Reader Store
わたしたちに翼はいらない
わたしたちに翼はいらない
寺地はるな/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

156件)
3.7
17
63
61
3
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かった 自分の中学生の頃を思い出し、妙に納得したり共感したり 確かにこんな瞬間があった こんなふうに信じていた あの言葉だけは許せなかった いつも何かを探していた そして気づくと大人になっていた たくさんの時間が過ぎても心の奥にはあの頃の残酷な自分や傷ついた心がずっと残っていたことを知る 改めて自分の歩いて来た道を振り返ってみた なんて未熟なままなのだろう、と思い知った

    1
    投稿日: 2025.10.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    サスペンスか???? ジャンルは大事ではないけれども。 にしても、小さなサークルの中で誰が誰だかわからんくらいマイナス感情が絡み合っちゃっていて、大変である。最後まで読むと、そこまで絡むんか!とびっくりする。

    1
    投稿日: 2025.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2024/2/7 読了 大人になっても学生時代の友達は貴重と言うけど、実際は微妙な関係になっていく。 スクールカーストは昔も今もあり、底辺の人はもはや学校での記憶にもない存在になる。 酷くても、愚かだと笑われても、地べたを歩いて生きて行こうと決めた朱音。私には翼はいらない。 何だかカッコいい生き方だと思った。 私もその考えを持たないとと思う。 人付き合いやトモダチっていったい何なんだろうと50代半ばになっても考える。

    1
    投稿日: 2025.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    前に読んだこの著者の本と同じく不思議な雰囲気の話でした。最初は誰が誰なのかよく分からず、さほど多くもないのに登場人物の一覧を付けてくれよ思いながら読んでいました。復讐劇が始まってからは集中度が高まり、最初と最後の女の子3人組もその母親たちもちゃんと誰なのか分かりました。少し難しく、ストーリーや結末に納得出来ない点もありましたが途中からは一気読みでした。読後感はもやもやが残りあまり良いとは言えません。それほど目立つ子供ではありませんでしたが、私も中学生の頃が最も自分の未来を明るく感じていたと今思います。

    7
    投稿日: 2025.07.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人生の選択や価値観について考えさせられる。 学生時代、莉子側にも園田側にもなったことはないが、そういう人いたかな…と思わせる現実と隣り合わせの物語。 最後の莉子と朱里のようなベタベタしない関係性が理想なのかな。

    1
    投稿日: 2025.07.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    お互いの心のうちを勝手に決めつけて、すれ違ったり困惑したりする、そういう小説が好きで、これもまたそういう話だった。 時間をかけて読むには少々向いてなくて、もっと一気に読めばよかった。視点が結構切り替わり、関係性を把握したまま読むべきだった。 ありきたりの美しい結末ではなくて、もっと醜くてもいいという決意。「友だち」という関係性だけではない、もっと異なる関係性。そういうものがしっかり描かれていた。

    1
    投稿日: 2025.07.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    登場人物が多く、置いてけぼりにならないように、ゆっくり読んだ。色んな人がいたけど憧れるのはブレない人。

    0
    投稿日: 2025.06.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでる最中に、あれ、この人とこの人は同一人物だっけ?と思うことがあり何度か振り返った。てっきり園田、莉子、朱里で大樹を殺害する話かと思ったから予想外だった。なんだか、人々の見栄とか社会の中の不自由さを描いていて、どの家庭にも色々あるなと思い知らされた

    0
    投稿日: 2025.05.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    子供の時や学生の時のくだらないことをまだ引き摺っている自分にとっては、なんて優しく強い物語なんだと感じた。幼稚さ、何様なのか、と感じる大人になっても存在する人間関係とそういう態度を取る人のベースにあるものの見方を言葉で表してくれている。

    2
    投稿日: 2025.05.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ☆3.8 物語としてスッキリしていて読み易かった。 自分はどちらかというと朱音や園田の側だと思う。 この2人の心境に共感すると共に、莉子のような人たちの心境に触れることができたことは私にとって大きい。 地元に残った人たちがあの頃のままキラキラしているように見える時もあれば幼く見える理由もよくわかった。 人生のピークは人それぞれ違くて、人はそのピークに縋りたくなるのだろう。 学生時代を引き合いに出すのは幼稚と言いつつ、朱音も園田もそこに囚われている。 そこから断ち切ろうと思うのか埋もれてもいいと思うのかの違いが大人なのかなと思う。 読み始めた時は莉子みたいな女に嫌悪感を抱いていたが、最後には莉子の成長に感動していた。 自分と向き合って過去を断ち切ることで人は前に進めるのだなと思った。 必ず皆どこかで繋がっているという事実が人を強く自立させるのだと思った。

    4
    投稿日: 2025.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    難しかった。学校でも働いても結婚してもどんな環境に行っても人間関係はついてまわって悩みの種になるけど、人と本気で関わった時代は思い返して1番あのころはよかったなと思うんじゃないかと思った。 結婚して専業主婦になるのも幸せなだけじゃないかもね、逃げみたいになる。 手に職は大事だと思った。でも子供が出来たら専業主婦がいいね。 いい旦那を捕まえようと思った。

    1
    投稿日: 2025.03.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寺地はるなさんを連続して4冊読破。 図書館本。 最後の一冊。 それぞれ発する言葉。 それぞれ受け取りの違い。 ちょっと他者から言われたひっかかってる言葉も 思い違い、、みたいのも多いのかもな。

    0
    投稿日: 2025.03.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    どう見られているかとか、コミュニティの中での立ち位置とかにとらわれそうな時に読み返したいかも。 よく、学生時代は人間関係しんどかったな…って思うけど、 しんどい人間関係は、職場でも、保護者間でも、旧友でも、学生時代に限らず起きるんだよな、と気付かされた。 誰かと関わるとき、相手の評価を自分の価値だと思うと、誰かに寄りかからないと立てなくなっちゃう。 「え、わたしたち友だちじゃないよ」 「うん、友だちではない」 っていう関係性の方が、相手のことをしっかり見れているのかもってなった。 どう見られているか、相手によく思われるにはどうしたらいいかばかり気にしてしまうので、朱音の考え方や他者との距離の取り方は、 ぐらぐら〜っとしそうな自分を、そっとまっすぐに立たせてくれるような感じだった。

    1
    投稿日: 2025.03.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寺地はるなさん三冊目。 彼女の著作には、上っ面だけではない 人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします 『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』 『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。 今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』 『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』 『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』 淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さんだと思う どう書いたらいいか難しいけど、 (このストーリーの中では)人間って、傷つく総量が決まっていたり、反対に傷ついたひとは他のひとを慰める、癒せるようになる量が増えるのではないだろうか (稀有に辛い生い立ちの人はまた異なると思われるが、自分の手で人生を好転させているひとも多いのだから) 学生時代に『無敵』だったとしても、その後の人生が順風満帆にいくとは限らない、逆に世間知らずで痛い思いをしたりする 幼少期や学生時代に辛かったひとは、その痛みを抱えて相手のことを慮り、優しくなれる そんなことを考えた。 人生には、『さようなら』も大事なんだな、と

    0
    投稿日: 2025.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分が輝いていた10代。 自分がしいたげられていた10代。 どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。 そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。 という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。 莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。 こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。 お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。 読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうなと思っていたから、ラストはうれしかったな。 友達じゃないけど、同じ時間を共有したり、思いやりをもったりできる、幸せを願える。 3人とも、きっと同じ気持ちを共有してることでしょう。

    4
    投稿日: 2025.02.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    p199 「でもおかしくてもいいじゃないですか。他人にそれだけ?って言われるようなことでも、園田さんにとっては重要なことだったんでしょう。」 p206「だって娘よ。自分の娘よ。幸せになってほしいじゃない。だから悩むの。莉子も芽愛にたいしてはそうだ。かわいい洋服。すてきな両親がそろった、笑顔の絶えない暖かい家庭。すべてを与えたかった。すべては芽愛の幸せの為。でもそれらはほんとうに芽愛にとっての幸せの条件だったのだろうか。 誰もが迷う。誰もが間違う。母でさえも。わたしが、そうであるように。」

