮路が子どもに見えた。また、介護職員の立場とかでなく本当にただの友達のような立場であるからこそ、感情移入もできたんだろうなって思った。最後はなんだか悲しくなってしまったけど、でもそこから動き出す宮路を見ていいぞ!って応援したくなった。

    0
    投稿日: 2024.08.04
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    ほとんど日常の描写…?みたいな感じで、瀬尾さんの小説すごく好きなんだけれど今回は違うかも、と思って読んでた。 最後まで読んだらやっぱり瀬尾さんだった。 涙腺が脆いのもあり、電車で最後の手紙を読んだら泣いてしまった。なにをするかより、なんでするかだし、自分がやりたいことに大義名分はいらないって思った。まあそれを理解していても実際は理由とか、考えてしまうもんなんだろうな

    0
    投稿日: 2024.08.03
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    過剰な説明をせずに距離感や感情を表現してくれている。瀬尾まいこさんの作品の登場人物たちは純粋にひたむきで人への優しさに溢れている。

    0
    投稿日: 2024.07.29
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    音楽と老人ホーム、一見混じり合わない組み合わせが物語の中で心地よく混ざり合い、読み終えた後に清々しさを感じる話でした。 自分の身の回りで起きることにどのような意味を見出せるのか、そしてそれがその人をまた形作るのだと感じました。

    0
    投稿日: 2024.07.25
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    30手前でいまだに夢を諦めきれない主人公。少しだけ主人公の姿に自分が重なって、胸が苦しくなった。介 

    0
    投稿日: 2024.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミュージシャンの夢を諦めきれず親からの仕送りでバイトもせず怠惰に暮らす宮路・29歳無職。老人ホームでギター弾き語りに訪れたけど、全くうけず。そこで介護士の渡部がサックスを演奏するのだが、それが宮路からすると正に神様だった。渡部のサックスを聴きたくて老人ホームを訪れるようになる宮路。水木のばあさんに「ぼんくら」呼ばわりされながらも、買い物を頼まれたりウクレレの先生をやったりして週1回、通うことになる。 水木のばあさん、口は悪いけど、良い人でした。別れが辛かった。 宮路が前に進むことができて良かった。 最後の方は感動で涙なしでは読めなかった。 介護士の渡部くん、『あと少し、もう少し』の渡部くんだったんですね。以前、図書館で単行本を借りて読みましたが、もう10年以上前なので詳細を忘れてしまいました。文庫本を買ってきたので、再読します。

    2
    投稿日: 2024.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本庄さんが認知症でブチギレるところ、 その翌週にはいつもどおりに戻ってるところ 私はボンクラと同じ気持ちになった 好かれてると思ってた人に嫌われるのは心が落ち込む。 たとえそれが仕方のないことであっても。 でもそれほど深く人と関わってるって事は素敵だよね 泣きすぎて電車で読むのやめた 水木のおばあちゃんからの手紙、思い出しても涙がこみ上げてくる。 あんなふうにちゃんと自分をみてくれる人に出会えるなんてボンクラは運がいいなあ でも結局はボンクラも周りから渡されたチャンスに真摯に向き合ってるからこその結果であって、のうのうと生きてるわけではない。自分で行動できる人にしかチャンスは活かされないんだなー 何より一番ぐっと来たのは渡部くんの最後 「僕を一人で葬式に行かせないでください」 あれで渡部くんとボンクラの友情が深まった感じある。 人と人が仲良くなるには共同作業なんかより、自分の弱みを見せて受け入れてもらうことなんだよな。

    2
    投稿日: 2024.07.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    性根が座っていない29歳無職の青年 通称ぼんくら(笑) 生き方に疑問や危機感を抱きながらも 抜け出す術を見つけられず 夢を夢見る29歳 すれてなく本当は心根の優しい青年が じいさん、ばあさんたちと関わるにつれ 心を開いていく様と、毒づきばあさんの 息子(本当の息子じゃないけど)を思う心に まさかの嗚咽 どうやら3部作(シリーズ)のようです。 これは読まなくちゃ