    1
    投稿日: 2025.01.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シングルマザーやスクールカースト上位にいた夫婦、いじめられていた人など、そういう人いるなあと感じながら読んだ。 大樹みたいな人は嫌いだ。でも、こういう人と日常関わっていると、こどもも同じような思考になっていくんだろうなと危機感を感じた。

    0
    投稿日: 2024.12.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    同じ地方都市に生まれ育ち、それぞれに鬱屈した思いを抱えるアラサーの男女3人をめぐる小説。 自分は子どもの頃にいじめられたりしていたわけではないが、学校の主流層からは外れたポジションにいたので、朱音や園田の思いや考えにはわかるところがあった。一方、莉子は、かわいそうなところはあるが、自己中心的思考に思えてあまり共感できなかった。また、莉子の夫でクラスの「王様」だった中原大樹はまったく関わり合いたくないタイプの人間だと感じた。地方都市に生きる20代~30代の人間を、そのどす黒い内面も含めて、よく描けていると思う。 本書のタイトルにも表れているが、第三者からのいっけん前向きなアドバイスが本人にとっては呪いの言葉になり得るのだということも認識した。 本書の主要登場人物3人の行きついた関係のような、相手に依存するのではなく、友だちと言えなくても、お互いに支え合う(ことがある)関係というのも人間関係の在り方の一つとしていいんじゃないかと感じた。 最後は、3人ともどこか吹っ切れたような、希望の持てる結末で、よい読後感だった。

    2
    投稿日: 2024.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    学生時代のカーストのことや陽キャ、陰キャの会話がすごくあるあるで共感できた。 登場人物がそれぞれ個性があって、私は莉子がすごく好きでした。 いい大人で母親なのにいつまでも少女のように何もかも自分中心な思考が見ていてある意味潔いし、あぁ自分にもこういう部分あるなぁと考えさせられました。 ママ友が絡む話が好きな私はとても好きな作品でした。

    2
    投稿日: 2024.11.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人間の闇?!の部分を垣間見たような、ドロドロとしたものが押し寄せてきた。人にはこう思われたいという自分を演じ続けると、終わりが見えなくなり、いつの間にか泥沼にハマっている。今の私だ。グサリとささる作品だった。

    0
    投稿日: 2024.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    気持ちがザワザワする。日常生活の無意識の言葉や行動を考えを考えさせられる。登場人物にあまり共感出来ない。

    0
    投稿日: 2024.10.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    重たい。読み切るのに少ししんどかった。だけど、読み終わるとスッキリ清々しい気持ちにさえなった、不思議な感じ。 過去、現在、未来…どんなに憂いても過去は変えられないし、未来のことなんて分からない。だったら、その瞬間の自分の気持ちに正直でいたいなと思う。

    12
    投稿日: 2024.10.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    繊細で触れてほしくない部分をピンポイント爆撃することが上手い作者さんだと思っていたのですが、見事に私の黒歴史の琴線に触れてこられました。 市街地を避けて軍事施設に的を絞って無力化させる戦略なんですが、学校や病院の地下に拠点をおいていると民間の犠牲者は増え憎しみを増すばかりで価値観までは破壊できない。この3人の価値観バラバラで極端すぎて自分勝手で好きになれない。 シングルマザーの朱音に、専業主婦の莉子、それに影の薄い独身の園田。フラッシュバックする中学時代。 どれもこれも忌々しくって吐き出したくなってしまう。 人と関わることが恐ろしく思えるそんなコンプレックス全開にさせてくれました。 人と比べてどのポジションにいるかって大事なことだと思うんですよね。協力しあうことも、許しあうことも、最適解かどうかわからなくても立ち止まれないし、 朱音と莉子には同じ年の女の子がいるのですがどう育っていくのだろうか気になる

    79
    投稿日: 2024.10.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    母親の心の内がダダ漏れだった。と同時に私も子育て中で共感する事が多々あった。一度傷ついた心はずっとそのまま。忘れるか、逃げるか、向き合い捉え方を変えるかしかできない。自分の心も守りながら、相手を傷つけないよぅに接する難しさを感じた。

    1
    投稿日: 2024.10.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2024.10.2 苦しかったけど、いろんな立場やいろんな思いを持ってる人たちの気持ちを知ることができてよかった。 いじめの加害者、被害者、シングルマザーやモラハラ夫の妻など。 最後は自分を大切にして前向きに進む姿が良かった。

    1
    投稿日: 2024.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    世界の電機メーカーのお膝元、電車の便もよく、便利で開放的な市。大学もいくつかあって、出たいとは思わない。親や親戚、夫婦も友達も、保育園のママ達も中学の頃からの知り合い。いじめっ子だった夫、離婚したシングルマザー、転勤で戻ってきた元いじめられっ子。 読み進んでようやく形作られてきた人物像が、別の話者の語りで再構築を強いられる。世の中みんなが世界。小説ならでは、です。

    0
    投稿日: 2024.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地元にいると、いつまで経っても同級生。良くも悪くも離れられない。常に昔に戻される。戻りたくないのに、まとわりつく。 人にジャッジをしてしまう、何気ない、いつもの“ノリ”。 自分の自信は、評価する方に立ち位置を持ってくることで存在意義をもたせる。それは大人になっても立ち位置は変わらず…変わらないはずと思い込みたい。自分を守るため、抜け出せない。 同級生。ママ友。嫁。夫。姑。自分。 虐めた側、虐められた側。 殺したい程の苦しさ。 どうしようもない囲いを破りたい。 私だって!!苦しかった。 わかってよ。 自分の為に一歩踏み出す勇気はいつ出せるのか。 その一言が自分を救う。 今迄読んだ本より、広がる「黒」が強く感じられ、 なぜだろうと思ったのですが、今まで読んだ本の中では、それぞれの人物の持ち色が少しずつ混ざって濃い色になっていったのだなと感じました。 心の苦しさは変わらないのですが、またひと味違った町田ワールドでした。

    1
    投稿日: 2024.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本の感想にはなっていないけど 「水を縫う」では家族のことが書かれ、なんだかふわっと暖かくなるような文章だったから そんなのを緩く期待していたのか 前情報なしに読み進めると なんか、えぐられるような気持ちだったー 著作の内容の振り幅がすごいなと思った 会いたくない(会えんけど) どんなふうに人間をみる方なんだろうと思ってしまう ぐんぐん読めて一晩で読めて寝不足です

    0
    投稿日: 2024.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    高校時代の人間関係や立ち位置がその後の人生に大きく影響を与えることもある。 陰りの見える地方都市。 そこで暮らす、シングルマザーの朱音、高校時代の人間関係が生活の中心の莉子、あまりいい思い出のないこの町に異動で戻ってきた園田。 まだ若いそれぞれの人生と日々の生活が所々で重なり、少しずつ影響を与え合う。 ちょっと違う視点を知ることで、一歩踏み出す勇気をもらう。 弱い立場で生きる人の見えない強さを感じさせてくれる、やっぱり寺地さんだなと感じ入る小説でした。 2024.4

    17
    投稿日: 2024.08.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地方に暮らす保育園ママたちと独身男性。少しずつ関わっていったり、また離れたり。そんな物語。 第一章から、なんとなく陰鬱な空気(なんなら序章のかんなちゃんの心情だって、少し陰がある)。 ページをめくる手が重いけれど、久しぶりの寺地はるなさんだし。予約ずっと待ってたし。と奮い立たせながら。 やっぱり明るい展開にはならなくて、最後までなんとなく暗い感じだけれど、でも朱音と莉子が近付いたあたりから、だんだん先が気になり。さらには終盤衝撃の出来事で驚いて、一気に読んでしまった。 不愉快な人がたくさん出てくるので、気分が悪く、個人的にはあまり好きな小説ではないかも。 でも最後はちょっとよかったな。多少のいざこざがありながらも、子どもたちが楽しく過ごしていけたらいいと思う。 朱音と莉子が、お互いに友だちではないと言いながらも仲良く(?)お茶しているのが、何とも不思議な関係。

    8
    投稿日: 2024.08.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ママ友問題と思って読んだ本。 それぞれ過去を背負ったまま 大人になり 偏見、恨み、妬み、同情、殺意 重くるしい話だった。 読みやすさはあるが リアリティには少し遠いかなぁと いう話でした。

    1
    投稿日: 2024.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寺地さんのタイトルの付け方が好きです。 あの頃の私達最強だったよね。とスクールカースト頂上にいた子達と、あの頃虐げられていた子達の物語。 閉塞感のリアルさと、狭くないはずなのにどこかで繋がる人間関係の狭さがなんとも気持ちを憂鬱にします。 友達とは何か?