    1
    投稿日: 2024.07.16
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    ギターの弾き語りを披露しに老人ホームを訪れた宮路は29歳で、ミュージシャンの夢を捨てきれず、大学を卒業して未だ無職のまま。 老人ホーム「そよかぜ荘」で介護士として働いている渡部の奏でるサックスに心を奪われた宮路は、自分より年下の渡部と友だちになり、入居しているおじいさんおばあさんたちとも親しくなって、「そよかぜ荘」に通うようになる。 親の仕送りで生活をしているものの、老人たちに買い物を頼まれ、ウクレレの「先生」となって熱心に指導する宮路は、人の気持ちに寄り添える素直な青年なのだと思う。 渡部と一緒にサックスとギターでの演奏会を計画し、聴く人の気持ちになって曲目を考える2人の様子が何とも楽しそうで、はじめてこの「そよかぜ荘」に来た時の宮路とは、明らかに何かが違っていました。 人は誰でもいつかは老いて亡くなってしまう。だったらなるべく笑って日々を過ごしていたい。 老人たちと触れ合うことで得たものが、じわっと心に沁みてきます。 「あと少し、もう少し」に登場した渡部君のその後も見れてよかったです。

    45
    投稿日: 2024.07.15
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    そしてバトンは渡されたの本を読みとても面白かったので読みました。とても面白かったです。ページをどきどきしてめくりました!

    34
    投稿日: 2024.07.08
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    渡部くん、お久しぶり〜〜〜〜。 瀬尾まいこさんの作品の中でも大好きな、 『あと少し、もう少し』で駅伝を走った渡部くん! 元気にしてた〜〜?となりましたよ…… 瀬尾さんの作品って本当に優しく背中を押してくれるお話が多い。 宮地くんと本庄さんも、年は倍近く離れてるけど紛れもなく友人だった! 水木さんと宮地くんも母と息子だった!! 久しぶりに一気読みした〜

    1
    投稿日: 2024.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長いモラトリアム期が、老人ホームで聞いたサックスの演奏で終わる話。高齢者との面白い交流から老いについて考えさせられたり、子どもの頃の人間関係について考えさせられたりと、伝えたいことがわかりやすかった。将来や人間関係に悩んでいる時に読みたくなる本だった!

    2
    投稿日: 2024.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初は気づかずに読んでしまったけど、 『あと少し、もう少し』のあの子か!! また読みたくなるなぁ。 本作の主人公は29才無職でノーテンキ、最初は苛立ちまじりで読んでいたけれど、他人に真摯で憎めない奴。 そして舞台は介護施設。年をとることと向き合うこと。それはふらりと遊びに行く主人公にとって、先送りにしてきた人生と向き合うこと。 私もそろそろ向き合う時だ。

    0
    投稿日: 2024.06.24
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    老いていくことはネガティブなイメージがあるけれど、生きていく誰かに対する強いメッセージを残すこと、できるのかもな。 愛すべきおバカで素直な主人公とすいもあまいも経験した人たちとが絡み合うととで起こる一歩前に向かえる素敵なストーリーでした。

    7
    投稿日: 2024.06.19
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    「音楽」という設定に惹かれて。 29歳、無職、音楽で成功するつもりでいる男性が主人公で、大丈夫かな…?と思いつつ読み始めましたが、音楽と人との関わりを通じていくハートフルなお話でした。 主人公である宮路くんを、少しずつ動き出させるきっかけになる渡部くんとのやり取りが、浅かったり深かったりと絶妙な距離感で良かったですが、全体的に展開は王道というか、そうなりますよね…と予想しやすかったので、もう一波乱というか、ただ続いていく日常の中に、突如現れる「何か」としてもっと大きいものがあっても良かったかなと。 本当に自分たちの日常に続いているような、良くも悪くも現実感がある温度感を味わえるさらっと読める作品ではありました。