    6
    投稿日: 2024.07.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全然ハートフルではない(個人比) みんなままならないなぁ… 鈍感だったりある程度偏見がある方が生きやすそうだけど、子どももそれを受け継いでいくといろんな人を傷つけてしまう。 いい塩梅って難しい。 周りを気にせず我が道を行くって簡単にいうけど、いいことかっていうと別問題だなと改めて考える。

    100
    投稿日: 2024.07.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全体的にじめっとした話だった。でも、誰かに認められるとかどう見られるかとかではなく、自分が自分に納得できるように生きていく、その強さを持ちたいと素直に思えた物語。一度失敗したって、上書きできると思うと心が軽くなる。

    0
    投稿日: 2024.07.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    4人のキャラクターそれぞれが陳腐に感じる側面を持っていて変わってるなあと思う人達。 彼らが織りなしながら出来事を乗り越えて生きていく過程がとても面白かった。 それぞれの人間の主観の世界が良い悪いではなくて面白い。

    0
    投稿日: 2024.07.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とても考えさせられる話だった… 子どもの頃に感じた悩みや苦しみを背負ったままの大人は、それに向き合うことでも傷つき、向き合えないことでも繰り返し傷ついている。 寺地さんは子育て中の母が感じる日々の小さな困りごとを描写するのが上手だ。 ワンオペでの子育てやママ友との付き合い。 人それぞれ悩みは違っていても子どもを愛するが故に悩みは尽きないし、パートナー次第では地獄の日々だ。 朱音と莉子も全く違う生活でありながら子どもの頃に負った傷は深い。永遠に分かり合えないかのように思えた二人が孤独に子育てする中で相手の傷の深さを知り、次第に相手を思いやるようになっていき、支え合うようになる。 まるでお伽話のようだ。 傷ついた人にしかわからないことはたくさんあっても、すべては分かり合えないことを前提に相手を理解しようとすることはできる。 朱音は「私に翼はいらない」と羽ばたかずに地面を歩くことを決めた。 「私たちに翼はいらない」というタイトルは、朱音だけでなく、莉子も園田も傷ついた自分の殻に閉じ籠もらずに自分の足で歩んでいくことを決めたことを教えてくれている。 羽ばたかなくてもいい、ゆっくり歩けばいいんだという寺地さんからのメッセージを受け取った。

    12
    投稿日: 2024.07.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人にいじめられた記憶は消えないし、あんなことくらいでというのは本人にとって何の慰めにもなりません。ずっと引きずって生きて行くのはいじめられた側で、いじめていた方はなんとも思わずその後の人生を生きていくのでしょう。 本作主人公迄ではありませんが、僕もずっと恨んでいるし、再会しても絶対にゆるすつもりもありません。 この本を読むと、いじめをしていた意識もない順風満帆な男はそのまま何も感じず生きていて、ああ、きっとあいつもあいつもきっとそうなんだろうなと自分の事を思い返します。 そして、人を容姿で判断して見た目が良かったことでクラスの上位にいた人々もまた、そうではなかった人々の気持ちは一生分からないんだろうなと思いました。学生時代が一番楽しかったと言える人を、僕は心のどこかで信用していないのかもしれません。 与えられた環境の中で優れている事で、自分を肯定して生きていられる人々と比べて、何も優れた物が無くても、自分で選んだことで楽しく生きていられる自分の方が好きだしそれで良かったと心の底から思います。

    7
    投稿日: 2024.07.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    誰にでもある悪意が渦巻いているようなお話だ。子供の頃いじめられていた園田くんは、ある日お仕事で加害者である中原大樹に出会う。大樹の妻は、中学の頃から付き合っていた莉子。園田くんは偶然にも莉子さんとも出会う。 身近にある恐怖を感じた。

    0
    投稿日: 2024.07.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    もだもだした話。 みんな青臭く幼い大人だな、と。 友達に拘りすぎるとかえって縛られ窮屈な思いをする。友達と明言しなくてもそう感じる何かがあればそれでいいんじゃないかな。その時々で必要な人と必要な関係を築く。これじゃなきゃダメという壁を取っ払うと楽に暮らせる。

    5
    投稿日: 2024.06.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    黒寺地さん。階層がある小中高の頃を思い出す。いじめられてるって、自分が認めたらもう立てない。本を読んで明るい気持ちになりたい今の私には重過ぎた。

    0
    投稿日: 2024.06.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    都市圏から離れた大手電機メーカーのおひざ元人口20万人を擁する街が舞台。主役は3人、管理会社の広報で働く園田律、専業主婦だが偽装した就業証明書を使って娘を保育園に通わせる中原莉子、離婚直後のシングルマザー佐々木朱音。3人目線を入れ替わらせて物語を進行させる構成。 話が進むにつれて、3人が抱えるやるせない想いや忸怩たる事情が明らかになりつつ、3人の関りも深くなっていく。中学時代いじめを受けていた傷、綺麗で可愛いいから後は見栄え良くて稼ぎのいい男と結婚すれば幸せという考え、嫁という扱いに感じる違和感…。3人の抱える負の財産が化学反応のように相互作用して小さな変化や事件が次々と起こる…このあたりの展開が読んでいて気持ちよくないはずなのに、本を置けないページを繰る手が止まらない。黒寺地の真骨頂 年齢や時代背景で常識などコロコロ変わる、親が良かれと思っているほんの数十年前の価値観が全くそぐわないことなどしょっちゅうある。その流れについていけないことも痛いほど分かる歳になってきた。こないだまではアップデートして対応していかないと、とも思っていたが、人生半世紀を超えると自分のOS自体がアプデ適用外となっていることを痛感する。 保証期間を過ぎても人間は生きていかねばならない(らしい)、主人公3人はまだまだアップデート適用範囲の人たち。したたかに少し肩肘を緩めて、できるだけ幸せを感じて生きて欲しいと思う。

    4
    投稿日: 2024.06.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    おー。さすが、さすがの寺地はるなさん。 なんなんだこの本は。 今までにない読後中と読後感。 とにかくはじめから、重い。 何人か出てくるけれども皆大変で、 嫌な奴ばっかりで、「これは寺地さんの本だけれども読めないかもしれないな」とすら思った。 中盤くらいからは、確かにサスペンス要素もでてきて、最後は核心をビシバシ言い放つ。 登場人物の誰かに向って言い放つのではなくて、読んでいる者に対して。 ああ、寺地さんの本だ。となる。 耐えに耐え頑張り続けてきた経験のある人、 ニコイチで支え続けるのは危険かもしれないなと思ったことがある人には届くんじゃないだろうか。 はじまりの読後感に比べ、読み終わりの読後感は悪くない。ぜひ。 「わたしたちに翼はいらない」に込められた意味。「なにかになるためにべつになにかをあきらめる必要はないよ」 「ひとりで立つ」 が、心に残る。

    19
    投稿日: 2024.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    3人の気持ちが部分的にはわかるなーとおもいながら、でもやっぱりわからない部分も多く。けれど、人に寄り添う優しい物語で、好きでした。

    2
    投稿日: 2024.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    視点がくるくる変わって、物語が進んでいく小説が好き。 最初は戸惑うけど、最後に円環が出来上がってなるほど、となるのがいい。 人は様々な環境にいて、背景がある、ということを認識できるのが好きなのかもしれない。 最後の最後、「ひとりでいるのは、『他の人に寄りかかるんじゃなく、ひとりでしっかり立てるようになりたいと思っている』からだと」となったのが、良かった。

    1
    投稿日: 2024.06.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    重苦しさを感じながら読んだ。 登場人物の把握に時間がかかり、中盤まではなかなか入り込めなかった。 劣等感、嫉妬、恨み、妬み… 誰もが持つ黒い感情をあぶり出して突き付けるかのような物語。 学生時代、狭い世界でなんだか窮屈に過ごしていた事を思い出した。 友達とは?夫婦とは?親子とは?そんなことを考えながら読んだ。 誰もが他者への思いやりをもって、他者へ依存せず、日々を過ごせたらいいのに。 タイトルは「わたしたちに翼はいらない」だけど、私は登場人物に翼を持って羽ばたいて欲しいと思った。