    0
    投稿日: 2024.06.14
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    この作者さん、10冊目。 私にとっては結構振れ幅大きい方なのだが、今回はどうかな。 読んだ後、改めて皆さんのレビューを見て、渡部君が「あと少し、もう少し」の渡部くんだったことを知った。 確かに『小さな中学校で、駅伝大会に出るのに人手が足りなくて陸上部に引っ張られたんです。ぼく、吹奏楽部だったんですけど』と書いてあるのだが、皆さん、よく気がつかれますよね。 「あと少し、もう少し」のレビューには『変り者の渡部』と記してあり、学校の先生から『一番中学生ぽいなって。自分らしさとかありのままの自分とか、自分についてあれこれ考えるの、いかにも中学生でしょ』と評されていたが、本当の自分を知られたくないがために変わり者を演じていた彼が、立派になったなあ。 と、本筋でないことを書いてしまったが、主人公の宮路はと言えば、買い物を頼まれれば頼んだ人によってどの商品を買えば喜ばれるかを考えたり、本なら自分で読んでみて面白そうな話を選んだり、ウクレレの教え方が上手だったり、とてもいいやつ。 だけども、そういうことが出来るやつが、29歳にもなって親の脛かじって夢とも言えない夢を追って暮らしているなんていうのが、なんだかフィットしない。 悪い話ではないが、今回もまた、この作者さんが作る世界に素直に入り込めなかったのでした。

    52
    投稿日: 2024.06.12
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    友達に図書室でおすすめの本を聞かれたので、瀬尾まいこさんの「天国はまだ遠く」を勧めるついでに自分も未読の瀬尾まいこ本を借りてみました。瀬尾まいこさんの未読本が減ってきて、何気に嬉しい(*'▽'*) 相変わらず、瀬尾まいこさんの描く世界観がとても好きだなあと思いました。大体主人公やその周りの人がのんびりしてるからかな。 あと少し、もう少しの渡部君が大人になって登場。愛想が良くなっていて驚いたけど、性格はまだ前の渡部君だった(*´꒳`*)笑 老人ホームって、保育園の時に歌を歌いに行ったけど、様子をよく覚えていない。子供相手だからか、酷いことを言われた覚えはないけど、そういう一面もあるんだなと知ることができた。 それにしても、西の魔女が死んだが二冊とも貸出中とは、人気なんだなあ(急に話飛びすぎ)

    12
    投稿日: 2024.06.09
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    瀬尾さんの描く物語には、人と人との優しさが包まれており、忙しい毎日の中でひとときの心が暖かくなる時間です。次の楽しみはどれにしようかな

    6
    投稿日: 2024.06.05
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    瀬尾まいこさんが描く世界は本当に優しい。 29歳無職の男性が主人公。 彼と老人ホームに勤める介護士、入居者たちの交流の物語。 人生で足踏みをし続け前に進めなかった人と、背中を押したり手を引いてくれたりする人の話だと私は感じた。 人ってやっぱり1人じゃ生きていけなくて、知らないうちに支えてもらったり、支えたりしてるんだ。 自分自身が知っているつもりのことが一面でしかないことも再確認。 いつからでも人はリスタートできると感じさせてくれた。 読みながらホロリ。

    0
    投稿日: 2024.06.02
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    宮路がんばれよ!!!って思うところが沢山あったけど、 やっぱり人と人が関わることで変わる人生もあるんだなーと。 全く自分が気にしてないことでもたまに誰かの力になってることがある場面を今まで見たことがあるから、そういうのを思い出した。

    0
    投稿日: 2024.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。読みやすくて止められなくて2日で読んでしまいました!ストーリーは単純だけど、宮地と渡部くんの人となりがすごく手に取るようにわかって目が離せなくなる。老人たちとのテンポ良い会話もまるで目の前で繰り広げているよう。物語の中の重要な曲として出てくる「心の瞳」は娘が中学生の頃に合唱曲として聞いて、心が震えた曲でしたが、坂本九の曲とは知らなくて、読み終わってから、坂本九バージョンを聞いて涙が止まらなくなりた。

    2
    投稿日: 2024.05.17
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    現在、母がヘルパーさんをお願いして生活しています 施設に入ることも、あります 主人公の気持ちより、おばあちゃん達の気持ちが、心に刺さって、泣けてしまいました 母も、同じような気持ちなんやろうなと、思うと、もっとしてあげないとって気持ちと、これ以上は、無理って気持ちが、入り交じります 星が3つなのは、主人公、がんばれよっ!って、とこです

    0
    投稿日: 2024.05.12
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    仕事終わりの疲れてる時に読んだからか、宮路に対してイライラてしまいました。 余裕のある時に読むと違うんだろうな…。 おじいちゃんおばあちゃんとの交流は良かったけれども!