    2
    投稿日: 2024.06.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ともだちって、何なんやろう。 お互いに気を遣い合って、楽しくおしゃべりできて、時には愚痴を吐き合ってスッキリして、それがともだち? 価値観が似通っていて、普段話している分には違和感がなくて、理解し合えていると感じられるのがともだち? 価値観や意見の違いをお互いに尊重できて、相手に対して出来ることと出来ないことが明らかで、出来ないことはあるけど出来ることは一生懸命にやる、そんな究極にシンプルな人間関係。 そんな関係を誰かと築きたければ、自分を自分で育てないといけないんだろうな。

    1
    投稿日: 2024.05.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    スクールカースト上位だったヒト、下位だったヒト、それ以外のヒト(中間ではなくカースト外のヒト)。 大人になった三者が、子供に悩み、夫もしくは妻に悩み、義父母に悩み、死にたくなったり殺したくなったりして成長していく物語だったと思います。 陽キャと隠キャと孤高のヒト、三者三様それぞれに対して共感できてしまう、そんな語り口が大変興味深く面白かったです。星3つです。 #美文

    2
    投稿日: 2024.05.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    学生時代のスクールカーストで上位にいた莉子と大樹。下位にいた朱音と園田。 大樹にいじめられていた園田は、大人になってからふと「死にたい」と思った後に、「どうせ死ぬなら、あいつを殺してから」と考える。 大樹と結婚した莉子は、自分を見下げる大樹と離れたいけれど、自分から離婚を切り出して、誰かに責められるのが嫌だ。ならば大樹が死ねばいい、と考える。 二人とも、ふと思いついた、という感じで思考の流れの一部として出てきた感情。 その邪気のなさが、かえって怖い。 … 小学生の頃、男子たちに「飛べ、飛べ」とはやされて、2階から飛び降りた朱音。お見舞いにきた学年主任の先生はこう言った。 「誰に何を言われても、きみは飛び降りちゃいけなかったんです」 「飛び降りるのではなく、飛びなさい」 雲に届くように高く飛びなさい。きみには翼があるんです。 (89ページ) でも、大人になった朱音が出した結論は、「翼はいらない」。気高く強く美しく、飛ぶ必要はない。 誰かを殺したいと思い、誰かに死んで欲しいと願う、そんな強い感情を乗り越えた彼らの未来が、あまりに優しくて泣きそうになる。 作中に漂う不穏な空気に圧迫されていた後の、開放感! 誰かの唱える崇高な「こうであるべき姿」に従わなくてもいい。友だちなんていない。強くなんてならない。それでも、私たちは生きていける。

    3
    投稿日: 2024.05.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読書備忘録830号。 ★★★★。 面白かったけど読むの疲れましたわ。 人間関係あるところには、多かれ少なかれ上下、強弱、依存といった関係性が生まれると思いますが、寺地さんはなんでこんなにそれぞれの立場に立つ方々の考え方を描けるのだろうか?多重人格ですか?まさかね・・・。 平たく言うと、加害サイドと被害サイドの思考回路をなんでこんなに生々しく描ける? 舞台は明日見市という地方の中堅どころの町。 主役はこの町で育って大人になった3人。 園田律。 独身。小学校時代、所謂いじめられる側にいた。 それがきっかけでコミュ障。自分含めて何もかも嫌で嫌で仕方がない。自分なんて死んだ方がマシだと考える。でもアイツを殺してから・・・、と物騒なことを考えている。 中原莉子。 夫の大樹、保育園に通う娘の芽愛と3人家族。 夫の大樹は同級生でスクールカースト最上位で王様だった。王様と結婚した自分は誰もが羨む存在と信じて疑わない。 行動原理は他人から羨ましがられること。誰もが羨む存在という意識が強すぎて、大樹のモラハラにあまり気づいていない。 佐々木朱音。 やはり学生時代虐められる側だった。こちらもコミュ障。 娘の鈴音と2人暮らし。夫と義父母に対する不信感から離婚を決意。一人で生きていく決意をする。友達なんていらない。人は所詮独りだ。非常に付き合い難そうな性格。 この3人に加えて、中原大樹という反吐が出る男、莉子の学生時代からの友達のクズ女美南、自分たちの価値観をぐいぐい押し付けてくる毒義母達をキャスティングし、ひとつとして上手くいかない人間関係を描き切る!寺地さんの暗黒文学!という感じでした! やはり、こういう系の作品の備忘録は苦手・・・。 まあ、園田は大樹を殺さず、自分も自殺せず、転勤での新天地で上手くやっていけそう。 莉子は自分の大きな過ちに気付き、性格は治らないけど正しい人づきあいが出来る様になったみたい。 朱音も莉子とは水と油だけど娘同士の関係性から、所謂ママ友としてうまくやっていけそうだし。 ハッピーエンドですかね? しかし、ママ友って言葉は不思議ですね。 事実として子育ての負担が大きい女性は、子供の友達関係で親も友達になる?友達に?ほんと?知り合いじゃなくて? たまたま気が合ったら、きっかけが子供繋がりという親友になるのは有りかも知れません。 実際私は子供繋がりきっかけで、趣味も酒も一緒に楽しむパパ友が出来て還暦過ぎても仲良すぎですけどね。笑 ひとつだけ許せないことがあるので書く! 莉子が大樹と離婚しようと決意するときの言い分がはぁ?だった。 一言で言えば、莉子は「ずっとお前(大樹)の何もかもが嫌だった」と言う。ここだけは大樹を庇う訳ではないが、「ええっ?なんで?そうだったの?今更?」という感じ。 莉子は今の価値観で改めて考えると、過去の自分が実は間違っていたことに気付いた訳であって、過去その時その時の価値観においては、大樹の全てを受け入れていたはず。 それを取って付けたように離婚理由にして何もかもモラハラ夫に括るのは大反則と思う。 「言わなかったけど実は嫌だったんですぅ!」というのは最近も良くネットで目にしますが、決して聞き心地の良いフレーズではないですね。 大人なんだから、その時その時の自分の選択には責任を持とうよ!と言いたい。 最後に。序章と終章に出てきたカンナちゃんが、鈴音ちゃんと芽愛ちゃんと心から仲良くなれると良いですね!

    29
    投稿日: 2024.05.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    3人の登場人物の心理描写がエグイ。 とにかく刺さる刺さる。 「わたしたちに翼はいらない」って そういう発想自体が驚き。 こんなにすごいのに評価が低いと思う。

    1
    投稿日: 2024.05.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    他人と違くたって、いい どちらかを捨てるのではなく、両方選んだっていい 筆者のメッセージ受け取りました