    0
    投稿日: 2024.05.10
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    わかりやすい一冊。疲れているときに読んだのですが、元気をもらえました!主人公宮路は親のすねかじりミュージシャンもどき。30までそんな生活なので、まさに「ぼんくら」で不快になる読者が出ても納得のキャラクターです。でも、そんな彼がひょんなことから居場所を見つけて、奮闘して成長していくというお話です。 ■キーワードは「天才」 初めと終わりの文だけでなく、文中にも出てきます。それぞれ天才の使われ方が違っており、物語の流れが変わるきっかけとなっているように思いました。ぜひ注目して読んでみてください。 ■実際はどうなんだろうか? 仲良くなって利用者にとって使い勝手がいいからって他人が老人施設に遊びに来ることってできるのかな?と疑問に思いました。確かに閉じられた環境だからこそ、宮路のような人だったら歓迎されるべきです。一方で、誰でも受け入れるとトラブルのもとでもあり実際はどういう対応なのかなと気になりました。 ■水木のばあさんの最期 宮路が社会人となって働いてからも見たかったと思うほどよい関係性でした。退場の匂わせから最期まであっけなかったのがちょっと意外でした。 ■著者のおすすめ作品 「そして、バトンは渡された」 いい話!映画化もしています。本の感想書いてます↓ https://booklog.jp/users/rocobooks/archives/1/4167915545

    10
    投稿日: 2024.05.09
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    宮路のまっすぐさがただただ羨ましい。生きていれば自然と“こうするべき”とか“しないべき”という考えが浮かんできて雁字搦めになってしまうことも多いのに、29歳無職で崖っぷちと言いながらもそうはならない宮路が羨ましくて放っておけない。こんな人から「友達になろう」と言われたい、渡部になって守りたいと思った。まっすぐなまま、ぶつかりもがきながら成長しているのが良かった。ホームのおじいちゃんおばあちゃんからも、何歳になってもチャレンジできるのかもしれないと思わされてじんときた。