    2
    投稿日: 2024.05.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読了してから改めて表紙を目にすると、表紙に表されているものの意味が分かった。しかし、分かったからといって、すっきりするといった気持ちにはならない。タイトルの思いをかみしめて、私もそうだなとも思う。寺地はるなさんの作品を『川のほとりに立つ者は』に続けて読了した。作品の中の寺地さんのストレートで飾らない言葉が、胸に刺さってくる。それは、『川のほとりに立つ者は』の作品とも通じる。寺地さんの言葉の強さやまっすぐさを感じる作品を続けて読了した。 本作品は、序章と終章、その中に9章の場面で描かれている。そして、終章の後に序章に戻ると、2つの章のつながりが分かる。 作品の舞台は、人口20万人の明日見市。その街での登場人物たちが、中学生からの人間関係に大きく影響を受けながら、物語は展開していく。見栄や比較といった人の心の根底にある思いが表面化しズキズキと胸が痛んだり、それも人なのかなと感じたり、心が動かされ続けていく。それだけ、寺地さんのストレートな表現が際立っているのかな。 中心となる登場人物は、園田律、中原大樹と莉子の夫婦と娘、芽愛。園田、大樹、莉子は中学の同級生、そこに大樹と莉子に近い関係の同級生、美南の存在。佐々木朱音と離婚した夫、宏明と娘の鈴音。芽愛と鈴音は同じ保育園。中学時代の大樹は王様だった。そこに優越感を感じていた莉子は、そのまま社会人となって結婚。そして現在へ。人と比べていることに不穏な思いを抱きつつ、誰にでも持ちうる感情でもあるかなとも感じる。その思いは、屈折していくことにもなっていく。本当に大切にしたいことは何なのだろう。登場人物の思いに触れつつ、そんな疑問が浮かぶ。 園田と朱音は偶然に出会う。この出会いが、人間関係を複雑にし、つながりが生まれていく。保育園内の子供同士の諍いによって、莉子と朱音は直接やりとりをすることになる。それぞれの背景があり、考えがあるため、2人の関係は平行線で、交わることがないように感じた。結局、子育ての構えや行為が、それぞれ違うのだ。その背景には、莉子も朱音も、相談相手がいないということがあるのかな。家族だから、相談できるとは限らない。そこも、人それぞれなのだろうな。それぞれに生活があり背景があるから。家族なのに友達なのに相談できないという関係は辛いかな。形だけになってしまっているかもしれないな。だからこそ、人を信頼できるってすごいことに思えるな。 園田は大樹をずっと憎んでいた。大樹の素性を調べていた。しかし、同級生のはずの莉子の存在に覚えがなかった。そのくらい、中学生時代の園田は、関係を作れない存在だったのだろう。園田は朱音に、様々なことを話す。それを受けて、朱音は耳を傾ける。それは、過去に痛みを感じ、今もその痛みが浮き出ることがあるからなのだろう。そこに、2人のやりとりの自然さやありのままを感じる。居心地のよさって、こういうことなのかもしれない。『わたしたちに翼はいらない』に込められた登場人物の思いを重ねる。 莉子はカフェで働き始める。そのカフェを運営している会社に勤めているのが朱音。偶然が重なっていく展開に驚き、唸りながらも読み進める。朱音は、莉子の状況を見聞きし、別の喫茶を紹介することにする。朱音の馴染みの『喫茶くろねこ』。そこには園田も来店する客として。喫茶のマスターの悟志とも馴染みで、「園田くん」と呼ばれるほどだった。近い距離に複雑に絡み合う関係が、次の展開が気になっていく。莉子は園田のことを同級生と認知していないが、園田は莉子が大樹の妻で同級生であることを認知している。このあたりの描写が細かく伝わってくる。それぞれの心を想像しながら、ページを捲るスピードが速くなっていく。そうとも知らず、莉子は園田に好意を寄せている感じが伝わる。よからぬことが起きそうな想像が膨らんでいく。それが、偶然の出会いによって、その方向へと動き出しそうな状況へと移る。そのことを朱音にメッセージで伝える。それがきっかけとなり、園田が憎んでいた相手が大樹と知る。絡み合った知る知らないの関係性がなくなっていく。そこからの展開はさらに進んでいき、ラストに向かってスピードを上げて読み進めていく。そして、莉子と朱音の関係も色濃くなっていく。しかし、その関係は形にははめられていかない。寺地さんの作品世界を作り出す、そこも絶妙に感じる。 園田は、大樹と美南がマンションに一緒に入っていくところを目にする。そして、その直後、大樹の身に起こる出来事に衝撃を受ける。そこからの園田と莉子のやりとりは、何もかも曝け出していく。本当の思いですら、相手によっては伝わらないこともあるだろうな。それぞれの心根がちがうのだから、それも仕方ないのだろうな。園田のいたたまれない思いを受け止めるのは朱音。同じ痛みを抱えていると想像できることも重なるのかもしれないな。ラストに向かって、それぞれの確かな思いがはっきりとしていく。自分の気持ちは、自分にしか分からないし、自分でもわからない。そんな思いが膨らんでいった。 寺地さん作品世界を続けて思う存分味わった。これから手にする寺地さんの作品はどんな世界なのだろう。楽しみになった。

    332
    投稿日: 2024.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    #わたしたちに翼はいらない #寺地はるな 23/8/18出版 https://amzn.to/3wsXXOo ●なぜ気になったか 本屋大賞ノミネート作『川のほとりに立つ者は』を読んで気になりだした作家さん。面白そうな予感が感じられる内容紹介。本書を読み相性よい作家さんか確認したい ●読了感想 読み始めたら先の展開が気になり読み続けてしまい、やろうとしていたことが1日後回しになってしまった。現実感を感じさせられるストーリーは引き込まれやすく、それが僕の好みと再認識 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き

    19
    投稿日: 2024.05.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本を読んで感じた事は、 他人の事を勝手な自分の物差しで 測ったらアカンなと、 当たり前の事をあらためて 気付かされたことです。 好きになんでも選んてええでと 言いながら自分が選んで欲しい物に 誘導してきたことを申し訳なく思います。 まるで自分の気持ちを代弁してくれて いるような、登場人物の考えや 思いを鮮明に描いている小説が好きです。 何気ない日常でもありとあらゆる事を 人間は考えている。 自分の内面をもっと観察しよう。 他人の気持ちをもっともっと想像しようと 思いました。

    6
    投稿日: 2024.05.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あーキリキリするというところからの救い 孤高でいる思考を持てるのは素敵だけど、映画バービーを見たあとでこれを読んだので、ママ社会の生きづらさみたいのが苦しかった やな事した人がのうのうとって気にしすぎなのもあれだけど、ほんとやだなーって人もいるよなーふぅ

    4
    投稿日: 2024.05.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2023/09/28予約 122 半年まちで読んだ本。特に本の前半が好きだと思った。 朱音は学校でいじめを受け、その時浜田先生から言われた「きみには翼がある」 に対して、「わたしに、翼はいらない」と言い切るところはその通りだと。 「どうして被害者が強くならなきゃいけないのか」 登場人物みんな、リアルにいそう。 信念を生きる朱音。 損得勘定で生きてきた莉子。 莉子の夫に中学生の頃いじめを受けていた園田。 損をする生き方でスマートでなくとも、私も朱音タイプ。そのままだ。 多分寺地はるな作品で、一番好き。 自分のライフステージが違うときに読んだら、また違う感想になりそうで、再読が楽しみ。

    3
    投稿日: 2024.04.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    やばい、読み終わったあとの余韻が半端ない・・・ なんだろうこの希望と反省が入り混じったような読後感は。 全くタイプの違う3人の主人公、 それぞれに共感したりダメ出ししたり、過去の自分を思い出したりと読んでいる間も 気持ちがグラグラと揺さぶられ続けていました。 昔「ごめんって謝ってるのに、何で許さないの?!」と逆ギレしてきた人の顔が浮かんだりね、、、 無理に前向きになったり、友達作ったりしなくても 人は生きていけるし、生きていっていいんだって これからの子どもたちに学校で教えてあげてくれないだろうか。 (もちろん副読本はこの小説で)

    9
    投稿日: 2024.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「いじめ」の加害者は、心身共に誰かを傷つけておいて、犯罪者にされず刑事罰も受けない。「いじめ」という言葉の響きが軽すぎる

    44
    投稿日: 2024.04.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    わたしたちには翼はいらない 寺地はるなさん 序盤、自分勝手な考え方に、 はてな?と思い、読むのをやめようかなと、 思ったけれど、 読み進めるうちに、 いろいろなことが繋がって、 おもしろくなってきた。 人の気持ちって、難しい。 序章と、終章が繋がった! 晴れやかで良かった。

    4
    投稿日: 2024.04.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人と人とのあいだで、その成長過程や時代により、友達が重要な課題である。その中に溶け込むために無理をして、自分に嘘をつき生きてきたことが書かれてありました。人の気持ちは、表面ではわからずとても繊細なものであり、1番難しい。そのことを考えさせられました。

    2
    投稿日: 2024.03.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最初から重い空気感で半分くらいまでずっとそのままの雰囲気で、なんだろう?と思っていたが 読み終わってみたら何だか晴れやか。いい話だった。 地に足をつけて、依存せず自分で決めて生きていく。 ていうような話でした。

    2
    投稿日: 2024.03.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    登場人物全員がネガティブで自分勝手。そしてこの閉塞感がリアル。 翼をはためかせて高みを目指すには、誰かを蹴落としたり虚栄を張ったり傲慢になったりする側面もあるけど、翼を捨て、地に足をつけて内省しながら地道に歩む人生もあることを教えてくれる。 まぁ何が言いたいかって、モラハラ夫とパワハラ義母を排除したシングルマザーは最強ってこと。