    1
    投稿日: 2024.05.05
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    最初、主人公(宮路)に対して、なんじゃこいつってめっちゃ思った。なに自惚れてるのねん、と。その分渡部くんはとてもしっかりしているように見えるのだけど、このそよかぜ荘でのじいさん・ばあさんとの数ヶ月で、彼は社会での助け合いと現実の重みを知る。この婆さんの筆頭株・水木さんの手紙がもう泣けるのよ。最後のありがとうと、ハンカチへの感謝と、2人の息子は来ないお葬式に泣けた。宮路くんがお葬式に慣れているところは悲しいけど、エッセンシャルワーカー(結局親族が存命でも出席していないようだし、人を弔うということは誰かがやるはずのことなので)が必要不可欠であることが浮き彫りになる小説としても認知されるべきだろう。 心にズドンとくるけど、やさしい物語だったなあ。ありがとう。 p.34 「こいつ?ボンクラだから若く見えるだけで、結構年食ってるんだよ」「そうなんだ。じゃぁ友達?」「まさか。まぁ召使いってとこだね」「はは。そういうことなんだ」 p.44 「ああ、ぼんくら。でかした」 「でかしたじゃなくて、こういう時はありがとうって言うんだ」 俺は水木のばあさんの横に腰かけながら、テーブルの上に袋の中身を出した。 「これ、かりんのど飴だろう。で、ボールペン、ばあさんどっちがいいかわかんないから水性と油性両方な。甘い物はホームパイにした。これならたくさん入ってるから、みんなで分けて食べられるだろう」 「いちいち解説しなくても、物を見たらわかるよ。あ、そっか。ほんくら、自分の買い物の腕をほめてもらいたいんだな」 水木のばあさんはそう言いながら、ホームパイの袋を開けると、「回しておくれ」と周りのじいさんやばあさんたちに配った。せんべいにクッキーにチョコレート。ダイニングはお菓子がたくさんある。年寄りたちは食欲旺盛みたいだ。 「本当、身勝手なばあさんだな。あと、これハンドタオル」 「ああ、どうも」 p.63 「こうやって思いどおりの物を買ってもらえるって感激だ」と今中のじいさんが言った。 「そうだよね。息子に買ってもらうとなると、細かい指示出せないからさ、なんでもいいからかゆみ止めとかって頼んじゃうんだよね。探さなくても買えるものにしないとと思うからさ」 そうしみじみと言う心城さんに、「ムヒのマイルドタイプね」とかゆみ止めを渡してやった。 俺は他人だからか、細かい指定があったほうが買い物をしやすい。的外れなものを渡して戸惑われたら二度手間だ。それを、身内となるといろいろ気遣うって妙な話だ。 いや、身内だから何でも言えるなんていうのこそ、ただの理想なのかもしれない。 p.85 こいつら、俺じゃなく頼んだ品物が来るのを楽しみにしてるんだな。俺、宅配便の兄ちゃんじゃないんだって。 そう思いながらも、俺は、「はいはい。皆さんのちゃんとありますよ」 と買ってきたものをテーブルに広げた。みんなは聞きとしながら手にする。 p.86 水木のばあさんはそう言いながら、あられの袋を開けた。 「一人は何百円のことだろうけど、まとめて払うほうは千円二千円になってくるだろう」 「ああそうかな」 「そうだよ。少ない額でも、お金のことはきちんとしないと」「ほんくら、働いてもないのにお金のこと語るんだね」水木のばあさんはけけけと笑った。 「金の貸し借りは友情を破綻させることもあるんだぜ」 「ぼんくら、友達もいないのに友情語るとはな。貸し借りじゃないよ。どうせ金を持ってたって、使い切れないからいいんだ」 水木のばあさんの言うことは嘘ではないだろう。そよかぜ荘は、広々としていて上質そうな木で造られた建物だ。ここにいるじいさんばあさんらは、服装からしても経済的に恵まれた人たちなのだろう。でも、違う。お互いお金に困ってはいなかったとしても、誰かにとって自分が物を当たり前に買い与える人間になってはだめだ。お金は金銭的な意味以外のものも、人の間にもたらしてしまう。 p.165 「ええ」 渡部君はうなずいた。彼が言うと、どうしてだろう。ものすごく確かなことのように思える。いや、俺だってそれが本当のことだって知っている。 高校生のころの俺は、自分を受け入れられなくなるほど落ち込むことがあっても、すべてが終わったような絶望を味わっても、また笑い転げられる日々が来ることを、心を揺らすできごとが待っていることを、知っていた。それを俺に伝えてくれたのは、音楽ではない。 p.181 「じゃあ、歌いますか?」渡部君は笑いながらそう言った。 「ああ。そうだな。・・・・・次はさ、「心の瞳」っていう曲で、じいさんらあんまり知らないかもしれないけど、そう、まあ、聴いて」 俺が曲名を紹介すると、優しいサックスの音が響いた。心の奥までしみこんでいく音。俺はとにかく泣かないように、歌詞を伝えることだけに集中した。 本庄さんはどうしてこの歌を、俺たち二人の歌だと思ったのだろうか。 本庄さんは六年前に奥さんを亡くしたと言っていた。そのあと、そよかぜ荘でどんな毎日を過ごしていたのだろう。 決して途方に暮れてはいなかったはずだ。きちんと服を着て、姿勢を正して、しっかりと目を開けて。本庄さんはいつでも何かに手を伸ばせるように準備をしていた。 生きていけばそのぶん、明日は一つ減り、また一つ減っていく。誰かと一緒にいられる明日。記憶に留めていられる明日。現実は想像以上に過酷だ。ウクレレを弾く時間が、本庄さんが最後に手にした何かになっていたのなら、俺にとっても幸せなこと だ。 p.189 ぼんくら息子へ 六月十二日、ほんくらの演奏をいて驚いた。へたくそなギターに野太い声。よくこんなので人前で歌う気になったなとぞっとしたよ。みんながしらけてるのに、堂々と歌い続けてさ。 あのころの私は、生きるのが惨めだった。そよかぜ荘に入って一ヶ月。トイレもお風呂も介助がいる。恥ずかしくないわけがない。開き直っているふりをしつつ死にたくなった。もう九十一歳だ。死んだほうがいい年なのに、どうして生きなきゃいけないんだろうかと苦しかった。 でも、歌っているほんくらの姿を見て、まだまだ恥をさらしてもいいのかもしれないと思えた。二十九歳にもなって無職なのにへらへらしているぼんくらよりはましだなってさ。 今日も夕飯を食べた後に、食事はまだかと聞いてしまった。先週は二度も粗相をした。 もうすぐ記憶がめちゃくちゃになるんだと思う。留めておきたいことも消えてなくなってしまうのだろう。 ほんくらのこと、誰かわからなくなってしまう前に、ここにしたためておく。 ぽんくら。もうバカで単純で陽気なふりをするのはやめな。当たり前のように、年寄りに聞こえる音量と速度と距離で話せるやつがぼんくらなわけがない。毎回へそ曲がりの私の心を射るものを買ってこられるやつが何も考えていないわけがない。 もう無邪気でいるのは終わりだ。 老人ホームに入った時点で人生は終わった。そう思っていた。でも、最後の四ヶ月は最高だった。忘れたくない。そう思える日々が送れてよかった。ありがとう。 水木静江 p.194 「時がいろんなことを解決してくれるのは、ちゃんと日常を送っているからですよ。 こんなふうに、布団の中で時間をやり過ごしているだけで薄れる痛みなんて、何一つ ありません」 渡部君は勝手にクローゼットを開けると、「これでいいですか?」と黒いジャケットを出してきた。 「俺、葬式なんて行かない」 「子どもみたいなこと言わないでください」 「誰でもお前みたいに対処できるわけじゃないって」 渡部君はいつでも目の前の現実に毅然と応じることができる。本庄さんがぼけた時も、俺にサックスをやるよう言われた時もそうだ。どんなことでも受け入れる力を持っている。だけど、俺にはそれができない。二十九年間、自分のできることだけをして、何とも向き合わず、何も越えようとせずに生きてきた俺には、あまりに難しい。

    7
    投稿日: 2024.05.05
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    涙なしでは読めません。 30歳直前まで無職でなんとなく生きていた主人公がひょんなことから老人ホームに出入りするようになり心を動かされる。 高齢者になれば病にかかり死が近づくのはごく当たり前のことだけど簡単には受け入れられない。物事は永遠には続かないから、時間を無駄にせず大切に生きたいと改めて思う。

    0
    投稿日: 2024.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    クライマックスを電車の中で読んだ。読みながら涙を堪えるのに必死だった。認知症や老いの最中にいるひとたちと、モラトリアム最中の青年との緩やかであたたかい絆を描いた名作。 生活史のあるひとりのひとであること、入院中にADLを落とさないように、また元の場所へ戻れるように希望を繋ぐことが大事だと思った。 彼は世界へ羽ばたくミュージシャンにはなれなかった。でも、身近なひとの心に届く、人生史や記憶に残る音楽を届けられるミュージシャンになった。 ひとはひととのゆるやかなつながりの中で成長する。何歳になっても。希望を持てる。 そう思えた物語。

    7
    投稿日: 2024.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もうすぐ30歳になる宮路はミュージシャンになる夢を諦められなかった。 親が金持ちで毎月すごい金額の仕送りをしてくれるので生活には困らない。 まともに仕事もせず、夢で生きてる感じ。 ある老人ホームの慰問に行ったところ、宮路の演奏はだれにも見向きもされないが そこで聞いたスタッフのサックスが、宮路に響いた。 でもそのスタッフ、渡部は素晴らしい演奏をする技術を持っていることに興味がなく、日々、老人施設の仕事にやりがいをもっているらしい。 もったいない! 俺と音楽をやろう! といっても、特に響かない。 あのサックスをもう一回聞きたいと思い、宮路は老人施設に通う。 ある老婆の息子というテイで通ううちに、ほかの老人たちともなかよくなっていく・・・ っていうお話。 高校の課題図書になったらしい。 なるほど、読みやすいし、課題図書にしやすい感はある。

    1
    投稿日: 2024.04.30
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    水木さんが言うように、みんなの中にスッと自然と入っていき、対等でいるって凄い事。 宮路くん、憎めない良いやつ! そういう意味では天才! ラストは少し切ないけれど、心温まる読後感です。 成長した渡部くんにも会えて嬉しかった!

    0
    投稿日: 2024.04.25
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    『君が夏を走らせる』を思い出した。 とても優しくて温かいお話・・・なのはいいんだけど。 大学卒業してから29歳まで無職でバイトもしてないなんて、ちょっと「ぼんくら」期間長すぎない?そこがずっと引っかかってしまった。お父さんもよく待てたなぁ。 やっと前に進めたし、何とか就職先見つかるといいな。

    79
    投稿日: 2024.04.19