    3
    投稿日: 2024.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     大好きな寺地はるなさんの小説ということで期待して読んだけれど、今回はちょっと期待はずれだったかな。  学生時代にいじめられていた相手と仕事で再会した園田律はその相手(中原大樹)を殺したいと考えるようになった。     莉子は学生時代に王様だった大樹と結婚し、娘がいるが、自分勝手な大樹といつしか別れを願うようになる。  佐々木朱音は夫と別れ、1人娘を育てている。  出会いは最悪な3人のそれぞれの人生が交差して、なんとも不思議な関係を築いていくが、ラストはスッキリ。前を向いて歩いていく3人に好感が持てる。

    22
    投稿日: 2024.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    地方都市(地方とは言っても企業城下町で人口もそこそこいるので、田舎ではない)で 中学時代にいじめの加害者や被害者だった子たちが 大人になって物語が進む。 寺地さんの作品は、 そうそう、こういう感じの人いるよねという人物がよく出てくる。 中学のとき上位だった人が、下位だった人を大人になっても見下していて、今も当時の階級を意識していたり、 なんでもやってあげる母親の息子が、モラハラ夫になっていたり。 そしてハッとする言葉も多い。 「10代の頃をあの頃がいちばん良かったと語ること」への違和感や 「いじめの被害者が立ち直る姿を美談として語ること」へのなんとなくのもやもや感とか。 そのあたりの漠然とした感情に言葉を与えてくれる。 中学生時代をいろいろと思い出して苦しい部分もあったけど、 友達じゃなくても相手を想うことはできるという点とか、 必ずしもいじめ加害者を許せなくてもやっていける点とか、 私の中では救いのある物語です。

    3
    投稿日: 2024.03.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    プロローグとエピローグ そう言う繋がり方なんですね。 それぞれが過去のイジメやモラハラ夫や姑やママ友や何かしら 心に暗い物を抱えてる人達。 時に被害者時に加害者。 いろんなところで繋がってて 意外と狭い世界の出来事。内容紹介に サスペンスとあったけど そこまで?って感じではないかな。 細かい事件は起こるけどその後は? スジが通ってて 自分の信念を崩さない朱音がまともな気がしました。

    5
    投稿日: 2024.03.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    途中から一気に読み終わりました。色々な人と事柄がつながっていき、面白かった。 人の顔色を伺い、相手の気持や空気を読み、最善の選択をしているつもりでも、色々と悩んだり、自分の言葉が相手にどう伝わっているか、気になったり もう少し楽に生きていければいいのに… と改めて感じた

    2
    投稿日: 2024.03.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地方都市に生まれ育ち一生その土地から出ない陽キャって学生時代にいわゆる「最強」だった人が多く、文学作品ではそういう「最強」だった人たちのことを冷ややかに描いていることが多いと感じていた。 でも、そういう人たちにも地獄は存在するということにハッとした。 朱音が莉子に対して「何にも考えてなさそう。」と思い「何にも考えてない人なんていないのに、何酷いこと思ってんだ!」と反省するシーンが印象的だった。 最後、園田と姪のかんなの関係性(かんなが園田を静かに慕っている感じ)にホッとした。 友達じゃなくても相手のために行動したり大切に思うっていいな。

    1
    投稿日: 2024.03.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人の気持ちは、根本的にはわからない。それがどんなに近しい人だろうと、その心の奥の奥まではのぞけない、到達できない。 しかし、この小説に描かれた人たちの、その心の深淵にまで踏み込んでいくような感覚は何だろう。 主人公というべき男女3人の人物が、同じ街を舞台にそれぞれが絡み合い、ちょっとしたできごとが進行していく。もちろん読んでいる側からすると、とてもじゃないが彼らは自分と性格も境遇も違うわけだが、3人ともその「思い」がこちらに強烈に伝わり、心を揺さぶってくる。 さらに、それぞれの人生が交錯し、織りなして進行する出来事から、なんとも言えない味がにじみでてくる。それはたいてい苦味に通じるようなものだが、何と言おうと実際人生はそう甘くはない。そこから、その苦味から、“作られた話”のはずのこの小説が、説得力のある、リアルな感触をもって、読む者の人生に食い込んでくる。 大きな感動、カタルシスを得るタイプの話ではない。ただし、読み進めていく中で、自分とは異なる人生を追体験できる、稀有な物語だ。

    1
    投稿日: 2024.03.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    【どれほど醜くても、愚かだと笑われても、地べたを歩いて行こうと決めた。わたしに、翼はいらない。】【わたしが、『強く生きていく』というポリシーを持つことは、ちっとも間違ってない。でもそれはそれとして彼らはちゃんと罪を償うべきだった。わたしがあの出来事を乗り越えた、だからもういい、なんてそんなわけない。】【行ったことのない場所に、自力で辿りついた。それだけで、もうじゅうぶんな気がしている。すくなくとも今の自分にとっては。】【朱音は今ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない。でも過去に置いていく。】 【わたしはわたしから逃れられない】さあ、自分を生きよう。それぞれがそれぞれを。自分の中心にある「生きるちから」に気づかせてくれた、読書時間だった。

    4
    投稿日: 2024.03.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    親近感を覚え 自分の内面を話し出しても 相手の受け止め方は全く違っている あまつさえ 相手をちょっと憐れんだり 3人とも自分勝手なわけです 3人が絡んで 大きな事件が・・・ 起こるかと思えば起こらない でも その落としどころは なかなかに納得のいくものですので ぜひ

    47
    投稿日: 2024.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでいてつらい話ではあったけど、軸となる母親たちの「気付き」の物語だったと思う。過去現在にしばられていた彼女らの物語。その想いがラストにこめられていた。頑張れ、子供たち!

    4
    投稿日: 2024.02.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    いじめの被害者と加害者の意識の違いに心が粟立つ。被害者は何度も反芻し傷をさらに深くするのに、加害者は振り返ることもなく忘れ去る。それを責められても「ふざけただけ」「本気じゃなかった」などと非を認めることはない。 しかし、わたし達は日々の暮らしの中で同じようなことをしていないか。誰かに対して不用意な言葉で傷つけてはいないか。考え出すと恐ろしくなる。 この本には様々な関係の人達が登場し、それぞれが悪意なく傷つけ合う。なかなかに重い読後感だった。

    4
    投稿日: 2024.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『川のほとりに立つ者は』『水を縫う』で大ファンになった寺地さん。今回はスリリングでドキドキしながら読んだ。序章と終章でやっと着地できた。 いじめっ子の気持ち、取り巻きの気持ち、いじめられっ子の気持ち、刺さってくる。 寺地さんの作品はいつも人と人がうまく絡み合っていく。

    8
    投稿日: 2024.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    何回も感想を書こうとして断念した…… 感情がかき乱されてうまくまとめられない。 今までの寺地はるなさんとは違う、、 心底にしずんだ黒い感情と記憶を、深掘りしている…… そのえぐり出しは鋭い。 心理描写は、さすが寺地ワールド。 登場人物が多いのと、視点がつぎつぎ変わる、同じ人物でも時間軸が現在と過去とを語るので、時間をおくと関係をわすれてしまい話の展開についていきにくかった。 間をおかずに読むことをおすすめする。 登場人物メインは3人。中学の同級生だった彼らの過去に起因する。 大人になり接点のなかった彼らがふたたび出会い、ある事件へ発展していく。 子ども時代のいじめ、30代になって夫との関係、姑の口出し。モラハラ夫。ママ友との会話。 人間関係とは悩みのタネで心まで蝕んでいく。 人間関係の悩みを当事者の目から書き、過去に負った心の傷もありありと表現されている。 読んでいると重いし暗いし辛い…… リアルな人間の感情が出ていた。 それでも著者は、いじめや対等でない人間関係にキョーレツなNO!を叫んでいる。 登場人物に代弁させている。 現実には加害者側はノーダメージでのうのうと暮らしているのを、作品中ではしっかり天罰を下しているのには、「ざまあみろ」とスッキリするダークな自分がいた。

    6
    投稿日: 2024.02.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    サスペンスという謳い文句だったけれど、もっと日常。 「いじめ」の被害者は一生その傷を抱えて生きるしかない。加害者はすっかり忘れて、あるいは忘れたふりをしているのに。 それぞれ相手は異なるが、「いじめ」の被害者だった朱音と園田、加害者寄りの傍観者として荷担していた莉子。加害者側の莉子の夫と友人たち。それぞれが大人になり、子どもを育てる側になって、なおうずく傷。 イジメの事実を知った教師から「犀の角のようにただ独り歩め」「飛び降りるのではなく、飛びなさい」「雲に届くように高く飛びなさい、きみには翼があるんです」と言われた朱音は、この言葉を「ひとりで生きていけ」と受け取り、人にもたれかからない生き方をするようになった。 何も考えない、自分より馬鹿な女がいいという夫に合わせて自分を殺してきた莉子は、そこから抜け出ようとする。 二人は親しくなっても互いを「友だちじゃない」という。 思えば、子どものころの「友だち」の定義はいいかげんだったな。 今は「友だちじゃない」人のほうが多いけれど、居心地のいい距離感である。

    9
    投稿日: 2024.02.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    田舎の閉塞感やヒエラルキー、都会に出る人と田舎に残った人間のそれぞれの場所におけるヒエラルキーそんな細かな細かなところをつつくというか、えぐるというか、そんな小説をネチネチと書く小説家さんが時々いるが、この方は視線というか、視点というかそんなものがちょっと違う。私はこの人の作品が感覚的に合う。 友達100人出来たら、あなたはあなたでなくなる。

    2
    投稿日: 2024.02.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    友達って面倒だなって思っているのですが、やっぱり面倒だなって思いました。 友達(ママ友)が多い人を見ると良いな~とは思うけど、無理だな~とも思います。 人からどう思われるとかが本当に面倒。 なので接点をできるだけ無くしたいと思ってます。 私は朱音タイプだと思ったけど、あんなにちゃんとしてないな笑 でも、友達という括りにしなくても相手の事を想ったり付き合ったりはできると当たり前の事を言われてハッとしました。 朱音がおすすめの本を聞かれた時の心境わかるー! と思ったんだけど、適当に流す事ために莉子が求めるように返せてたなぁと思いました笑 おすすめの本を伝える時はほんとに相手による!

    4
    投稿日: 2024.02.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地元の中高で何時も目立っていた人達。その中の王子様と結婚した莉子。王子様だった彼は実は王様だった。学生の謎の格付けって何だったのか大人になると見えてくる事もあるが、それによってずっと傷ついている人もいるし、輝いていた過去にしがみついている人もいる。

    7
    投稿日: 2024.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寺地はるなさんの本は5冊目。 初読みは『ビオレタ』で2018年のこと。 この作品は寺地はるなさんのデビュー作(2014年)だ。 とても好きな本だったのだが 次に読んだ本はそれほど好みではなく… 寺地はるなさんの作品は 個人的に好きな作品と、ちょっと好みと違うと思う作品もあり そのブレ幅がけっこう大きくて 途中リタイアした作品も。 が… この『わたしたちに翼はいらない』は好きな方に振れた作品だった。 かなり難しいテーマを描いた作品だと思う。 登場人物三人の立場はそれぞれ難しい状況に置かれている。 決して自分一人で解決できる問題でないことが 彼らをより厳しい状況に導く。 そんな中でも彼らはもがきながら道を探し続ける。 そこから這い出るためになすべきことは その怒りの矛先は 自分自身に向けるべきか、 それとも… いじめの加害者と被害者 それぞれの未来には天と地ほどの差がある。 加害者がたとえ社会的に厳しい状況に置かれたとしても その先には、細くて曲がりくねって凸凹であっても道は残されている。 一方、被害者の行く先にはとても高い壁が聳え立っていることも多く その壁を乗り越えて行くことは 想像をはるかに超えた困難な道のりだ…

    17
    投稿日: 2024.02.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    心苦しく、哀しくなりながら、ちょっと怒りも含めながら読み進め、わたし的には、 友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うことはできるから という言葉に、すごく救われた。 仲良く見えても、友達ではないと言い切るのも不思議な感じだけど、なるほどな…とも、思えました。 実際、わたしには絶対に友達が必要ですし、友達いますけど、そうではない人もいるのかな… だけど、一人では生きていけないですもんね。 幼稚園でも小学校でも、それから先もずっと、人は一人では生きていけないですもんね。 わたしは、人生の半分以上を生きてきて、今、余生を楽しんでいますけど、 できればこれから先、平和な世界で、子どもたちが命をかけるほどの悩みを持たずに、生きぬいてくれることを望みます。 いろんな人がいていいんだよ。

    28
    投稿日: 2024.02.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大人になっても仲良しごっこみたいな、誰かと一緒じゃなきゃ嫌、意見を共有できてなければという考えの人、自分とは違う生き方、弱い人間を見下す人、何が幸せで幸せじゃないかなんて一人ひとり考え方や捉え方は違う。寺地さんの書く物語は読むたびにいろいろ考えさせられる。高く飛ぶ必要はない、翼はなくても、地に足をつけて自分の道を歩いていけばいい。

    4
    投稿日: 2024.01.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    「犀の角のようにただ独り歩め」 小学生の頃にいじめにあっていた朱音が、話を聞いてくれた浜田先生からかけられた言葉。 仏教の教えで「サイの頭部にそそり立つ太い一本角のように、独りで自らの歩みを進めなさい」という意味があるらしい。「わたしたちの悩みは人間関係から起こる」のだからと。 夫と姑への不信感から離婚を決め シングルマザとして一人娘を育てる朱音 中学時代にいじめにあい、人付き合いが上手くいかず自殺を考える園田 夫のモラハラ、ママ友の同調圧力に悩む莉子 園田は「自殺するくらいなら、自分を虐めたアイツを殺してからにしよ」ってなるし、莉子の夫もママ友も本当に最低だし。園田や莉子のように 精神を病むくらいなら そんな人間関係は要らないよね、と思う。 かと言って 「誰かと仲良くなっても依存はしない」「友達がいないと、恥ずかしという考えは捨てる」と「ひとりで生きていく」と決めた朱音のように、そんなに強くもなれないよとも思う。 この歳になってみると「ママ友」っていう存在は本当に謎だわーってね、なんで必死に作ろうとしてたんだろ?って思うけど、その時は「ひとりだと思われたくない」とか「孤独だと思いたくない」とかあったんだよなーきっと。 この本は「黒テラチ」と呼ばれているそうで、人間の嫌〜な部分をたっぷりと見せられ(他人に対しても自分に対しても)、家族って 友達って一体なんなんだ?と考えさせられます。 人との距離のとり方が苦手で生き辛さを感じている三人。 三人が出会い、友達でも恋人でもない関係を築く姿を見て、「犀の角」の本当の意味がわかった気がします。 ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 「友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うことはできるから」 「他人に寄りかかるんじゃなく、ひとりでしっかり立てるようになりたい」 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ひとりの時間も「孤独」ではない。と思えるそんな物語でした。

    47
    投稿日: 2024.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    生々しい…かな。読後の一言。スクールカーストの上位に居た者も下位の者も…なんだかんだで大人になっても引きずってて面倒くさい。終章での締めくくりがとても良かった。

    4
    投稿日: 2024.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    田舎の中学時代から変わらぬコミュニティでの子育ては恐ろしい。 元々自分を虐めていたヤツが、子供の友達の親だったりする。 関係図を描きながら読んだ。私はいじめっ子でお山の大将だった中原と似たところがあるので気をつけようと思いつつ。 律は中学時代に中原に虐められていた。仕事関係で出会うが、いつデビューしたの?と言われ腹が立つ。 中原の嫁は中学時代からの彼女でお姫様。全ては自分を中心に回っていると思っている。保育園で子供同士が揉めて朱音と知り合う。 朱音は旦那と離婚するもシングルマザーとして娘を育てる。律と偶然出会い、相談に乗る。 律は中原が許せずに殺したい。備考をしたりして、中原の嫁の莉子と近づく。色々あったが中原は莉子の友人のミナミと浮気中に、親友に突き落とされて大怪我をする。 エピローグでは仲良さそうにしている朱音の子と莉子の子と、それぞれの親。そこに加わる律の姪…というのが小学生で描かれる。 ーーー 「『女性』をやっていると」  やっていると。佐々木朱音はそこで言い淀んで水を飲んだ。 「曖昧な物言いが命取りになるんです。思わせぶりな態度をとったとか、気をもたせたとか、きっぱりと拒否しなかったあなたも悪かった、とか。

    5
    投稿日: 2024.01.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    直接励ましてくれたり勇気づけられる場面はないのに読み終えた後、例え飛べなかったとしても地面をしっかりと踏みしめて自分の足で進めばいいんだよと、ほんのりと力をもらえた物語。どれほど醜くても愚かだと笑われても、地べたを歩いて生きていこうと決めて、淡々と周りに流されないよう芯を通す朱音に惹かれます。 -謝罪はしない。悪いことをしたと思っていないのに「相手が傷ついているから」する謝罪など、意味がない。 -朱音は今ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない。でも過去に置いていく。

    5
    投稿日: 2024.01.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    学生時代のヒエラルキーを引き摺りながらも現実に対峙していく登場人物。それぞれの言い分があるのだろうが、みんな頑なすぎて誰にも肩入れできなかったなぁ。結局何が言いたかったのかよくわからない。現実を受け入れながらも過去と決別するようでしていないようで。 子どもたちにもその片鱗はあってそれぞれに葛藤している。脈々と受け継げられていくのだろうか。ピロローグとエピローグの繋がりが絶妙。物語を読む前とあとでは全然解釈が違ってくる。

    4
    投稿日: 2024.01.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「うちら最強!」だった『元一軍女子』の専業主婦である莉子は、地元から出られない。最強の魔法が解けてしまうから。 学生時代のヒエラルキーが今でも有効だと信じているのに、周りの扱いは少しずつぞんざいになっている。 シングルマザーの朱音はいじめられていた時、教師から受けた『ありがたい言葉』を拒絶して生きてきた。被害者が自力で立ち直るのは、加害者にとって都合が良いのだ。大人になった今では、莉子の様な人間の理不尽にも冷静に言い返せるようになっている。 会社員の律は、自分をいじめていた同級生と再会し激しい憎しみを抱くが、朱音と出会ったことで復讐を思いとどまっている。 3人の人生が重なり、それぞれの過去が蘇る。 復讐は行われるのか? 外から見れば3人とも普通の人。 それをここまでサスペンスにしてしまう内面描写はさすがだ。 誰にでも心の奥底に渦巻くものはあるのではないかと思わされる。

    2
    投稿日: 2024.01.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人は色々な想いをそれぞれに抱えて生きているんだなと感じた。 登場人物たちの日常生活が代わりばんこに描かれ、心理描写が細かい。その人たちの想いに少しイライラしながらも続きが気になって読み進めた。 「君には翼がある」と言う人。「翼はいらない」。と思う人。 終章、良かった。救われた。

    3
    投稿日: 2024.01.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ちょっとずつの関わりが、だんだんと深く関わっていく。関係なさそうな人たちが実はつながっている面白さ、みたいなものが良かった。 最初はイライラする主人公たちも、人として皆が少しずつ変わっていく様も読んでいて安心した。

    2
    投稿日: 2024.01.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    話が少々ややこしいので、登場人物をメモしながら読んだ。 いじめの構造を図解説明されたようで、気が重い。 大樹のような男は、一生自分の非なんて認めないし理解出来ないんだろうな。 律や朱音の生き方についても同じ。

    3
    投稿日: 2024.01.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    感情移入してしまうとしんどい作品。 1番揺さぶられたのはモラハラ夫に悩む彼女の独白のシーン、感情がぐわーっとこぼれ落ちるみたいな。 もちろん加害者サイドの思考には呆れるばかりだし同情の余地もないです。 でも変わろうともがいている姿には「良かったやん」と思う。 自分と自分が大事にしたいものは死守しようと思わせる作品でした。

    3
    投稿日: 2023.12.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    作品のどこに心が引っ掛かるか、人によってかなりバラけそうな作品だなと思いました。 私は登場人物の母たちの悪意のない、でも結果子どもを不幸にしている、優しさが怖かったです。

    41
    投稿日: 2023.12.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    寺地はるなさんファンの私には星5つですが、全ての方におすすめはしないと思うので一つ減らしました。 私自身も中学はいわゆる一番の黒歴史。 あからさまにいじめられた経験はありませんが、いじめられる側にならないよう、他の子に合わせてたところがあるので。 確かに心から「本好きな子になってほしい」と思ってる親がどのぐらいいるのか。夫婦ともそう思っていた我が家でも、あまりに「本ばかり読んでいる」娘に対しては、もっと他の子と遊んでほしいと思ったものでした。 なので、 「子どもの頃の園田が本の世界にのめり込んだのは、現実に心もとなさを感じていたからだ。家族とも友人とも肝心なところで言葉が通じなかったが、本の中の人とはちゃんと言葉が通じた。作者は自分のことなど知らないはずなのに、たしかに自分に向けられた言葉が並んでいた。」 の部分にハッとしました。 読んでいる間、自分の中学時代に周りにいた子が次々と浮かんできました。 自分が間違っていた、と認めるのは難しいと思うので、莉子とその母親のエピソードがよかったです。 保育園から小中学生の子どものいる人に特におすすめしたい。

    13
    投稿日: 2023.12.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「友だち」という言葉には一種の呪縛があるのだろうか。何か違うと思いながらも、中学時代の「友だち」を引きずる莉子。友だちといつも距離があった朱音。いじめられていた園田。同じ中学に通っていた3人が、それぞれの人生を背負う年になって再び巡り会う。 中学時代、自分も友達を作ることに腐心していたことを思い出す。呪縛にかけられていたのかも。だから、「友だちでなくたって、相手のために何かしたり、大切におもったりできる」という、この本の中の言葉に、はっとする。手を差し伸べるのに、友だちである必要はないんだな、と。知っていたはずなのだけど、この物語に思い出させてもらった。

    5
    投稿日: 2023.12.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    うーん正直微妙でした。主人公のいじめ被害者園田より、加害者中原とその妻莉子の印象が強すぎたのと、中原夫妻がプチアウトロー上がりで全く「教養」が無い中学生がただ歳食った大人で本当に腹が立った上に、私の親類には居ないジャンルの人間なので微妙という評価になった。園田は可哀想です、私の「いじめ」の考えは100パーセント加害者に非があるからです。朱音が唯一まともな大人だったかなって感じです、朱音の一人でも立ち上がる的な空飛ぶ翼はいらないは納得、いじめ加害者のただの免罪符に確かになるかもしれないですし。

    1
    投稿日: 2023.12.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あなたとハッピーで中瀬ゆかりのブックソムリエで紹介されていた1冊。 人の心の裏側、普段できれば直視したくない部分、できれば隠しておきたい、自意識の塊のような、そんな部分を描き出すのがうまい作家さんだと感じた。登場人物みんながもがいている様子が痛くて苦しい。 でもみんながほんの少し前を向いて歩いていけている。

    2
    投稿日: 2023.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    うーん。まあまあ。 色んな人が登場するけど、一人ひとりが浅くしか書かれてない気がした。 いつまでも学生時代の武勇伝話す人って確かにいるなと思った。 その頃がその人のピークだったんだろうなと思って聞いてたけど。

    1
    投稿日: 2023.12.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    星3.5 大藪春彦賞候補 途中までかなり読むのがつらかった。特に大樹と美南にはいらいらさせられた。莉子にも。 最後には心が晴れた。

    2
    投稿日: 2023.11.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    帯にサスペンスとあったがそこまでサスペンスな話ではなかった 学生の時のカースト まだ引きずってるのバカみたい でもこういう人いるよね〜と思いながら読みすすめた 朱音に一番共感した こんな人になりたい

    2
    投稿日: 2023.11.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    地元に住んでいると良しも悪しもコミュニティが同じだと学生の頃の知り合いに出会い繋がってしまうことがある。過去に傷ついた心は、いつまでも残るものだ。 友達ではなくても相手の事を思い行動し大切にする事が出来たら、幸せを願う事ができたなら、きっといつか自分に返ってくるだろう。

    2
    投稿日: 2023.11.27